「世の中を、実験しよう」をミッションに幅広い領域で多数の事業を展開するアイザック。高い技術力を持つエンジニアが多数在籍し、スピード感のある事業開発力を強みとしています。そんなアイザックのカルチャーである「100回の議論より、 1回の実験。まずはやってみる」を誰よりも体現しているのが、CEOの田中です。
前回のインタビューではアイザック創業前に彼がどんな人生を歩んできたのか、アイザック創業に至るまでのストーリーをご紹介しました。今回は、大学在学中に起業したアイザックが現在の形になるまでの変遷について語ってもらった後半記事になります!
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田中 和希(代表取締役CEO)
1992年生まれ。慶應義塾大学在学中に休学し、freee株式会社にソフトウェアエンジニアとして入社。その後渡米、Venuespot, Inc.のVP of Engineeringを務め、2015年にアイザックを立ち上げる。プログラミング言語Rubyのコミッターの1人。
家がオフィス?中目黒の1LDKで住みながら働く
ーー 創業当初のアイザックの雰囲気は?
田中 和希(以下、田中):ミッションにも「実験」というキーワードがありますが、まさにそんな感じでした。当時は今よりもっと明確なルールもなく、創業時からメンバーそれぞれが面白そう、と思ったことを好き勝手やるラボのような会社でした。
ーー 「aisaac(アイザック)」の社名の由来について教えてください!
田中:社名は科学者であるIsaac Newton(アイザック・ニュートン)とAIを掛け合わせた、「isaac newtown + ai = aisaac」の造語です。
面白いと思ったことをどんどん試していくラボのような会社にするなら、科学者の名前にしたいと思ったのがスタートです。アイザック・ニュートンが残した「先人の積み重ねた発見の上に、新しい発見をすること」を意味する「巨人の肩の上に立つ」という名言が、まさにソフトウェアやプロダクトの世界をよく表してるなと感じたことと、そこにAIを使ったプロダクト開発がしたいという当時の想いもあり、命名しました。
ーー 初期のころから「実験」や「面白いことをやっていく」といったカルチャーがあったのですね。どんな環境で働いていたんでしょうか?
田中:最初の2年くらいは中目黒でマンションを一室借りて、そこをオフィスにしていました。5人くらいで一緒に住みながら仕事していたのですが、まさに生活=仕事という感じでした。働き方もかなり自由で、何曜休みでいつ働くといった概念もなければ、いつでもコミュニケーションがとれるような状態だったので、ミーティングの時間をわざわざ取る必要もないくらいでした。毎日合宿みたいな感じですね。播口(アイザック共同創業者)以外は全員同じマンションに住んでいました。
ーー 住みながら仕事…もはや家がオフィスだったと…?
田中:1LDKの部屋をオフィスとして使っていたので1人部屋や個別の寝室もなく、2段ベットと布団でみんなで同じ空間で寝るみたいな生活でした。すごく下らないことで毎日笑ったり楽しかったです。かと思えば受託開発がメインだったので納期前はピリピリしていて、風呂掃除をやったやらなかったで大喧嘩をするみたいな時もありました(笑)。
ーー そして播口さんはどこに…?
田中:播口はオフィスより高い広尾のマンションに住んでいました(笑)。播口は私生活でもやりたいことをやりたいようにやる奴で、そこは当時から一貫していました。
お金があるから使う、というのが普通の人の行動だと思うんですけど、播口の場合は使いたいから使う、なかったらその分は稼ごう、どうにかしようみたいな。それでいて本当になんとかしてしまうというか。当時からその辺については凡人の感覚をとびぬけていましたね。一流のものに触れることにこだわっていて「若い時の借金は資産だ」みたいな生き方を体現していて、彼のそういうところには今も刺激を受けています。
ーー さすがの破天荒さですね…(笑)!田中さんとの対比も面白いです。
田中:ただ、このアンバランス感がアイザックらしいなと思っています。
マンションの一室で5人で共同生活して毎日ハードワークする人達と、広尾から余裕のある状態で思考する人が一緒の組織に存在することってあまりないじゃないですか(笑)。着実に進む力と、非連続な動きの両方を高いレベルで持っているのがアイザックの強さだと思っています。
ーー 他のメンバーは同じマンションに住んでいたとのことでしたが、メンバーはどのように集まったんでしょうか?
田中:採用活動をちゃんとやっていたわけではなかったのですが、大学の友人や、そのまた友人とありがたいことに紹介で順調に増えていきました。あとは僕のブログがスタートアップ界隈で一時的にバズって、ブログ経由で採用したりですかね。
▼噂のブログはこちら
ただの技術好き大学生がシリコンバレー凸してfooo↑↑休学してシリコンバレー行けば何かあると思い立ったイマドキ思考停止系大学生の末路をご覧あれblog.gogotanaka.me
当時のメンバーは後に起業したり、渡米してカーネーギーメロンの博士課程にいったりバイタリティに溢れていてるメンバーばかりでした。僕と播口をはじめ尖ったメンバーが多かったこともあり、同じように刺激を求めるメンバーが着々と集まっていきました。
メンバーの一言で生まれたサービスをきっかけに初のテレビ出演へ
ーー 初期のアイザックで思い出に残っていることはありますか?
田中:今はもうクローズしてしまったのですが、「いきなりデート」というサービスが「マツコの知らない世界」というテレビ番組で取り上げられたのは思い出深いですね。アイザックで初めて立ち上げたサービスのメディア出演だったので、ついにテレビで紹介された…!と。その影響で数字が伸びていって、CSがパンクするところまで含めて思い出です。
「マツコの知らない世界」をみんなで見ている
ーー テレビ出演はすごいですね!どんなきっかけで出演することになったんですか。
田中:実はその頃「いきなりデート」の成長が鈍化してきてしまっていて、どう伸ばしていこうかと悩んでいたタイミングでした。当時のインターン生と一緒にご飯を食べているときに、彼がおもむろに「今日から恋人てサービスあったらおもろくないですか?」と提案してくれて。
「いきなりデート」は名前の通り、マッチングしたら運営側でお店が予約され、あとはデートするだけというサービスなのですが、「今日から恋人」ではマッチングすればカップル成立、それまでのマッチングアプリではなかったスタイルで、「それはおもろい。」となって早速作ったんですよね。そしたらリリース当日にアベプラに取り上げられて、その後メディアの取材がアイザックに対していくつか入るようになりました。
ーー そうやって色々な領域で事業を展開していったんですね!
▼事業一覧(一部)
https://aisaac.jp/services
創業から二年、アイザック解散?!大きな転換期へ
ーー 創業してから一番の危機は?
田中:創業からちょうど二年がたったころ、メンバーの退職が相次ぎ、僕と播口が仲違いして播口も独立、組織が一旦リセットになったことがありました。
ーー ええ!!なぜですか?
田中:僕は音楽性の違いによる解散と呼んでいるんですが(笑) 、そもそも考え方が異なった2人ではあって、意見の相違はちょこちょこあったんです。決め手になったのは、受託開発を止めて貧乏になってでも自社サービスにベッドしたい田中 vs 受託開発を続けて資金を確保しながらやりたい播口という意見の違いでした。受託開発で会社が摩耗してしまっていたので、とにかく自社サービスをフルスイングしたいという気持ちが僕は強くて、我ながら頑固でしたね(笑)。
この時はいつもに増して頑固だったと顧みる田中
播口は彼なりに別の捉え方をしていると思うのと、全くアンタッチャブルな話題ではないので、興味のある方は実際に僕らに聞いてもらえるとおもしろいと思います!
ーー 播口さんにも別の機会にインタビューさせてもらうことにします!
田中:あとはやはりトップが2人横並びでいるという難しさもありましたね。それでもだいぶうまくやれいてた方だと思いますが。
ーー 最終的に播口さんとはどういった別れ方をしたのでしょうか?
田中:お互いに伝えたいことは伝えて、最後はカフェで抱擁しあってアイザックの成長と双方の飛躍を心から祈ったのをよく覚えています!遺恨はなく、播口を含めて辞めていくコアメンバーのさよならパーティーをして、お互いに別の道を歩み出しました。2トップの喧嘩なので周りのメンバーには気を遣わせてしまっていたとは思います(笑)。
ーー 当時の心境はどうでしたか?
田中:それまで2トップでやっていたので、責任の所在が中途半端になってしまっているところもあって、一人になったことでようやく腹を括れたのはよかったです。播口がいなくなったことでアイザックが伸びなかったとなるのも悔しかったので、絶対伸ばしてやる、と逆に燃えていました。
ーー 再スタートといった感じですね。
田中:そこから心機一転でオフィスも引っ越して、新たにメンバー集めを開始しました。アイザック創業以来の大きな出来事でしたね。
ーー その後は自社サービスの成長に注力していったのでしょうか?
田中:そうですね!言い訳や退路を断てたので事業にかなり打ち込むことができましたし、結果論になるかもしれませんが、自社サービス自体は綺麗に成長していきました。しかしそんな矢先にコロナがあり再度会社が瀕死になってしまったこともあったのですが…。コロナが明けて事業が一気に伸び、やっと収益が安定してきました。
アイザックの実験思考に立ち返り、自社サービスや面白い動きをどんどんやっていきたい!となったタイミングで、また播口と連絡を取り始めました。
ーー播口さんに連絡されたんですね!
田中:喧嘩別れみたいな感じではなかったので、別れることになってからも頻繁に会ってはいたんですよ。播口は新規のタマゴを生むことに秀でていて、そこをすごくリスペクトしているので、また一緒にやれないかと。
僕と播口が別れた頃のアイザックは自社プロダクトもなくて資金基盤が安定していなかったんですが、基盤が整ってきて播口の強みがより活きる環境になってきているなと思っていました。彼が新しいアイデアを生み出して僕がそれを育てていく、二人の得意なところが違っていたので一緒にやることで良いものを作っていけると思ったんですよね。
100%自己資本経営、やりたいことをやれる会社に
ーー 新規事業をどんどん展開していくスピード感や開発力が会社の強みでもあると思うのですが、色々な領域で事業を展開するのはなぜでしょうか?
田中:シナジーを考えるのではなく、都度良いと思った市場に飛び込んでいくスタイルで事業を展開してきたことで、現在のような体制が作られていきました。自社で幅広い事業を行うことで、社内での事業部異動も可能になるので、メンバーにも様々なことに挑戦してもらえますし、経営の観点でもリスクの分散になると考えています。とは言ってもやっぱり領域を限定せずにやりたいことをやっていきたい、というのが一番の思いです。
ーー アイザックは100%自己資本経営で自由度が高い点もアイザックの特徴ですよね!
田中:自己資本経営については、そもそも受託開発で一定の資金を作り出すことができていて、資金調達の必要がなかったという理由も大きいです。自由度が高く今の時代にもこのやり方があっていると感じています。あとはベンチマークにしていた37signalsというアメリカの会社が、非上場で全て自己資本で技術力を武器に事業を展開していて、影響を受けました。周りのスタートアップやベンチャー企業が資金調達を活発に行っているなかで、自分たちは違うポジショニングをとっていきたいと思っていて、アメリカのイケてるベンチャー企業を小まめにチェックするようしていました!
ーー 今後もこのスタイルは変えずにやっていくんでしょうか?
田中:今のスタイルで引き続きやっていく予定です。インセンティブの設計にも余裕ができるので、組織やメンバーにとって何がベストか?という観点で人事制度やカルチャーも作っていきます。例えば新規事業奨励制度の「Go to Moon」なんかも、自己資本経営で自由度が高いからこそやっていける制度だと思います!資本でレバレッジを効かせられる領域に挑戦するときは小会社上場を選択肢に入れることは全然あると思います。
▼Go to Moonについて
▼プレスリリース
プロフェッショナルでありながら「楽しさ」を忘れない組織
ーー 今後アイザックをどんな組織にしていきたいですか?
田中:ビジネスマンとして全員がプロフェッショナルでいてほしいのはもちろんなのですが、そんな中でも「楽しさ」を大事にする組織でありたいです。事業を0から生み出すことや、改善を重ねてどんどん良いプロダクトにしていくこと、裁量はどこまででも渡すので好きなようにやっていいよ、という環境そのものを楽しむことができて、結果を出せる人が集まる組織にしていきたいです。
ーー アイザックの好きなところで、裁量の大きさや挑戦できる環境をあげるメンバーは多いですね!どんなメンバーが活躍していますか?
田中:好奇心旺盛で自分自身でつくっていくこと、挑戦することが好きなメンバーが多いですし、活躍してくれています!新規事業含め様々なアイデアが普段のコミュニケーションの中でメンバーから積極的に出てきたり、カルチャーとしても浸透してきているなと感じています。
ーー 積極的に採用活動を進めている時期かと思いますが、どんな人と働きたいですか?
田中:好奇心が強くて変化を楽しめる人であれば、今のアイザックがマッチしているんじゃないでしょうか。オタク気質というか、何かに熱量高く取り組める人や、日常の中で楽しいを見つけられる人もアイザックのカルチャーに合っていると思います。
あとはやっぱり素直でいいやつ、みたいな人と働きたいです!メンツやプライドではなく、どうすればプロダクトや会社を成長させられるか?というところに目を向けて、一緒に挑戦していければと思っています。
アメリカへの進出も決定、今後の事業展開
ーー 今後の事業展開について教えてください!
田中:マッチングアプリ領域と業務改善SaaSでしっかり売上の基盤を積み上げつつ、エンタメ事業とアート事業で次の非連続な成長を狙っていきたいと思っています。同時に新規事業も常に仕込み続けていて例えばChatGPTが出てきたタイミングですぐに関連するサービスをリリースしたり、世の中のトレンドに合わせて変化し、プロダクトを出し続けられる組織でありたいと思っています。今後は国内の事業をしっかり立ち上げていくとともに、海外にも挑戦していきます。
ーー 海外にも展開していくのですね!
田中:既にアメリカで事業を展開していくことは決定していて、国内と同様に海外は特別なことではなく、当然に選択肢に入れられる組織でありたいと思っています。
ーー 組織としてはどうなっていくのでしょうか?
田中:アイザックとして幅広い領域で事業を展開しているのですが、成長した事業を切り出して子会社化することも検討しています。自己資本の良いところとイグジットの良いところを両方とっていけるようにしたいです。組織として到達点があるというよりは、世の中の流行の移り変わりに常に対応できる状態を作っておいて、常に変化していける組織でありたいですね。新しいことをやるならアイザック、と世の中に認識されるくらい、新しいものを作り続ける会社にしていきたいです。
ーー 組織の成長フェースで積極採用活動中なのですが、アイザックへの入社を検討している方へ最後に一言お願いします!
田中:会社としては昨年から仕込んでいる事業が旬を迎えて、一番楽しいしこれから伸びていくフェーズに入っています。同時に新規事業もバンバン立ち上がっている変化の多い時期です!アイザックの歴史の中でみてもかなり大きな変革期を迎えていると実感しています。間違いなくこれからのアイザックが一番面白いので、世界を股にかけて一緒に実験していきましょう!!
最後に…
アイザックでは世の中をもっと面白くする、事業を作ってくれる仲間を随時募集しております!アイザックに興味がある方、ぜひ一度お話ししましょう!下記よりエントリーください!