新卒当時のあだ名は「赤字社員」。
全く売れない営業マンでした。
しかしそこから努力を重ねて、200人規模の営業チームで売り上げ1位を記録するまでに。
溢れ出ていた赤字はいつしか情熱に、二つ名は「炎の営業マン」へと変わっていました。
その正体は、株式会社wevnal(ウェブナル)の創業者の1人であり、常務取締役兼SNSマーケティング事業部長(当時)を務める森元 昭博(もりもと あきひろ)。
創設から11年目に突入した2021年を「wevnal第3創業期」と位置付け、この度、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を策定し直しました。
wevnalの経営陣4名に、新しいMVVに込めたメッセージや、wevnalへの想いなどについてインタビューする連載企画。
第2回は、自社プロダクト「BOTCHAN(ボッチャン)」を開発し、少しずつテック企業への変革を進める組織のなかで、炎の営業マンがいま思うことを赤裸々に語ってもらいました。
第1回はこちら。
(聞き手:管理部 人事担当 三村)
「スゲェってどういう状態ですか?」
━━そもそも今回、どうしてMVVを変えようと思ったんですか?
森元:きっかけは「いまの人事評価制度を見直そう」ってことだったね。wevnalが将来的に上場を目指すなかで、いまいるメンバーのみんながより働きやすい環境を作ったり、今後より優秀な人たちに来てもらったりするために、人事評価制度を見直す必要があるよねという話になって。
だったらそもそも「wevnalってどういうことを目指すんだっけ、何を大事にしたいんだっけ」を整理しなきゃねということで、MVVを変えることになった。
━━MVVを変えることに、森元さん自身の抵抗はなかったですか?
森元:それはなかったかな。むしろ、変えたいなと思ってたくらい(笑)。前の「スゲェ会社」ってビジョンは5年前くらいに決めたんだけど、当時はいまのBOTCHANみたいな自社プロダクトがなくて、代理業がメインだったのね。
森元:だから「この領域で勝負していくぞ」とか「こんな価値を世の中に提供するんだ!」とかって共通認識がまだ社内になくて、当時は抽象的な言葉にせざるを得なかった。ただやっぱり、新しく入社したメンバーや社外の方たちから「スゲェってどういう状態ですか?」と聞かれることも多くて。
━━たしかに、解釈の幅は広いですよね。
森元:ただ、ここ直近の3年くらいで、BOTCHANをいろんなお客様に使っていただけるようになったり、代理業もSNSマーケティングを軸に事業展開していくことになったりして。
組織全体として「コミュニケーションの領域で勝負していこう!」っていう方向性が固まったこのタイミングで、MVVのメッセージをより明確にできたのは良かったかなと思う。
四面楚歌から「紡いだ」新たなミッション
━━ではここからは、新しいMVVの具体的な内容について教えてください。まずはミッションの「人とテクノロジーで情報を紡ぎ、日常にワクワクを」にはどういう意味が込められているんですか?
森元:実はこれ最初、「人と」って言葉はなかったんだよね。「テクノロジー」だけだった。「テック企業に生まれ変わっていくぞ」って意思表示も込めて、「テクノロジーで情報を紡ぎ」って表現だったんだけど、最終的には「"人"も入れよう」ということになって。
前のミッションの「人の可能性と情熱に投資し、世界を次のスタンダードへ」にもある通り、やっぱりwevnalがこれまで大事にしてきたものは「人」だったから。その想いは今後も残していきたいよねということになった。
━━これまで大事にしてきた価値観と、これから重要視する価値観の両方をミックスさせたんですね。
森元:あと「情報を”紡ぐ”」ってあるんだけど、これは始めは「情報を”繋ぐ”」だったんだよね。ただ、自分が「”紡ぐ”にしたい」と提案して。最初は他の経営陣3人から、めちゃくちゃ反対されたよ(笑)。「”紡ぐ”って何?」みたいな。
でもさ、「繋ぐ」だとひとつの点同士の話になっちゃうでしょ。そうじゃなくて我々がやりたいことは、分断されたり点在してしまったりしている、たくさんの情報を結びつけることで。そうすることによって、ユーザーやお客様に対して新たに付加価値となる情報を提供していきたいと思っている。
━━では次に、ビジョンの「コミュニケーションをハックし、ワクワクするユーザー体験を実現する」について聞かせてください。
森元:そもそもwevnalが創業期からずっとやってきたことって、一言でまとめると「ユーザーとの新しいコミュニケーションのあり方を提案する」だなと思っていて。
例えばBOTCHANは、これまでの常識だった静的な入力フォームに対して、「チャットボット」という動的な入力フォームを使うことで、CVR(=成約率)が上がりますよという新しい価値観を、世の中に提示しているんだよね。
森元:あとはSNSマーケティングの領域だと、広告と商品LP(ランディングページ)の間に「記事LP」というコンテンツを挟むことによって、ユーザーが商品を「自分ごと化」しやすくなり、結果としてCVRがめっちゃ上がった。
これもまた、新たなコミュニケーションの手法を確立できた例だと思っていて。当時は別に、そんなところまで意識してやっていたわけではないけどね。ただ、いま改めて振り返ってみると、wevnalはユーザーに対してこれまでにないような新しい体験を、常に提供し続けてきたんだなと。
━━売っている商品は変わっても、その根底でやっている本質的なところはずっと同じだったんですね。
森元:個人的には「wevnal」って社名、実は大好きなんだよね。ミッションとかビジョンとかはこれまで何回も変わってきてるんだけど、社名の「wevnal」はずっと同じで。wevnalは「web」と「wave」と「signal」を合わせた造語で、これがやっぱりwevnalの本質を表しているなと思っている。
最初の「web」って言葉はもう古臭くなってしまったんだけど、「wave」と「signal」に関しては、時代の波や流行に対して、自分たちが灯台となって世の中を導いていく、発信していくって意味が込められているんだよね。
ここの根底のところは今後も大事にしていきたいなと思って、今回「コミュニケーションをハックし、ワクワクするユーザー体験を実現する」という言葉に落とし込んだ。
技術を活用して商品を作るのは「人」、それを使うのも「人」
wevnal創業者の3名。左から前田、磯山、森元
━━ではここからは、もう少し森元さん自身の想いに焦点を当てたお話も聞いていきたいと思います。
ここまでは新しいMVVを通じた社外や世の中に対するメッセージを主に聞いてきたんですけど、その一方で、新しいMVVを通じて、いまwevnalで働いているメンバーの皆さんに伝えたいメッセージはありますか?
森元:「今後テック企業になっていくなかで、それと同時にwevnalがこれまで大事にしてきた人の温かみも大事にしていくよ」ってことかな。
これは少し自分の偏見も入ってしまっているかもしれないんだけど、全てをテクノロジーで解決しようとすると、「人の温かみ」とか「感情」とかみたいなものが、おろそかになってしまうのではないかなと思っていて。でも個人的には、そこは絶対に無くしたくなかったんだよね。
━━森元さんはwevnalのなかでも、特に「人」への想いが強いなって印象があります。
森元:これは自分自身の経験が、強く反映されているところでもあって。wevnalをいそ(※磯山:代表取締役社長)と前ちゃん(※前田:取締役副社長)と立ち上げたとき、何の事業をするのかは全く決まっていなかったのね。
でもそんなことはどうでも良くて、「何をするのか」ではなくて「誰とやるのか」を大事にしたかった。いそと前ちゃんとは新卒で入った会社が一緒だったんだけど、前ちゃんが一足先に退職するときは「いつか絶対、お前と一緒に働くからな!」って号泣してたからね(笑)
━━森元さんが号泣している姿、なんとなく浮かびます(笑)
森元:いそも前ちゃんも、自分にはないスキルを持っていてすごく尊敬している。そもそも2人がいなかったら、起業すらしてないね。起業したあとは毎日のように「これどうすりゃいいんだよ・・・」って課題が次から次へと出てくるんだけど、それを乗り越えてここまで10年やって来れたのも、彼らがいたからこそだなと本気で思う。
━━wevnalの成り立ちそのものが、「人」を大事にするカルチャーを体現していたんですね。
森元:もちろんテクノロジーを活用することが重要なのは、大前提。ただ、その技術を使って商品を作るのは「人」だし、その商品を使ってくださるのも結局は「人」なんだよね。
森元:あと、wevnalがこれまで大事にしてきたものも引き継ぎますよというメッセージを出すことで、現時点においてwevnalで活躍してくれているメンバーの肯定にもつながるのかなと思っていて。
そしてこれから未来で新しくwevnalへ来てくれるメンバーに対しても、テック的な価値観だけではなくて、人の温かみや想いもある組織だよというのを伝えたいね。
「営業はコミュニケーションの技術職」
━━あと森元さんは「人」への想いに加えて、「スーパー営業マン」のイメージも強いなと思っています。wevnalが少しずつ技術的な色を強めているいまの状況って、ある意味その対極にある「営業」の観点からだと、どんな風に見えているんですか?
森元:そもそもの話をすると、俺は「営業は技術職」だなと思っていて。この言葉は、元はセレブリックスの今井さんっていう、営業の魅力を布教しているセールスエバンジェリストの方が、とある記事で言っていたものなんだけど。営業って、言い換えると言葉を通してお客様の心を動かす「コミュニケーションの技術職」なんだよね。
日本だとまだまだ「新卒がひとまずやってみる職種」みたいなイメージも強いんだけど、海外に目を向けてみると、例えばSaaSの代表的な企業であるSalesforceの営業って、一番稼いでる人だと年収が1億円を超えているらしいの。これって要は、営業が専門的なスキルを必要とする技術職のひとつだって、認められていることの証でもあるのかなと思っていて。
━━「新卒がとりあえず経験してみる職種」みたいな価値観は、日本でも少しずつ無くなっていくかもしれないですね。
森元:営業の人数自体は、今後wevnalとか世の中全体とかで見ても、少なくなっていくだろうなとは思っていて。やっぱりプロダクトの根幹である「開発」のところが止まってしまったら元も子もないから、今後エンジニアの比重がより大きくはなるだろうね。
ただ、だからこそ逆説的に営業の価値は上がるだろうなとも考えていて。どれだけ良いプロダクトを作ったとしても、やっぱりお客様に使っていただかないと意味がないし、そのプロダクトの魅力を知ってもらったり広めたりするのは、営業の役割だから。
営業は「今後なくなる」というよりは、「あり方が変わる」という表現の方が近いかもしれないね。
営業として現場にいるからこその「プラスワン」
wevnalの役員メンバー
━━では最後の質問として、今回、新しいValueのひとつに「プラスワン」という言葉が入っているんですが、森元さんのwevnalにおける「プラスワンの役割」って、ご自身ではどのように考えていますか?
森元:CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)としてプロダクトの未来を描いてくれている前ちゃんよりも、良いアイデアをお客様から引き出すことかな。
━━営業としてお客様に最前線で接するなかで、現場の声を会社に持ち帰ってくる役割ということですね。ただ、例えば新しい機能や商品の要望を顧客からもらったとして、それが良いアイデアかどうかは森元さんのなかでどうやって判別するんですか?
森元:それはけっこうシンプルで、その機能や商品が「Who・What・How」、つまり「誰の・なんの課題を・どのように解決するのか」がパッと頭に思い浮かぶかどうか。
森元:例えば「BOTCHAN PAYMENT」は、それがすぐに出てきたのね。「D2C企業の・CVRが低い課題を・BOTCHAN PAYMENTという決済型のチャットボットを導入することによって解決する」っていう当てはめ方。
ただ、この「売れる!」と思った商品を実際に広げていくためには、まずは1つの成功事例を作ることがめちゃくちゃ大切で。それさえできれば、あとは横展開でいろんなお客様に使っていただきやすくなる。
━━その1つ目の成功事例を作るには、どうしたらいいんですか?
森元:「Who・What・How」の項目が埋まってさえいれば、あとはその課題を抱えるお客様がどこにいるかを探すだけ。例えばBOTCHAN PAYMENTの場合だと「CVRが低いという課題を抱えているD2C企業」であることは絶対条件。
それに加えて、BOTCHAN PAYMENTは月間のCV数が多ければ多いほど費用対効果が合いやすい料金体系だから、一定以上の販売個数があることが重要なのね。最初の成功事例を作るために、まずはそれらの条件を満たすお客様を徹底的に探して。
━━実績がないからと焦って手当たり次第に販売するのではなくて、自分たちのプロダクトの価値を最大限に感じていただけそうなお客様を見つけることが大事なんですね。
森元:そう。それでBOTCHAN PAYMENTの販売開始当時に、どうにかそういったお客様に提案させていただく機会を得て、2日で8商談が入っている時があったんだよね。そして結果的には、その全部で受注することができた。
━━す、すごい・・・!
森元:まずは「Who・What・How」が自分の中でバチッとハマるかどうか。そのうえで、それに当てはまるお客様を見つけて使っていただいて、効果をお返しする。それを成功事例として確立して、どんどんと他のお客様にも広げていくっていう流れが大事かな。
いそと前ちゃんがそれぞれの役割を全うできるように
━━森元さん流「売れる方程式」を活用すれば、2日で8アポ8受注という偉業も夢じゃないということですね。
森元:実を言うと、新卒で一緒に入った会社で一番営業として数字を残していたのは、いそだったんだよね。ただ、wevnalを創業するタイミングでみんなで話し合って、いそには社長をお願いすることになった。
理由は、いそが一番運が良くて、一番人に嫌われないから。俺とか前ちゃんとかは癖が強くて、味方と同じくらい敵も作っちゃう(笑)。会社の顔としてドンドン外に出て行ってもらうのは、いそが適任だろうなと思った。
━━たしかに磯山さんの悪口を言う人、社内外で聞いたことがないです。
森元:ただ逆に言うと、一番営業が得意だった人から、俺たちは「営業」というスキルを取り上げてしまったのね。その代わりに、未経験の「経営」という役割をお願いして。
森元:あと前ちゃんはずっと昔から「自社プロダクトを作りたい」という話をしていて、いま実際、会社のプロダクト全体の構想を描いてくれている。
いそが「経営」、前ちゃんが「プロダクトの開発」それぞれに集中できるように、俺は「営業」として売り上げを立てる責任があるなと思っていて。
━━3人が会社にとって必要な役割を、それぞれの領域で担っているんですね。
森元:プラスワンの話に関してまとめると、まずは大前提として、BOTCHANをより多くのお客様に使っていただいて、BOTCHANやwevnalのファンを一人でも増やすことが大事。
そのうえで、お客様と接するなかで得た気づきやフィードバックをもとに、より良いBOTCHANの機能や新しいプロダクトのアイデアをwevnalに還元することが、自分のプラスワンの役割だね。
wevnalの経営陣4名に、このたび刷新された新しいMVVに込めたメッセージや、wevnalへの想いなどについてインタビューする連載企画、第2回はここまでです!
第3回では、取締役副社長の前田へのインタビュー記事を公開いたします。
また第1回をまだご覧になっていない方は、ぜひこちらもご一読ください!
そしてwevnalでは現在、採用を強化中です!
今回インタビューに登場した森元が統括する、BOTCHAN新シリーズのチーム立ち上げメンバーや、SNSマーケティング事業をさらに加速させるクリエイティブディレクターなど、ポジションは様々。
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