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こんにちは。
多摩美術大学統合デザイン学科卒のうすいです。
私は、美大生×デザイナー長期インターンという二足の草鞋だった大学生活を経て、最終的に総合職(ディレクター)としてセブンデックスに就職しました。
最初から総合職として就職するぞ!と決めていたわけでもなく、総合職とデザイナー職の就活を並行させつつ、終始自分のモヤモヤと闘っていた就活時代。
そこから、ようやく社会人として働き始めてはや一年。
改めて、自分の思考を引っ張り出してみたので、「ほ〜ん、おもしれー新卒じゃん」って思ってもらえたら幸いです。
※ この記事には主観的な表現がとても多いですが、あくまで個人の感想と見解です。
目次
- 前提|「美大生」と「デザイナー」とは
- ① デザインという言葉が広すぎて狭すぎる故に、広義のデザインは、「デザイナー」じゃない方が機会がある
- ② 社会を創るには、資本主義社会の中で自由に泳ぐためのスキルが必要である
- ③ デザインをわかっている総合職は、希少価値が高くてチャンスを手にしやすい
- 最後に|理不尽な生きづらさを、デザインの力で無くしたい。と掲げていた大学3年生の私より
前提|「美大生」と「デザイナー」とは
本題に入る前に、この話で言及する「美大生」と「デザイナー」像を明確にするために、簡単に私の経歴や現状をお話しします。
私は昨年多摩美術大学を卒業しました。
統合デザイン学科という、現在11年目を迎える比較的新しい学科の出身です。
統合デザイン学科は自らを
「美しい社会を構想し具体化できるデザイナーを育てるため、従来のデザイン領域の区分を取り払い、統合されたデザインを起点としながら、社会や産業を構成する複雑な問題に取り組むための新しいデザイン教育の場」
と称し、グラフィックや立体、デジタルプロダクト、環境と幅広く探求する場でした。
また、私は大学2年生の時からセブンデックスでインターンをしていました。
そのため、スタートアップやベンチャーマインドへの共感やデジタル分野、コンサル文化への興味があり、就活の時は主にIT系のメガベンチャーや戦コンあたりを受けていました。
そうした経歴もあり、私がいう「美大生」とは主に「ファインではなくデザインを学び、デザインを課題解決の手法として捉えている人」であり、「デザイナー」とは「ブランディング」や「デジタルプロダクト」に関わる人が多くなります。
そのため今回の記事では、「デザインを課題解決の手段として捉えている美大生or美大出身者」の方が共感いただけるかもしれません。
そうした前提の上で、私が思う「美大生がデザイナーにならない方が良い理由」の本題に入ります。
① デザインという言葉が広すぎて狭すぎる故に、広義のデザインは、「デザイナー」じゃない方が機会がある
まずはじめに、デザインという言葉は、デザインを学んでいる人にとっては広く大きく雄大に見え、デザインを学んでいない人にとっては狭く小さく専門的に見える、悪魔の言葉だと思っています。
「デザイン=設計」であるという解釈に基づき日本の閉じたデザイン文化を広げていく、という近年の業界の潮流により「あれもこれもデザイン!」という理解は業界内では一般的なものとなりました。
しかしそれゆえ、業界外からしたら「それって僕たちもやってることじゃない?」「むしろカッコいいもの作ることが僕たちはできないからやって欲しいんだけど」という見え方をしているのではないでしょうか。
デザインは確かに、世の中に溢れています。
私も「すべてはデザインである」と信じています。
しかしそれを主張し過ぎたが故に、「デザイナー」の独自価値として伝えるには幅が広く、「デザイン=スタイリング」の印象を覆す定義が世の中に広まりづらくなっているようにおもいます。
デザインの世界にずぶずぶ浸かってると忘れがちになりますが、世の中の大半はデザインを広義の意味で捉えていません。
また、デザイナーが最初に責任範囲としてもつのは最終アウトプットです。
故に、
- デザイナーと名乗らないことで、望まない期待値の低下を避ける
- ディレクターのポジションにつくことで、職責として全体を見通し最適な課題解決のためにチームで共創することが求められるよう自らを追い込む
ことで、結果としては広義のデザインを考えやすい立場に立てたのではないかなと思っています。
② 社会を創るには、資本主義社会の中で自由に泳ぐためのスキルが必要である
結論私は、資本主義社会に身を置き、作品ではなく事業を作ることが、究極の「美しい世界を作るデザイン」だと思っています。
デザインには、理想から逆算して具現化する力があります。
そして私は、その力で自分が「理不尽だな」と思う社会を変えていきたいという思いがあります。
しかし、そこで美大生に不足しがちなのは資本主義との対峙です。
これは個人的な意見なのですが、美大は「お金を目的にすると本質の追求から遠ざかる」と考えている傾向が強いと思います。
「営利とか考えずに自由にものづくりができるのは、大学生の間だけだから、自由に作りなさい」と話してくれた教授がいました。
それはある意味、資本主義からの「現実逃避」だったように思っています。
(その教授はすごく良い人です)
作品として作るなら、営利のことを考えないで一人で作った方が良いものができるかもしれない。でもそれは、社会に実装することがとても難しくて一部の人たちにしか知られていないアート作品になってしまうし、そもそも一人で変えられる世界はとても狭い。
そのため、
- ビジネスの仕組みを理解し、構築できるようになる
- チームで共創し、遠くに行けるようになる
といったスキルを得るためには、その力を必然的に高いクオリティで必要とされ、触れる機会が多い総合職の方が有利だと思います。
③ デザインをわかっている総合職は、希少価値が高くてチャンスを手にしやすい
「美大で学んでいました!デザインできます!」は、デザイナーにならなくても強みです。それだけで、得られるチャンスが幾千とあります。
- デザインに関する観点や思考を持っていそうと思ってもらえること
- まだまだデザイナーがアサインされないような段階でも、ちょっとプロトタイプ的にものを作ることで議論が前に進むこと
- ものづくりまでの全体プロセスを想定した上でプロジェクトを推進できること
そうしたことは意外とレアスキルなので、むしろデザイナーじゃない方が期待値を超えやすい。
また、作ること・手を動かすことが好きで楽しい、というのはそれだけで価値になります。
※ 世の中の大半は作ること・手を動かすことへの忌避感・苦手意識があると思っています
総合職として仕事をしながらも、「デザインできるんで!」とは言い続けるし、デザイン系の仕事があればもらいにいく。
そうしたことの積み重ねが、最終的に大きいチャンスに繋がることも多いのではないでしょうか。
最後に|理不尽な生きづらさを、デザインの力で無くしたい。と掲げていた大学3年生の私より
前提、私は個々人の価値観を受け入れ、全員が作り手として自我を発揮し合う美大という環境がとても好きでした。
その上で、デザイナーとしてだと期待され切れないスキルの箇所に自身の成長余地があり、自分が作りたい未来に近づくためにはそこを成長させる必要がある。と感じて総合職就活をした3年前。
まだ道半ばですが、その判断は私にとってはあまり間違いじゃなかったかなと思っています。
最後に、この記事を書くにあたり、就活当時のポートフォリオを見返したところ、我ながらいいこと言うやん!と思ったので最後に置いておきます。
就職はしたものの、まだまだディレクターとしては超ひよこ。当時の思いを忘れずに、引き続き頑張るぞ〜〜
私は、デザイン分野も、デザインの外にも、越境し続けるUXデザイナーになりたいと考えています。
デザインは、ただ作っただけじゃ価値を提案しただけに過ぎません。
自走して継続していくことができる力をつけることで、その価値を世の中の一部にすることができます。
そのためには、デザイン以外の力が欠かせない。だから私は、デザインの外にも越境し続けていきたいと思っています。
分野にとらわれないデザインという武器で、最大多数の最大幸福を増やしていく。
これが、私が目指す未来です。
〈将来やりたいこと 2021.6〉