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【DMMxアイザック対談 前編】「事業も働き方も、自由な意思決定を」非上場志向スタートアップとしての選択と挑戦

アイザックの新企画「非上場志向スタートアップ対談」。記念すべき第一回目の対談は、上場を目指さずに市場を切り開き、今年で創業26周年を迎えた合同会社DMM.comよりCOO村中悠介氏をお招きしました!アイザック取締役/共同創業者の播口と共に、外部資本を調達し上場を目指す企業とは異なる、「自己資本100%企業で働くこと」について深掘りします。

💡「非上場志向スタートアップ」とは
一般的にスタートアップとは、新しいビジネスモデルや市場を開拓し、社会にイノベーションを生みだすことで、起業から短期間で急成長を遂げる企業のことを指します。近年では早期の事業・組織拡大を目的に外部から資金調達をしながら、上場を目指す潮流が生まれています。
一方で私たちアイザックのように、外部資本を入れず100%自己資本のまま、スタートアップと同様に挑戦し、成長し続ける企業を「非上場志向スタートアップ」と定義しています。

スピーカー紹介

村中悠介 合同会社DMM.com 最高執行責任者COO、合同会社EXNOA 最高経営責任者CEO
1979年7月12日、北海道苫小牧市生まれ。2002年、DMM.comに入社。動画配信事業の営業担当を経て事業責任者を務め、事業拡大に貢献。2011年、取締役就任。デジタルサービス全般を統括。アミューズメント事業、アニメーション事業など多岐にわたる事業を立ち上げる。2018年COOに就任。2019年よりEXNOA(DMM GAMES)CEOを兼任。現在60以上ある事業を統括。

播口 友紀 アイザック株式会社 取締役 / 共同創業者
1991年生まれ。慶應義塾大学の同級生である田中と在学中にアイザックを立ち上げる。フルスタックエンジニアで、新規事業の立ち上げが得意領域。株式会社ハローの代表も兼任している。

「スタートアップ=上場一択?」100%自己資本で挑戦する企業は、スタートアップか否か。

――今回の対談実現の経緯について聞かせてください。

(播口)アイザックは創業当時から自己資本100%であることにこだわってきました。事業の成果を早期に求めず、自分たちが本当に好きなことをやり続けるために、外部資本を入れないことは重要な選択だと考えているからです。
非上場を保ったまま9期目に入りましたが、おかげさまで好きな事業で思いっきり挑戦を続けながら、アイザックは堅調に成長しています。

一方で、世の中のメディアのスタートアップ欄やスタートアップランキングを見ると、「スタートアップ=外部調達を入れて上場を目指している企業」という括りがされていることが多く、我々のような調達をせずに挑戦をしている企業はそこでは「対象外」となります。

もちろん、上場を目指すという選択肢は素晴らしいですが、あえて100%自己資本の方針で他のスタートアップに劣らないくらい挑戦し成果をだしているのに...その事実が世の中の挑戦する人に伝わらないなんて悔しい...そんな思いから、世の中に向けて非上場のスタートアップで働く魅力を伝えられないかと思い、今回の企画に至りました。

最初にお話を伺うなら、上場を目指さずとも大きく成長し続けているDMMさんしかいないと思い、お声がけさせてもらいました。村中さんとは共通の友人も多くて、ご飯に行かせてもらっては生意気言わせていただいてる関係で(笑)お願いしたところ快諾していただきました。

――なぜ対談をご快諾いただけたのでしょう?

(村中)単純におもしろい人と仕事の話をしたいなと思ったからですね。播口くんはご飯でも仕事の話100%なんですよ。会食で、仕事の話しかしない人ってあんまりいない。僕はそういう人が好きなので(笑)。

ーーそれでは早速本題に!播口さんの話にもありましたが、世の中では「スタートアップ=外部資本を調達し、上場を⽬指す企業」を示すと認識されているように感じます。そもそも大きな挑戦は、このような企業でないと難しいと思われますか?

(村中)事業のジャンルにもよりますけど、資金調達をする事自体は悪いことではなくて、経営者の選択なのかなと思っています。でもそれ一択ではないんじゃないかなとも思っています。

本来のスタートアップは、借り入れも含めて小さい挑戦から始めて、検証してグロースしていくものだと思う。でも最近は資金がないとできないような事業から始めているから、資金がショートして頼らざるを得ないのもあるのかなと。

アイザックやDMMのやり方もそうですけど、良いと思う種類のものを「とりあえず作ってみる」「やってみる」というように、資金が少なくてもまずできるところからスタートして、さらに伸びそうでギアをいれるべき時にVCを入れるのか?借り入れをするのか?という選択肢を検討すべきはずなんです。

上場目指すのが良いとか悪いとかというよりも、事業の作り方・考え方が違うんじゃないかなと思ったり。最近はみんな、最初から大きな資金が必要な事業に挑戦しがちなんじゃないかな?

(播口)そうですね。僕もどんどん資金を入れて、大きな挑戦をする姿をみると応援したくなります。一方で、そこまで資本が必要ない領域なのに、外部資本調達ありき、上場をゴールとしている姿をみると、少し疑問を感じます。

(村中)上場してからさらに大きい事業にできるなら良いかも知れないですね。上場をゴールにしてるかしてないかで分かれるんじゃないかと思う。

上場するしないはどうでも良くて、事業をどうやったらおもしろく・大きく・スピーディにできるかという選択肢があるはず。自己資本100%の場合はそこの部分を株主に気を遣わず挑戦しやすいというのがあるので、スタートアップにはさまざまな選択肢があって良いと思います

(播口)そこは「非上場志向」でありながらも挑戦する僕たちとしても、強調したいところです。
話は変わりますが、DMMのような規模になると、新規事業への予算配分や撤退基準はどう決めているんですか?

(村中)その時の状況に応じて判断します。まずは暫定の予算を決め、その後追加の予算を判断していく感じですね。いきなりドーンと大きな予算を与えるようなやり方はしていないです。

(播口)小さく確実なPDCAを回しているんですね。

事業も働き方も、自分たちで自由に意思決定するために選んだ非上場志向。

ーー外部資本を入れるということは必ずしもマイナスではない、選択の形であるというお話がありましたが、なぜアイザックは非上場を選択したのでしょうか?

(播口)僕自身、投資を受けること全てに反対しているわけではないです。アイザック以外にもハローという会社の代表をしているのですが、そちらではVC含めて投資していただいています。では、アイザックはなぜ非上場志向であるかというと、その環境のほうがシンプルに自分たちがやりたい事業に挑戦しやすいからです。

例えばITの会社が上場した場合、いきなり「今から保育園やります」とか「今から農業やります」とかは言えないでしょう。既存ビジネスとの収益率が全然違う!という声があがったり、やりにくいことが予想されます。でも一方、外部資本をいれていない我々のような企業だと、どんなに規模が大きくなっても社内で「世の中のためになって、黒字でもあるのであれば、挑戦しようよ」という意思決定ができる。

もう一つは、「働き方」の面です。
「メンバーの働き方」を含めて前例のない会社をつくりたいとなると、上場しているとどうしても株主からの声が気になり難しくなることもあるでしょう。例えば、今のように平日毎日働くべきという当たり前を疑って、週3、4の働き方を実験してみようか?となったときも、外部株主のようにステークホルダーが多いとなかなかすぐには実行できないでしょう。
事業も働き方も、自分たちの自由な意思決定をするために非上場という形を選んでいます。

アイザックでは、「世の中を、実験しよう。」というミッションを働き方でも体現すべく、自由で生産的な働き方を試行錯誤しています。メンバーの挑戦を後押しする人事・福利厚生制度「Life Lab(ライフラボ)」では、事業のつくり手であるメンバー自身が仕事とプライベートを最大限に楽しむことで、生産性を高められる制度を導入しています。
【Life Labについて詳細はこちら】

(村中)アイザックもDMMも複数の事業、しかもある意味一貫性のないジャンルの事業をやっているじゃないですか。これってもし上場していたら、株主の理解が得られにくくてやりにくいと思う。新規事業を立ち上げようにも「そんな事業をやるくらいなら、既存事業の延長で拡大してよ」となる。(上場することが)選択肢を狭める可能性もあるんですよね。

ーーそれでは逆に、外部資本を入れないという選択をしたことで直面した壁はありますか?

(村中)DMMはそれでいうとないですね(笑)。やはりインターネット黎明期からやっているので、先行者利益がある分なかなかそういった課題に直面しない。デジタルサービスはキャッシュフローも悪くないので、ちゃんと売上を積み上げて利益さえ上げていけばキャッシュは回ってきたんです。

(播口)僕たちが今課題に感じているのは、事業責任者や起業して上場を目指したいという人材に、非上場志向であるアイザックの魅力を伝えるのが難しいということです。一緒に長期的にコツコツ働きたい人や、一度イグジットを経験した人はアイザックの考え方に共感してくれている実感があるんですが…その辺はいかがですか?

(村中)やり方を毎回変えていましたね。例えばM&Aする時も、ターンアラウンド(事業再生)みたいな考え方を入れるときもあれば、普通に雇用として100%株式を持つ場合も、お互いに持ち合う場合もある。色々試しています。

別のパターンだと、事業はある程度自分で作ってもらって市場で検証する。伸びそうだけど資金を投入する力はないよねとなった時に、一緒にやるとか。

はじめからDMMでやると、どうしてもスピードが上がりにくいので、スタートアップとして自分の会社で一定の大きさになるまで自己資本でやってもらいつつ、ここから先は一緒の資本でやりましょうとすることで、スピードを担保できる。

その人にとって一番良い方法を探す、良い選択肢があるということが大事かなと。選択肢があることは人間の幸せだと思っていて、それを提供できる会社かどうかの方が重要なので。どんな人が来ても柔軟に受け入れる会社であれば、どんな人が来ても対話ができる、そういう会社に行きたいんじゃないかなと。

(播口)DMMのようにこれだけ大きくなって、こんなに柔軟な動きができるのってすごいですね。自由でいられるというか。

(村中)自分たちのことを大きいと思っていないからじゃないですかね(笑)。売上が1,000億円、2,000億円あっても、目の前に積んで見たことってないじゃないですか。10年前と日々やっていることは変わらないから実感はわかない。常にどうやったら速く、いかにして楽にというのが大事かなと思っています。

新しいことが好きで色んなものに興味がある人は非上場に向いてる!?

ーースピード感のお話が出ましたが、改めて経営者にとって自己資本100%であることの利点は何でしょうか?

(播口)色んな事業を展開できるのは一つの強みだと思いますね。上場していなくてもVCが入っているだけでも、多事業展開はハードルが高いので。

(村中)例えば、Web3が流行りました!時代はWeb3なんだ!となっても、BtoB企業なら気軽に参入できない、そこにはすごい未来があるかも知れないのにチャレンジできない、というのが良いのか悪いのかという話。それは経営者ごとにそれぞれ。

そこに参入してものすごい赤字になったとしても、非上場ならいわば自分たちの責任なので。上場していたら「社長交代だ!役員総取っ替えだ!」って言われるよ(笑)。そういう緊張感の中で経営をやるというのは上場の良いところでもありますよね。

一方で何が当たるかわからないんでね。どんどん仕事を変えていける可能性もある。今特に世の中どうなるかわからないから、ピボットのしやすさは魅力じゃないでしょうか。ポートフォリオを自由に増やしたい、新しいことが好きで色んなものに興味があるという人は非上場に向いてるよね。

今回は、スタートアップ全体のお話から、DMMとアイザックがなぜ自己資本100%経営を選択したのかについて伺いました!後編は実際に非上場志向スタートアップで働く魅力についてお届けします!お楽しみに!

※今回の対談はオンラインで実施しました。イメージとしてスピーカーの写真を掲載しています。

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