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戦略コンサルティングファームから、オイシックス・ラ・大地へ加わった理由とは?執行役員・冨田祥彦さんに聞く挑戦の展望

「これからの食卓、これからの畑」を理念に、食にまつわる様々な社会課題の解決を目指すオイシックス・ラ・大地。今回は、オイシックス・ラ・大地の執行役員であり、アライアンス室・室長の冨田 祥彦さんを紹介します。

戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニーでコンサルタントとして経験を積んだ後に、オイシックス・ラ・大地へ転職した富田さん。新設されたアライアンス室でシダックス社との提携を担い、2024年春から33歳の若さでオイシックス・ラ・大地の執行役員に就任しました。

コンサルタントとして充実したキャリアを送っていた冨田さんが転職を決めた理由とは何か?そして、更なる事業拡大や新規事業を見据えるオイシックス・ラ・大地で、冨田さんが挑戦していきたいことは何か? 詳しく話を聞いてみました。

(▼)こちらのインタビューは動画でご覧いただくこともできます。

これまでのキャリアの歩み

──  はじめに、オイシックス・ラ・大地に入社するまでのキャリアを教えてください。

冨田さん:
新卒で入社したのは香港にある会社で、日本企業の海外展開を支援する業務をしていました。

その会社に入社した理由は、香港への留学中にその会社の代表と知り合い、彼が私にとってロールモデルになり得る存在だと感じたからです。彼から多くのことを学びたいと思いました。また、日本の将来を考えた時、日本企業の海外進出は重要なテーマであり、この分野の知見を深めたいと考えたことも理由の一つです。

その会社には日本法人があり、香港でしばらく働いた後は日本法人の代表を3年間務めました。その後、アメリカのコンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニーに入社し、コンサルタントとして約4年間働きました。そして、3社目として、2021年にオイシックス・ラ・大地に入社しました。

──  1社目から戦略コンサルティングファームに移った理由は何だったんですか?

冨田さん:
日本法人の経営者としてやっていくなかで、会社として掲げている目標を達成できたものの、「これ以上は会社を成長させられない」という限界を感じていました。自分にとって、経営者として働いた3年間は成功体験でもあり、挫折体験でもあるんですよね。

この会社で続けるべきか、それとも違う世界を見るべきか。そう考えた際、自分の幅を広げるために、様々な経験を積める環境に移ることが必要だと感じました。

戦略コンサルティングファームを選んだ理由は、ビジネスの力で社会にインパクトを与える手法を学びたかったからです。クライアント企業が直面する重要かつ難易度の高い経営課題に取り組むコンサルティングファームは、自分の志向性に最も合っていると感じました。

オイシックス・ラ・大地を選んだ理由

──  コンサルタントとして活躍していた冨田さんが、事業会社側に移る決断をした背景とは何だったのでしょうか?

冨田さん:
コンサルティング会社での仕事はエキサイティングで、学びも多く、充実感がありました。そのため、コンサルタントとして継続して働くという選択肢も自分の中にはありました。

一方で、どこまでいっても第三者的な立場からの支援となるため、主体的に自分たちの事業に取り組む経験を積んでみたいという思いもありました。仮にコンサルタントを続けるにしても、その肌感があるかないかで大きな違いが出てくるだろうと感じたんですね。当事者になりたいと思ったことが、転職を検討するきっかけとなりました。

様々な企業を検討する中で、オイシックス・ラ・大地は会社の成長フェーズとして、自分のような人間が役に立てる実感をもてたため、興味を惹かれていきました。

──  オイシックス・ラ・大地の成長フェーズをどのように捉えていたのでしょうか?

冨田さん:
オイシックス・ラ・大地は創業から20年以上が経ち、当然、ゼロイチのフェーズは既に終わっています。現在は100から1000というように、事業を飛躍的に成長させていくフェーズに入っている会社だと感じました。

その中で、自分が経営コンサルティングファームで学んできた問題解決能力や経営イシューへの取り組み方が求められるようになるだろうと感じました。また、自分と同じようなバックグラウンドを持つキャリアの人が社内に少ないと聞いたので、会社の成長に貢献できる余地が大きいように感じました。

──  同じようなフェーズの会社は他にもあると思いますが、オイシックス・ラ・大地を最終的に選んだ決め手は何だったのでしょうか?

富田さん:
様々な社員の方と話をする中で、社会課題の解決に実直に取り組んでいることを感じられたことが、自分の中では一番大きかったです。シンプルに「この方々と一緒に働きたい」と強く思いました。

ビジネスが目的ではなくて、ビジネスを通じて社会課題を解決したい。どなたに話を聞いても、このスタンスを一貫して感じることができました。上っ面で言っているのではなくて、本気でそう思っていると感じられる人たちが揃っていたんですよね。その仲間に加わることは魅力的だと感じました。

重要な経営イシューに取り組む“何でも屋”

──  入社後に任された仕事について教えてください。

冨田さん:
入社して数ヶ月後、他社との資本を絡めた提携を担当するアライアンス室という部署が新設され、その室長に任命されました。その中でも特に力を入れてきたのはシダックス社との提携です。

──  なぜアライアンス室の室長に任命されたのですか?

冨田さん:
採用を受ける際のジョブディスクリプションには、アメリカの子会社と日本の橋渡し役と書かれていました。しかし、宏平さん(オイシックス・ラ・大地代表・髙島宏平)と話した際に、「ジョブディスクリプションにはこう書いてあるけど、その時々で経営イシューは変わるので、何でも屋になってほしい」と言われました。

自分としては、それで構わないと思いました。なぜなら、会社が大きくなり社会に貢献する総量が増える時、会社として解決すべき重要な課題に取り組むことが一番やりがいのある仕事だと思っているからです。ですので、何でも引き受けるスタンスで入社しました。

私が入社したタイミングでは、シダックス社との提携が重要な経営イシューでしたので、その流れでアライアンス室の室長に就任することになりました。

オイシックス・ラ・大地の中長期的な経営計画では、BtoB事業の急速な拡大を目指すことを掲げています。その背景には、食に関する様々な社会問題が深刻化している現在、我々がやらずして誰がやるという使命感があります。

そういう状況の中、シダックス社との縁をいただき、2社の強みを活かした提携ができるように、この3年間活動してきました。非常に大きなチャレンジでしたが、多くの方々の協力と会社のサポートにとても感謝しています。

シダックス社との提携で目指す未来

──  シダックス社との提携で目指す未来について教えてください。

冨田さん:
シダックス社といえばカラオケのイメージが強いかもしれませんが、1959年に社員食堂の運営から始まった会社です。それ以来、企業・学校・病院などの給食サービスや食堂の受託運営など、給食事業において60年以上の実績を持っています。

一方、最近では、給食提供や食堂運営を手がけていた会社が突然サービスを停止し、提携していた施設で混乱が起きるニュースが話題になりました。そうなってしまった理由としては、人件費の高騰や深刻な人手不足、インフレによる食材費の上昇などが挙げられます。

しかし、施設を利用する方々にとって給食は不可欠なものであり、給食がなくなれば困る人たちが大勢います。給食現場の課題は社会にとって大きな問題であり、早急に解決を目指していかなければなりません。

さらに、給食のクオリティをより向上させることで、その施設を利用する方々の目標達成に貢献することができます。病院であれば怪我や病気の治療を、高齢者施設であれば充実した時間を過ごすことを。それぞれの実現したいことに貢献できる食事提供の形を追求していきたいと思っています。

(▲)オイシックス・ラ・大地の保育施設向け給食サービス『すくすくOisix』の給食例

── オイシックス・ラ・大地がシダックス社と提携することで、どんな可能性が生まれそうですか?

冨田さん:
ミールキットのように、おいしい料理を短時間で調理するためのノウハウがOisixにはたくさんあります。こうした知見を活かして、給食現場のスタッフの業務負荷を軽減しながら、おいしい給食を提供できる体制を作ることが可能です。

また、オイシックス・ラ・大地は全国の優れた生産者さんから安心安全な食材を仕入れています。これらの食材を給食として提供することができ、既に一部の施設では提供を開始していますが、施設の方々からは好評の声を多数いただいています。

これまで、給食はあるだけでもありがたく、それ以上の期待をしている人は少なかったかもしれません。しかし、私たちは給食の付加価値を高めていき、「給食はもっとやれる」ということを提案をしていきます。そして、それが実現できる手応えを強く感じています。

執行役員として挑戦していくこと

──  冨田さんは24年春にオイシックス・ラ・大地の執行役員に就任しました。今後、どんな挑戦をしていきたいと考えていますか?

冨田さん:
もちろん、シダックス社との共同事業には今後も引き続き関わっていきます。それに加えて、Oisix香港の事業を執行役員として新しく担当することになりました。

日本国内の食品宅配ECの需要はまだまだ大きいため、国内事業にも力を入れていきますが、会社としてグローバル展開も視野に入れています。アメリカ事業にも注力していますが、アジアにフットプリントを持っておくことは非常に重要です。

Oisixにとって香港は重要な拠点ですし、会社としても成長を期待している事業です。その香港事業を役員として担当させてもらえることに、とてもやりがいを感じています。

また、執行役員という立場ですので、担当事業や部門の個別最適だけでなく、全社最適の視点で物事を見ることが求められると思います。オイシックス・ラ・大地が社会により良い価値を提供するために、今何をすべきかという広い視点を身につけることにも挑戦していきたいです。

── 執行役員として、オイシックス・ラ・大地をどんな会社にしていきたいですか?

冨田さん:
オイシックス・ラ・大地の経営計画では、BtoC事業とBtoB事業の合計で年間売上高3,000億円を目指しています。しかし、その先を見据えながら事業を成長させることが重要だと考えています。

年間売上高が1兆円規模の会社になったとき、どれだけ社会に貢献できるかを想像するととてもワクワクします。金額が目標ではありませんが、その規模を目指してそれぞれの事業をしっかりと成長させていきたいです。

難しい課題にあえて挑戦する人と働きたい

──  オイシックス・ラ・大地で働く中で、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

冨田さん:
難易度は非常に高いけれど、解決すれば多くの人が喜ぶ可能性のある問題に、信頼できる仲間と取り組んでいる状況そのものが一番のやりがいかもしれません。問題を解決することにやりがいを感じるというのもあるでしょうけど、難しい課題に挑戦しているプロセス自体が既にやりがいになっていると感じます。

もちろん、課題を解決した先にある未来を想像して、それを実現したい気持ちがあるから、そこに向けて頑張れるわけです。ただ、そのビジョンを共有できる仲間たちと、難しい課題に取り組むことができている事実のほうが、自分にとっては重要かもしれません。

──  最後に、どんな人にオイシックス・ラ・大地に加わってほしいかを教えてください。

冨田さん:
社会課題を解決することに強い情熱を持つ人、ビジネスを通じて世の中の役に立ちたいと考える人に加わってほしいです。特に、難しい課題に対して「これは無理だ」と言うのではなく、「何とか考えてみましょうか」と挑戦する姿勢を持つ方と一緒に働きたいと思います。

おそらく、オイシックス・ラ・大地が今後取り組むことは難しいことばかりになると思います。これまでも多くの人が「そんなこと無理ですよね?」と匙を投げるようなことに挑戦してきましたし、これからはますます挑戦していきます。

そうすると、難しい問いが毎日のように出てくるはずです。その時に「これは難しいから、無理でしょ」と及び腰になるのではなく、「そうですね、難しいですね。やってみましょう」と前向きに向き合っていく方。そんな方が仲間になってくれたら、多くの問題を解くことができるでしょうから、そういう方に加わってほしいと思いますね。


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