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30年先を本気で考えられる組織へ / 鈴木和師

こんにちは。Stapleの経営企画室でマネージャーを担当している鈴木和師です。このnoteでは私の担当する仕事の内容や大切にしていることをお話しします。

鈴木和師  |  KAZUSHI SUZUKI
東京都神津島出身。祖母が旅館を営んでいたことから、幼い頃より宿泊業界に興味があり、株式会社水星に入社。北海道で住み込みでホテルマンを約2年間経験した後、京都へ移り宿泊事業者向けSaaS『CHILLNN』の事業開発と推進を担当。
Stapleへは、経営企画という複眼的な思考が求められるチームで会社全体に関われること、ゆくゆくネイティブアプリケーション開発などのIT領域参入の可能性があることの2点に惹かれ、入社。
将来は地元だから表現できるような宿を神津島で営み、その宿を軸に好きな人達と好きな仕事をし続けられるような動きをしたい。

漁師町の小さな宿での原体験

東京都の神津島という人口1500人ほどの小さな漁師町で育ち、祖父は漁師、祖母は民宿を営んでいました。夏は一番の観光シーズンなので、夏休み限定で親戚総出で手伝うような毎日が子どもの頃の日常でした。15歳で島を離れ、本土の高校と大学に進学し、将来について考え出したときに、民宿の閉業のニュースを母から聞きました。それまでは島へ戻る選択肢は全くといっていいほど考えていなかったのですが、僕の中で島と結びつく日常がなくなることに強烈な寂しさを感じ「そうならない未来はどのようなことをすればよかったのか」を知るために、ホテル業界へ進むことを決めました。
そして大学卒業後、株式会社水星が運営する北海道のホテルにて住み込みで働きながら、地域に根付くホテル業務を一から学びました。小学校1年生から続けたサッカーとフットサルで培った体力を武器に、客室清掃やフロント対応はもちろん、温泉掃除や配膳、地域付き合いなど、部門を跨いで駆け回る毎日を過ごしていました。

そんな充実した毎日を過ごす中、コロナに直面したことで、どうしようもないホテルの閉業期間と再開、その後のお客様が来ない苦しさなど、いちホテルの限界を感じる大きな局面に対峙しました。
その一方で、グループ会社でホテル向けの予約システムを立ち上げるというプロジェクトが走っており、同じマーケットではあるので、別の苦しさがあったのですが「閉業をしない未来をつくる」問いにより大きな範囲で答えられるのではないかという思いで、そちらのチームへ移籍することに。

ここから約4年、京都で過ごしました。全く触れたこともない領域での挑戦だったので、使用する言語から働き方、求められるスキルなど全てが異なる環境の中、全国の宿泊事業者と接しながら、システムを通じてホテルの課題解決に取り組みました。僕の中で、このCHILLNNでの経験が自分の世界を広げてくれたターニングポイントだったので、全ての巡り合わせに感謝しています。
しかし、システムを通じて多くのお宿さまと話をしながら、プロダクト価値を最大化することを至上命題として動いていく中で、自分が1番解きたかった「廃業しない未来はどのようなことをすればよかったのか」という問いに対して、現場と離れすぎてしまったことで、当事者意識を欠いている自分に危機感を覚えていました。改めて、もっと現場に深く関わり、オペレーションスタッフと直接触れ合いながら、課題解決に取り組みたいという思いが、次第に強くなっていきました。

そんな中、前職の事業を通して岡さんのことを一方的に知っていて、ソフトディベロッパーというスタイルを実際に聞いてみたいという興味から、XでDMを送ったことが、Stapleとの最初の接点でした。お話を聞いてみると、ハードのみの開発に留まらないソフトディベロッパーという展開方針や、それだけでなく地域間をどのように繋げていくかという切り口でのIT領域への参入可能性など、自分がやりたかったことに対して、満遍なく向き合える環境に大きな魅力を感じ、入社する運びとなりました。

当時、面談後に書き殴ったメモ

経営企画の仕事とは?

現在、Stapleは徐々に成熟してきた事業と今後たくさんの新規拠点ができていくフェーズで、メンバーもかなりのスピードで増え、多くのチームやPJTが同時に進んでいます。そこで、「対Staple」を全面的にサポートをするチームとして新設された代表直轄部隊が経営企画室となっております。「経営企画の仕事とは?」というと明確な定義はあるかと思いますが、干渉する領域が広い分、会社によって色々在り方があっていいと捉えています。

企画〜運営まで全ての機能を自社で持つStapleならではの経営企画の在り方を考えた末、「点」「面」「司」の3つの機能を設けました。

「点」の業務は、既に運営をスタートさせている事業を対象に、それぞれが安定化に向かうまでの道のりを共に伴走し、全面的にサポートを行う機能です。
「面」の業務は企画や開業前フェーズで必要な各チームや事業部全体を対象に、パフォーマンス最大化のため、体制整備や新制度設計、HR的サポートやインナーアウター両面のコーポレートブランディングなど仕組みづくりや会社としての発信を行う機能です。
「司」の業務は、未来を対象に、会社としてのビジョンを可視化したり、新規事業や新規案件の組成、新チームの設置など大きな意思決定を行う機能です。
以上の3つの機能を以って、バックオフィスチームと共に会社を下支えしているチームです。

若干冗長な表現ではありますが、各機能を担うメンバーのマインドセットとして、よく「攻(blast=発火)」「守(cultivate=耕す」という表現をしています。意味合いとしては、売上を伸ばすためのマーケティングやセールスの支援のような「攻め」の要素もあれば、社員やアルバイトが長く気持ちよく働ける制度を整えたり、働きやすい環境を作る「守り」の要素もあるので、それぞれが両面のパフォーマンスが意識できるような環境を構築しています。

この数ヶ月、この領域にどっぷり浸かってみての大きな発見と気づきは、経営企画のすべての仕事の共通項は、そこで働く人のことを考えるところから始まるということです。皆が、気持ちよく働けるような環境を整えることが大きなミッションだと思ってますし、ただ数字を追いかけるだけではなくて、みんなが充実感をもって成果を出せるような環境にしていきたいですね。
そんな想いから、面の業務の重要な側面を担う「戦略人事」の役割も自分に課しています。Stapleが目指すのはトップダウンのヒエラルキー組織ではなく、それぞれが主体的に楽しく動くティール組織なので、そこに向かうための航路を探り続けていけるチームでありたいです。

大切にしているのは「当事者意識」と「接客へのリスペクト」

日々の仕事で大事にしているのは、まず「当事者意識」を持って取り組むこと。経営企画というポジションは、単に経営方針を決定したりプロジェクトやチームを調整するだけではなく、自分にその事業のオーナーという人格を憑依させて、一つ一つの業務に向き合うことが求められます。
コスト管理や収益改善の課題に向き合う時に「自分が資金を投じているとしたらどうか?」という感覚を持つと、その意思決定に責任が芽生えるし、再現性を求める姿勢を作れると思っています。

そして、もう一つ大事にしているのが「接客へのリスペクト」。経営企画の仕事は、直接的にお金を稼ぐわけではなく、主にサポート役が業務の割合の多くを占めています。そのため、自分が直接的に顧客に商品やサービスを提供する機会は無いので、日々お金を落としてくれるお客様に向き合っている現場スタッフや多くの場所からその場所を選択してくださるお客様に対して深いリスペクトを持つことを心掛けています。

30年先も一緒に歩んでいける仲間でありたい

転職が当たり前な時代ですが、特にホテルなどのサービスの現場で働くオペレーターは2〜3年で転職する人が多い業界です。
でもそんな時代だからこそ、現在のメンバー全員が30年後も一緒に働いていたら最高だと思っています。もちろん、皆それぞれのキャリアを描くので関わる形は変わっていく前提ですが、個人の歩みと会社の歩みが噛み合った未来では、別の業種にチャレンジしてみたり、尖らせたいスキルを伸ばしてステップアップしたり、住みたい場所を見つけて移住してみたり、そうやって誰もが長く安心して働けるような繋がりを持ち続けている景色が広がっているのではないかと妄想してます。
そういう組織が、メンバーにとっても会社にとっても理想的な形なんじゃないかなと。その理想を本気で追い求めたいです。押し付けず、あくまで選択肢として。

僕は、Stapleを通して、対メンバーと対地域の両面で徒歩圏内のご近所の30年先を本気で考え続けたいですし、それが民宿閉業のニュースを聞いた21歳の自分が問うた「そうならない未来はどのようなことをすればよかったのか」に答える一番困難で一番ワクワクする道です。コツコツ進んでいきたいですね。



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