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「資格・経験を活かして働く」がコンセプトの『バイトルPRO』 は、医療、介護、保育、美容を始め、飲食、Web/ITといった業界の経験者、有資格者、プロフェッショナルを目指す“プロ志向人材”のための求人サイトです。そのマーケティング活動を責任者として取り仕切っているのが、2021年10月に中途入社した谷田 脩一郎(タニダ シュウイチロウ)さん。どういった取り組みをしているのか。話を聞きました。
100分の5ではなく100分の100、アイデアすべてを試したい
吉牟田:入社されたのは2021年10月。それまではどのようなキャリアを築いてこられたのでしょうか。
谷田:2009年に大学を卒業して、就職したのは商社でした。日本経済を支えている企業の99.7%が中小企業であり、商社は中小企業に循環する血液を届ける役割を果たしている。自分はそれを支援する立場になりたいと思ったのです。それで社会人1年目は営業として、シャンプーのメーカーなど取引先に原材料を届ける提案をしていました。2社目以降も生鮮野菜卸や機械OEM製造メーカー、WEBプラットフォーム、広告代理店とさまざまな事業に携わり、次第に事業開発やマーケティングに携わるようになりました。
吉牟田:ディップは8社目でしたよね。その他の職種も幅広く経験されているようですが。
谷田:メーカーの営業部門立ち上げや新規事業立ち上げ、デジタル広告コンサルティング、法人向けマーケティングなどに携わり、プランナー、ディレクター、プロジェクトマネジャー、コンサルタントも経験しています。
吉牟田:本格的にマーケティングに携わるようになったのは、いつ頃からだったのですか。
谷田:社会貢献プラットフォーム事業を行う大手広告代理店系列グループ子会社に参画したのですが、社員が5人しかいなかったので、商品・サービスの企画、営業、ディレクションまでぐるりと一周するなかで、お客様の課題やニーズをキャッチして、エンジニアやデザイナーとコミュニケーションしながら、自社のプロダクトに結び付けていきました。そこで、いわゆる営業からプランナー、ディレクターにシフトしていったのです。その中で、売るためにはどういう打ち手が必要か、戦略を考えて実行する中でマーケティングを手掛けるようになりました。
吉牟田:ディップへの入社を決めた理由は何だったのでしょう。
谷田:前職はインターネット広告を専門で取り扱う広告代理店で、コンサルティングや法人向けのマーケティング、新規事業を行っておりました。一般的な広告代理店とは違い、出稿金額に対する「%」で報酬をいただくコミッション制ではなく、月々の稼働工数をベースに算出するフィー制となっていたため、クライアントに伴走でき、さまざまな提案をすることができましたが、その一方で、予算やクライアント側のリソースなどの都合で実行できない施策も多かったです。例えば成果を出すための100のアイデアがあったとしても、予算・リソースの事情で選べる打ち手は5つしかない。95のアイデアを捨てることになってしまいます。それがすごくもったいなく、悔しく感じていました。しかし、お客様の意思決定ですから、一線を越えて踏み込むことはできません。「マーケティング活動を支援する」という立ち位置ですから仕方のないことですが、できることに限界を感じました。それなら事業会社の「中の人」になってしまえば良くて、権限が持てるポジションを任せられれば、自由に、思い切ったことができると期待して、ディップへの入社を希望しました。
事業開発と一体化して戦略を企画・実行できる
吉牟田:ディップに入社して、まずはどのような仕事を任されたのですか。
谷田:商品開発本部メディアプロデュース統括部に配属され、統括部長(当時)の宮内さんには「マネジャーとして入社したのだから、好きに動いて良いよ」「参加したいミーティングがあればアサインするし、話したい人がいればセッティングするから」と言っていただきました。それで本当に1~2ヵ月はひたすらグロースハック、メルマガ、アプリ、SEOなど、いろいろな部署のミーティングに参加して「このチームはどういう役割を果たしているのか」「どういった動き方や戦い方をしているのか」「何に困っているのか」を知ろうとしました。その中での気付きをプロジェクト化して業務設計し、宮内さんや進藤さんに「こういう設計図を作って実行していきたいと思います」と提案していきました。どのチームも温かく受け入れてくれましたし、この時期の取り組みが今も活かされていると感じます。
吉牟田:それから後は、どの部署で、どのような取り組みをされたのでしょう。
谷田:2021年12月にディップ総合研究所メディア戦略部メディア戦略課の課長になりました。実際には社内コンサルタントのような立ち位置で、他4つの部署を兼任し、プロジェクトの動きを確かめながら、定例ミーティングで気付きを話して、必要に応じて軌道修正していく役割でした。メディア戦略課のメンバーには上記で立ち上げたプロジェクトを割り振りして、課題のリサーチ・分析やファクトの確認をしてほしいとか、資料を作ってほしいとか、実務に落とし込んで頼み、助けてもらい、プロジェクトを推進することができました。
吉牟田:バイトルPROを専任で担当するようになったのは、いつからですか。
谷田:2022年7月にマーケティング統括部に異動し、兼務も外れてからです。医療、介護をはじめとする業界の経験者、有資格者、プロフェッショナルを目指す“プロ志向人材”をターゲットにするバイトルPROと、看護師人材紹介サービスのナースではたらこを、マーケティングの責任者としてマネジメントすることになりました。
吉牟田:どのような成果を期待して任されたと思いますか。
谷田:基本的には、サービスを人に知ってもらってサイトへの訪問を促し、成果に結び付ける取り組みがメインの仕事です。ですから、ターゲットとなるユーザーに対して、どのようにアプローチしていくか、そこに尽きると思います。
吉牟田:そこで感じた課題は何かありましたか。
谷田:例えば、サイトに訪れた方たちを応募までどのように繋げるか、集客だけにフォーカスを当てるのではなく、事業やビジネスモデル全体を見渡すことで、より効果的に手を打つことができるはずだと感じていました。
吉牟田:具体的にはどういうことでしょう。
谷田:バイトルPROでとくに力を入れるべきは、医療、介護、保育、美容の4業界と考え、注力しています。ところがディップ全体の営業人数の中でバイトルPROチームの営業人数はまだ十分とは言えません。4業界の案件が集まっていない中でたとえ大々的にテレビCMを打ったとしても、ユーザーは希望に見合う案件に出会えない可能性が高いですし、営業活動に有利に働くメリットも見込めなくなるでしょう。
吉牟田:だったら違うお金の使い方をしたほうが良さそうですね。
谷田:バイトルが何でも揃うスーパーマーケットだとすれば、バイトルPROは文字通りプロ向けの専門店が並ぶショッピングモール。さまざまな人の幅広いニーズに応えられる専門店に多彩な商品が並んでいて、「たくさん商品を並べてますよ」「どれでも選べますよ」だけではなく、「こちらがアナタが探しているものじゃないですか?」と希望に見合う仕事をレコメンドし、「仕事が決まる」と期待してもらえるかどうかが重要です。よってセグメントを絞り込み、ターゲティングの精度を高め、プロモーションを行ったほうがROAS(広告の費用対効果)は高くなり、理に適っています。さらに「ナースではたらこ」との連動で、求職者様と求人案件のマッチングを人材紹介サービスのCA(キャリアアドバイザー)が一人ひとりにコンシェルジュのようにサポートすれば、より高いユーザーメリットを提供できます。こちらの取り組みはすでに実施しています。目指すゴールに最短距離で到達できるように事業やマーケティングを設計していくことが大切です。
吉牟田:広告予算の無駄打ちをするのではなく、より戦略的に動くべきだというわけですね。バイトルPROには、掲載課金、採用課金と2つの料金プランがあるので、その点も意識しなければならないのでは。
谷田:掲載課金のお客様から10万円の予算をいただいているとすれば、10万円払った以上の価値がある応募を獲得できなければ、利用するメリットを感じていただくことはできません。採用課金の場合は、報酬が60万円で、採用率が10%だとすれば、応募者一人当たりの獲得コストを6万円以下に抑えなければ事業として収益が出ません。医療、介護、保育、美容のほか、製造、飲食など、さまざまな業界の募集が一つのサービスに掲載され、料金体系も異なる中、業界業種別、採用単価別にグルーピングし、広告を配信する量に強弱を付けて調整するなどの事業視点での改善の取り組みを続けています。
また、希望の職場や仕事に出会えていない人をナースではたらこでフォローして採用に導いていく流れを作って、成果の獲得までスムーズになるようにしています。 ナースではたらこも職種特化型の人材紹介サービスとして、ナンバーワンを狙えると思いますので、仕事を探して利用されるユーザーの方に満足していただける結果に導けるように、しっかり取り組んでいきます。こういったメディア連携の打ち手を繰り出せるのも、ディップの強み。恵まれた環境だと思います。
吉牟田:ディップでマーケティングに携わる一番の面白さとは何でしょう。
谷田:リードを獲得する集客戦略だけでなく、事業開発やサービス企画とも一体化したマーケティングを展開していけることですね。ユーザーの方、そして求人案件を出稿していただくクライアント様に、現実的な利用メリットとして価値と満足を提供していけますから。
マネジメントできる人も、エキスパートも、どちらも必要
吉牟田:これから組織を拡充させていくうえで、どのような人を迎え入れたいとお考えですか。
谷田:物事を俯瞰して、チームを束ねて動かすマネジメントができる人。マーケティング領域で何かしらの得意分野を持つエキスパートで、その強みを業務改善に活かせる人。どちらも必要であり、仲間に加わっていただきたいですね。サービスのあるべき姿を描いてKPIを設定し、周りを巻き込みながら、プロジェクトを力強く推進していけるマネジャーがいて、自分の得意分野について、誰に何を聞かれても、正面から受け止めて打ち返せるエキスパートがいる。そういう組織が理想的で強いと思いますので。
吉牟田:マーケターの資質として求めることはありますか。また、どういう人であればディップのカルチャーに合いそうですか。
谷田:学びと新しいチャレンジに積極的なことですね。マーケティング担当としての経験が長かったとしても、これまでのノウハウを応用するだけで、未知の領域に踏み込めない人、新しい取り組みに挑むことに抵抗がある人はディップには合わないでしょう。自ら積極的に課題を発見しに行く。プロジェクトのやり方に違和感があれば、違うやり方を試してみる。そういうマインドはすごく重要だと思います。常識を疑うというか、既成概念にとらわれず、物事を多角的に見て考えられる人なら向いています。僕自身がそうでしたが、やりたいことは山ほどあるのに、実行する機会に恵まれず、腐らせてしまうのが惜しいと思っている人なら、まさにぴったりでしょう。
吉牟田:ディップのマーケティング部門だからこその良さはどういった点にあると思いますか。
谷田:入社して、どの部署のミーティングに参加するにしても怪訝な顔をされることはなく、快く受け入れてもらえましたし、縦割りの組織ではない仕事のしやすさがあります。部署間の垣根が低いうえ、真面目に仕事に向き合い、率直な意見を伝えてくれる人が多い会社なので、コミュニケーションが取りやすく、課題をキャッチアップしやすい。部門横断で意識を共有し、一丸となって、提供するサービスのあるべき姿を追求していけることもディップの強みであり、マーケティング戦略をつくり、施策を実行していくうえでの大きなアドバンテージといえるでしょう。だからこそ一見それほど派手な露出はしていないようでも、売上、収益を高められ、ROASにとどまらずROI(投資収益率) で大きな成果を上げられる戦略も、現実的な打ち手として考えられます。
吉牟田:工夫を凝らしたアイデアも実行しやすい。認識を共有できることでマーケティング活動に広がりを持たせることができそうですね。緻密な計算に基づいた施策も、インパクトのある大胆な施策も、どちらもできて、使い分けられる面白さもありそうです。
谷田:マーケティング活動を展開するうえで、小さい会社では予算の制約があるなど、思い切った施策を打てないことが多く、その一方、大企業では組織の規模が動きにくさにつながることが多い。さらに長年にわたってマーケティングに力を入れて、合理化を進めてきたところであれば、これから改善できる余地があまり残されていない可能性もあります。その点、ディップは使える予算に余裕があり、動きやすく、しかも、まだまだ余白が残っているというか、伸びしろがあるというか、改善したり、軌道修正したりできる点がたくさんあります。マーケティングの枠にとらわれることなく、部署の垣根も超えて、事業が成長する道筋を自由な発想で描いて実行できますので、挑戦心がくすぐられて、わくわくできます。
取材・執筆・撮影/吉牟田 祐司(文章舎)
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