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2021年5月にリリースされた「資格・経験を活かして働く」がコンセプトの新たな求人サイト『バイトルPRO』。デジタル広告等を運用する上で、ディップの既存サイトである『バイトル』『はたらこねっと』などとは違った壁が立ちはだかったそう。リリースから約1年半、『バイトルPRO』のマーケティングにおける試行錯誤と進化を、プロモーション戦略部 バイトルPRO課 マネジャーの水戸に聞いた。
- 「採用難職種」かつ「採用課金モデル」で広告を運用するという、新たな挑戦
- 職種それぞれの面接率、採用率、応募単価を見ながら広告運用を最適化
- 営業、企画、開発とともに「事業をつくる」という姿勢
- 本質的なマーケティングとアドテクノロジーの追求、両輪が大切
「採用難職種」かつ「採用課金モデル」で広告を運用するという、新たな挑戦
高橋:水戸さんが担当されているお仕事を教えてください。
水戸:私は2014年2月にディップへと中途入社し、おもにマーケティング領域を担当しています。過去にはバイトルLINE公式アカウントの開設・運用や、『はたらこねっと』『バイトルNEXT』『ナースではたらこ』のWeb広告全般を担当。2021年3月から『バイトルPRO』の立ち上げに伴うWeb広告チャネルの構築を設計から担当し、現在はプロモーション戦略部 バイトルPRO課のマネジャーとしてWeb広告を主とした、オフラインも含めた集客(掲載求人への応募・サイト会員登録)ならびに事業貢献(売上貢献)をミッションとしています。
高橋:『バイトルPRO』のリリース当初からマーケティングに携わっているのですね。『バイトル』などの既存サイトと比べ、『バイトルPRO』のような新規サイトだとマーケティングの留意点も異なるのでしょうか?
水戸:ディップのマーケティングチームには、『バイトル』『はたらこねっと』などにおいておもに有期雇用の仕事を探すユーザーを集客してきた豊富なWeb広告運用の知見があります。『バイトルPRO』においても初めはその王道ともいえる知見をスライドさせることで、一定の効果を出すことができました。
一方で、『バイトルPRO』特有の課題も出てきました。それは「CPA(顧客獲得単価)高騰への対応」と「採用課金ビジネスモデルへの対応」です。
1つ目のCPAについてですが、『バイトルPRO』は「医療」「介護」「保育」「美容」など採用難易度が高い専門職の求人掲載が中心です。ディップ以外にも多数の競合が広告を掲出しており、競合が多いと自然とCPAも上がる構造にあります。また、『バイトルPRO』の競合は求人サイト各社だけではなく専門職種を扱っている人材紹介会社なども多数含まれます。彼らにとっても集客はビジネスの生命線であるため、もちろん広告には力を入れていますし、単価もある程度高いことを前提として広告を出稿しています。事前に想定はしていましたが、『バイトル』『はたらこねっと』とは違う戦い方が必要だなと感じました。
高橋:なるほど。
水戸:また、サイトに求人情報を掲載することで料金をいただくモデルが中心の『バイトル』などとは違い、『バイトルPRO』においては「採用課金(サイト経由の応募から採用者が出た場合に料金をいただく)」でご利用いただいているお客さまも多く、そうすると「応募」を獲得するだけでは売上にならず、事業として成立しません。「リード獲得」だけではビジネスに貢献できないということです。
そのため、『バイトル』『はたらこねっと』で培ったWeb広告の知見を活かして集客の数を増やし、データ・知見を貯めながら、専門職採用でCPAを抑えていくことと、「応募」だけではなく「採用」まで見据えてWeb広告を運用することが大きな課題となりました。
職種それぞれの面接率、採用率、応募単価を見ながら広告運用を最適化
高橋:チャレンジングな課題と言えそうです。どのようにクリアしていったのですか?
水戸:『バイトルPRO』はそれぞれの業種に応じて職種を細分化しており、その数は合計で279にのぼります。まずは採用課金の大半を占める「医療」「介護」「保育」「美容」業界におけるそれぞれの応募単価、そしてその先の面接率、採用率を追えるようにしました。さらにその数値を見ながらROAS(広告の費用対効果)がコントロールできるよう、広告媒体ごとの構造を改修し、同時に『バイトルPRO』の営業チームや関連部署と密に連携を取っていきました。
たとえば「この職種は競合も多いし、応募単価も高いが、採用には至っていない。もっとCSチームでお客さまの採用率を上げるための取り組みができないか?」「この職種は競合も少なく集客の余地がある。もし営業側でも顧客の開拓余地があるなら広告をドライブさせることもできるが、どうするか?」などです。常に「事業全体」を見渡しながら、採用率やCPAのバランスをチェックし、広告投資を調整するよう心掛けました。
高橋:ある意味「地道な取り組み」とも言えそうです。
水戸:ほかにもさまざまな取り組みを行いましたが、Web広告は基本的に「緻密な改善」の連続です。打ち上げ花火的な大型の企画・施策というよりは、日々コツコツと、改善を積み重ねていくことが大切です。ディップにはそういったWeb広告の基本となる知見があったので、『バイトルPRO』に取り組む際もそれが大きな財産となりました。
高橋:過去の知見があったからこそ、279職種ものデータを分析しROASを最適化するという新たなことにチャレンジできたと。
水戸:現時点ですべての職種を見きれている訳ではないのでまだまだ道半ばですが、ディップでもここまで細かく職種を分けながらROASを意識した広告運用をするのは初めての取り組みでしたので、『バイトルPRO』をその先行事例にできそうなのはよかったですね。
営業、企画、開発とともに「事業をつくる」という姿勢
高橋:水戸さんが仕事に取り組むうえで大切にしていることを教えてください。
水戸:これは私に限らずマーケティング統括部全体で言えることですが、マーケティングを広義に捉えた上で「ビジネスに貢献できる専門性の高い人材の集団」になることを目指しています。
ディップのマーケティング組織においても、以前は良くも悪くもそれぞれが「Web広告」「オフライン広告」など専門性に特化した強みを持つ反面、その役割の中でのみ動いてしまう側面がありました。しかし現在では各部署の本分と専門性は維持したまま、部署の垣根を越えて担当のサービスやビジネスへの関与、企画参加、サポート・協働する組織に変革しつつあります。
高橋:とくに『バイトルPRO』は新サイト、新規事業ですから、いわゆる「縦割り」ではなく関わるメンバーの「一体感」がより必要になる印象です。
水戸:おっしゃるとおりです。『バイトルPRO』においては営業、サイト企画、開発、マーケティング部門などが一堂に集まりMTGを行うことが多く、「みんなで事業をつくる」という意識が強いです。だからこそ「これって何のためにやってるんだっけ?」など本質的な会話が部署、役職関係なくよく出てきます。
高橋:というと?
水戸:たとえば「採用課金」においてもそうです。目先の「売上」だけを考えれば『バイトル』などと同じように掲載料金をいただくビジネスモデルのほうが売上の見込みも立ちやすく、ディップとしても前例、ノウハウがあります。しかし「『バイトルPRO』は何を目的にしている媒体なのか?」「求人をたくさん集めて売上を上げればいいのか?それで採用難であるエッセンシャルワークの労働市場の問題を解決できるのか?」と、自分たちのミッション、存在意義に照らし合わせて議論を重ねることで、全員で同じ目的に向かって進むことができていると思います。
マーケティングにおいても同じです。「この職種はCPAは低いが、『バイトルPRO』としてこの職種の応募ばかり増やすことが目指すべき姿と言えるのか?」など、常に部分最適だけではなく「ビジネスとしての全体最適」を考え、議論しています。
高橋:そういった会話が、部署や役職を問わずなされていると。
水戸:『バイトルPRO』は2022年5月で1周年を迎え、求人件数は50万件を突破し、医療・介護・保育・美容のそれぞれの業種における求人件数は専門職媒体でNo.1となりました(当社調べ)。わずか1年でここまでの成果が出せたのも、全員が「みんなで新しい事業をつくる」という気持ちを持ち、取り組めたからではないかと思います。この規模の企業になってもそういった一体感を味わえるのは、ディップの良さですね。
本質的なマーケティングとアドテクノロジーの追求、両輪が大切
高橋:マーケティングチームでは人材採用を行っていると思いますが、どんな方に来てほしいですか?
水戸:どの職種にも共通して言えるのは、探求心、こだわりのある方。一方で客観性やバランス感覚も同じくらい重要です。とくにデジタルマーケは生ものなので、会社や事業の状況・課題・目的などさまざまな要素をふまえて最適解を考える必要がありますし、テクノロジーの進化は言わずもがな速いです。よって、熱意と同様に冷静な評価力や判断力も必要だと思います。
あとは、先ほどからお話しているとおり自分の仕事に境界線を引くのではなく、事業やサービスを成長させるために広告がある、マーケティングがあるという環境で自分の力を発揮したい方ですかね。そういった広義の、本質的なマーケティングをやりたい方にはディップは向いていると思います。
高橋:やはりそこがポイントになってくるのですね。
水戸:一方で、それと同じくらい「アドテクノロジーにこだわる」ことも大事だと思うんです。私自身も、そこにマニアックにこだわることを忘れたくない。WEB広告とひと言で言っても、本当に奥が深い分野です。私も長年この分野に携わっていますが、まだまだ探求できる余地があると思っています。そういった技術、専門分野を突き詰めながらも、広い視点でマーケティング、事業貢献をとらえていく。その両輪が必要です。
高橋:なるほど。
水戸:ディップのマーケティングチームは、2021年10月に堀さんが統括部長に就任され、まだ過渡期、成長している段階と言えます。そういった環境において「一緒にマーケティング組織を成長させていきたい」と感じてもらえるような方に来ていただきたいですね。
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interviewee
水戸 俊平
商品開発本部 マーケティング統括部 プロモーション戦略部 バイトルPRO課 マネジャー 2014年2月、中途入社。バイトルLINE公式アカウントの開設・運用、スタンプ制作、『はたらこねっと』『バイトルNEXT』『ナースではたらこ』のWeb広告担当マネジャーを経て、2021年3月より『バイトルPRO』のWeb広告全般の運用に従事。