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株式会社ACESは2019年11月20日、創業2周年を迎えることが出来ました。当初6人だったメンバーも20人を超え、資金調達、オフィス移転、HONGO AIでの受賞と盛り沢山な一年でした。この記事では改めて2019年を振り返り、2020年に向けての抱負を述べたいと思います。
春 〜資金調達と画像認識アルゴリズムSHARONの本格開始〜
5月、AI技術に特化したVCファンドのDeep30と経営共創基盤から投資を受け資金調達を行い、画像認識アルゴリズムSHARONの開発に着手し始めました。
創業1年目に注力したのは技術開発の仕組化と技術の蓄積。複数の大手企業と共同研究開発を実施する中で、ヒトの行動や感情を認識、検出するヒューマンセンシングの画像認識アルゴリズムの開発を行ってきました。5月の資金調達を機に、研究開発に並行して、よりシンプルかつ短期間でDeep Learningを導入できるよう、画像認識アルゴリズムをパッケージ化したAPI/SDK、『SHARON』の提供を開始しました。
(参考)https://jp.techcrunch.com/2019/05/22/aces-fundraising/
夏 〜コーポレートアイデンティティの刷新とオフィス移転〜
7月、事業拡大と人員の増加に伴い東京大学本郷キャンパス近辺(丸ノ内線本郷三丁目駅から徒歩2分)にオフィスを移転いたしました。また、9月にはCI(コーポレート・アイデンティティ)を刷新しました。
ACESは「アルゴリズムでシンプルな世界をデザインする」ことをミッションに掲げており、新しいコーポレートロゴには「社会の中にある『複雑/⾮効率/⾮合理/無駄』な処理や構造をシンプルにし、をだれもがいきいきと⽣きられる社会を実現する」というメンバー全体の思いが込められています。また、修士・博士課程の学生も多く働く弊社では、東大本郷キャンパスの研究室からも通いやすいようオフィスを移転し、リモートでもオンサイトでも働きやすいような環境を整えました。
秋 〜HONGO AI 2019での受賞と Web Intelligence 2019での受賞〜
2019年の秋は実りの多いシーズンでした。
10月2日、AIスタートアップ企業の表彰イベント「HONGO AI 2019」においてHONGO AI AWARDを受賞しました。また、最終選考においては選抜された14社の中からフジタ賞を受賞いたしました。
アーリーステージの優れたAIスタートアップの中からHONGO AI AWARDを受賞し、また最終選考においてフジタ賞を授与いただいた本イベントは、私達にとって大きな励みになりました。
10月16日、Web Intelligence (WI) 2019で弊社の中川がBest Student Paper Awardを受賞しました。WIはWeb系の国際会議の一つで、集合知、データサイエンス、Webマイニングなど、Webや人工知能に関する研究やアプリケーションを学際的に取り扱っている学会です。
発表題目("Graph-based Knowledge Tracing: Modeling Student Proficiency Using Graph Neural Network")は、オンライン教育サービス上における受講者の学習ログを元に各受講者の習熟状況を予測する"knowledge tracing"のタスクの改善を目的としたものです。コンテンツ間の関係性をグラフ構造と見なした上でGraph Neural Networksを用いて受講者の習熟を定式化する手法を提案し、従来手法に比べて予測の精度と解釈性を改善しました。本研究により、オンライン教育サービスにおける受講者の習熟状況をより正確に把握・適切な教材を推薦することで、各受講者がより効果的に学習を進められるようになることが期待されます。
プロダクトを開発しながら、アカデミアでも成果をだすことができるような会社にしていきたい、という私達の思いが一つ叶った出来事となりました。
冬 〜メディア露出の増加と研究論文のアクセプト〜
『日経STARTUP X』に代表取締役の田村が出演いたしました。『日経STARTUP X』は「日経産業新聞」と連携し、スタートアップやテクノロジー、イノベーションの最新トレンドを発信する番組です。起業に至った経緯や研究を続けながらスタートアップを経営する意義、アカデミアと産業のシナジー等をGITAIのエンジニア古田悠貴氏との対談を通してお話ししております。
(参考)動画像解析で産業改革「まずは起業」が選択肢〜古田悠貴 GITAIエンジニア 田村浩一郎ACES代表取締役:https://www.paravi.jp/watch/48913
1月7日には、NHK「おはよう日本」の経済コーナー『おはBiz』(1月7日放送分)にて弊社のデモ動画が取り上げられました。「2020革新者たち」という特集の中で、研究室発AIスタートアップの一例として取材いただいてます。
(参考)おはBiz(1月7日放送分):https://www.nhk.or.jp/ohayou/biz/20200107/index.html
また、年末には弊社リサーチャー荒川陸の研究論文がCHI2020にアクセプトされました。CHIはHuman Computer Interaction(HCI)というコンピュータサイエンスの一分野のトップカンファレンスで、今年の採択率は24.31%でした。
本研究は昨年度のCHIで荒川らが提案した「人のマルチモーダルな挙動解析技術REsCUE(*1)」に基づいて、コーチングのビデオの振り返りをサポートするツールを提案し、その効果を評価したものです。ビデオを振り返る際の手かがりとなるシーンの候補をコンピューターが提案し、そのシーンについて考え、またその結果をすり合わせることで、効率的かつ効果的に内省ができることを実験的に示しました。
本技術はHuman Sensingに基づく効率的なビデオ解析という観点で、コーチングのみならずオンライン会議や面接の場面に応用できると考えます。挙動解析は、今まで扱うことが難しかった人の感情や心理といった内的状況を読み解く鍵として、大きな可能性を秘めています。今後も関連技術を開拓しながら、社会実装を見据えたAI技術開発を行っていきます。
2020年の抱負
2020年は、行動解析において重要となるアルゴリズムのデータ集積や開発によって、行動解析系のアルゴリズムの性能向上を行い、私達のプロダクトをより多くの方に使っていただきたいと考えております。そして引き続きDeepLearningの社会実装に邁進し、人の働き方を最適化することで、シンプルな社会の実現を目指したいと思います。
弊社に少しでも興味をもって頂いた方は、ぜひ弊社の募集ページをご覧いただき、お気軽にお問い合わせいただけると幸いです。