クラウドワークス コーポレートDiv.アドベントカレンダー 8日目です。
ITベンチャーと聞いて、どんなイメージがわきますか?お洒落で開放的な都心のオフィス、服装はジーンズ、出勤は遅い時間、いつも小脇にノートパソコン、若い人ばっかで役員も学生時代から起業を経験していたような2、30代・・・。それはイメージではなく、全部現実です。クラウドワークスも例にもれず、そういう会社です。
ワタシ、クラウドワークスのコーポレートDiv.で法務を担当しております、カジワラと申します。入社して10カ月が経とうとしております。幸か不幸か、前述のようなITベンチャーのイメージには全然当てはまらない、ローテク、年寄り、2人の子持ち、通勤に1時間超、前職はザ・昭和な感じの食品メーカー・・・ちょっと散々な感じですが、よくいえば、この会社のダイバーシティをかなり推進している存在とでもいいましょうか。ええええ、どんなに頑張ったって、サカナクションよりユニコーンが心に沁みる世代ですよ。今日は、そんなワタシの転身にまつわるエピソードを紹介させていただきます。全く違う業界に属しながらこの世界に関心をお持ちの方や、トシやノリに不安を感じていらっしゃる方のご参考にしていただけたら嬉しいです。
■朝会というプレゼン修行の場
まず、入社して驚くのは、この会社の「朝会」です。クラウドワークスでは、毎週月曜は30分早く出社し、全社員が一同に集まって「朝会」を行います。主には、先週社内で起こった出来事を紹介したり、役員から重要な情報共有があったり、あるいは新入社員の自己紹介を聞いたりするのですが、社員一人一人がチーム・クラウドワークスの現状を共有し、普段接する機会の少ない社員の人となりに触れ、自らのミッションを再認識する重要な場になっています。
普通の会社では、単なる一社員が全社員の前でプレゼンをする機会などまずないと思われます。ワタシもこの会社に来るまでそのような経験はありませんでした。しかし、この会社では、当たり前に数カ月に一度、プレゼンの機会が回ってきます。ワタシも入社後1ヵ月ほどで、初めての機会が回ってきました。ローテクなワタシにとっては、ほかの社員が作るキレイでウケて、充実した資料なんて一体どうやったらできるのか想像もつきません。見よう見まねで必死で作ったパワポ資料もリハーサルで副社長に一笑に付されボツ、ほんの3分程度の発表をするためになぜこれほどまでにと思うほどに試行錯誤しました。
今ではだいぶ場数を踏んで、自分カラーのプレゼンのようなものが確立してきたという感があります。考えてみれば、仕事はプレゼンの連続です。ミーティングで自分の意見を述べるのも、他部署の方に法務の意見を伝えるのもプレゼンです。朝会は、何より当社社員のビジネススキルを磨く場として重要な役割を果たしていると言えましょう。
■紙よさらば
ベンチャーはとにかく忙しい。昼食も席で仕事をしながらささっと済ませてしまうことが多いです。業務の効率化は重要なテーマであり、全社で取り組んでおります。社内の連絡にSlackを使い、内線電話と違って社内にいなくても連絡が取れ、会議室に集まっていなくてもグループチャネルですぐに議論をすることができます。業務資料もスプレッドシートを使って共有しており、まず紙に頼ることがありません。
前職の会社ではISOの環境認証を取得し、紙使用量の削減に取り組んでいたけれど、会議の資料は常に紙で用意しなければならず、大きな会議の前は、総務部全員でバケツリレーよろしく資料の印刷、一部ずつ取ってホチキス止めなどの作業が避けられませんでした。それが当たり前だった場所からここへ来ると、印刷を待つ時間も、紙を管理する手間もない快適さに酔っぱらいそうになります。これを経験するだけでも、ITベンチャーへの転職は価値があると思うくらいです。
■根雪との闘い
よく、ベンチャーは業務のスピードが速いと言われます。全然違う業種からやってきたワタシには、誰よりそれが顕著に見えていると言えましょう。たとえて言うなら、ザ・昭和な会社の業務がサークル状のレールの上をゆっくり一年かけて回るとすると、この会社は先の見えないワンウェイのレールを、トロッコ(古い!)で駆け抜けるような感じです。びゅっ!!
そんな中で、法務には連日何通もの契約書確認の雪が降り積もります。新規サービス立ち上げの相談なんかも、ワタシがいた10か月の間だけで一体何件あっただろうというほどです。
しかし、その一方で、ぜひともやりたい、やらねばならないけれどもそれほど急を要さない業務が、レールの脇に置き去りになってしまうこともしばしば発生します。なんとかして片づけなければならないけれど、そこにどっしと鎮座し、だんだん固く凍り付いていくさまはまさに「根雪」。日々のスピードに乗っていると、知らず知らずに根雪が増えていくのです。
今期、法務属する総務グループでは、業務プランニングの改善に取り組んでいます。今抱えている業務と根雪を見える化し、それぞれの業務の重さを数字で見積もって、根雪をできるだけ細分化しながら少しずつ溶かしていくという手法です。例えば、「契約書ひな形見直し業務」という根雪、事業部へのヒアリングや、法務が自ら起案する作業、顧問弁護士の確認など、その中にはいくつかの業務が含まれています。これをプランニングの際に、今週は重い差し込み業務があるからヒアリングのみ、根雪業務の見積もり1。来週はちょっと余裕がありそうだから、じっくり調べて起案するところまでやってしまおう、見積もり3、というふうにプランニングしていきます。そうすることで、根雪という巨大な雪塊が、かわいらしい雪だるまのようになり、その日その日、なんとかプランニングに沿って進めているうちに、根雪が片付いていくわけです。
ある日突然業務がなくなり、じっくり根雪と向き合い・・・なんて日は、絶対、一生来ないのです。それでもなんとかしなければならないなら、根雪細分化で、法務温暖化を招きましょう。
■社内留学
ローテクで鳴らしたワタシ、Webサービスなんか全然わかりません。入社前はずいぶん勉強しましたよ。IoTも、グーグルの仕事術も、プラットフォームも、ベンチャー経営も、何もかも見知らぬ世界で、片っ端から本を読んで面接に臨んだものです。しかし、所詮本は本。事業部からの切実な相談に対する解決策が本に書いてあったなら、そもそも法務なんていりません。法務が会社に貢献するためには、法務の知識や経験に本や新聞、ネットで仕入れた情報をプラスして、自分の会社に最適な解決策をひねり出さなければなりません。それには自分の会社の事業そのものやサービスの仕組み、各事業部の業務を深く理解することが不可欠です。
他部署と定期的にミーティングをして情報交換をしたり、法務の関心からヒアリングをしたり、実際に自社サービスを使ってみたり、自分の会社のいろいろを理解するためにできることはたくさんありますが、それだけに飽き足らず、先月より「社内留学」を始めています。
ワタシの最初の留学先は、ユーザーサポートです。どんなサービスもユーザーありき、ということで、まずはユーザーサポートに、当社のサービスの原点、最前線を学びにいくことにしました。
まずは、ユーザーサポートの椅子に座る者が必ず経験しなければいけないTO DOリストなるものに沿って、自社サービスサイトのDev環境で、ひとつひとつ、ユーザーの立場で実際にお仕事依頼やお仕事受注をしてみます。TO DOリストを一通り終えると、とりあえず当社のサービスサイトが実装している機能を一通り体験できるように設計されています。それだけでも勉強になりますが、やはり留学したからには実際のユーザーからのお問合せに対する対応をしてみなければ!2問ほど練習問題をやってみてから、実際のメールでのお問合せに対する回答文を作ってみました。
まずは、サービスをご利用いただいたことに対するお礼だな、それから、お問い合わせ内容は・・・ふむふむ。重要なのは、答えだけを簡潔に。余計な装飾は文を複雑化し、言いたいことが伝わらなくなってしまったりするからな・・・できた!!ユーザーサポートの宮本(今年4月の新卒入社!)さん、これでどうでしょう(わくわく)。
宮本さんが実際にユーザーの方に送った回答例をみせてくださいます。おお、これは!!なんとユーザーさんへの慈愛に満ちた文章であることか!なるほど、当たり前ですが求められる文章が、法務とユーザーサポートではこうも違うということに驚かされます。それは、いろいろやってみたけどできなくて困ったユーザーさんへの気遣いやお礼、お詫びの言葉がやさしくちりばめられ、そして的確に、でも温かく問い合わせに対する回答を伝えるプロの文章でした。
ユーザーサポートのイロハを教えてくださった宮本さんと黒川さん
自社サービスの仕組みや手続きを学ぶだけでなく、業務内容による文章術の違い、他部署へのリスペクトや相互理解による業務潤滑剤さえも生み出す社内留学。ワタシの場合、あまり法務を留守にすることもできないので、週1回、一日5時間を目安に留学時間をとりました。ユーザーサポートのみならず、営業やディレクションにも今後留学する予定です。
■エンジニアと仲良く
最後に、ローテクなワタシでもこんなことできたよというお話を。ちょっと前、クラウドワークス エンジニアブログで、こんな不敵なことを書く人がいました。「まだエンジニアに文言修正なんか頼んでるの?」
ワタシだって、GitHubのアカウントくらいもってるんだもんね。ちょうどサービスサイトに掲載している利用規約の文言を訂正する必要もあるし、やってみます!と、当社のCIO 大場さんに教えを乞いつつ、プルリクしてみました。市民の歌舞伎教室でいきなり人間国宝に教えを乞うてしまったみたいな感はありつつも、ちゃんとワタシにもWebサイトの文言修正、できましたよ!今後も、利用規約や法律で定められた表示などで必要があれば、法務自らサイトの修正までやっていきたいと思います。
はい。ローテク法務の挑戦のお話はこれでおしまいです。あんまりITベンチャーっぽくない経歴や外見をお持ちの方も、好奇心とチャレンジ精神さえあれば。ぜひ!一度遊びにいらしてくださいませ。