鈴木 慎一郎 | SHINICHIRO SUZUKI
timsum / マネジャー/ ソムリエ
福島生まれ。地元福島の「Curry Dining Bar笑夢」でシェフとしてキャリアをスタート。その後、株式会社Backpackers' Japanの「toco.」「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」で宿泊と飲食の運営に携わる。
2020年瀬戸田に移住。現地に根付き、ローカルの中と外を繋ぐ役割を担う。「SOIL Setoda」の開業準備から運営を構築し、マネージャーを務める。地域の発信を担うことで、尾道観光大使にも任命。2024年3月に東京/日本橋 「timsum」に異動し、現在はtimsumのマネージャーに就任。
福島大学経済経営学類
地元のカレーダイニングのカウンターで、街の人とつながる
福島県で生まれ育ち、20歳の時に東日本大震災を経験しました。震災をきっかけに、地域や地元、そして人とのつながりの大切さを深く実感するようになりました。その後、福島市にあるカレーダイニングバー「Curry Dining Bar笑夢」で働き始め、カレーシェフとしてキャリアをスタートしました。
カレーを選んだのは、単に料理が好きだからだけではなく、「カレーコミュニケーション」というコンセプトを掲げるお店のスタッフさん達に強く惹かれたからです。カレーを通じてお客様や地域と自然に繋がり、その場所が交流の場となることが私にとってはとても魅力的で、カウンター越しにお客様と会話をしながら、地域との関わり方や人とのつながりについて学んだ3年間は、今の僕を形作る大切な経験でした。
その後、大学時代の先輩たちが立ち上げたBackpackers' Japanに転職。学生時代には先輩たちとの面識はなかったのですが、私が働いていた「Curry Dining Bar笑夢」のことを皆さん知っていて、あのお店の雰囲気を作ってきた人なら、と共感してもらえたことがきっかけで東京での新しい挑戦へと繋がりました。
Backpackers' Japanでは、同社が運営するホステルに約3年半住み込みで働き、さまざまな人々と出会い、つながりを築いていきました。特に海外からのお客様が多く、英語を話せなかった私にとって大きな刺激をもらう日々でしたね。次第に海外に興味を持ち、オーストラリアでワーキングホリデーを経験。帰国後に、当時Backpackers' Japanの役員を勤めていた岡さんとの縁で、Stapleに入社することになりました。
瀬戸田に移住、「しおまちブラザーズ」に
Stapleに入社したのは2020年、コロナ真っ只中の時期でした。都市部での活動に制限がかかる中、瀬戸田で進められていたプロジェクトに参加することになりました。瀬戸田には縁もゆかりもなかったのですが、移住してみるととても心地よく、約4年間を過ごすことになりました。気づけば、瀬戸田は私にとっての第二の故郷となっていました。
瀬戸田での最初のミッションは、地域の方々との関係を深め、信頼関係を築くこと。尾道市との共同企画で行われたワークショップを続けながら、地元の人たちの飲み会などにも積極的に参加し、外から来た私たちが受け入れてもらえるよう、さまざまな活動を行いました。
この取り組みの一つとして、瀬戸田のエリアマネージャー、小林亮大と“自称アイドルユニット”として(笑)「しおまちブラザーズ」を結成。地元の学校で講演を行ったり、海の家でお手伝いをしたりしながら、地域の人々と共に暮らし、その魅力を発信していきました。
timsumを、Stapleが関わる地域のハブにしたい
現在は瀬戸田から東京に戻り、日本橋にある角打ちのできるワインショップ「timsum」のマネージャーを務めています。timsumは、ただのワインショップではなく、瀬戸田の檸檬焼売やクラフトビールなど、Stapleが関わる地域のプロダクトも並べており、さまざまな地域を繋ぐ拠点としての役割を果たすべくスタートしたお店です。
Stapleは他にも多くの飲食店を運営していますが、timsumは特に地域同士を結びつけるハブとしての要素が強い場所。
だからこそ私がここで大切にしていきたいのは、Stapleが掲げる「地域とのつながり」をしっかり目に見える形で根付かせること。なので、瀬戸田のレモンを使った焼売など、地域の素材を活かしたメニュー作りにも力を入れています。瀬戸田での4年間、地元の人たちと深く関わる中で、「店をやるなら、地域と一緒にやっていきたい」と強く感じました。その経験があるからこそ、timsumでも地域に根を張って、地元の方々と一緒に歩んでいけるようなお店にしたいと思っています。
そしてもう一つ力を入れていることが、「ナチュラルワイン」の敷居を下げること。timsumでは、肩肘張らずに、ふらっと立ち寄ってワインを楽しんでもらえる場所でありたいです。ワインに詳しい必要はなくて、ただ「ちょっと飲んでみたいな」と思ったら気軽に手に取ってもらえるようなお店にすることが一番の理想です。お客様と会話しながら、新しいワインとの出会いや、そこから広がる会話が生まれたら嬉しいですね。
この頃は常連さんも少しずつ増えてきましたし、遠方からわざわざナチュラルワインを求めて来てくれるお客様もいらっしゃいます。特に嬉しいのは、SOIL Setodaに泊まったことがある方が、その繋がりでtimsumに来てくださるケースがけっこうあること。地域をつなぐ拠点になっていく可能性を感じます。「また来たい」と思ってもらえる場所になりたいですし、自然とお客様同士やスタッフとの会話が生まれるような、温かく居心地の良い場所にしていきたいです。
ワインとは、その土地を表現する作品である
ワインを語る際に、テロワールという言葉がよく使われます。テロワールとは、ワインの原料であるブドウ畑の「土地の個性」のことを指します。ワインの原材料はブドウのみであるため、ブドウの味わいがワインの仕上がりに直結します。また土地ごとに、そこで実ったブドウの味わいにはその土地の個性が強く反映されており、その土地で実ったブドウのみを使用したワインはその土地の名を冠していたりします。
ワインとは、その土地を表現する作品なのです。
ソムリエである私の大事な仕事は、その作品をプレゼンすることだと思っています。
ワインの味わいを伝えることはもちろんのことですが、そのワインが作られた場所の特徴や魅力、その場所で生活をする作り手の想いや背景などをしっかり伝えていくことを意識しています。
Stapleは様々な地域でその土地の魅力を表現しています。今後は各地域に足を運びながら、その土地のテロワールも探求していきたいと思っています。
「街のワインセラー」になりたい
そんなワインと土地のつながりへの思いも持ちつつ、timsumで働いていて一番嬉しいのは、お客さんにワインを紹介して「美味しい!」と喜んでもらえる瞬間です。ナチュラルワインのお店は増えていますが、timsumでは、人気の銘柄だけではなく、他ではあまり見かけないワインも揃えるようにしています。こだわりの珍しいワインに出会うことができますよ。
最近嬉しかったのは、近所に住む男性が、奥様に「オムライスに合うワインを買ってきて!」と頼まれて来店されたこと。日常の食事にも気軽に寄り添えるお店を目指す自分の理想に近づけたと感じました。地域のハブになることはもちろんですが、「街のワインセラー」としても認識してもらえたら最高ですね。
timsumに異動した当初は、私もワインやお店のことを学ぶ立場でしたが、今では教える側になり、責任を感じながらも自分の成長を実感しています。お客様との出会いや会話が日々のモチベーションになり、ワインを通じたコミュニケーションが、私にとって大きなやりがいです。
このnoteを見た方も、ぜひ気軽に遊びに来てくださいね!
timsum店舗情報
▶︎OPEN
月〜金 PM4:00〜PM11:00
土日祝 PM1:00〜PM9:00
▶︎ PLACE
〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町1−2 SOIL Nihonbashi 2nd 1F
営業時間
▶︎ ACCESS
東京メトロ日比谷線 / 小伝馬町駅 徒歩3分
JR総武本線 / 新日本橋駅 徒歩4分
東京メトロ銀座線 / 三越前駅 徒歩7分