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onedogアプリ設計におけるユーザー調査方法

この記事はdotD公式noteの転載です。

執筆者は、プロダクトマネージャーの栗岡光理さんです。

https://www.wantedly.com/companies/company_7005547/post_articles/371907


こんにちは!「onedog」のプロダクトマネージャー担当している栗岡です。
onedogは2021年9月に愛犬のヘルスケアアプリとして、全面リニューアルをしました。

https://note.com/onedog/n/n0996eed4c2bf


今回は、onedogのリニューアルに向けた設計段階で行ったにユーザー調査についてご紹介します。onedogは2021年10月にグッドデザイン賞の受賞もしていますので、サービス設計を検討している方の参考になれば幸いです!
なお、本記事では、ユーザー調査の流れ・方法についての記事としました。

https://note.com/onedog/n/n400f6938668a

本記事では、ユーザー調査の結果やアプリ設計にどのように反映させたかについては割愛し、ユーザー調査の方法や流れについてご紹介しております。

目次

  1. 調査の目的・背景
  2. 調査概要
  3. 定性調査(インタビュー調査)
  4. 1.共感度調査
  5. 2.ユーザビリティ調査
  6. 3.その他ヒアリング
  7. 定量調査(ユーザーアンケート)
  8. ヘルスケアアプリとしてリニューアル!
  9. オンラインでの調査についての所感
  10. さいごに

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調査の目的・背景

昨年の4月頃からペットオーナー様のインサイト調査、市場調査などを積み重ね、サービスの方向性としてはヘルスケア領域に展開することを決めていました。※なぜヘルスケアという領域でサービスの舵を切ったのか等この辺りの詳細については、こちらの記事で紹介していますのでよろしければご覧ください。
そして、2021年9月のリリースに向け、7月の実装着手までにサービス設計を完成させることを目的として、最終的なユーザー調査を実施することとなりました。

調査の内容は、過去のインタビューや調査をもとに作成したプロトタイプを用いて、それが実際にユーザーにとって価値があるか・使いやすいかを調査するというものでした。
今回はこちらのユーザー調査の部分についてご紹介しようと思います。

プロトタイプ:ハードウェア開発の際の量産前の試作品や、動作や機能を検証するために最小限の規模で試作されたソフトウェアなどのこと

調査概要

インタビューによる定性調査と、アンケートによる定量調査を組み合わせて実施しました。

定性調査:個人による発言や行動など、数量や割合では表現できないものの“意味”をリサーチャーが解釈することで、新しい理解やヒントにつながる「質的データ」を得るための調査方法
定量調査:人数や割合、傾向値などの何かしら明確な“数値や量”で表される「定量データ」で集計・分析する調査方法

まず最初に、過去のユーザーヒアリングをもとに設計したヘルスケアアプリについて定性調査(インタビュー調査)を実施して情報を集め、改善ポイントの洗い出しや追加ニーズの仮説を立てた後、「実際にどのくらいのユーザーに当てはまるの・要望があるのか」などの定量的なデータを集めて検証し、機能を再設計しました。

定性調査(インタビュー調査)

◆調査概要
・調査対象:onedogユーザーで0〜1歳or10歳以上のわんちゃんのオーナー様 6名※
・収集方法:onedog内ポップアップ・Twitter・Instagram
・実施方法:zoomによるオンラインインタビュー

※ユーザーインタビュー(特にユーザビリティ調査)は5〜6人まで実施すれば約80%ほどの課題や洞察を得ることができ、費用対効果の観点でも理想的な人数である、という調査結果(参考資料)が出ているため、今回は6人にインタビューを実施しました

◆調査内容
インタビューは以下の3つを実施しました。
1.共感度調査:アプリが提供する価値に共感できるかどうかのヒヤリング
2.ユーザビリティ調査:アプリの使い勝手についてのヒヤリング
3.その他:アプリ全体についての感想や、追加要望についてのヒヤリング

それぞれの内容や実施方法など、詳細についてはこの後記載します。

1.共感度調査

「onedogが提供する価値に共感してもらえるかどうか」を調査するため、想定するユーザー体験とonedogの機能を使うとどんな価値を得られるかを簡単に伝える「ストーリーボード」を用いて説明し、共感度調査を実施しました。

ストーリーボード:イラストを用いて特定の商品・サービスを利用したユーザーの体験を理想のストーリーとして表現するフレームワーク。アイデアを視覚化することで、その商品・サービスがどのような問題解決をするのかなど、ユーザーが感じる価値を分かりやすくする目的で作成されます。

下記はストーリーボードの一例です。「onedogにうんちの記録をすることで獣医師に症状を的確に伝えることができるようになり、適切な治療を受けることができるようになった」というユーザー体験を説明しています。

このようなストーリーボードを使ってユーザー体験を紹介し、「便利だと思ったか」「使いたいと思ったか」について4段階評価で評価してもらいました。

◆調査設計のポイント
・利用シーンを具体的にする
利用シーンを具体的にすることで、ユーザーが実際のシーンをイメージしながら実際に利用しそうか、価値があるかを判断してもらうようにしました。

・イラストで利用シーンをイメージしやすくする
オフラインでのインタビューとなり、オフライン時と比較するとユーザーに利用シーンを伝えるのが難しくなってしまうので、イラストを分かりやすくすることでオンラインでも十分にイメージが伝わるようにカバーしました。

2.ユーザビリティ調査

次に、「アプリが使いやすいかどうか」を検証するために、ユーザビリティ調査を行いました。

本来であれば、実際にインタビュイーにプロトタイプを触ってもらって、スムーズに行えていたか、どこでつまづいていたかなど、インタビュイーの様子を見て検証するのですが、今回はオンラインでのインタビューだったので少し方法を変えて実施しました。
「〇〇の記録を作成する」といったような、実際の利用シーンに合わせたタスクに沿って、プロトタイプのアプリ画面をzoomに映しながらこちら側で操作し、インタビュイーに「使いやすいか」、「予想外の動きをした箇所があったか」、「分からない箇所があったか」をヒアリングし、アプリの使い勝手について検証しました。

下記はタスクの一例とインタビューの様子です。左側にタスク、右側にプロトタイプを映して操作し、ユーザーに見てもらいました。

◆調査設計のポイント
・タスクを細かく指定する
ユーザーによって操作内容が違うと公平な調査ができないため、タスクはできるだ細かく指定し、同じ操作を見ていただけるように努めました。

・思ったことは何でも口に出してもらう
オンラインだったため、実際に操作していただいてどこで躓いているのかなどを目で確認することができず、こちら側で操作して調査を行いました。そのためどこに違和感があったのか、どこで躓きそうなのかを判断するのが難しかったため、「ここをクリックするんだ...」「クリックした後、~~のような挙動をすると思ったのに」など、操作中にユーザーが思ったことは何でも口に出してもらうように依頼しました。

3.その他ヒアリング

ここまでのインタビュー通してヘルスケアアプリの機能や使い方など全体を知っていただけたので、最後にonedogについての感想をヒアリングしました。
ヒアリング内容は、追加で欲しい機能、一番使いたい機能、onedogを使いたいと思ったか、友人におすすめしたいと思ったか、などonedog全体について評価してもらいました。

定量調査(ユーザーアンケート)

定性調査の結果を受け、改善ポイントの洗い出しや追加ニーズの仮説を立てることができたので、その次に、その仮説の汎用性やボリュームを確かめるため「実際にどのくらいのユーザーに当てはまるのか、要望があるのか」などの定量的な調査を実施しました。

調査概要
・調査人数:onedogアプリユーザー297名
・収集方法:onedogアプリ内でバナーやポップアップにてアンケートを配信
・実施方法:Google formによるオンラインアンケート

下記はアンケートの一例です。インタビューにてユーザーが「記録したい」もしくは「記録しない」と回答した項目について、実際にどのくらいのユーザーが記録するのか、アンケートで収集しました。

ヘルスケアアプリとしてリニューアル!

このような流れでトータルで2か月程度かけて定性調査と定量調査を組み合わせたユーザー調査を実施し、その結果を受けサービス設計を修正し、完成させることができました!

完成したアプリの詳細については以下の記事をご覧ください。

https://note.com/onedog/n/n0996eed4c2bf

オンラインでの調査についての所感

今回は新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインでのユーザー調査となったのですが、定性調査(ユーザーインタビュー)について、オンラインでも十分だったのかどうかについて簡単に所感を記載させていただきます。

ユーザビリティ調査については、オンラインよりもオフラインで行った方が良いと思いました。タスクを細かく指定する、思ったことはすぐに口に出してもらうなどの工夫をして少しは実施しやすくなったものの、実際にユーザーに操作していただくのではなくインタビュアー側で操作しているため、実際に使ってみてどうかというのを調査するのは難しかったです。
また、リリース後に実際の利用状況を調査するため、再度ユーザーインタビューをオフラインで行ったのですが、そのタイミングでもう再度ユーザビリティ調査を実施したところ、追加でいくつか改善ポイントが出てきたのでやはりオンラインでのユーザビリティ調査には限界を感じました。

ユーザビリティ調査以外の、共感度調査やその他ヒアリングについは、オンラインでも投影資料をリッチにするなどの工夫ををすることでカバーでき、十分な調査結果が得られると感じたため、時間も節約できるので、個人的にはオンラインの方が良いのではないかと思いました。

さいごに

ここまでご紹介してきたサービス設計におけるユーザー調査の段取りや実施方法は、onedogでの一例となりますが、少しでも参考になれば嬉しいです。
今回のユーザー調査で終わりではなく、今後もonedogはユーザーの声を聞きながら、その都度課題に向き合い、機能改善や不具合修正を積み重ね、多くのわんちゃんオーナー様に使っていただき、わんちゃんとオーナー様との暮らしを少しでも豊かにするためにお役立ちできるよう、前に進んでいくつもりです。

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