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入社から1年半で執行役員に。女性CPOのキャリア

矢部あすか(やべ あすか)

 執行役員 CPO

千葉県出身。兄のいる妹。千葉大学共生応用化学科卒業
前職は花王の化粧品部門。2020年7月より現職。
セールスのメンバーとして入社し、セールスのマネジメント、コンサルティング部署のマネジメント、人事のマネジメントを歴任。営業とコンサルティングの経験を活かし、顧客理解が最も重要であるvertical SaaS分野で強みを発揮し、PdMを経て2024年にはCPOに就任。




AIプロダクト開発に挑戦する経緯


橘:矢部さんは現在AIをとり入れたプロダクト開発をされていますが、もともとAIについて詳しかったのしょうか?


矢部:現在私は飲食店むけのAI SaaSプロダクトの開発をCPOとして進めております。弊社のターゲットは地方の飲食店オーナーさん。こういったAIに対して抵抗の大きい方々にも使いこなしていただけるAIツールを作らなければ、今後の日本の飲食店業界はどんどん厳しくなっていきます。それは人材不足が加速し、原材料費の高騰もしているからです。だからこそ一刻も早くクライアントさんに届けねばと開発に取り組んでいます。

ですが、元々AIに詳しかったわけではありません(笑)会社を成長させるうえでも、クライアントさんの手間を省くためにも、SaaSは必須だと思っておりましたので、そこについての勉強はしていたつもりですが、AIはいずれもっと身近になってからかなと思っておりました。


橘:そこからなぜAIに興味を持たれるようになったのでしょうか?


矢部:きっかけは忘れもしない、2024年5月14日です。chat gptの最新モデルであるGPT-4oがリリースされたことです。

今までは、ただのものを調べる延長でしかchat gptを使用しておらず、その精度もまぁまぁだったところから5月に大幅に変わりました。chat gptでできる物事の幅が一気に広がったなと思い、ここに乗り遅れずにいかねばと思ったのです。


橘:それがきっかけだったのですね。今では日常の業務でもAIをつかわれているので全く詳しくなかったというのは想像がつかないですね。では、そもそも矢部さんは弊社になぜ転職しようと思われたのでしょうか?


矢部:そうですね。社長にお誘いいただいたことがきっかけです。そこから会社のビジョンなどを聞かせていただき、この会社はこれからの時代をかえるくらいのことをする会社になりそうだと直感的に思いました。そして二つ返事で転職を決めました。おそらくそれまで大手で穏やかすぎる日々を過ごしていた私には、時代を作ることができるかもしれないことにワクワクし、とても刺激的だったんだと思います(笑)そんなこんなで転職しました。



未経験だらけの激動の日々


橘:転職されてからは、前職とは全く異なることをされてきたと思うのですが、今振り返ってみるとどのような日々でしたか?


矢部:転職してからは怒涛の日々でした。アンビエントナビ初めてのセールス社員として入社したため、マニュアルも何もない中で未経験の営業。本を読んだり社長のアポイントを見たりしてとにかく研究しました。これがベンチャーか、と思いました(笑)

ただ、洗礼を受けつつも自分でチャレンジできることが楽しいというのは初めて知りました。元々失敗が怖いタイプで行動が遅くなってしまいがちでしたが、ベンチャーにきている以上挑戦と失敗は当たり前だということや、いかに次に早くいかせるかが重要だと気づき、どんどん世界が広くなる感覚がありました。



橘:世界が広くなる感覚って大手ではなかなか得られない感覚でしたよね。矢部さんは、アンナビ入社して多くの部下を見てこられたと思うのですが、マネジメントも大手では若いうちからは経験することがあまりなかったと思います。


矢部:その通りで、マネジメントも未経験のためとても苦戦しました。自分自身は当時1年間で1億2000万円の売り上げを獲得するくらいセールスとして努力しました。ただ、自分の営業力を伸ばしたい一方でどんどん増える部下。自分の売り上げをできる限り担保しながら部下の教育をどうやるべきなのか常に悩んでいました。

いまでは、仕組み化によって教育も属人的にしないことが重要という考え方ですが、当時は全て1:1のコミュニケーションで部下へのフィードバックを行っていたのでとにかく時間がない。そしてどんなに時間をかけてフィードバックしてもその場だけの会話になり、次のアポイントからすぐにいかせる人は一部なので部下に売り上げがつかない。


橘:でも、当時コロナ禍で売り上げが低迷している飲食店さんにとって、SNS運用代行は需要があったはずですよね。


矢部:私自身も、サービスが飲食店さんにとって良いものだという自信はありました。それなのに売れずに悩んでいました。そこで作ったのがマニュアルのような「ドリブン」というもの。営業アポイントの構成要素を目的ベースで全40,000字以上で解説しているものです。そしてメラビアンの法則を意識して、文字だけでなく動画付きで細かなところまで理解しやすいように作成しました。


橘:弊社のドリブン!今のアポイントもこのドリブンが原点になっていますよね。


矢部:そうです。そのドリブンを元にアポイントを実施できているかのチェックシートも作成し、毎日上司がこのチェックシートを用いてアポイントに点数をつけていきます。そうすることでそれぞれ何ができずに失注しているのかを可視化することができました。


橘:定量的に可視化できるようになると、メンバーの評価もしやすくなりますね。


矢部:はい。実際、このチェックシートの点数やアポイントの数などを元に評価する評価シートを作成して、毎日タイムリーな評価がS〜Dで出てくるように設計しました。この評価シートは売り上げもプロセスも評価対象となっており、月末時点の評価のアベレージによって半期に一回お給料が変わるというという仕組みです。


橘:初期とは全く異なって、仕組み化が徹底されていますね!


矢部:おかげで、確実に部下が成長しました。今では営業未経験のインターン生でも2,3ヶ月で戦力になります。


橘:未経験の学生でも2,3カ月後には売れるようになるって、単純に考えてすごすぎますね…やはり弊社の強みはこういったところにあるとお考えなのですか?


矢部:そうですね。いわゆる「アンナビの競合優位性は?」と聞かれた時に自信を持ってたくさん挙げることができる一つに、この営業の徹底した仕組み化があると思います。ここまで営業というものを分析して仕組み化している会社は日本にはないのではないかと自負しています。また、現在は生成AIを活用した仕組みのDX化にも取り組んでいます。

このようにビマチェリタを元に部下が成長することで組織もどんどん大きくなりました。

また、ありがたいことに入社1年半で執行役員になることができました。


橘:入社1年半で執行役員はスピード出世ですね(笑)


矢部:前職では絶対に経験できないことだと思います。アンナビではこれまで、マーケティング事業部でコンサルタントも経験し、人事でインターン採用や中途採用にも携わることができました。そして今は新規事業の立ち上げもさせていただいています。



新規事業への挑戦


橘:最近ローンチした新規事業にも関わっていらっしゃいますが、元々何か新しく物事を生み出すのが好きだったのですか?


矢部:全く(笑)むしろ逆で、自分は0→1が得意ではないタイプだと思っていました。ただ、セールスやコンサルタントとしてクライアントさんとお話している中で、飲食業界における様々な課題を目にしました。

飲食店について知れば知るほど課題は明確になっていきますし、それに対しこれまでの事業(SNSマーケティング)だけでは解決に導くことができないもどかしい状況に何度も直面しました。


橘:サービスを売りながら、貢献しきれないことに悔しさを感じられていたんですね。


矢部:せっかく「人生かけて矢部さんにお願いするよ」と言ってくださって売り上げUPのお手伝いはできても、その方の夢に向かってのお手伝いはできませんでした。サービスとしてもchurn rateは毎月改善はみられますが、まだまだ目指すべき水準までは達していません。このままでは10年以内に時価総額1000億という会社の目標も、「AIの力で、あなたの大事なお店が潰れない社会をつくる」という事業理念の実現も難しくなると感じていました。


橘:そこで登場するのが今回の新規事業、ということなんですね。


矢部:はい、会計コンサルティングに注目しました。


悲しいことに飲食店さんはよく突然閉店します。その背後にある理由は明確で、飲食店さんは会計の管理がタイムリーに行われていないことが多いからです。気づいた時には、時すでに遅く、閉店を余儀なくされるということが嘘のようですがあるあるなんです。

アンナビnote


橘:たしかに、私の近所のお店も、急に閉店の貼り紙を出すところがあって驚いたことが何回かあります。つまり、原因は資金繰りが不透明なことなんですね。


矢部:だからこそ飲食店さんの資金繰りを透明化することの重要性に気付きました。そのために会計コンサルティング事業を立ち上げ、本当の意味で「AIの力で、あなたの大事なお店が潰れない社会をつくる」を実現させます。そしてこれからは人件費削減やCRMとしてのモバイルオーダー「パパモ」などを含めてプロダクトを積極的に開発していく予定です。



アンビシャスと今後の生き方


橘:アンナビでは全員アンビシャスという、簡単に言えば目標を掲げています。矢部さんのアンビシャスについてお伺いしてもよろしいでしょうか?


矢部:今まで私は、セールス→コンサルタント→人事→事業部統括→新規事業、と挑戦させてもらっています。そんな私のビジネスアンビシャスは「女性には難しいだろうという全レッテルを剥がす」です。自分が何をしたいかというよりは、働く女性に、私のように様々なキャリアの可能性を見せてあげられる人になりたいと思っています。

私の母は「趣味は子育て」というくらい、私たち兄妹に全ての時間をかけてくれるような専業主婦でした。そんな母親に憧れていたのもあって、前職時代はいずれは専業主婦になりたいと思っていました。ですがこのように急成長しているベンチャーで挑戦する機会を得た今は、ビジネスにおいても様々なことにチャレンジしてみたいと思っています。

今でも見える世界がとても広がりワクワクが増えたので、もっと世界を広げるための挑戦をしていきたいと思いますし、この体験を女性だからという理由で諦めてしまう人をできる限り少なくしていきたいです。


橘:せっかく選択肢があるのに、それを「女性だから」という理由だけで潰さなくて済む世界になったら素敵ですね!仕事に限らないアンビシャスは何ですか?


矢部:社内ではそのアンビシャスを「ワークライフアンビシャス」と呼ぶのですが、私のワークライフアンビシャスは「楽しく活かされて生きる」。楽しく生きていけたらいいやと思っていましたが、せっかくならば周りの人に活かされる優れた人でありたいなと思うようになったのでこのように掲げました。だからこそどんな状況であろうと常にワクワク楽しんでいる人でありたいですし、それをかなえられる環境を自分でつくり出すことができる人でありたいと思っています。


橘:ワクワクに飛びこむだけでなく、ワクワクを自分でつくり出せる人にもなる、ということですね。ありがとうございました!



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