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目指すは、HR業界のDX。そして10X。プロダクトマネジメント室長が描く、一人ひとりが輝く豊かな社会

『リクナビ』、『リクナビNEXT』、『リクルートエージェント』、『タウンワーク』、『とらばーゆ』、『はたらいく』、『リクナビ派遣』など、アルバイトから中途、新卒、派遣に至るまで、多岐にわたるサービスを展開するリクルートのHR領域。

コロナ禍で採用を中止する企業が増える昨今においても、ブランド力強化やユーザー集客、営業体制の強化を推進することで成長を維持。労働人口減少による採用難や生産性向上など、日本が抱えるさまざまな社会課題に対し、HRテックを駆使したソリューションを提供することで“Follow Your Heart” 〜一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生 〜の実現を目指しています。

今回ご紹介するのは、そんなビジョンの実現に向けて奮闘する山口 順通(以下、山口)。HR領域のプロダクトマネジメント室長として、HRサービス全体を統括する彼に、見据える未来やリクルートHR領域で働く醍醐味について、話を聞きました。


山口 順通
株式会社リクルート HR領域 プロダクトマネジメント室長

2000年から2002年、大学院で検索エンジンの研究をする傍らITベンチャーに正社員として勤務。2002年に新卒で証券会社に入社。アナリストとして3年間従事した後、2005年にリクルートに転職。5年間、『タウンワーク』を中心としたHR領域の企画職を経験し、2010年にライフスタイル領域に異動。『ホットペッパーグルメ』、『ホットペッパービューティー』、『じゃらん』などのプロダクトマネジメントやプロダクトデザインを経て、執行役員に。その後、『Airレジ』、『Airペイ』などのAir ビジネスツールズのプロダクト責任者を経て、2018年下半期よりHR領域に戻り、現職。


高い倫理観を持って、HR領域のDXを推進する

――まず、現在の役割について教えてください。

HR領域全体のプロダクトマネジメントを担当しています。大きく2つあって、1つはサービスの戦略立案やKPI設計、それを達成するための人員配置の決定、アクションプランを司るポジションです。加えて、各領域のプロダクトマネージャーが判断できないようなテーマの意思決定をしたり、大きな方針を打ち出したりする役割を担っています。

もう1つは、プロダクト開発のマネジメントです。開発者やマーケターなども含めて、全体的に設計したものが計画どおりに進んでいるか、実際の進行推進に対しても責任を負っています。

――昨今の人材業界全体の課題についてどう感じていますか?

高齢者雇用、新卒一括採用、外国人雇用など、日本の雇用マーケットにおける課題は無数にありますが、その中でも一番フォーカスしたいのは、生産性の問題です。

社内のキックオフでも共有したのですが、僕が思う生産性が高い状態とは「一人ひとりが好きなこと、得意なことに時間を費やせている」ことで、まさにリクルートが目指す“Follow Your Heart”に近いイメージなんですね。

結局、多くの人が自分らしく好きなこと、得意なことに時間を費やすことができれば、高齢者採用や新卒一括採用の問題も解決できると思っていて。生産性の高い状態を実現することが、日本の社会課題解決に向けた一番の近道だと思っています。

しかし、日本の生産性はOECD加盟国の中でも下から数えた方が早いくらいに低い。人生の30%は仕事に費やすと言われている時代において、心から仕事を楽しんでいる人がどれだけいるかというと、決して多くありません。

HRサービスはそんな社会課題を解決する一つの答え。理想とする生産性の高い状態を実現するためにも、より多くの人に使ってもらえるHRサービスをつくり、広めていきたいです。

――生産性が高い状態を実現するためには何が必要でしょうか?

月並みの表現になってしまいますが、HR領域におけるDXをどう実現していくかに尽きると思います。人材サービスや仕事探しのプロセスはこの50年、大きく変化していません。求人メディアは有料誌からフリーペーパーになり、ネットに移行しましたが、自分で求人を探して・応募して・面接の日程調整をして・面接を受ける、という仕事探しのプロセス自体は昔のままです。

こうした既存プロセスや業界の構造を再定義し、テクノロジーで変えていくことが生産性向上の鍵になると、僕は思います。幸いなことに、今はコロナ禍でWeb面接をする企業も増えてきました。仕事探しから、入社後のオンボーディングや教育研修まで、あらゆるものをデジタル化する機運が高まっている今だからこそ、HRテックには大きな可能性を感じています。テクノロジーを活用すれば、求職者が自分自身をより深く知ることができるし、より深く仕事を理解することもできます。さらに、マッチングもより最適化され、応募プロセスの短縮にも役立つはずです。

HRにおけるテクノロジー活用については法整備も追いついているわけではないので、僕ら自身がより強い意志や高い倫理観を持って、慎重に進めていく必要があります。わかりやすい正解があるわけではないので、正直HRテックによるDXは難易度が高い。

HRは人に関わる領域なので、時には法律の専門家や場合によっては哲学者のアドバイスを仰ぐことも必要かもしれません。しかし、その先には社会課題の解決や誰もが生き生きと働く社会の実現が待っているはず。リクルートはこのようなビジョンを実現できる場所だと、僕は思います。


どこでも通用する希少価値の高いスキルが身につく

――リクルートHR領域でプロダクトマネジメントとして働く面白さについて教えてください。

希少性の高い経験を積めることだと思います。先ほどお話したとおり、HR領域のDXは倫理観が求められるゆえ、難易度が高い。それに今はテクノロジーで業界の構造そのものを変えていこうという機運が高まっているタイミングです。サービスに閉じた話ではなく、5年後、10年後に向けて人材業界をどうDXするか、デジタルを前提にどうあるべき姿にしていくか、推進できる面白さもある。

昔のプロダクトマネージャーなら、割り振られたプロダクトKPIを伸ばせばよかったかもしれませんが、今はそう簡単にはいきません。答えがない不確実な未来に向けて、PDCAを回しながらプロダクトをブラッシュアップすることが前提にあるので、大きな新規事業のプロダクトマネージャーとして活躍するチャンスです。KPI設計や事業やプロダクト戦略、ビジョン・ミッションさえも見直す必要があると思っているので、誰も答えを持っていません。そんなスコープの広いプロダクトマネジメントに挑戦できる機会は、ほとんどないと思います。

それにロマンだけではなく、そろばんも含めて考えていくことで、ビジネス的な感覚も養われます。一般的なプロダクトマネージャーはプロダクトの改善に注力する印象なのですが、リクルートの場合、マネタイズ設計などビジネス戦略も踏まえてKPIを引く必要があります。

例えば、直近では「そもそも本当にそのKPIで5年後、10年後に10X(※)を実現できるのか」という話をメンバーと議論して、既存のKPIと併用して中期的に10Xの余地のあるKPIを新たに引き直しました。それに伴い、事業計画もマーケティングプランもプロダクト開発ロードマップも、全てガラッと変えているのですが、こうした動きの起点になるのがプロダクトマネージャーであり、この仕事の醍醐味とも言えるでしょう。事業の設計やリデザインを通じて、どこでも通用する希少価値の高いスキルが磨けるはずです。

※……10倍の目標を達成した理想の未来から逆算し、達成のために何が必要か考え、着実にアクションプランを実行していくGoogle発祥の思考法。10倍成長の意味で使われることも多い。


HR業界のDXを通じて、10Xを目指そう

――今後の展望について教えてください。

1つは「この5年でリクルートのサービスってガラッと変わったよね」と言われるサービスをつくりたい。その鍵を握るのは先ほどお話したとおり、(HR領域における)DXになると思いますが、いずれにせよビジネスモデルも規模も含め、生産性の高い社会を実現できたらと思います。

そのためにはまず、縦割りになっているサービスの垣根をなくしていく必要がある。例えば、現状だと『リクナビNEXT』と『リクルートエージェント』の両方を使ってユーザーが転職活動をする場合、どちらのサービスにも会員情報やWeb履歴書を入力する必要があって手間ですよね。同じリクルートが提供するサービスなら、どちらかに入力すれば、他のサービスにも会員情報が反映される仕組みにすればいいのに、今はサイロ化されている。

サービスを売る営業も同じです。これまでは『とらばーゆ』や『タウンワーク』、『リクナビ』、『リクナビNEXT』などそれぞれのメディアごとに専任の営業がいて、どうしても自分が主として担当する媒体やサービスを営業することになってしまいます。というのも、メディアごとに提案先もユーザーの属性もそれぞれ違い、全てのメディアの特性を一人の営業が覚えるには相当な情報をインプットする必要があったのですが、それももしかするとテクノロジーで解決できるかもしれません。

例えば、各メディアの営業ノウハウや概要を全てハードディスクやクラウドに置いて、メディアプランニングをテクノロジーに任せてしまえば、同じ営業がアルバイトや社員、派遣などドメインを横断して一人であらゆるメディアやサービスを提案できるようになります。こうしたDXを通じて、誰もが自分の好きなこと、得意なことに時間を費やせる世界を実現できたらと思います。

よく「人材業界は成熟産業だ」なんて言われますが、そうとは思えません。というのも、日本では年間約800万人程度の人が転職していると言われていますが、我々のような企業の何かしらの求人サービスを利用して転職する方は30%程度だと推計しています。つまり、自己応募や友人からの紹介など自力でやられている方が大半です。

それに、現状だと転職サービスを使わない人たちは自分で情報収集したり、知人経由で仕事を探したり、しかもそれぞれで履歴書・職務経歴書などの情報を登録するなど、半日ないしは1日程度費やすわけじゃないですか。もし、1,000円払って5分で仕事探しや情報登録が終わるのであれば、「1,000円を支払う方がいい」という人もいると思うんですよね。

そういった潜在的なニーズを掘り起こしサービスに落とし込むことができれば、パラレルワークや副業も含めて、人材業界全体のマーケットも大きくなると思うんです。そういった意味でも、僕らができることはまだまだありますし、人材業界には大きな可能性があると思っています。

――最後に、どんな方と一緒に働きたいか教えてください。

やはり変化を楽しめる人ですね。あらゆる雇用課題が噴出している時代だからこそ、5年後、10年後、場合によっては30年先を見据えて、「社会課題の解決に向けて人生の限られた時間を使いたい」という熱量のある方だと尚嬉しい。

当然、哲学や思想は人それぞれだと思うので、「こんな人はNG」というつもりはありませんし、「こんなスキルセットがないと無理」ということもありません。むしろさまざまな人が居ていいと思いますので、必ずしも「HR領域で仕事がしたい」という人でなくてもいいと思います。

ただ、「社会的にインパクトのあるサービスをつくって10Xを目指す」くらいの気概がある方にとって今は最適なタイミングだと思います。僕の話に共感いただけたなら、ぜひ一緒に頑張りましょう。

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