注目のストーリー
すべてのストーリー
薄利多売の世界で中小企業が価格競争力を手放した先に手に入れられるもの
チョコレートを買いに来て、フェアトレードを謳っているものとそうでないものがあったとしたら、多少割高でもフェアトレードのものを選ぶことはあると思います。規格外の果物や野菜等がフードロスの名目で売っていたら思わず手が伸びてしまうんじゃないでしょうか。こういうのを倫理的(エシカル)消費と呼びますよね。では、自分の会社で材料や副資材を調達するときはどうでしょうか。協力会社に外注するときはいかがでしょう。調達する材料がエコかどうか、発注先の会社の事業が公明正大でフェアかどうか、果たしてそれが割高でも購入しようという意志決定の要素になり得るのでしょうか。側島製罐では社運を賭けた挑戦として「低CO2鋼...
”自己申告型報酬制度”という新しい未来への挑戦
側島製罐では2021年に全員でMVVを策定したのち、2023年からは「みんなで経営 自己申告型報酬制度」と銘打った制度を導入しました。今年導入したばかりなので実際の成果などはこれからでほぼ社会実験みたいなものですが、内容としては過去の実績を評価して給与額を決めるというやり方をやめて、各自の自律性や発展性を信じて未来に先行投資する形で給与を先払いするというやり方で、正に社運を賭けた挑戦です。この制度を導入するまでに三年間も要してしまいましたが、考えに考え抜いた末にこの制度に辿り着いた紆余曲折と悲喜交々を今回はまとめてみたいと思います。結論的には、側島製罐ではこの制度が会社のみんなが豊かな人...
経営者だって不完全な人間でいいじゃない。
自分事ですが、家業に入ってもうすぐ3年が経ちます。元々はただのサラリーマンでマネージャー職すらやったことない自分が実経者として3年間旗振りをしてきたわけなのですが、振り返ってみると日々ぶつかり稽古で経営者ごっこ的になってしまっていた場面がたくさんありました。フラットな組織にしたいとぼんやりとした理想を持ちながらも、実際にやってきたことは完璧を求めた権力行使による命令だったりしたこともあり、スタッフのみんなを混乱させてしまったことも多かったなと反省するわけなのですが、とはいえ3年間経って自分なりの経営観というものも醸成されてきたように感じるので、今回はそんな自分の過去を省みながら、経営者と...
100年以上経営理念が存在しなかった中小企業で社員と一緒にイチからMVVを作った話
今回はMVV策定についての話です。弊社では今回、約1年という長い時間をかけてMission Vision Value(以下「MVV」という)を策定しました。最近ではパーパスだったりフィロソフィーだったり志だったり、会社によって色んな言い方があると思いますが、つまりは経営理念や行動指針に該当するものです。今回はMVVをなぜ策定しようと思ったか、そしてどうやって策定したか、について書いていきたいと思います。手前味噌ですが、弊社のメンバーが本気で頑張ってくれたおかげで、可能な限り外部に依存せず、自分達の言葉を積み上げて全員が腹落ちするMVVが出来たなと自負していますし、それは社員への浸透度合い...
値引きという名の緩やかな自殺
今回の記事では下請けをしている会社としては切り出しにくい部分である”値引き”について書いてみたいと思います。今までもnoteで色んな会社の中の改革的な取り組みは書いてきたところですが、振り返ってみると実は価格のルールを社内で統一したことこそが、僕が家業に帰ってきて取り組んだことで最も重要だったことの一つだと思っています。結論的には、個別の値引きという便利なソリューションを手放した代わりに分け隔てのない公平な価格統一や積算ルールを実現し、誠実な対応とその結果の適切な利益の確保ができるようになったと思うわけですが、お客様や社内でのハレーションなど色んな過程を経てのことなので、この2年間でどん...
「自分の子供がもしセクシャルマイノリティだったら、正直嫌だな」
恥ずかしながらこれは8年くらい前に、僕の口から出た言葉です。最近のニュースで政治に関わる方々がセクシャルマイノリティに対して「気持ち悪い」とか「近所にいてほしくない」とかって発言を拾われて炎上的なニュースになってるわけなのですが、自分も7,8年前までは同じような感性を持っていたような気がします。多分、最近のニュースで見え隠れする人の本音みたいなのに近いものだったと思うんですよね。リベラルぶって澄ましたような顔をしながら、実は腹の底では”普通”という感覚を持ち続けて理解には遠く及んでいなかった無責任な過去の自分を反省しながら、どうしたらこのような固定観念や常識に基づく考えから解脱できるのか...
任せるのは仕事、託すのは夢。
「自分の居場所を守るために自分の仕事を手放さない」という属人的で独りよがりで非合理的なやり方は市井でも蛇蝎のごとく嫌われてるわけですが、いざ自分が誰かに何かを任せるとなったときにものすごい苦悩と葛藤がありました。今回は、そもそもなぜそのような感情が湧いてしまうのか、どのようにその気持ちを消化してきたか、というところについて書いていきたいと思います。新しい事業には新しい人が必要になる2020年4月に自分が側島製罐に入社してからはこれまでやったことのない新しいことに挑戦し続けてきました。BtoCの通販だったり新商品企画だったり営業企画や生産管理的なことだったり、全事業横断的に大小様々とあるわ...
あのジプニーに乗ってどこまでも。
アスファルトを突き破って生えた木が歩道を塞ぎ、道路を歩く僕を背突くようにクラクションが鳴る。腐ったゴミと排気ガスの混ざった空気が目に染みるここは、フィリピンの首都マニラのローカルが集うアーナイズ通りだ。昨日からもう30kmは歩いただろうか。潰した豆がヒリついていた足の指にもう感覚もない。熱帯モンスーンの気候はベルベットのように身体にまとわりついて、汗だくでマニラの町を彷徨う僕の体力を奪っていく。日本からたった4時間のこの街では全くと言っていいほど邦人を見かけない。日本からの便の乗客は全員セブ島に行ってしまったのだろうか、そんなことを考えながら歩いている僕の横を鉄が弾けるようなエンジン音を...
自分を探さない旅をしよう
先ほど、フィリピンはマニラの四泊五日の一人旅から帰ってきました。まさか、36歳の妻子持ちにもなって東南アジアへバックパッカーできる日が来るとは思ってもなかったですが、海外旅自体は3年ぶり、バックパッカー1人旅は7年ぶりと久しぶりの冒険となりました。今回は旅行記ではなく、リハビリがてら久しぶりに海外に出て改めて感じたことを書いてみます。結論的には、旅って良いよねって簡単な話なのですが、旅ってなんだっけ?という旅人の永遠の命題にもかかるところも少しだけ掘って書いてみますのでお付き合いいただけましたら幸いです。誰にもおすすめされないマニラ今回行ったマニラですが、他の国の観光地と比べると見どころ...
パーパスが人の思想を変えるという嘘
パーパス経営とかデザイン経営とかって言葉が躍って自分たちの事業の意義を言語化して再定義する流れがあり、自分たちも例に漏れず会社で理念をイチから作ったりもしたわけなのですが、実際に理念をイチからつくってみて、それを掲げて、カルチャーに変えていって、という一連の体験を経て気付いたところがあるので改めてまとめてみようと思います。もともと、自分自身は会社の理念を作ったら全員がその理念に共感をして、その理念に基づいて行動するようになるものなのだと思っていました。実際に、弊社ではMission=存在意義、Vision=理想像、Values=価値観、として、更にそれに紐づく行動規範まで文字やイラストで...
中小企業の革命は言葉からはじまる
2022年最後の記事です。仰々しく抽象的なタイトルで恐縮ですが今回は”言葉”についてです。僕が2020年4月に側島製罐に入社してから3年弱を振り返ってみて、大きく変わってきた弊社で最も重要なファクターだったのは言葉だったなと考えています。「組織改革」みたいな話になると行動規範だとかマネジメントだとかそういう冷えたワードが先行しがちですが、言葉という日常的でありながら人と人が繋がるうえで不可欠なツールを疑ったり見直したりしながら血を通わせていって、日々のコミュニケーションを大切にすることこそが、人や組織が変わっていく第一歩なんじゃないかな、というのが僕の感想です。理念が人の行動を決定付ける...
僕の創造力を殺した折り紙のカメ
小学校の頃の事なんてほとんど覚えていないんですけど、最近なぜかよく思い出すことがあって、「ああ、これきっとトラウマだったんだな」と気付いたことがあります。僕はそのトラウマの影響で、他の人の目とかルールをすごく気にするようになり、尖ったところのない平均的な人間になったと思っています。自分語りの個人の感想なので恐縮ですが、自分が示唆深いなと気付くこともあったのでちょっと書き記してみます。小学校の図画工作の授業で、”折り紙で動物をつくる”というテーマの回があったんですよね。先生の意図としては、鶴だったりとかカエルだったりとか、折り紙の取扱説明書に付属している折り方の通りに工作をする、というもの...
優越的地位を手放すことがパートナーとなるための第一歩
自分は会社の意思決定者という立場であり、会社の経営を見ている立場なのですが、このポジションについてからというもののずっとモヤモヤし続けているのがこの”優越的地位”というものです。世の中的には「優越的地位の濫用」という独禁法などの文脈で出てくるくらいの聞きなれない言葉かもしれませんが、結論的にはこの優越的地位というものを辟易していて、いつも何とかして自分から引き剥がそうと試みています。結論的には、この優越的地位を手放すことが、人間らしく楽しく働いていく上での第一歩だなと思っているのですが、今回はそのことについて自分の思いの丈をまとめてみたいと思います。優越的地位は悪魔のささやき発注者と受注...