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人の尊厳に直結するような、インパクトある日々に遭遇できる場所ってなかなかない。

プロフィール

ビジネスリーダー
井上 朝雄(いのうえ ともお)
2011年に文藝春秋に入社。その後、家業を継ぐため福岡に帰郷し、建設会社を経営。2018年に株式会社Ridiloverに入社し新規事業開発などを経験。2024年1月にスリーエス株式会社に入社。


──井上さんのこれまでの経歴を教えてください。

大学では法学部で政治思想を専攻していました。2011年に文藝春秋に入社し、当初は経済や文化に興味があったのですが、配属先が「週刊文春」となり、丸4年間、様々な分野の記事を編集・執筆しました。その後、母が急逝したことが転機となり、3年ほど福岡県で家業である建設業の経営に携わることになりました。
そこでは財務諸表の把握、営業や現場管理に加えて、社員のマネジメントや新規事業として保険事業部の立ち上げなどに従事し、会社のポートフォリオを強化しました。あとは少し長期の視点で支社を立ち上げて、1年で売上2億円を達成、初年度から黒字を記録しました。

2018年には東京に戻り、ソーシャルベンチャーの株式会社Ridilover(以下、リディラバ)に入社しました。そこでは6年間弱、社長室長をしながら、法人事業部を立ち上げたり、4つの事業部の事業部長を担いながら、社会問題の調査や中央省庁との政策立案、大企業の新規事業開発などに取り組みました。

──スリーエスに出会ったきっかけは?

まず代表の千田と出会ったのが2018年。経済産業省の「未来の教室」実証事業という、震災で被災した中小企業の再建をお手伝いするプロジェクトに、私も千田も前職の会社のプロジェクトマネージャーという立場で参加したのが最初の縁です。

そういった中で千田が介護の分野で起業すると聞きました。素晴らしいチャレンジだと思い、2人で食事に行ったりして親交を深めましたが、その時点ではスリーエスに参画することは考えていませんでした。

──では、井上さんが入社を決めたポイントは?

リディラバで様々な社会問題に取り組む中で、一つの領域により深くコミットしたいという思いが強くなっていきました。その中で自分が取り組むべきは、どのテーマだろうか?とリサーチを開始しました。前職での仕事を通して、色々な業界と関わりを持たせてもらっていたので、これだという業界にはすでに一流の先駆者がいることもわかっていました。何か見過ごされている業界はないか、自分自身何をやりたいかを突き詰める中で「介護業界が抱える課題に向き合いたい」という思いに至りました。

晩年を迎えた人が望む日々を送れているのか。自分自身を大切に過ごせているのか。残念ながら必ずしもそうではない介護業界の現状を感じていました。現状の介護保険制度に非常に大きな課題があるのではと疑問を抱き、介護業界についても自分なりに調べ上げ、リハビリ特化型のデイサービスの事業計画を立てました。

──なるほど、まさに自ら起業しようとしていたんですね。

ただ地価や賃料の高さから、都内で箱物の介護事業を成立させる難しさもわかってきました。そこで介護業界で起業した千田のことを思い出し、相談に行きました。すると、箱物を持たない24時間型の訪問介護である「定期巡回」に取り組んでいるとのことで、なるほどと思いました。利用者のお宅を1軒1軒巡回してケアを提供する事業なので、人口が密集している都会であるほど効率的になる事業モデルです。都内で事業を立ち上げる難しさに直面していたからこそ、「定期巡回」に目が開かれるような思いでした。

また、千田は私にはない強みを持っていると前職の時から感じていました。強みが違うからこそ、お互いに能力を活かせるのではないか、千田とバラバラに働くのはもったいない!と感じ、起業するのではなくスリーエスに入社することを決めました。

──実際に入社してみていかがでしたか?

入社時、一番心に残っているエピソードは、「井上さんの上司は社会です」と言われたことですね。仕事の報告は上司の千田さんにすれば良いのか、と確認をしたところ、千田からドヤ顔でそう言われました(笑)
でもすごく本質的なことで、「社会に向けて仕事をする」ことは、それ以来いつも意識しています。社内には「報告のための報告」とか、「会議のための会議」のような時間は1秒もない。地域のご利用者一人ひとりに向けて、のびのびと仕事をさせてもらっています。

──入社してから今までの仕事内容はどういうものですか?

事業所支援チームの立ち上げメンバーとして、入社当初は新規利用者の獲得業務がミッションでした。入社2ヶ月目くらいからは、既存事業所の支援と新規事業所の立ち上げも担当しています。

また、4月に開設した板橋北事業所の管理者も兼務しています。5つの指標「新規利用者の獲得」「働きがい」「働きやすさ」「法令遵守」そして、何よりも「”合うケア”の提供ができているか」を確認しながら、ひとつの事業所で見えてきたものをモデル化し、全国に事業所を展開することで、事業所全体を健全かつ持続可能な状態にしていけたらと思っています。ミクロとマクロ、具体と抽象の往復をしながら仕事に取り組んでいます。

──営業に関する定量的な目標はありますか?

板橋北営業所の具体的なKPI、KGIとしては、1ヶ月に80件のケアマネジャーと接触し、うち5件くらいの新規利用者の獲得を目標に掲げています。

具体的な営業活動としては、事業所から半径2〜3キロ圏内の営業エリア内にある居宅介護支援事業所への訪問です。

板橋区の場合は区内全域の約130の居宅介護支援事業所に1件1件お伺いし、ケアマネジャーとの信頼関係を大切にしながら当社のサービスをご紹介し、お問い合わせいただく流れです。


──介護業界に入ってみて一番どんなことを感じていますか?

介護業界に入って感じたのは、アウケアホームが定期巡回を提供しているからかもしれませんが、利用者一人ひとりの「生きたい場所」での生活をサポートする大切な仕事だということです。

例えば、病院で「在宅は難しそう」と判断された方でも、ケアマネジャーと連携して私たちの定期巡回を利用することで家に帰れた方がいらっしゃいました。その方が「家に帰れて本当に良かった」としみじみおっしゃったんです。やっぱり、家で暮らせることの意味って、本当に大きいんですね。誰かの人生に直接貢献できる仕事だと感じ、本当にやりがいを感じています。

──とても意義のあるお仕事ですね。

また介護業界で働く方の多くは、「一人ひとりに合ったケアを提供したい」という強い思いを持って、知識や経験を積み、スキルを磨いています。でもその思いを発揮できる環境が十分に整っていないケースも少なくありません。悩みやもどかしさを抱えながら働いている方が多いのではと思っています。

私たちは、そうした思いをしっかり受け止め、働く方の介護への思いを発揮できる職場環境を模索しています。メンバーがケアについて相談、対話、プランニングし、その結果利用者さんが喜んでくれる。するとやりがいに繋がり、もっと学ぼうという意欲にもつながります。「良い環境が決して当たり前ではない」業界だからこそ、管理者として働きやすい環境を作ることにも、やりがいを感じています。

──井上さんが感じる、事業における課題はどんな点ですか?

介護度が重くなった方々が「自宅で最期を迎えたい」という強い希望を持ちながらも、その希望が叶えられていない現実があります。統計では、多くの人が最後まで自宅で過ごしたいと考えているにもかかわらず、介護度4や5の方の4人中約3人が施設に入居しています。このギャップが非常に大きいと感じています。

私たちが提供する24時間対応の定期巡回であれば、在宅生活という選択肢を広げていくことができます。しかし、非常に大きなエンドユーザーのニーズがありながら、定期巡回は介護保険全体の0.7%しか提供されていないのが現状です。
だからこそ私たちは、社会的なミッションとして、この事業を拡大させなければならない、このサービスを必要とするひとりでも多くの方に届けたいと思っています。

──定期巡回の普及にはどのような課題がありますか?

まずは定期巡回の価値をもっと多くのケアマネジャーに知ってもらうことが必要です。
また、利用が始まった後も、事業所内でのオペレーションやカルチャーを整え、適切なケアを提供することが重要です。合うケアを通じてご利用者の生活を支え、地域の関係者の皆さんからの信頼を獲得していくためには、こうした複合的な課題を解決していく必要があります。

──その課題をどう解決すれば良いと考えていますか?

アウケアホームの強みは、なんと言っても一緒に働くメンバーで、非常に優秀な介護福祉士が多く在籍しています。介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格を持つプロフェッショナルであり、経験と知識を持つ人たちが、しっかりとした基盤を作っているのがアウケアホームの特徴です。

さらに、アウケアホームでは介護業界以外から転職してきた人材も多く活躍しています。多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まり、それぞれの視点から介護の課題を解決していくことができる点も特徴です。経営や運営の視点からも改善点を見つけ、ケアの専門性を尊重しながら、全体を最適化していく。そのサイクルを健全に回すことが、私たちの課題解決に対するアプローチです。

──井上さんがスリーエスで成し遂げたいことはありますか?

私の目標は、誰もが当たり前に『人生の最期を自宅で自分らしく過ごせる社会』を作ることです。晩年は家で過ごしたい、それは誰にとっても叶えられるべき切実な願いだと思っています。同時に一緒に介護を支えてくれるメンバーが、日々誇らしさややりがいを感じながら働ける状態。両方を愚直に追求したいです。


──働く仲間の話がでましたが、どのような人たちですか?

率直に言うと、スリーエスには良い人しかいない(笑)
ポジションや職種、働いている場所に関係なく、利用者と向き合い「彼らの願いを叶えたい、一人ひとりに“合うケア”を提供したい」と、心から思えている人が多いっていうのが、この会社の良いところだと思います。

──井上さんが仕事をする上で大切にしていることを教えてください

一番大切にしているのは、自分自身がいつも機嫌よく明るく元気であることです。『健やか』というのが自分の人生において結構大事なキーワードにもなっているので、チームの元気印でいること、良い雰囲気を自らつくることを心がけています。あと率直であることもとても大事だと思っています。仕事の中で、もし気づく点があったら、自分の意見を素直に伝えること。もちろん、感謝の気持ちや、ケアの中での感動や素晴らしいと感じたこともちゃんと伝えるようにしています。

──どんな人と一緒に働きたいですか?

ビジョンとミッションを達成するために、働いている時間の中ではベストを尽くしたいし、尽くしてほしい。そのために一緒にチャレンジしたいです。でも百発百中で正解が出ることはあり得ないので、試行錯誤が続きます。その試行錯誤の中で、率直に感じたことや感謝の気持ちを共有したい。

フラットにお互いを尊重しあえるような人と働きたいと思います。一人ひとりが持っている価値観は、多様な環境の中で育まれたものなので、その違いを認め合いながら、仕事の中でお互いに切磋琢磨しあえる人だと嬉しいですね。

──最後に井上さんからこの記事を読んでいる人に伝えたいことはありますか?

僕はスリーエスに入社し、介護の仕事をしている中で、心底やりがいを感じています。利用者の願いが叶った瞬間に立ち会える。これはめちゃくちゃ嬉しいです。誰かにとっての大きな痛みに事業として貢献できて、その人の尊厳に直結するようなインパクトある日々に遭遇できる場所ってなかなかないと感じています。介護という言葉を聞くと、色々なイメージがあると思いますが、この仕事にある本当の意味でのやりがいを知ってもらえたらすごく嬉しいと思います。

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