1
/
5

義務と権利から、自由と責任へモノサスがフルフレックスを導入した理由

モノサスでは自分たちのWebサイトにスタッフが交代でコラムを書いています。
今回はその中から、2017年にフルフレックス制度を導入した際、代表の林が経緯などをお話したインタビューをご紹介します。

モノサスサイトをご覧のみなさま、はじめまして。

日本仕事百貨という求人サイトを運営している、中嶋希実と申します。先日めぐるモノサシでインタビューをしてもらったので、ご覧いただいた方もいるかもしれません。

普段は求人記事の取材で、いろいろな生き方や働き方をしている人の話を聞いています。モノサスのみなさんに出会ったのも、求人記事を担当したのがきっかけでした。

どう生きていくかを本気で考え、実践している人たち。それがモノサスの第一印象です。

そんなモノサスが働く制度をがらっと変えて、フルフレックス制度を導入することになりました。

フルフレックス制度というのは、出勤する時間や曜日が会社から指定されない働き方。基本的なルールはあるけれど、いつ仕事をするかは自分で決めることになります。

実際にフルフレックスを導入すると、どんなことが起きるのか。外の視点から、この場をかりて探っていくことになりました。

「義務と権利」から「自由と責任」へ。

わかりやすく変化するのは働く時間だけれども、どうやら変わっていくのは会社と働く人の関係です。

第1回となる今回は代表の林さんに、フルフレックス制度を導入するまでの経緯を伺いました。


自分の幸せのものさし



「この制度の導入は、役員3人で相談しながら決めました。個人的な経緯を話すと、小学校くらいまで遡ります」

長い話になりそうですね。よろしくお願いします。



「小さいころから『人ってなんだろう』とか『生きて死ぬってなんだろう』って考えてたんです。人はどうして生きているのか知りたいんでしょうね」

「それと僕、あんまり世界平和に興味があるほうではないんです。もちろん平和ではあってほしいですけど、自分が影響を及ぼせる感覚がなかなか持てなくて。でも自分が直接関わった人には、ちゃんと幸せになる方向に角度を変えてもらいたい。モノサスという組織に関わる人にも、そう思っています」

林さんが組織のことを考えるようになったきっかけは、大学のころに所属していた男声合唱団。

「名門クラブで、男臭い世界でした。自分でもなんで入部しちゃったのかわかりませんが、人気が落ちてきた時代だったので、盛り上げようと同期のメンバーと必死になってクラブを引っ張っていった。やりきって、充実感に満たされつつ卒業したんです」

いいチームができた。当時のことは、林さんの中ではとてもいい思い出になっていた。けれど何年か経ったある日、一緒に飲みにいった後輩から思ってもいなかった言葉を耳にした。

「『当時は、夢を見ていました』って。その言葉は僕にとって、褒め言葉ではなかったんですよね」

林さんの代で盛り上げて、いいチームをつくったつもりだった。けれど、引っ張っていく存在がいなくなったあと、その状態は続かなかった。

「僕らがいたときの状況は、数人が旗を振って引っ張っているだけだった。だから僕たちがいなくなったあと、一瞬チームが止まってしまったようになってしまったんです。組織が自分で動いていくように、本質的な組織の改革ができてなかったんだと思います。会社ではその反省を活かしたい。組織に関わる個人をよくしていきたいんです」



本質的に個人をよくしていくためには、どんな環境をつくっていけばいいんだろう。それが、林さんが会社をつくる動機になった。

「クラブも就職した会社も、ものすごく体育会系の中で過ごしてきました。その中で、なにかをやり遂げた先に幸せを感じることができるという経験をしたんです。それって、幸せな瞬間だと感じていて。誰でも訓練すればたどり着けるんじゃないかと思うんです」

「どうすれば自分自身が幸せを感じることができるのか。それを探すには、まずは何事も突き詰めてやらないと見えない。とにかくまずは必死にやってみよう、っていう考え方なんですよ」

経験のないことでも、まずはとにかくやりきる。人から褒められたり、満足感を感じていく中で、自分がどうなると幸せなのか、「自分の幸せのものさし」を見つけることができる。

「アドレナリンという報酬を得るために、自分が満足するところまでやろうよって。そうやっていったら、結果的にブラック企業になってました。辞めていった人もたくさんいましたよ。これではいかんと思いはじめたのは、4年ほど前のことです」


稼ぎ方と使い方

同じころ、マーケティングのことを考える中で目にした平均年収の統計から、課題が生まれてきた。

「平均年収が800万円以上と400万円以下の二極化をしてきている。業界的に考えても、うちにいるメンバーは400万円以下に入るメンバーが多いんです。最初はみんなの年収を上げることを考えました。でも、やっぱりそれだけではだめだと思うんです」

Web制作の業界で、現場のクリエイターとして働き続けようとするとき、一部の有名人以外は年収が頭打ちになるのが現状。この中で、全員の年収を上げていくことだけを目指すのは、自分たちらしくないと感じた。

「すごい稼ぐ会社になるために、新しいサービスを開発してどんどん売っていくとします。でもそうすると、メンバーのみんなが自分で稼いだ感じにならない。夢を見ているのと同じ感じっていうか。それってたまたまこの会社にいるから生きていける、ということになるんじゃないかって葛藤がありました」

モノサスという会社で長く働いて会社を離れるときに、「この会社にいてよかった」と思ってもらいたい。そう考えたとき、収入を上げる努力をすることだけじゃなく、お金の使い方も考える必要があることに気がついた。



お金がないと言いながら、流行りの高価なブランドバックを持っている人や、コンビニに立ち寄り1000円を使う人。

ものを消費することにお金を使うメンバーがいる一方で、視察に行った先の神山では、サービスを消費するだけではなく、お金を多く使わなくても豊かな生活をしている人たちの姿を目にする。
東京で働くメンバーは、はたして自分の尺度で幸せを測れているんだろうか。

「お金の稼ぎ方が二極化する中で、使い方も二極化していくんじゃないか。使い方を突き詰めていけば、人生の満足度も上がるよねって。それでDIYみたいな概念ができてきたんですよね」


自由と責任

東京オフィスのDIYや大阪、神山、タイでも働ける環境づくり。お金と時間の使い方を考えるための実験は、ここ数年で具体的な形になってきた。

会社と個人の関係を考える中、林さんは視察に向かったフィンランドである言葉に出会う。

「会社と個人は、自由と責任の関係にある。それを聞いたときに、うちの会社は義務と権利の関係にあると気がついて」

義務と権利、ですか。

「給料をもらうという権利のために、働くという義務を果たしている。自分じゃなくて、会社のために義務感を追って頑張らされているんだって。そんな中で、自分の幸せのものさしなんて見つけようがないんじゃないかと気がついたんです。自由と責任の関係に転換するために、会社がリスクをとって自由を渡していこうと思いました」

自由を渡すということは、どういうことなんだろう。

「リスクをとることによって発生する代償って、過去に起きたものはそれ以上大きくはならないけど、これから発生するものはどれほど大きくなるかわからない。過去に対してよりも、未来に対してのほうが重いように感じています。多くの人は過去に果たした義務を傘にして、『俺はこれだけ代償を払ったんだから、これだけくれ』って権利を主張をする。そういう意味で、権利と義務というのは過去に根ざしている部分があると思うんです」

「一方で自由と責任は未来のこと。自由を行使するのも自分だけど、起こったことに責任をとるのも自分。そうすると、自分の行動を考えるようになるんです」



会社ではちょうど制度改革を検討していたところ。自由と責任の関係をつくるためには、どんなやりかたが適しているのか、役員会で検討を重ねていった。

法令を遵守しながら、自由と責任の関係をつくるには。

そう考えていく中で、今の段階でたどり着いたのがフルフレックス制度の導入だった。

思い切って制度を変えたのは2017年1月から。やってみてどうですか。

「みんな自分のリズムを探りながらやっている感じですね。いい流れができている気がするけれど、逆にこのやり方が合わない子もいるみたいです」


朝礼前の朝の風景。10時前に出勤している人はこれまで通り朝礼に参加している。


林さん自身はどう感じているんだろう。

「僕はメンバー1人ひとりと関わりやすくなりました。これまでは、アドレナリンを感じるまで我慢しとけばいいじゃんっていう考え方があったんだけど、そのアプローチの仕方を個人に委ねたんです。後ろめたさがなくなったというか」

所定の労働時間や出勤日数など、基本的なルールはあるけれど、働く時間や曜日は会社から指定されていない。

生活をしている中で、どの時間を「仕事」をした時間として会社に申請、請求するかは自分で決める。

「人生のすべての基軸は、時間だと思うんです。会社がその人の時間を買うっていう感覚自体がおかしかった」

「もともと人は自由なんです。そこにみんなも気がつけばいいのになと思って、今は会社をやっています」

自分の時間をどう使っていくか。

自由と聞くと眩しく感じるけれど、実際に手にしてみると、考えないとうまく扱えないもののようにも思います。そのぶん、時間ではなく、より人として評価をされる関係になる。

モノサスのフルフレックス制度はまだまだはじまったばかりです。

いいこともわるいことも。これからは実際に働く人たちに話を聞きながら、この実験の様子を探っていきたいと思います。

実際にモノサスが導入したフルフレックス制度の基本ルールはこちらです。

【基本ルール】

●出勤時間、曜日、いずれも自由です。
●遅刻/早退の概念はありません。 休憩時間も自由です。
●月の所定時間(原則 168h:8h × 21日想定)を超えた場合、残業代が支払われます。
●月の所定時間を下回った場合、不足時間分の給与を控除するか、有給休暇を使用して不足時間を補うことができます。
●深夜労働( 22 時〜 5 時)および 1日 12時間を超える労働は原則禁止です。
●原則、週 4 日以上出勤してください。(モノサス推奨ルール)
●土日祝も自由に出勤できますが、週 7 日出勤( 7 連勤)はできません。 必ず週に 1 日は休日を取得してください。
●自身の勤務時間や休日の設定については、業務に支障が無いよう社内外の関係者と連携しながら進めていきましょう。

(2017/3/29 ものさすサイトに掲載)

株式会社モノサスからお誘い
この話題に共感したら、メンバーと話してみませんか?
株式会社モノサスでは一緒に働く仲間を募集しています
4 いいね!
4 いいね!

同じタグの記事

今週のランキング

大久保千賀子さんにいいねを伝えよう
大久保千賀子さんや会社があなたに興味を持つかも