みなさんこんにちは、平木です。
「気になるあの人に聞いてみた」シリーズ第4回目の今回はメドレーが創業期から運営している医療介護求人サイト「ジョブメドレー」の開発を担当する後藤さんに登場してもらいました。
元々前職では受託でのBtoBtoCのWEBサービス開発をしていた後藤さんですが、メドレーでは「ジョブメドレー」を担当して新機能開発や機能改善などで活躍しています。
超マイナーな「理論物理学」の研究に没頭した学生時代
(平木)早速ですが、まずは学生時代のことから聞いていこうかな。
(後藤)学生時代は物理学を勉強してましたね。研究室も理論物理学の研究室に入ってました。
(平木)マジか、物理学者一歩手前か。
(後藤)大学院にいた頃はそのつもりでガチで頑張ってて、研究室に入り浸ってました。当時は研究室にいるか寝るかみたいな生活をしてましたね。一応学会などで論文もちょいちょい発表してたんですよ。情報統計力学という分野で…。
(平木)なにそれ!?
(後藤)物理の中の統計物理学という分野でのロジックとか計算方法を応用して、計算対象を実際のものではなく情報的なものでやろうというものです。
(平木)ほー!それは情報学でなく物理学って分野になるんだ?
(後藤)分野融合的な領域なので分類が難しいですが、統計物理学の一分野と考えても良いかもしれません。僕も物理学会で発表したりとか、言語処理学会で発表したりとか。研究対象は、物理学で扱う物質とかでなく情報なんですよ。でも計算方法とか、考え方とかモデルの作り方は物理で。
(平木)なるほど!それを応用してって感じなんだね。初めてそんな分野があることを知ったw
(後藤)まぁ、かなりマイナーですよねw 物理やってる人でも知らない人いると思います。普通のカリキュラムではやらないかもしれません。僕の場合はたまたま統計物理・理論物理が面白くて、その分野で探してて見つけたって感じですね。
物理学を極める道から一転、エンジニアとしてのキャリアをスタート
(平木)でも就職したのは前職の会社なんだよね。
(後藤)はい。2011年に新卒でACCESSに入社しました。
(平木)かなり研究に力を入れていたところから、なんで就職する道を選んだの?
(後藤)ガチガチの理論のところではあったんですが、数値計算の文脈でプログラミングに興味を持っていたというのと、元々多少C言語もやってたというのがまずありました。
自分はドクターに行こうか就職しようかすごく迷った人で、紆余曲折を経て就職しようと思ったんですけど、その時にやりたいことはなにかなと考えた結果、自分のスキルを身につけてそれを元に生きていくという生き方がいいなと思ったんですよね。それでプログラミングを仕事にしようと思ったんです。
そう思っていたタイミングで、たまたまうちの大学院に企業説明にきたのが前職でした。仕様も決められるしプログラミングもできるというのと、ほぼ経験のない自分の伸びしろを見てくれたところが決め手ですね。
(平木)学生時代の勉強が役立つことはある?やっておいてよかったっていうのは?
(後藤)直接、通常業務に役立つというわけではないですけど、ベースの考え方的なところでやっててよかったと思います。
あとは最近、機械学習などが流行ってると思うんですが、その考え方とか数式変換とか、そういうところにあまり抵抗がなく入っていけるとこなんかもよかったと思いますね。
(平木)それっておそらく学生時代に研究していたことの逆パターンみたいな感じ?実際のことをモデル化して、っていう感じだもんね?
(後藤)まさにその通りで、実際のことをモデル化してそこから様々な値を計算する「順問題」と、データからモデルを推定する「逆問題」というのがあるんですが、統計物理で計算するのは順問題で、工学の分野でモデル推定とかで計算するのが逆問題ですね。統計物理でボルツマン分布というのがあるんですけど、機械学習にもボルツマンマシンというのがあったりしてその辺りはスッと入って行きやすいバックグラウンドになってると思います。
(平木)文系の俺からしたら全然わかんねーわwそもそもの話で、「こうしたらこういうものが出来るよね」っていうのがわかんないから便利なライブラリで例えばTensorFlow出ましたー!って出たのを触ってもなにもわからないw
(後藤)まさにブラックボックスという感じですねw
(平木)そうだよね。明日から機械学習やれって言われたら「いやーちょっと…」ってなるもんwまぁ、俺より適任がいるから大丈夫だろうけどw
新卒入社後いきなり未経験のRailsでWEBサービスを開発
(平木)そんな感じで前職に入って、5年いたんだっけ?
(後藤)そうですね。丸5年、6年目でした。
(平木)具体的にはどういう仕事をしていたの?
(後藤)前職はガラケーなどの組み込みブラウザに強い会社で、研修期間はC言語を勉強してました。K&R本渡されてこれはできて当たり前だ!という感じでw
(平木)C言語のバイブルだもんね。
(後藤)でも、結局仕事ではC一回も書いてないんですけどw
僕が入社した当時、会社として今までの組み込みブラウザを作るのとは違う流れも作っていかなきゃねということでWEBあたりのサービス、受託のものを作って行こうという方針になったんですよ。
研修期間終わって配属されたのは、Railsを使ってWEBサービスを作ろうというプロジェクトでした。いきなり入ってすぐRails書かされる感じでしたね、それが半年ぐらいのプロジェクトでした。
その次はやはりWEB系の受託で、BtoBtoCサービスをやってくようにしようということでその担当になりました。それは2〜3年ぐらいずーっとやってました。
途中で違うプロジェクトに短期で入ったりしましたが、基本はずーっとWEBサービスでBtoBtoCサービスをRailsで書いてました。
(平木)じゃあ実際Railsの実務経験は結構長いんだ?
(後藤)なんだかんだ7年ぐらい?始めたときはちょうどRails2から3に上がるという時でした。隣の部署を見てアップデート大変そうだな〜と思ってましたねw
(平木)俺は当時仕事でRails使ってなかったけど、使ってる人のブログとか見てると大変さがヤバそうだったよね…。
前職は技術的な自由度はどんな感じだったの?
(後藤)比較的高かったと思います。こういう技術があって、こういうメリットがあって、というのをきちんと説明すれば導入しようという方針でした。
僕も一度Scala使わせてくれと提案したことがあったんですけど、それも導入させてもらいましたし。もし導入してメリット大きかったら他プロジェクトでも展開させてもらえたりもしてました。
僕が転職する前には社内でElixir使ったプロジェクトもありましたね。新しいものでも必要であれば使ってもいい環境でした。
(平木)技術的にも面白そうだし勉強できる環境だね。「うちはJavaの1.6だからー」とか言われてもキツそうだもんね。開発体制は何人ぐらい?
(後藤)僕の主にやってたプロジェクトは結構少人数で、クライアントアプリ1人、サーバー2人、フロント1人と、エンジニアで4〜5人ぐらいですね。規模は数人から数十人までプロジェクトによって色々でした。
(平木)これもプロジェクトによると思うけど、進め方的にはウォータフォール的とかアジャイル的とかあるじゃないですか。どっちが多いの?
(後藤)受託はかっちりウォータフォール的でやってるのが多かったかなと。社内のR&Dだとアジャイル的っていうのが多かったと思います。仕様書もがっつりは作らなくてって感じでしたね。
(平木)受託でアジャイル開発できるのほんと一握りだもんね。ここまでに納品しますっていうのが言えないと難しい。
丸5年勤めた会社からメドレーへ。決意したきっかけとは
(平木)そんな中で転職しようとしたきっかけは?
(後藤)自分の将来を考えた時に、受託をずっとやってくというのはないかなと。事業会社としての開発もやってみたいなと感じて転職しました。
(平木)受託から事業会社いきたくなるのわかるなー。受託会社で、長く付き合って信頼関係できてるお客さんとやりとりしてると余計に歯がゆい感じがあるもんね。お金も取らなきゃいけないしなぁとか、契約が挟まれると身動きが取りづらいというかね。
(後藤)そうですね。
(平木)事業的にこの領域がいいというのはあったの?
(後藤)事業会社やっていく上で自分が価値があると思えるサービスをやってるところがいいなと思いました。実際に進め方としてはエージェントに社会的意義があるところはないですかと相談して、いくつか教えてもらって、その中でメドレーを紹介してもらいました。
(平木)入社してから前職とギャップはあった?
(後藤)前職との違いという意味では、やっぱり受託会社か事業会社かというところでしょうか。僕は他の事業会社見てないからわかんないですけど、どう企画から仕様を作って進めて行くのかというのは重要だし難しいと感じてますね。
(平木)やりたいです!と言っても受託だとお金とか時間で止められちゃうけど、事業会社だと極論時間とお金かけてもやろうと思えばなんでもできるし、逆にやらない選択肢もあるし、そのバランス感が難しいよね。
(後藤)受託は最初に見積もりありきだし、向こうが全部決めてくれるので機能のことだけを考えていればよかったですけど、事業会社は違いますよね。やりたいことではあったけど違う頭使うから難しいなと思ってます。
(平木)ユーザーへの影響だとかKPIとかプロダクトの理念とか総合的に考えなければならないよね。俺も最初慣れるまで時間かかったなぁ。受託会社から事業会社に入って一年ぐらいギャップを感じながらやってたな。
意識して努力していること「企画提案までエンジニアの自分も食い込んでいく」
(平木)後藤さんは入ってもうすぐ1年?
(後藤)そうですね。去年の4/1入社なので、ちょうどそれぐらいです。担当はずっとジョブメドレーです。
(平木)役回りは?最初からそんなに変わってないよね?
(後藤)そうですね。
(平木)俺、後藤さんと入れ替わりでCLINICSいったから一緒に仕事していないけど、傍から見ているとバグ対応の的確さすごいよねw
(後藤)いやいやいやw
(平木)今は主にはジョブメドレーへのLINEの導入がメイン?
(後藤)そうです。LINEは先日リリースしました。機能的には一般ユーザー画面、社内管理画面、顧客管理画面一通りやってます。比較的小規模の改善系ですかね。
(平木)遊撃隊って感じだwジョブメドレーは機能もたくさんあるから難しいと思うんだけど、仕事してる中でこれ全然わかんねーなみたいなやつある?
(後藤)あー…たまに魔界がありますけどw最近コードベース的には大体どこに何があるかは把握できてると思いますね。
(平木)なるほど、どのぐらいで把握できたなと思った?
(後藤)結構かかりましたね、ここ最近かもw
(平木)機能も多いし、歴史も長いしね。
(後藤)ああ、歴史ということを考えるとまだ全然理解できていない!w どこに何があるかわかるけど、なんで今そういう仕様になったかとかまでは追いきれてないですね。
(平木)なるほどね、確かに俺がやったのはユーザー側だったからそこまでじゃなかったけど、顧客管理画面見た時にこれは把握辛いなと思って見てたことがあるw
そんな中今自分でこれ注力している!というものは?
(後藤)注力というか、やりたいなと思ってることはインフラ周りのバージョンが最新ではないので、それをいい感じに上げていきたいなとか、テストも、最低限はもちろんできているけど、もうちょっと厚くしたいなと思ってますね。
自分で意識して頑張ってる、という意味だと企画に近いところです。こういう仕様がいいんじゃないか、という提案など、ディレクターの担当する範囲まで僕も食い込んでいくというところですかね。
黙っていると、ビジネスサイドに頼る関係性になっちゃうので、そういう社内受託にならないように意識してやってますね。エンジニアも主体となって開発を進めるようにしたいなと思ってます。
(平木)確かにビジネスサイドの人が「こう!」と言われたら「そうなんすね」って、無駄に反抗してもしょうがないな、と思いがちだからね。
(後藤)忙しいとどうしてもとにかく言われたものを実装して終わらせなくてはってマインドになりがちなんですけど、やっぱりそれはよくないと思っていて。稲本さん(エンジニア・第一開発部部長)にもよく何を実現したくてこれをやってるのかみたいな目的意識を忘れないようにと言われています。
(平木)そうだね、新居さん(エンジニア・介護のほんね担当)もそれはこないだ言っていたけど、エンジニアも企画に入っていくというか、自分でちゃんとこれは何をするためのものでどういうことが求められているのかというのがわからないといけないし、意識しないと流されがちだよね。
これからはこういうエンジニア目指したいみたいな目標はあるの?
(後藤)一つは使っている色々な技術スタックを深めてわかるようにしたいですね。例えばさっきのバージョン新しくするみたいなこともそうですけど、深いレイヤーのことをやっていきたいですね。
もう一つはグロースハッカー…っていうと個人的にはちょっとキラキラしてるように思えちゃうんですけどwプロダクトの数値分析をより深めたいですね。既存のジョブメドレーでも分析基盤はちゃんとあって、数値をしっかり見てプロダクト開発をする環境は整ってるので、自分も統計的なバックグラウンドをちゃんとつけて、この辺りをより深めていけたら面白いと思っています。
(平木)確かに、学生時代やってきたことと重なる部分あるもんね。それがわかるとPCDA回しやすくなるもんね。
(後藤)そうですね。
健康志向が多い!?メドレーエンジニアの休日
(平木)ここで話ガラッと変わるんだけど、休みの日はどう過ごしてるの?
(後藤)僕住んでるところが川の近くなんですけど、ジョギングしたり奥さんと散歩したりしてますね。
(平木)どれぐらい走るの?
(後藤)5キロぐらいですね。
(平木)毎週!?
(後藤)そうですw
(平木)いやーみんな話聞いてると割とアクティブで健康的だよね。俺も半年ぐらい走ってた時期あるけど、冬になって寒くなってやめちゃったw
(後藤)確かに、出かけるのが辛くなりますよね。僕は準備運動をきっちりやるようにしてますwそれがいいかどうかわかんないですけど、最初に筋トレやっちゃって体温めて動けるようにしてます。最近はジョギングしないと気持ち悪いですね。やると血行良くなるんで体がポカポカするんですよ。
(平木)見習わなきゃなー。それでは本日はありがとうございました!
(後藤)本当に思ってますか?w ありがとうございました!
《インタビュー後の平木の一言》
最初に物理学の話を楽しそうに話してくれたんですが、専門外なんで話を掘り下げられませんでした!後藤さんの仕事ぶりは安心感あるなと思っていましたが、それはこれまでのRailsの経験の多さから来るものなのかと再確認できたインタビューでした。それとみんな運動してるなあと感心してます。
《メドレーからのお知らせ》
4月19日(水)、医療ヘルスケア分野の成長企業である、エムスリーさんと合同でイベントを開催します。当日は両社のエンジニアが、医療業界というレガシーな業界にインターネットがもたらす可能性、開発の醍醐味などについて語ります。
ご興味ある方、ご応募お待ちしてます!
また、メドレーでは一緒に働く仲間を募集しています。