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Design Director’s file 02

【プロフィール】
2009.3:武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業
2009.4:国内大手ITベンダーのグループ会社に新卒入社
2019.3:組織再編により同社が解散
2019.5:リクルートへ転職 現在に至る

多種多様なマーケットで、数多くのデジタルプロダクトを運営しているリクルート。そのプロダクトのユーザー体験価値(UX)とビジネス価値を高めるために、プレイヤーとしてのデザイン業務にとどまらず、デザインを活用して新たな価値の創造に貢献できるデザインマネジメントを担っているのが、リクルートの「デザインディレクター」です。

今回登場してもらう竹内は、「リクナビ」をはじめとする新卒メディア領域を担当するデザインディレクター。前職でもUIデザインと並行してチームビルディングにも取り組んでいたものの、リクルートには大きな違いを感じたといいます。リクルートならではの仕事への取り組み方からやり甲斐、これから目指すべき組織づくりまで語ってもらいました。

デザインを通じて組織の成長に貢献できる

―「リクナビ」やローンチされたばかりの「riksak(リクサク)」など、新卒メディア領域のデザインマネジメントを担当されているとのことですが、具体的にどんな業務に携わっているのでしょう?

大きく二つのミッションがあります。ひとつはものづくりに直結することで、新卒メディア領域のデザインチームを率いて、「リクナビ」をはじめとする各プロダクトのデザインのディレクション業務を担うことです。

「リクサク」のような新規プロダクトの立ち上げの際には、私自身もプレイヤーとなって手を動かすことがありますが、基本的にはデザインディレクターとしてアートディレクションやデザイン進行、各案件のレビューなどを担当しています。デザインルールの定義やガイドラインの編纂、デザイン方針を決定し、各プロダクトにおけるデザイン面でのQCDの質を高めるのも私の役割です。

もうひとつのミッションは、デザインチームのリーダーとして、デザインプロセスの整備や組織づくりといったチームマネジメントを行うこと。パートナーの募集に関わることもありますし、社内の各プロジェクトにおいてデザイン組織が必要であればチームづくりから携わっています。

デザインディレクター業務のユニークな点は、デザインを通じて組織の成長につなげる戦略面のフェーズに関与できるところです。仕事もトップダウンで与えられるだけではなく、現場に必要な業務(プロダクトのデザイン)と、抽象度が高く長期的に達成すべき業務を並行して取り組める。個人的に、組織づくりやデザイナーを育成したいというWillがあるので、チームリーディングは自分の中でも特に大きなミッションと捉えています。


▲「リクナビ2022」
https://job.rikunabi.com/2022/


▲新卒採用担当者と応募者の日程調整をラクにする応募者管理システム「riksak(リクサク)」  
https://contents.on.r-marcos.jp/riksak-cls/public/index.html

想像以上の風通しの良さに感動した

―美術大学でビジュアルコミュニケーションデザインを専攻し、卒業後は社会インフラ用大規模管制システムのUIデザインを担当されていたそうですね。転職のきっかけは?

入社10年目で組織再編により、会社清算が決まったことがきっかけでした。グループ内に残る選択肢もありましたが、それまで積み上げてきたものがリセットされてしまいますし、前職でもUIデザインと並行してデザインチームの立ち上げに取り組んでいたものの、採用や人事にはあまり関与できなかったため、より自由度が高い環境でチャレンジしようと決意しました。

―転職先を検討するうえで重視したことは?

先ほどお話しした自分自身のWillにつながりますが、多くのユーザーの役に立つ、社会実装されるくらい大規模なプロダクトの開発や、デザインチームの運営や育成にチャレンジできるかどうかです。

もともと新卒2、3年目はAdobe Flashを中心としたウェブコンテンツのデザインを担当していたので、当時、先進的な技術で注目を集めていたリクルートには、新しいことへ積極的にチャレンジし、世の中にインパクトを与えている印象を持っていました。また、登録していた転職エージェントの担当者が偶然にもリクルート出身で、社風について熱く語ってくれたことから興味を持ったんです。実際の面接でも一般的な面接で終わらず、私が持っている課題感を共有できて、「いいな、ハマるな」と直感しました。

―入社前に抱いていたイメージは、実際に入社してみるとどうでしたか?

想像以上に風通しが良いことに感動しましたね。例えば、リクルートにはチームリーダーやメンバーが集まって、テーマを決めずに雑談することから新しいアイデアを探っていく“よもやま”ってカルチャーがあります。何かやりたいと思い立ったとき、いわゆる日本的な大企業では各所の調整をして、ミーティングの依頼を出して日程調整をしますが、“よもやま”は違って、「あの人がよく知っているから聞いてみたら?」「じゃあ30分いいですか?」というラフな感じで気兼ねなくコミュニケーションが進み、そこが起点となって業務やプロジェクトが動き始めます。

新型コロナウイルスの影響もあって、今、新卒メディア領域の事業方針が大きく変化し、デザイナーがさまざまな場面で必要とされているのですが、セクショナリズムが想像以上にないおかげで、「ここは一緒にやったほうがいい」と決まれば領域や組織の垣根を超えてどんどん連携できる。自分が担当している業務や領域を超えてプロジェクトを進められる“染み出し”のカルチャーも助けになっています。

一気通貫したユーザー体験を提供したい

―業務のなかで、どんなことにやり甲斐を感じますか?

答えがないテーマにデザイナーとして携われる面白さ、ですね。前職では社会インフラなどのB to Bの業務で人目につかないプロジェクトを多く担当していましたが、現在の業務はステークホルダーの声がリアルタイムで聞こえてくるし、それに対してスピード感をもって新たな打ち手を考えることができます。

組織のなかでデザインのカルチャーが発展途上だからこそ、「もっと良くしたい」と現場から声が上がれば、デザインを活用するためのフローを見直し、“不”を解消するためのプロトタイピングや検証に取り組める。自分たちのプロダクトをどうしていきたいのか、自分事として考え、良いやり方があれば取り入れて実行できる組織のダイナミズムを感じます。

―冒頭にお話しのあったWillについて。具体的にどんなチームづくりに取り組んでいきたいのでしょう?

それが難しいんですよね(苦笑)。最近まではある意味“組織として完成したチーム”をつくればいいと考えていましたが、コロナのような想定外の外的要因もあるし、社内でも部署や領域をまたいでフレキシブルに異動が実現するケースも多く、組織が変化することに躊躇がありませんから、現時点で求められていることに応じてチームを編成しても、来年になったら同じ考え方が機能しないかもしれない。

リクルートには「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉があるのですが、完璧さを求めるよりも、変化に強く柔軟に対応できることが大切なのかな……と。いずれにしても、ひとつ言えることは、チームにとって共通のカルチャーがあることが重要。それが何なのかは、今まさに探している最中です。

―一緒に仕事をするデザイナーにはどんなことを求めていますか?

これは私見ですが、私たちに求められているものって、職人みたいに“美しいデザイン”を突き詰めていくこととは少し違うんですね。もちろん高いデザインスキルは必要ですが、それだけでなく、デザインを駆使して問題解決に取り組むソリューション志向を持っていることが大切だと思っています。

「リクナビ」を例に挙げれば、多くの学生にとっては一度きりしか使わないサービスだけど、私たちは毎年新たな学生に向けてリクナビというサービスを提供しています。だからこそ、一貫性を持った姿勢で取り組めるか。「前回はこのアイデアだったけど、次はどうすればいいのか?」と、自分のなかでしつこく最適解を探していけるスタンスやメンタリティが重要だと思います。

―今後の目標についても教えてください。

ガイダンス、リアル/オンラインイベント、インターンシップ検索や採用選考へのエントリーなど、就職活動に関するさまざまなステップで私たちはサービスを提供していますが、デザインガバナンスという観点ではまだまだ個別に動いている印象が強い。しかし学生からすれば、どれも「リクナビ」ですから、新卒メディア領域で一気通貫したユーザー体験を提供すること、そしてそれを実現できるデザイン組織を作ることが目の前の大きな目標です。

そのためには情熱を持ち続けることが必要だと思っています。現在の組織は定量的なコミュニケーションはできるけれど、「あれはカッコいいよね」とか「ブランドは大事だよね」みたいな定性よりことは伝えづらい。定性的な部分も情熱をもってきちんと伝えられるようになることが必要だと感じています。

―ありがとうございました。


★編集後記★
「新卒メディア領域はリクルートの創業領域だからこそ熱い想いがあり、それが醍醐味」とも話す竹内。デザインを活用しながら、より上流のデザイン業務にも挑戦したいと考えている方にとって、とてもやりがいのある職種だと思います!

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