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組織を強くする「eNPS(社員満足度)調査」を自作してみた

(本記事は2020年公開の記事を再掲しております。)

はじめに
皆さん初めまして、コミューンでコーポレート部門を担当している廣野 (@hironokbnoh) といいます。

先日、CPOの橋本 (@shotahash)が「組織づくり」に関してnoteを書きました。
コミューンのスタートアップとしての実践が詰まっているのですが、簡単にまとめると

橋本の記事の要約・コミューンでは「発達指向型組織」と「心理的安全性担保」の2点を組織づくりの重要なポイントと考えている・それに起因する/結びつく形で様々な取り組みを実行してきた

今まで実際に取り組んできた施策例・Vision / Mission / Value(VMV)を制定・OKRの運用・「心理的安全性プログラム」の実施・eNPS調査およびそれに基づく改善

こうした価値観や取り組みは、2019年7月リリースのシードラウンドでの資金調達の辺りから少しずつ形成されてきました。
まだまだ若いフェーズのスタートアップの割には「組織づくり」を重要視し、時間がかけられてきたと思っています。

その理由はいろんな言葉で表すことができると思いますが、(上記、橋本のnoteの序盤にもその答えがあります)。

個人的には何より事業の継続的な成長のためだと考えています。

より具体的には「あるべき組織の姿が定められ、メンバーが客観的にするべきことを判断できる組織は継続的に成長できる」と考えています。

目次

  1. eNPS(社員満足度)調査を実施してみて
  2. eNPS(社員満足度)調査の概要と実施目的
  3. どうやって設問を設計したか
  4. 調査結果について
  5. 最後に

eNPS(社員満足度)調査を実施してみて

本記事は、これまで行ってきた取り組みの中の「eNPS(社員満足度)調査」について書いています。

いきなり結論ですが、この調査を実施したことで組織づくりのための施策へのメンバーの評価がハッキリとわかり、組織のあり方自体への意見・フィードバックをもらうことができました。

そしてその情報はコミューンの組織運営や経営判断にとても役立っていて、実施して良かった!と強く思っています。

この施策を行ってみた後、以下のような思いを持ったため、本記事を書いてみました。

本記事を執筆した理由・eNPS(社員満足度)調査という取り組み自体が広まってほしい!・今後同様の取り組みをする会社に、コミューンでの設計プロセスを役立ててほしい!・コミューンがどんな会社か皆さんに伝わってほしい!

eNPS(社員満足度)調査の概要と実施目的

この調査は40問ほどの「組織や業務に関する満足度や意見を回答する設問」と、「eNPSに関する設問」で構成されています。

「組織や業務に関する満足度や意見を回答する設問」は一般的には社員満足度調査・社員意識調査などの呼称で行われている企業が多いようです。本記事の後半でコミューンの設問例を幾つか紹介しています。

eNPSという言葉はあまり馴染みがない方もいるかと思います。「Employee Net Promoters Score」の略で、ユーザーのプロダクト/サービスの推奨度を測るNPSの従業員バージョンです。具体的には、「親しい知人や友人・親戚からあなたの職場で働きたいと言われたとき、推奨する度合いはどれくらいですか?」という設問になります。

コミューンでは四半期に一度、匿名回答の形で調査を行っています。回答を私の方で集計し考察を行った上、経営陣で議論を行っています。改善アクションをする場合は、そのアクションまで経営陣が責任を持って行っています。

組織づくりのための取り組みが成果に結びついているかどうか把握したい・組織に関して良いとメンバーに思われている点や改善点を把握しよりよい組織づくりにつなげたい、といった経営陣の強い思いがキッカケで、2020年の6月から始めました。

どうやって設問を設計したか

組織や業務に関する設問は非常に自由度が高いです。そのため設問設計に多くの時間を使いました。振り返ると、コミューンでは以下のようなプロセスで作成を行いました。

設問設計のプロセス1.ひな形を幾つかピックアップし、調査全体の構造や主要な設問を固める2.社内での組織づくりの取り組みを踏まえて設問を追加・編集3.社内に広がっている価値観を元に設問を加減・編集4.組織づくりの取り組みに回答を反映できるのか?という観点で設問を精査

それぞれ、より詳しく説明します。

1.ひな形を幾つかピックアップし、調査全体の構造や主要な設問を固める

→検索で様々なひな形を確認し、設問を最大公約数的に挙げ、設問をセクションごとに集約する構造化をこの段階で行いました。構造化はやはり重要で、漏れや重複を明らかにしてくれ、納得感を与えてくれました。
ひな形の一例ですが、SurveyMonkeyは無料プランでもひな形の確認や設問設計を試すことができ、とても参考になりました。

この段階を終えた時に、確かに調査としてそれっぽいものはできていました。ですが試しに回答をしてみたところ、回答しづらい部分や、回答結果をどう捉えればよいのかわからない、という感覚になりました。ここで留めず、自社向けにカスタマイズする必要性を感じました。

2.社内での組織づくりの取り組みを踏まえて設問を追加・編集

→自社向けにカスタマイズする第一歩として、社内の組織づくりに関わる取り組みを挙げ、設問に反映できないか?と考えました。
例えば、 コミューンでは今年Vision / Mission / Valueを策定しています(本記事中では以降VMVと書いています)。

1.の段階ではVMVに関わる設問は「会社のビジョンをどう思いますか?」というものでした。が、これだけだと結果から把握できることが非常に限られます。
どういう情報が知りたいのか?ありうる課題は何なのか?といった側面から考え、「コミューンのVMVにどれだけ共感しますか?」「特に共感するものを挙げてください」「行動する上での指針になっていると感じますか?」といった設問に変更しました。

3.社内に広がっている価値観を元に設問を加減・編集

→2.によって大分よくなりましたが、全体を見ると自社に適している部分とそうでない部分どちらもあるな、という状態でした。そこで、設問全体をよりコミューンらしい言葉で置き換えられないか?コミューンの価値観に照らして大事そうな部分はもっと厚く聞くべきではないか?と考えて全体を見直しました。

例えば、「メンバーとのコミュニケーションは良好ですか?」という設問がありました。悪くはないのですが、コミューンで大事にしている価値観を元にすると「業務改善に資するフィードバックは適切に行われているか?」「心理的安全性は保たれているか?」といった設問に変えるべきだ、という結論になりました。

4.組織づくりの取り組みに回答を反映できるのか?という観点で設問を精査

→その他の考慮ポイントとして、組織づくりの取り組みに反映が難しい回答が予想される設問はそもそも質問する意味はあまり無いのでは?と考えました。
例えば、「プライベートでどれだけストレスを感じていますか?」という設問。仮にストレスを抱えていることをここで回答してもらっても対応が難しいです。答えてくれたメンバーに対しても価値を提供できないのは申し訳ないと考え、色々と検討した末、この設問は最終的にカットしました。

概ね1〜4の流れで、時に2〜4は立ち返りつつ経営陣と私との間で何度も議論を重ね、コミューンのeNPS(社員満足度)調査は完成しました。

議論の際は設問自体がメンバーに対しメッセージとなるため、意図を正しく反映できているか?誤解を与えないか?といった観点で細かな言葉使いまでを見ていきました。手間のかかる作業である一方、6月末に初回調査を実施すると決めていたため振り返ってもインテンシティの求められる仕事でした…!笑

調査結果について

この後は、調査実施→結果集計・考察(ここは私が対応)→経営陣での議論→(あれば)アクションといった流れで進みます。

プラクティカルな話ですが集計・考察についても触れてみます。

まず集計の方ですが、5段階で評価する形式の設問は個々の設問・セクション全体の回答の平均値と標準偏差を表にまとめます。標準偏差も見ている理由は、メンバー間の意識差の有無という平均値だけでは見えない情報を与えてくれるためです。

セクションごとに回答平均値の高い順にソートし、過去の実施結果を並置し、その後の考察や経営陣の議論がしやすいようにします。

記述式の設問の回答に集計する私の意図が入るといけないので、こちらは全てそのまま結果として転記します。メンバーが結構書いてくれるので示唆が多くとてもありがたいです。

考察を書く際には、例えば「値が上昇している」といった事象があった時にそれがなぜ生じたか?社内の出来事では何が関わっているか?といった側面を掘り下げ、その後の経営陣の議論をサポートすべくありうる考察は挙げ切るように心がけています。

結果と考察を共有することでよりこの調査のイメージが湧くのではと思い、実際のものを一部抜粋してみました。

設問:「メンバーからのフィードバック内容は適切で、パフォーマンス改善に役立っていると感じますか?」

6月結果(回答平均値):4.25
9月結果(回答平均値):4.60

(5段階評価で数字が上に行くほどポジティブな状態)

フィードバックをためらわず行う関係性を築くのは一朝一夕では行かないと考えています。 6月〜9月のSlackを振り返ってもフィードバックをし合う雰囲気を保てていたので、それが数値の上昇に結びついたと考えています。

設問:「VMVは自身の行動する上での指針になっていると感じますか?」

6月結果(回答平均値):3.75
9月結果(回答平均値):3.8

(5段階評価で数字が上に行くほどポジティブな状態)

この設問は前回より微妙に改善しているものの、ほぼ横ばいといった状態でした。 VMVについてはまずは共感し、徐々に自らの行動指針になる、というプロセスを想定しています。そうしたプロセスの促進のため、これまでVMVを体現しているメンバーを称える場を週次の全体ミーティングの場で設けてきました。9月の調査結果も踏まえ、更なる浸透のため月次でMVP (Most VMV Player) を表彰するなどの取り組みを始めています。

最後に

匿名性×定点観測×網羅的な設問の効果は非常に高く、このeNPS調査を行わなければ知り得なかった、組織づくりの取り組みに対するメンバーの評価や考えを得ることができました。

調査結果を元に社内の締め会(月末の全員参加ミーティング)での運営を変えたり、人事評価体系を経営陣が考え直す議論の起点としたりと、既に「よりよい組織づくり」のための社内オペレーション改善に繋げられており、非常に意義が高いものと実感しています。

もちろんまだまだ道半ばではありますが、私も経営陣も一所懸命に「よりよい組織にするためには?」を日々考えています。少しでも興味あるな、面白そうだなと思った方は、是非一緒に働きましょう!!

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