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採用は経営判断ではなく、経営者の意思決定だ。

2020年採用ブランディングに挑戦

その当時…当社の年間売上高30億程度だった。

採用ブランディングをしたいと投資計画を発表したときには、各方面から叱られた記憶がある(笑)

叱られるのは当然だったかもしれない、理由は3つ

  • 経常利益額の2倍の投資を採用教育費にかけたから
  • 小さな八百屋がブランディングする必要性があるのかと懐疑的だったから
  • 採用を強化したら経費(採用費・人件費)が膨らみ経営を圧迫する可能性があったから

確かにこの3つのリスクは間違いなく存在したと思う。だけど、その当時の僕にはそれ以外のところへのリスクの方が圧倒的に大きく見えていた。


僕にとって最大のリスクは、真逆のモノだった

  • 利益を先行投資に回さなければ先細りしかない
  • 人への投資を行わなければこの業界自体が衰退する
  • 採用が滞れば売上も利益も増えるはずがない 


逆張りの戦略

こんな時代に商店街で八百屋が成功するはずないと言われて、そりゃその通りだと思う社長だったら、そもそも八百屋で起業はしてない(笑)

「こんな時代に商店街で八百屋をやるからこそおもしろいんじゃないか!」と思って始めたわけで、今回の件も僕にとっては同じ。申し訳ないが、いまさら正論で僕の構想を止めることはできない。

“いま” の利益を出すことは経営判断として正しいかもしれないが、“さき” の利益のための投資をすることは意思決定なのだ。経営判断と意思決定は違う。僕は創業社長として意思決定をしていたい。

成功するはずないと言われるから熱くなれるし、他との違いが出せる、何よりもおもしろい会社はそういう所からしか生まれない。大事なのは、意思決定すること。

 

なぜ採用ブランディングする必要があったのか

仕入を任せることができる人=会社の成長ドライバー

だという実感があったからに他ならない。そして、その仕入れを任せることができる人というのは、年間数億円の資金を預けることができる人であり、そこにはそれなりの信用がないと任命できない。

信用できる人がいなければ、うちの会社は今後、仕入担当者が不足し、出店することすらままならないという未来が成り立ってしまう。それだけは阻止したいと思っていた。

そのためには、億を預けられる優秀な人材の確保が経営の核となってくる。他社でトップセールスを張っていたような人材が欲しい。セールスでも、営業でも、小売りでも…業種は問わない、とにかく年間数億円を預けて、きっちり売上と利益を上げてくれるような人材に選ばれるような会社にしなければならないというオモイがずっとあった。

これは社長としてのリアルで切実な本心だと受け止めてほしい。


そんな思いで採用ブランディングに着手した。

ブランディング始動

ブランディングにはトゥモローゲート社と契約を締結し、“八百屋を、日本一かっこよく。”というビジョンの策定から、採用サイト、採用動画、採用パンフレット、SNS戦略、選考企画、説明会資料など、選考にかかわるすべてのコンサルティングを手掛けてもらった。

(↑ 採用サイト コンセプト:SENDGUYS)

(↑ 採用サイト)

ブランディングは求職者との約束である

ということをポリシーとし、見せかけだけのブランディングではなくその実態をすべてさらけ出した嘘偽りのないかっこいい会社づくりがスタートした。

この採用ブランディングは功を奏し、大変な反響をいただくようになった。

(↑ 採用パンフレット)

採用の質が劇的に上がった。こんなかっこいい八百屋があったんだという声が多数届き、

求職者はおおよそ着手前の5倍

になったし、もっと驚くべきは、採用した人たちの活躍だった。

億を動かす社員たちが入社早々から大抜擢でのし上がっていき、仕入を任せられる人材がたくさん誕生した。

そのおかげで、着手から4年がたった2024年度の本決算では売上59億に到達し、経常利益は4年前の10倍にもなった。社員の年収も当初の1.4倍ほどまで引き上げた。会社にとっても働き手にとってもいい結果を出すことができたと思う。

採用の力で会社は成長したと言えるのではないだろうか。

僕自身も採用の大切さを痛感することになったし、ブランディングに批判的だった人たちも結果を目の当たりにして、応援してくれるようになった。

 


事業をつくるということに目が行き過ぎて、仕組化とか、仕事の平準化とか、新店舗をつくるとか、新規事業を立ち上げるとか、スケールすることばかりに投資しがちなこの小売業という業界は、もっと人への投資をするべきだと思う。

 

今年は、採用サイトと採用動画をさらに一新した。その攻めの一手を僕たちは止めることはない。それは、採用によって新しい業界の形を僕たちは作ろうとしているし、多少強引だったところはあるかもしれないが、あの時に採用に全振りしたからこそ、八百鮮という会社は次のフェーズに駒を進めることができたと思っている。


“いま”より“さき”を見た意思決定ができる、日本一かっこいい八百屋であるために。

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