難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く。
はじめまして、ランサーズで取締役CSO/CFOをやっている曽根といいます。
※プロフィールはコチラにてご笑覧ください!
これから全20回(の予定)にわたって、ぼくのキャリア・働き方に対する考えや、ビジネス上のノウハウ・コツなどを題材に、つらつらとブログを連載的に書いていきたいと思います。
構成のイメージは↓みたいな感じです(最初にハードル上げすぎた・・・と少し後悔しているということはこっそり心の中にしまっておきますw)。
| キャリア編(全5回):キャリア、経営者マトリクス、働き方、自己成長、大義
| ノウハウ編(全5回):課題解決、プレゼン、ブレスト、プロマネ、生産性
| 事業/戦略編(全5回):経営戦略、新規事業、予算策定、KPI管理、M&A/PMI
| 経営/組織編(全5回):バリュー、ビジョン、OKR、マネージメント、意思決定
そもそも、突然、なぜこのブログを書こうと思ったか。
実は文章を書くのが好き、というかライターにあこがれているというのもあります。
「うちのWantedly盛り上げてください!」と人事担当にせっつかれたのもあります。
でも一番大きかったのは、自分自身が社会人になって10年たち、色々な機会で社内「塾」的にノウハウ的なことを話している中で、「社外にも共有してみたら?」と言われたこと。
思った以上に、戦略コンサル→大企業(というと語弊があるかもしれませんが)→ベンチャー、と足早に歩んできたキャリアの経験やノウハウは、案外珍しいようで、色々な人にとって役に立つのかもしれないな、と。役に立つかもしれないなら、閉じ込めていないで広めてみよう、と。
ハウツー本をしっかり読むほど重くはないけど、サラっと読み流すにはちょっとおしい。
「難しいことを易しく、易しいことを面白く、面白いことを深く。」そんな雰囲気のコンテンツを目指して書いていこうと思います。ご興味があったらぜひお付き合いください!
キャリアを一人称(サマ)・二人称(コト)・三人称(モノ)で考える
第一回目は僕なりのキャリア論について書きます。
一般的なことを書いても仕方ないので、少し斜めなことを書きます。
キャリアを、職種(やること)や会社(いるところ)でえらばない。
キャリアを、資質(ありかた)と機会(やれること)でつくっていく。
ぼくのキャリアのえらび方は、この10年で「ミッション>仲間>仕事>報酬」という優先順位に落ち着いてきているのですが、ここでは、キャリアを「えらぶ」のではなく「つくる」ときの考え方について書いていきます。
まずは、資質(ありかた)について説明していきます。
この考えのきっかけになったのは、大先輩が教えてくれたフレームワークです。
たぶん、僕が人生で出会った中でも、圧倒的なまでの抽象フレームワークの天才。
どのくらいすごいかというと、チームでの議論が脱線し始めたときに、「なぜこのチームの議論は脱線するのか」についてさらっと2-3分でフレームワークをつくってしまうくらい。
(「フレームワークを書く前にその議論を収拾したら?」という突っ込みはNGですw)
それはさておき、、、キャリアや仕事について考え、性格占いや診断テストで自分の特徴を理解したり、あるいはストレングスファインダーで自分の強みを理解したりとか。皆さんもそういうもの、少なくとも一回くらいはやったことあると思います。
でも、色々とありすぎてわからなくなったり、複雑だったりするのではないでしょうか。「結局自分は何に向いているのかわからない・・・」そんなことで悩んでいる方におススメのフレームワークです。
簡単に説明します。
一人称(=サマ)の世界は、ドットで、気体で、映像の世界。アート的。
二人称(=コト)の世界は、ラインで、液体で、言葉の世界。セールス的。
三人称(=モノ)の世界は、グリッドで、固体で、数値の世界。エンジニアリング的。
どうでしょう?イメージつかめますか?
濃淡はあれど、「自分はこのあたりかな」という領域はあるんじゃないか、と思います。
それで、これらの領域をまたがる・領域が重なるところに、さらにこのフレームワークの面白さ・奥深さがあると思っています。
一人称と三人称の重なっている領域は、デザイナー志向。
一人称と二人称の重なっている領域は、リーダー志向。
二人称と三人称の重なっている領域は、マネージャー志向。
「え、マネージャーとリーダーって違うんですか?」という人は、この記事なんかを読むととてもわかりやすいのでご参考に(たとえばスポーツでいうと監督がマネージャー、キャプテンがリーダーですね)。
たとえばあなたが、とても理知的で数値分析に秀でていたとして、「(本当は伝えたいのに)どうも自分の考えていることが人に伝わらない」と思っているのだとすると、あなたは三人称的な世界にいて、これから少し二人称的な世界に寄り添っていきたい。(エンジニアリング的→マネージャー志向)
あるいはあなたが、何かしらの動機やパッションにあふれていたとして、「(イメージはあるのに)うまく形にできない」と思っているのだとすると、あなたは一人称的な世界にいて、これから三人称的な世界に寄り添っていきたい。(アーティスト→デザイナー志向)
僕個人でいうと、「自分はおそらくデザイナー志向なんだろうな」と思っています。コンサル出身で三人称的な世界が社会人の出発点なのだけれど、もともと自分が大学時代に建築をやっていたり、楽天→ランサーズと歩む中で一人称的な起業家・創業者と近い距離にいる中でそこに惹かれていたり。
ぜひ、皆さんも「自分はこのフレームワークでいうと、今どこにいて、これからどういう風になっていきたいんだろう?」という気持ちで眺めてみてください。これまで見えなかったキャリアの考え方がもしかすると見えてくるかもしれません。
自分のキャリアにタグ・キャッチコピーをつける
もうひとつ、キャリアの機会(やれること)について、ぼくが好きな考え方を紹介します。
それは、キャリアのタグ付け、という考え方です。
ランサーズで社外取締役をしてくださっている、プロノバ代表取締役の岡島悦子氏オリジナルのコンセプトです。(※じっくり読みたい方は、彼女の「抜擢される人の人脈力―早回しで成長する人のセオリー」という著作をお読みください)
キャリア形成をスキル構築(=能力開発)×人脈構築(=機会開発)ととらえたとき、後者の人脈構築=機会開発を戦略的におこなっていくためのステップとして、以下が紹介されています。
①自分にタグをつける(自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりさせる)
②コンテンツをつくる(「お、こいつは」と思わせる実績事例をつくる)
③仲間を広げる(コンテンツを試しあい、お互いに切磋琢磨する)
④自分情報を流通させる(何かの時に自分を思い出してもらえるよう種をまく)
⑤チャンスを積極的にとりにいく(実力以上のことに挑戦し、レイヤーを上げる
履歴書で、入力欄があるからというだけで、とりあえず特技・資格を羅列していませんか?
職務経歴書の自己PRで、「何を書いてよいのやら・・・」と困っていたりしませんか?
逆に採用時に、候補者のSNSで共通の知り合いや趣味・グループを探していませんか?
あるいはスカウト時に、色々なツールで対象者のキーワード検索をしていませんか?
ここでいうタグとは、「●●といえば、××」と自分を表すようなキーワード。
必ずしも、仕事のことだけでなくてもよいと思います。それが自分をあらわすユニークなスキルやコミュニティや思想的バックグラウンドとして、周囲に印象に残りやすいものであればあるほどよいタグなのだと思います。
一つ事例というか、自分の体験。ぼくが2010年に楽天に入社した時、楽天市場のトップをやられていた小林正忠氏が、新入社員向けにご自身のことを説明されていたプレゼンがとても印象的で、30分のとても熱いプレゼンの最後に、「創業・営業・大阪・セイチュウ。この4つを覚えてね!」としめくくっておられました。
創業メンバーで、営業が得意領域で、大阪生まれで、ニックネームはセイチュウ(正忠)。
仕事に関係ないようなことも含めた4音×4ワードだったけれど、今でもその響きは覚えています。彼は配下の1,000人以上のすべてのメンバーの名前と入社日を覚えるすごい人だったのですが、きっとメンバーにタグづけをしつつ、自分のタグと関連づけながら覚えていったのではないか、と思います。
さらに面白いのは、このタグのかけ算が、個人の希少性を増すということです。
これはリクルート出身で東京都発の民間人校長も務めた藤原和博氏による、「稼ぐ力をつけるために希少人材になれ」「1万時間をかけてまず100人に1人の人材になれ」「これを3つかけあわせて(オリンピックメダリスト級の)100万人に1人の希少人材になれ」という考え方にも近いと思います。
ぼく個人でいうと、81世代、建築、フランス、戦略コンサル、営業、グローバル、M&A/PMI、新規事業、ベンチャー経営、1億総デザイン社会、などのタグがあるのですが、これらをかけあわせると(例:コンサル×ベンチャー×グローバル)、それなりに希少性が高くなってきます。
これをさらに昇華させていくと、その希少性の高さが自身のキャッチコピー的に表現されるようになり、職種や会社と関係なく、ひとりの個人としてエッジのきいた希少性の高い人材となっていきます。
(たとえばぼくが会ってきた中で、タグのかけ算でユニークなキャリアをつくれておられると思う方のキャッチコピーを並べてみると、「社会システムデザイナー」「公共経営のプロ」「複業研究家」「地方活性化伝道師」「組織と人のカタリスト」「マルチメディアアーティスト」など)
すごい人になってくると、このタグの振れ幅が半端ない。その多様性が、新たな人脈のつながりを生み、新たなチャレンジの機会をつくり、そこからイノベーションが生まれていくわけです。個人的には、いきなり「飛び地のタグをつくってやろう」などと意識しすぎず、今あるスキルに近しいものをタグ化したり、身近で情熱を注げるものをタグ化したりしていくのが良いと思っています。
興味を持たれたら、ぜひ、このキャリアのタグ化というコンセプトを意識してみてください。
もしかすると、あなたの今後のキャリアを考えるヒントが転がっているかもしれません。
今回のポイント
というわけで今回のまとめ。(今後、毎回最後に、こういう形でまとめをつけていきます)
キャリアを、職種(やること)と会社(いるところ)で「えらぶ」のではなく、資質(ありかた)と機会(やれること)で「つくる」
資質(ありかた)を考えるうえで、キャリアを一人称(アート的)、二人称(セールス的)、三人称(エンジニアリング的)でとらえる。さらに領域を超えて、自分のマネージャー、リーダー、デザイナーへの志向性をみきわめる
機会(やれること)を考えるうえで、自分のキャリアにタグをつけ、キャッチコピー化する。タグのかけ算によって、あなた個人の希少性は高まり、新たな出会いやチャレンジの機会が生まれる
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。ぜひ次回も楽しみにしていてください!
次回は「経営者マトリクス(仮)」というテーマで書きますので、よかったらフォローしてください!
ランサーズでは一緒に働く仲間を募集しています
曽根の率いる新規事業室では、経験豊富なメンバーを集結させた最高峰の布陣を敷き、新規事業「Lancers Top」をスタート。
事業責任者は、フリーランスのエンジニア向け仕事マッチングビジネスの社長として業界を先駆け、牽引してきたスペシャリストです。また、根幹を担うプロダクトには、ランサーズの新卒エンジニアとして入社し、これまでも数多くの新規事業に参画してプロダクトの成長に大きく貢献してきた最年少マネージャーの上野をアサイン。その他にも、大手人材業界のトップセールスの経験者がジョインするなど、少数精鋭のチームで事業を作っています。
一人ひとりが大きな裁量をもち、経営に近い立ち位置で社会の課題と新しいマーケットに挑んでいます。
私たちは、そんな新規事業室の仲間を募集しています。これまでとはまた違う新しい働き方を一緒に作っていきませんか?
これまでのバックナンバー
【キャリア編】
・ 第1回:キャリアを「えらぶ」のではなく「つくる」方法―キャリアの「タグ化」のすすめ
・ 第2回:市場価値の磨き方―ステージ×役割でとらえるキャリア論
・ 第3回(前編):1億総デザイン社会の未来―モデルなき時代に、働き方をハックする
・ 第3回(後編):1億総デザイン社会の未来―働き方は、よりフリーに、スマートに、クリエイティブに
・ 第4回:成長は失敗を糧に―非連続な成長は、アンラーニングと意識の変革から
・ 第5回:「乾けない世代」と「好き嫌い経営」―働く「個人的大義」を大切にせよ
【ノウハウ編】
・ 第6回:「ネクタイ事件」で学んだ、本当の問題解決―ポジティブ思考でいこう
・ 第7回:「伝わる」プレゼン―聞き手が「自分ごと化」できるストーリーをつくる
・ 第8回:ブレストはアイデアをひきだす脳内スパーク―「ブレスト筋」を鍛えよう
・ 第9回:SMARTなゴール設定と早めのトレードオフ決断でプロマネを成功させる
・ 第10回:知的生産性の上げ方―時間の使い方を設計し、会議をプロデュースする
【事業編】
・ 第11回:「4次元チェス」的戦略―不確実な未来のシナリオに、骨太な仮説をそえて
・ 第12回:『新規事業のつくり方―アセットを活用するか、リーンに立ち上げるか』
・ 第13回:予算計画のつくり方―楽観と悲観、経営と現場を反復横跳びする
・ 第14回:本質的なKPIをモニタリングし、計画と予測の「ギャップを埋める」
・ 第15回:M&A、それは究極の意思決定。PMI、なんて深淵な人間ドラマ
【経営/組織編】
・第16回:ユーザーに学び、社会に訴えかけ、組織を動かすミッション・ビジョン
・第17回:強い言葉で行動指針をつくり、模倣困難なカルチャーづくりに投資する
・第18回:安心感×成長実感でエンゲージメント・ドリブンな組織をつくる
・第19回:マネジメントに必要なのは、矛盾に向き合い、乗り越えるための真摯さ
・第20回:「開き直り」の境地で51/49の意思決定し、自らの人生の主権を握る
【番外・総集編】
・ 番外編①:エン・ジャパン主催の「ワーク&プライベート・シナジー勉強会」での登壇
・ 番外編②:ランサーズ勉強会(L-Academy)の「戦略ケーススタディ」のレポート
・ 総集編(前半):「一億総デザイン社会」を生きるためのキャリアと仕事の考え方
・ 総集編(後半):「VUCA時代」を勝ち抜くための事業と組織の考え方