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臨床一筋だった医師・園田さんがメドレーに来てエンジニアと働いた感想を「聞いてみた」

みなさんこんにちは、エンジニアの平木です。気になる社員の人となりはもちろん、気になる社内のプロジェクトや仕事など、メドレーのあれこれを直接聞いてみる「聞いてみた」シリーズ。

メドレーでは「医師とエンジニアが一緒に働く」ことが会社の特徴の一つですが、具体的に医師と働くのはどのような感じか質問をいただくこともあります。そこで今回は、呼吸器内科医で、感染症を専門とする医師で、オンライン医療事典「MEDLEY」の編集担当である(わざわざ「平木さんとお揃いになると思って」とニットキャップをかぶってきてくれたお茶目な)園田さんに話を聞きました。

2人の恩師に影響を受け、呼吸器→感染症の臨床医へ

(平木)いつもエンジニアには、来歴を聞いているんですけど……

(園田)僕も平木さんのちょっと年下くらいなんで、話すと長いんですけどいいですか?w

(平木)ぜひw どれくらいの医療機関を経験したんですか?

(園田)3つほどの病院を、3年刻みで動いていました。実は僕、最初は生命工学の勉強がしたくて、医者ではなく研究者志望だったんですよ。その後ちょっと個人的な出来事があって、公衆衛生っていう学問に興味が湧いたので、健康科学科というところにいました。公衆衛生は病気の予防などを扱うもので、ここの分野の施策が進むことで病人が減るんですよね。

(平木)途中で医学部に行こうと思ったのはなぜですか?

(園田)例えばある公衆衛生の取り組みで、100人中20人に病気の予防効果があったとします。でも、個人的な経験もあり、目の前の大切な人がその20人に入らなかったらどうしたら良いんだと考えるようになったんです。公衆衛生の取り組みだけではなく、Face to Faceで目の前の患者さんが回復するように全力で取り組む視点も大事なのではないか。そんなことを思って、研究者志望から一転して医師を目指しました。でも公衆衛生で医療の基礎となる部分を勉強できたのは、医師になる上でも役立ちました。

(平木)なるほど、そういう思いで転身したんですね。医師の専門って、研修医になって2年くらい色々な科を回って経験積んでから決めるんですよね?

(園田)そこでも決めない人もいますけどね。自分は3年目では循環器内科を希望していました。余談ですけど、医師って診療科によって結構人間のタイプが違うと思ってるんです。例えば泌尿器科はあっけらかんとして体育会系の人が多くて、メドレーにいる医師の斎木はまさにそのタイプだなとかw 自分は、外科と内科の中間くらいに位置する循環器内科を学ぶことにしました。内科と名前は付いていますが、外科領域に近い病気も扱うんです。人間のタイプも中間に属している気がしますw 最初に研修した河北総合病院では何人かの恩師に出会いました。

(平木)その恩師の方達は循環器内科が専門なんですか?

(園田)循環器内科にも恩師がいましたね。その人に医者としての「いろは」を教わりましたので、今でも頭が上がらない存在です。もう一人、呼吸器内科にも恩師がいたんです。その人はすごく突き抜けて頭がいいんだけど、とても人格者で、看護師などの医療従事者にも優しくて。夜中に研修医だけではどうしようもない患者さんが来て呼び出しても、快く来てくれる先生でした。ある日明け方に助けてもらったので感謝の言葉を伝えたら「最近ぼくも学年が上がって患者さんに直接関わる機会が減っていて。患者さんのために頑張れる活躍の場がもらえるなんて、むしろありがたい」と言われて。忘れられない言葉ですね。

(平木)それはすごい。それもあって呼吸器内科医を専攻したんですか?

(園田)循環器内科と呼吸器内科のどちらを選択しようか正直悩みました。循環器内科と比較すると、呼吸器内科は医師の数自体が少ないんです。だからこそ、こうした良い医師1人に負担が寄ってしまうという傾向もある。医師不足感が強い分野に貢献したいと思って、呼吸器内科医を目指しました。河北で3年間臨床をしたあと、日赤医療センターに移り、そこで呼吸器専門になって知識を得たという感じです。

(平木)園田さんは感染症専門というイメージですが、その後に感染症に移ったんですか?

(園田)少し話が前後するんですが、河北時代に小児科医で感染症のスペシャリストという医師に出会ったんです。医師の世界って職人肌の人が多くて、ふと気になったことを質問すると「それってきちんと調べてから聞いてるの?」って言われるんです。もちろんそれは正しいとは思います。でもその先生は「疑問が浮かんだピュアな気持ちが大切だから、すぐ聞いて良いんだ」と言ってくれるような方で。

(平木)おおお。なかなか言えない言葉だ。

(園田)さらに「君たちに追いつかれないように僕も努力して勉強してるんだ」なんて言うんですよ、すごいですよね。単純な僕はそれで感染症に興味が湧いたんです。この恩師には善き背中を見せてもらっています。ただ、感染症ってすごく幅が広くて。例えば、もともと消化器が専門で、腸の感染症の専門になるというように、臓器の専門から入る人が多いんですね。僕は当時肺がんにも興味があったことから、まずは呼吸器内科で肺の基礎を固めてから感染症に進もうと思ったんです。

(平木)症状から入ると広すぎる、まずはそもそもの臓器を学ぼうってことですよね。プログラミング言語を知らないで、プログラミング自体勉強できないと言うような。

(園田)医師とエンジニアって、職人気質だし、世界としても共通することありますよね。

(平木)そうですよね、みんなずっと勉強しているし……

(園田)変人も多いよねw

(平木)それはそうかもしれないw

(園田)話は戻って、日赤医療センターで呼吸器を学んだあと、静岡がんセンターで感染症を学びました。僕からしたら、河北総合病院が小学校、日赤医療センターが中学校、静岡がんセンターが高校という感じで、それぞれ良い学びも出会いもいただけたなと思っています。

患者主体の医療を実現したいとメドレーに転職

(平木)そんな良い環境を経て、メドレーに来られた理由はどういうものだったんでしょう?

(園田)僕は今も臨床がすごく好きなんです。でも、医療現場の組織体質は、変だなと思うことも結構あって。内部から「おかしくないですか」って言っても、なかなか聞いてもらえない。こうしたうっ滞した状態を内部から変えるよりも、もっと患者さんの医療に対する目が肥えて、医師を選ぶような状態になれば、自然に現場も変わり始めるのではと思っていたんです。

(平木)この会社に入っていろんな医療関係者の方と話すようになりましたけど、多くの方が「患者目線が大切だ」という話をする感じがしますよね。

(園田)こういう課題意識を、もともと日赤で一緒だった医師に飲み会で話したんです。彼はすでにメドレーで働いていて、「それはメドレーのビジョンと合うんじゃないか」と言われました。正直、そこまで臨床をやめようと1ミリも思ってなかったんですけど、その後に代表や社員と話してみると、論点の整理がすごく早かったり、医師にはない突破力があったりと、面白い奴らがいる。こうした人たちが一緒に働き、医療と掛け算がおこる会社ってどうなるんだろうって興味を持ちました。こうしてメドレーに入社して、患者さんに正しい医療情報を届けるオンライン医療事典「MEDLEY」に携わることになりました。

患者/医師目線を両方持ち、必要なコンテンツから増やしていく

(平木)園田さんが中心となって作った「肺がん」特集を見るだけで、すごい膨大な情報量を書いていますよね。今はどのようにコンテンツを作っていってるんですか?

(園田)もちろん共同編纂に協力してくれる600人ほどの医師がいることは前提ですが、非常勤も含めて6人の医師が僕らのチームにいて、複数医師のチェックを入れる体制で書いています。書ける量には限りがあるので、作成対象の病気に優先順位をつけていますね。まず、少し語弊があるかもしれませんが、医学的に重要なものを優先します。死亡率が高かったり、重症化して後遺症を残したりする病気こそ、きちんとした情報がないと困りますよね。次に多くの人がかかるポピュラーな病気で、単体では重篤ではない病気だけども外せないもの。例えば肺炎って多くの人がかかります。もちろん一般的には治る病気なのですが、タバコの合併症があると死亡率はぐっと上がる。だから肺炎は常に死因の上位に来るんですね。こうした病気は優先的に情報を発信しています。

(平木)自分に重症化する病気があるって言われたら、とてつもなく不安ですよね。病院から帰ったらすぐに調べるはず。

(園田)単純に1%の確率って数字だけ聞くとあまり高くはないですよね。でも、死亡率が1%くらいと言われると、病気を告知された瞬間、ショックで話を聞けなくなっちゃうこともあります。そもそも病院にいること自体がストレスで、落ち着いて話を聞けないこともあるかもしれません。医師は丁寧にわかりやすく話そうと思っているのですが、その場ではショックで、何を言われたか後から振り返っても記憶がない。そういう人がある程度落ち着いたタイミングで、見るものが必要だなと思います。

(平木)不安に思っても、医師に色々質問しづらいってこともありますもんね。

(園田)あとは世の中で疑問に思われているものもできるだけ記載するようにしています。「医学的に重要じゃないけど、一般的に検索されているもの」って結構ある。一例ですけど、「肺がん ストレス」で検索されているならば、MEDLEYの肺がんの説明内に「肺がんとストレスの関係」などをあえて目次に入れて、医学的にはこう考えられている、という情報を届けるということもやっています。インターネットで検索されている検索ワードを漏らさないように、かつ医学的に重要な項目は漏らさないように、という視点で特集の目次を決めています。

(平木)患者さんがどう調べるかを第一視点としながら、医師の目線も入れているということですね。

エンジニアと医師は似たもの同士?

(平木)エンジニアと一緒に働くのはメドレーが初めてだと思うんですが、どんな印象を持ちましたか?

(園田)医療コンテンツって、ただ医学的な内容を伝えるだけではなかなか読まれない。デザイナーやエンジニアの力があることで、多くのユーザーに情報が伝わっているのだと思います。あと、一緒に働いて価値観変わりましたよ。

(平木)おお。

(園田)医師って良くも悪くも、同じ系統の人が集まっている。みんな医学部に入るために勉強をして、資格を取って。だから、変なことも変だと気づきにくいことがあります。メドレーのとあるエンジニアから「エンジニアは何くそ魂があるんだよ」って言われたんですけど……これって医者の世界にも必要な思いなんじゃないかなと思います。医師の世界は、役職や給与も学年と資格でほぼ決まるし、極端な話あまり頑張らなくてもなんとかなっちゃう世界なんですよ。一方で、エンジニアは資格とかはない世界で腕一本で生きている分、評価もフェアな世界だなと思ったんです。メドレーがフェアさを大切にしているということもあると思いますけど、頑張りがいがありますよね。

(平木)同質化してしまうということですかね。

(園田)そうですね。根底には見える化の問題もあると思います。あと「無駄を省く」ことが美徳というエンジニアの文化も驚きでした。医師は、患者を救うためには無駄なことだろうと地道に努力するのが美徳みたいな考え方があります。メドレーのエンジニアと話していて「それ要ります?」と何度も言われて、最初はびっくりしましたw

(平木)エンジニアは、もちろん課題をプログラミングで解決することが仕事ですけど、究極的には課題解決にプログラミングが必要ないならそっちのほうがいいという考え方する人が多いですね。だから「それ要ります?」という発言はすごくわかる、既存の資源を活用できないかとか考えちゃう。

(園田)ある課題を解決する時に、医師は100点を目指したがります。逆にエンジニアは、リソースが限られている中で100点は無理だよ、どこからやるべき?と考えるという感じかなと。医師は「リソースは限られていない」と思っているんですよね。患者のためだったらできることは全部する、自分の働く時間を伸ばせばいいんじゃない?と考えてしまう。

(平木)たしかに、いつも週イチで2時間かかる定型作業があるとしたら、1回5時間頑張って自動化して、来月から5分で終わらせよう、みたいなことを常に考えてると思います。

(園田)もちろん医療現場に限っては、どちらが正しいかわからないですけど、医師もこうした考え方を知るということは意味があると思います。なんて冷徹なんだ!と最初思っていたけど、話してみれば、みんな熱い思いがある。そうした世界を学んだのは貴重な経験ですね。

(平木)逆にエンジニアの自分から医師を見ると、強い使命感を持っている人が多いのがすごいと思いました。もちろん命に関わる職業だから当たり前と思う人もいるかもしれないけど、空気を吸うようにそれを体現しているというか、プロフェッショナルさを端々に感じて、身が引き締まります。もちろん、僕らエンジニアも使命感は持って仕事しているんですが……別種のものというか。

(園田)目の前で人が亡くなるのを見るたびに、自問自答してしまうんです。もっと何かできることはなかったのかなと。仮に治療を受けた誰かの病気が治ったとします。でもそのほとんどは身体の回復力のおかげだったりするから、自分の無力さを感じる場面が多いんですよね。自分一人で全ての病気は治せないと思うからこそ、そんな気持ちに打ち負かされないように使命感を自覚するのかもしれないですね。

(平木)人の生命に関わるということは、そういうことなのかもしれないですね。大きく見ればCLINICSやMEDLEYも命に関わる仕事ですし、そうしたプロダクトの開発に携わるなかで、医療現場のプロフェッショナルと会えて良かったなと思います。

「メドる」文化が当たり前の世の中を作りたい

(平木)今後、MEDLEYでやっていきたいのはどんなことですか?

(園田)最初にお話した「医学的に重要」な情報はもっと網羅していくことは当たり前。もちろんユーザーとして「なぜこの病気の情報は少ないんだ」ということもあると思いますが、そういったときはぜひフィードバックをいただきたいです。あとは、検査情報がまだ充実していないので、網羅していきたいですね。例えば「来週エコー検査をしましょう」って言われても「エコー検査って何するの!?」って思うじゃないですか。そういうときに調べられるようにしたい。病気や医薬品情報以外も、医療全般で困ったらMEDLEYを見るようになってほしい。そして将来は「メドる」(MEDLEYで検索する)という言葉を当たり前にしたいですね。ググると並ぶような言葉として。実際のところ、内容が今一つのものをみんなが見るようになっても、その文化には意味がありません。でも今の僕らの作っているものは、多くの人にとってためになるものになっていると思います。僕らもそうした自負を責任感に変えて作っていますしね。

(平木)なるほど!ちなみに、そこまで色々やってる園田さん、実際休んでます?

(園田)休みはだいたい病院で、臨床をしてますね。

(平木)休んでないw

(園田)休むのがあまり好きじゃないんですよね・・研修医の時から、病院のすぐ近くに住んで、急患や急変の時はすぐ対応できるようにと思ってて。そういう経験から、ずっと現場にいたい派なんですよ。もちろん、無駄に漫画をずっと読むとかもやりますけどね。

(平木)やることない、を作りたくない感じですかww

(園田)もちろん医師にも色々なタイプがいますけどね。どっちが正しいってないので。プロレス観戦なんかも趣味なんですけど、この辺は今度、また酒を交えて…w

(平木)そうしましょう!改めて思いますが全く違う職能の人と働くっていうのは、世界が開ける感じで面白いですね。

(園田)おっしゃる通りですよね。日々医療事典の編集に携わる中で、外部からいただけるフィードバックが増えるなどMEDLEYのインパクトが大きくなっていくのも感じています。僕はMEDLEYに来て本当によかったなと思っています。

お知らせ

医師とエンジニアが一緒に働く環境に興味を持った医師の方に向けて、1/20(土)にMeetupを開催します。すでに席が埋まりつつありますが、まだまだ間に合います!まずは話を聞いてみたいという方、ぜひご参加ください。

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