こんにちは、mui Labインターン生のyukinoです。大学では経営学部でマーケティングなどを勉強していて、muiのInstagramを担当しています。
本連載「むいのはなし」では、mui Lab共同創業者/クリエイティブディレクターの 🌳 hirobe と、デザインのことをもっと知りたいインターン生 ❄️ yukino の2人が、「muiらしいデザイン」について対話形式で考えていきます。
シーズン1として、mui Labが掲げる6つの「Design Principle(デザイン・プリンシプル)」について、全6回にわたりhirobeさんとのお話しのなかで聞いていきます。
今回は「主張せず控えめである」について。
▼前回のお話はこちら。
《 💬 今日お話ししたことの要約 》
- 見えないテクノロジーで、生活をサポートする
- 日本の家構造に馴染むmuiボード
- なぜmuiボードは木で作られている?
- hirobeが最近出会った「主張せず控えめ」なものとは
- 日常に溢れる、不思議な発見
🌳 hirobe
mui Labの共同創業者兼クリエイティブディレクター。パンが好き。
❄️ yukino
mui Labのインターン生。大学では経営学を専攻。mui LabのInstagramも担当しています。
🧭 mui Labの6つのDesign Principle(デザイン・プリンシプル)
- 穏やかな幸せをもたらすもの
- 必要最小限である
- 主張せず控えめである
- 置かれた環境と調和する
- 溶け込み馴染むもの
- 自然の理に従ったデザイン・アプローチ
見えないテクノロジーで、生活をサポートする
❄️ yukino
今日のテーマは、mui Labの6つのDesign Principle(デザイン・プリンシプル)のうち、3つ目にあげられている「主張せず控えめである」です。まずは、どういう想いでこの言葉をmui Labのデザインの指針にしたのかを教えてください。
🌳 hirobe
製品が世に出る際、新しい機能や見た目を主張することが多いなと感じています。商品として見えなかったり、サービスの内容がわからないので、どうしても人が注目するような見える形のものになりますし、「この商品をうまく売っていこう」という売り側の理屈みたいなものが表に出ていることが多いのかな、と。
私たちはそうではなく、テクノロジーが見えない形で存在し、人と人の生活をうまくサポートしていく中で、人々の生活が豊かになっていくことが良いなと思っています。
❄️ yukino
なるほど。サービスを受ける人主体になっていけたら、ということですね。
🌳 hirobe
そうですね! 知らず知らずのうちにサービスの恩恵を受けていれば、サービス自体は見えたり形がある必要はなくても良いのではないでしょうか。
muiボード製作秘話!天然木である理由とは
❄️ yukino
muiボードは木でできてますし、生活に馴染むビジュアルで、まさに「主張せず控えめ」なのですが、その中で特に、その「主張せず控えめ」を意識したポイントを教えてください。
🌳 hirobe
まず、部屋の壁に取り付けて使うということを考えていました。
当時、部屋の中で使われてる素材で作ると空間に馴染むのではと思い、選択肢として浮かんだのが木、ガラス、石、布です。
❄️ yukino
その中で木が・・・!
🌳 hirobe
プロトタイプを作るなかで木が選ばれました。
選んだときに考えたのが、日本のおうちの構造です。柱、和室にある長押(なげし)や手すりなど、木の素材で、家の中にくっついているものありますよね。家を作る上で必要であったり、装飾であったりしますが、これらは特別な形ではなく、“そのまま”なんです。ここに紛れ込まないかな、と。
まずは部屋の中に物があって、それが見えなくなる。存在感を極力消すためには、家の中と同じ素材で紛れ込むような形であるといいのではないかなと思って作ってましたね。
他の素材でも同じ形で作ってたんですけど、やっぱり家の中にかけたときに、一番空間に馴染むのは木でした。
❄️ yukino
ちょっと思ったのは、石やガラスは冷たそうですね。温度的にも冷たそうですし、見た目も洗練されすぎて温かみは感じないです。
🌳 hirobe
たしかに。手で触れるものですもんね。
❄️ yukino
布は汚れそうです。管理が大変そうだなと思いました。
形も“そのまま”の意識で作られたのですか?
🌳 hirobe
そうですね。特別な形ではなく、既にそこにあったような形を意識していますね。
❄️ yukino
横長という発想はずっとありましたか?
🌳 hirobe
そうですね。文字を出すっていうことを最初から考えていたので。
ディスプレイとして文字を出すときに、四角にすると何行も書けるんですけど、横長が部屋の中での収まりが良かったので、最初から縦よりは横で考えてました。
最近出会った「主張せず控えめ」なもの、教えてください!
❄️ yukino
hirobeさんが最近主張しすぎてなくていいな、と思った物や人などありますか。
🌳 hirobe
現代アーティストの今村遼佑さんの作品です。付き合いの長いアーティストさんで、2020年、夷川サローネというイベントをした時に、今村さんと一緒に作品を作ったことがあります。
滋賀県の西安造形大学で今村さんの展示イベントがあったので行ってきたんですけど、作品を見つけられなくて。
❄️ yukino
作品を見に行ったのに、ですか!?
🌳 hirobe
はい(笑)長らく今村さんのことを知っているので私なら見つけられると思っていましたが、どこにもなくて。場所を確認するとそこは確かに通り過ぎていました。
❄️ yukino
面白いです。どういった作品ですか?
🌳 hirobe
インスタレーションをされている方で、静かな空間の中にいろんな小さなものが置かれています。空間に入った瞬間は何があるか見えなくて、いればいるほど、揺れや光などいろんなものが見えるんですよ。
主張をしない表現ですが、でもそこにすごく細やかな今村さんの思いが感じられます。個人的に、受け取り側次第で自由にいろんなことを考えたりできるっていうのが今村さんの作品だと思っていて。
主張してないけれど、根本的にはしっかりとした主張があるっていうのが素晴らしい作品だなと思っていつも見てます。
❄️ yukino
調べてみましたが、プログラミングとかも使ってらっしゃるそうで、それもまた面白いですね。
🌳 hirobe
そうですね。ちょっとしたプログラミングを使って、自然現象をそこに投影するというか。小さなLEDを使って、木漏れ日の揺らぎを表現されているんですけど、それが本当に自然物が光ってるように見えます。
❄️ yukino
見つけるのは難しいかもしれないですけど、その分見つけたとき嬉しいですね。
hirobeとyukinoが心躍る、思いがけない発見。
🌳 hirobe
今村さんの作品は、虫やお花と同じ類かもしれないです。
いつも通っている場所で、いつもなかったものに気付けるとか、何かを見つけようと思って見つかったときに良さを感じますね。
❄️ yukino
私は、街中で色の被りとかを見つけることが好きです。
例えば、近所に壁がオレンジ色のリサイクルショップがあって、そのお店の駐車場にオレンジの車が停まってて、すごく嬉しい瞬間でした。
🌳 hirobe
そこにオレンジのパーカーを着たおじさんが通ったらもう奇跡ですよね。
❄️ yukino
心躍りますね!私にとってはただの通学路ですし、急いでいたらおそらく何も気が付かなかったと発見だと思います。でもゆっくり歩いてたから気づけた嬉しいことで、その嬉しさが同じ類かもなと思いました。
🌳 hirobe
そうですね!全く関係ない物の色のトーンが一緒だったりすると、奇跡みたいな感じで、すごく不思議な感じがしますよね。
❄️ yukino
不思議です。こういう不思議さを大切にしたいです!
次回、第4話「《置かれた環境に調和する》って?」につづく。
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