決して破れない型
“億を動かす型破りな八百屋”というコンセプトで採用サイトをオープンしたわけだが、
我々には“破れない型”というのが存在する。
それは、八百鮮がやらないと決めている3つのルール(破れない型)である。
・バイヤーがいない
・チラシを打たない
・在庫を持たない
この中でも、今日はバイヤーがいないというルール(型)について説明してみたいと思う。
なぜバイヤーがいない?
現在当社には30人の仕入担当者がおり、年間売上高は60億を突破した(今期売上予定は70億)。
仕入担当者一人当たりの年間取扱高は平均約2億円という計算になる(4億5000万円という強者もいる)。
年間2億円の売上を上げるためには、仕入におよそ1億5000万円を投下
つまり、「あなたに1億5000万預けます、1年後の今日…2億円にして会社に戻してください。それが仕入担当者の役割です。」
という仕事を任せていることになる。
年間2億円という目標に向かって売上計画を立て、年間5000万という利益をどう確保するかという思考がはじまるわけである。
(↑ 実際の仕入れ風景)
仕入担当者は1億5000万の資金を元手に、
・何を仕入れるか
・いくらで売るか
という決定をすることが、仕事となる。裁量権の極めて高い仕事と言えるだろう。
その分責任も大きいし、決定にはそれなりの覚悟もいるわけだが、これこそが、商売の醍醐味であり、リアルマーケティングを学べる最高の成長機会ともいえる。
当社では、各店舗の各部門のチーフと言われる人が、仕入担当者に該当し、
それぞれの店がそれぞれにマーケティングを行っているという事業構造になっている。
バイヤーと言われる一部の(本社の)役職者が、仕入決定権を持つのではなく、誰もが、その仕入決定権を持つ機会を提供している。
だから、当社に入社すると“億を動かす”ダイナミックな商売をイチから学ぶことができるわけだ。
「商売の本質に触れてほしい。」という会社の意思が反映されているからに他ならない。
何を仕入れて、いくらで売るか?…この自問自答の繰り返しの中で、自らの意思で売場を構成し、お客さんに喜ばれる商売とは何かを思考し、自ら任せられた売場でスピード感をもって実践する。
(八百屋の超高回転PDCA)
これこそが、商売の本質であり、八百屋のおもしろさや、魅力、かっこよさの根源ではないかと思っている。できる限り多くの社員に仕入れを任せられる環境を整えている。
まさに、「八百屋を、日本一かっこよく。」というビジョンに沿った、事業構造になっており、バイヤーがいないというルールに直結している。
効率的に仕入れを行い、バイイングパワーで利益をより多く出すためにはバイヤー制の方がはるかに機能的だろうが、我々のビジョンはあくまでも「八百屋を、日本一かっこよく。」なのだ。
(↑ 八百鮮 ビジョンマップ)
優先順位は、八百屋の魅力を伝えることの一点のみ。
そのためには、仕入れ業務に触れてもらうことが一番。
だから本社からの送り込みは一切しない。バイヤーは必要ない。という型を守りポリシーを維持してる。
最後に私が社長として、この仕事にとりつかれたようにハマったのは、仕入が面白かったからなので、社員にもその面白さを体現して欲しいと願っている。
今までの八百屋やスーパーマーケットの概念を覆し、次から次へと新しい試みに挑戦し続ける、八百鮮という会社には、八百屋「だから」こその、“破れない型”と、八百屋「なのに」こんな会社があったのかと思ってもらうための、“破るべき型”の両極を持ち合わせていることをご理解いただけると嬉しい。
残りふたつのやらないルールについてはまた、どこかで触れたいと思う。