日本橋の土に混ざり、街の30年をつくっていく / 甫足賢人 | 株式会社Staple
はじめまして、日本橋エリアマネージャーと、2025年に日本橋・人形町で新規オープンするホテルのジェネラルマネージャー(GM)を担当している、甫足賢人と申します。甫足賢人|Kento Hoashi...
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こんにちは。日本橋のエリアマネージャーを担当している、甫足賢人と申します。
2025年夏のホテルオープンに向けて、少しずつ完成する施設イメージの解像度が上がり、仲間も増えてきました。このnoteでは、今回の開発のコンセプトとなっている「路地裏園芸」についてより詳しくお伝えしつつ、ここで働く醍醐味について書きたいと思います。
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SOIL Nihonbashiのコンセプトについて、さまざまな案を考える中で大事にしていたのは、このまちで僕らが何をしたいという想いのみでなく、そのコンセプトの中に人形町の「誰か」の暮らしが垣間見え、コンセプトの中から人の営みが浮かび介在するようなものを定めていくという事でした。それが一気に見えてきたのは、武田清明建築設計事務所や礎コラムの皆さん、そしてStapleの建築デザイン担当である川口さんとホテルの植栽デザインを決める議論の際でした。
初めは日常ではあまり目にしない西洋植物で固め、分かりやすくおしゃれな空間作りをしようとしていました。しかしそうではなく、まちの中にある「路地裏園芸」を一部取り入れようという話がふと出てきて、「いっそ一部に取り入れるのではなく全ての植物を人形町に住まう方々が育てている樹種に絞って植えては?」というアイデアに発展した瞬間に、会議室にいたみんなの体温が1度上がるような感覚があったのを覚えてます。
しかし会議室で出た言語やビジョンだけでは、表層的な人形町らしさかもしれず、実際のまちの雰囲気や樹種を検討する必要があると考え、チームの全員に加え植栽の専門家チームとまちの路地裏園芸にどの様な植栽があるのかの調査を行いました。
人形町をまち歩きし実際の場所と植栽をプロットした路地裏園芸マップと植栽樹種
これまでも何度も訪れたことのある場所ですが、日本橋・人形町を改めて歩くと、、玄関先に並んだ鉢植えや、ベランダのプランター、小道の片隅に咲く花々...どれも派手さはないけれど、この地域ならではの工夫があふれていて、人形町ならではのオリジナルな暮らしが見えてきました。日本橋という東京中心部では地植えが難しく、プランターや鉢を使って植物を育てる姿に、都会の日常ならではの人の手を介した自然の温かさを感じました。
路地裏園芸調査でまちを歩いて見た時にとても驚いたのが、植物の種類が100種類もあったという事。そして同時に、一定の植物がどの家でも見られることで、実は路地裏園芸を通じて「株分け」を皆さんされていたという事でした。
都会だからこそプランターで育てる必要があり、プランターだと成長の限界があり株分けという行為につながり、その株分けによって近隣同士の交流につながっていたのです。、路地裏園芸は単なる都会にあるオアシス的な緑という事ではなく、まちのコミュニケーションツールになりながら暮らしにそれが浸透している、このまちにとってのインフラなのだろうとわかった時に、より一層この考え方がSOIL Nihonbashiにもぴったり合っているような気がしたのです。
インフラとしての路地裏園芸は、SOIL Nihonbashiに不可欠なものになりそうだと強く感じています。レモンを育ててる方と立ち話をしながら、「去年は1つしか実らなかったけど今年は3つも実ったよ。」と言いながらレモンを渡す風景を見かけたり、僕もたまたま仲良くなった地域の方から植物をいただく機会が増えてきて、オフィスで植物を育てながら日々まちの皆さんとやり取りをしてます。
そしてこのインフラは地域の方にしか出来ないものではないと思っており、、このまちを訪れる方、もとよりこのまちに泊まる方も、僕が日々交わしているような会話や関わり方を路地裏園芸を通じながらできる。SOIL Nihonbashiはそんなホテルにしたいと思ってます。
たとえばホテルの一階にはピッツェリアをつくるのですが、ピザを通じてこのコンセプトを体現できると考えています。
ホテルで育てたハーブを宿泊者や住民のみなさんと一緒に収穫して、その場でピザにのせ料理を楽しむ事ができたり、植物が媒介になって、人と人との輪が実際に広がる機会がつくれると思っています。
さらにはピザはどんな具材でも美味しく1枚にまとまり、国を越えたあらゆる産地の肉も野菜も魚も、どんな食材であっても混ざり合う食べ物です。それは地元野菜と海外産のチーズとそのレストランで発酵させた生地とが調和する事であり、まさにぼくたちがホテルを通じて表現したい世界でもあります。
地域の方も宿泊者の方も、さらに海外のお客様も、この1つの場を通じて調和し混ざり合う場にしたいと考えています。
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工事中の現場
路地裏園芸で植物をやりとりするように、開発においても「手触り感」を大切にしたいと思わされます。土のひんやりした感触や、葉っぱに触れたときのちょっとしたざらつき。そんな指先の感覚が、僕たちと自然をそっとつないでくれる瞬間なんですよね。でも、都会の中で大自然そのものを感じるのは、やっぱり難しいところがあります。自然には自然だけの特別な魅力があって、それは実際にその場に行かないと味わえないものだからです。
でも、だからこそ、このホテルが自然に思いを馳せるちょっとしたきっかけになれたらいいなと思います。ここで緑に触れて、人形町の魅力を感じるだけでなく次の旅先を考えるきっかけになる場所になれたら。そのため、植栽をふんだんに取り入れるだけでなく、ドアノブに石をそのままの形で使用するなどの自然を感じる工夫を随所に施しています。そうした場で過ごしていただくことで、たとえば「来週は奥多摩の森で深呼吸してみようかな」とか、「もっと遠くまで足を伸ばして山梨や北海道の自然を感じに行こうかな」とインスピレーションを与えられるような存在になりたい。そうやって、ここでの体験が次の行動のスイッチになったらと思うと、なんだかワクワクします。
土や葉っぱを見て、触れて、香りを楽しむ時間。その感覚が、ほんの少しでも日常を変えるきっかけになればいいなと。ここでふとした瞬間に得た気づきや刺激を持ち帰って、次の週末にちょっとだけ行動が変わる。それが新しい旅につながったら、とても嬉しいです。
SOIL NihonbasiのGMは、ここまで書いてきたようなStapleとしての想いをゲストにどのように伝えていくか?ということから考える醍醐味があります。ホテルの“中”だけでなく、まちと接続しながらホテルを“広域”で捉えて運営していくことを楽しめる方は、きっとやりがいを感じていただけるはず。
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ピザを通してゲストとまちをつなげるような、日本橋・人形町らしい、そしてSOIL Nihonbashiらしい場所を作っていきましょう。
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