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アップサイクルで食品ロスを削減! グリーンシフト担当者に聞く『Upcycle by Oisix』の展望

創業当時から社会課題の解決とサステナブルな事業を両立してきたオイシックス・ラ・大地は、SDGs項目である食品ロスの削減や商品パッケージの脱プラスチックなど、環境負荷を減らす取り組みを続けてきました。

2020年11月には『グリーンシフト施策』を発表し、社内にプロジェクトを担当する専門チームを立ち上げ、グリーンシフトに一層注力しています。

そして、2021年7月。グリーンシフト施策の一環として、新たな取り組みがはじまりました。

畑や加工現場から出た廃棄食材を活用し、新たな価値を加えたアップサイクル商品を提供する食品ロス解決型ブランド『Upcycle by Oisix』です。

アップサイクルとは、捨てられるはずだったものに付加価値をつけ、新たな製品に生まれ変わらせること。例えば、繊維工場などで出た残布をバッグや傘に作り替えることもアップサイクルです。この考えを食べ物の世界にも取り入れ、食品ロスを減らす取り組みが世界中で広がりつつあります。

『Upcycle by Oisix』では、畑や野菜のカット工場などから出る非可食部をアップサイクルした商品の開発・販売と並行し、様々な企業が開発したアップサイクル食品の販売も実施します。

今回、グリーンプロジェクト担当チームの東海林園子さん・天明屋勇さん・三輪千晴さんに、『Upcycle by Oisix』の展望について話を聞いてみました。

食品ロス削減を進める中で気づいた可能性

ーー 『Upcycle by Oisix』がはじまりました。グリーンシフトの一環として、「アップサイクル」に着目された背景から教えてください。

東海林さん:
オイシックス・ラ・大地には様々な事業がありますが、どれも食の社会課題を解決することを成長の糧とし、持続可能な社会の実現を目指しています。会社が大きくなったら、その分だけ社会が良くなった。そう思えるように、事業の成長と社会への貢献を完全に重ね合わせることを大切にしてきました。

その一環として、私たちは事業を通じて、食品ロス削減につながる取り組みを行ってきました。

詳しくは「食品ロスアクション」を見てもらえたらと思いますが、需要予測・生産・製造管理の徹底はもとより、規格外の野菜を積極的にミールキットに活用したりと、畑のロスを大幅に削減してきました。

その結果、オイシックス・ラ・大地の2020年度の食品廃棄率は約0.2%となっており、一般食品小売では約5~10%であるのに対して、極めて低い水準となっています。食品ロスゼロを目指し、これからも更なる削減を進めていく方針です。

東海林園子さん。
オイシックス・ラ・大地株式会社 経営企画本部 新規事業開発準備室 グリーンプロジェクト責任者。短大卒業後、食品会社の商品企画開発を経て、2006年にらでぃっしゅぼーや(当時)にマーチャンダイザーとして入社。らでぃっしゅぼーやのミールキットや、世界各地の料理をご自宅で楽しめる「おうちで旅気分」などの立ち上げを行う。2018年のオイシックス・ラ・大地との経営統合後、2019年よりらでぃっしゅぼーや商品本部長を務め、2021年1月よりグリーンプロジェクトのリーダーに着任。

東海林さん:
また、食品ロス削減を推進するなかで、廃棄されてしまうものに大きな価値が眠っていることも実感してきました。

例えば、『大地を守る会』では「もったいナイ魚シリーズ」と題して、通常なら廃棄されてしまう魚をご家庭で使いやすいよう加工して紹介していますが、このシリーズは多くのお客様から支持いただいています。

実は、捨てられるはずだったものに付加価値をつけて、新しい商品として提案する取り組みを、オイシックス・ラ・大地はやってきているんですよね。

そして、食品ロス削減を加速させると同時に、アップサイクルの価値を世の中により伝えていきたいと思い、『Upcycle by Oisix』を立ち上げました。この取り組みを通じて、アップサイクルの可能性を追求しながら、自社だけでなく社会全体のグリーンシフトに貢献できたらと考えています。

Oisixらしいアップサイクル商品を開発

ーー それでは、『Upcycle by Oisix』の具体的な活動を教えてもらえますか?

天明屋さん:
ひとつは、自社オリジナルのアップサイクル商品開発です。オイシックス・ラ・大地が契約する生産者さんの畑や加工現場から出た廃棄食材を活用し、より環境負荷が低く、新たな価値を加えたアップサイクル商品を開発していきます。

天明屋 勇さん。
オイシックス・ラ・大地株式会社 製造調達本部 製造部 部長 兼 経営企画本部 新規事業開発準備室。前職はOisixブランドのサプライヤーのカット野菜工場で営業・製造と幅広く担当。入社後は一貫して製造に軸を置き、物流施設立ち上げや商品開発に携わる。

天明屋さん:
廃棄食材というと聞こえはよくないかもしれませんが、私たちが扱うものは『Oisix』の安心安全基準を満たしている食品の廃棄部分です。お客様に安心して召し上がっていただけるように、トレーサビリティのある食品を原料に使用します。

そして、オリジナル商品の第1弾として、畑や野菜のカット工場などから出るブロッコリーの茎やだいこんの皮を使い、サクッと揚げて食べやすいチップスに仕上げた『ここも食べられるチップス』を開発しました。

(▲)『ここも食べられるチップス ブロッコリーの茎』

天明屋さん:
美味しく召し上がっていただけるよう、ココナッツオイルでさっくりと揚げ、素材の味と食感を引き立てています。天日塩とてんさい糖の優しい味付けなので、小腹がすいた時やお子様のおやつにもぴったりなチップスになっています。また、野菜そのものがもつ食感を活かしたチップスなので、サラダやスープのアクセントにも使えます。

食品ロス削減につながると言っても、おいしくないとお客様の支持は得られません。私たちが開発するアップサイクル商品も、おいしさには徹底的にこだわり、『Oisix』らしい驚きや新鮮さも加えていきたいと考えています。

また、今回のチップスを提供することで、月間約2トン以上のフードロス削減につながる見込みです。今後、自社オリジナルのアップサイクル商品のラインナップを増やし、3年後には年間約500トンの食品ロス削減を目指していきます。

アップサイクル商品のセレクトショップを目指して

ーー また、『Oisix』のECサイト内には、『Upcycle by Oisix』の専門ページがオープンしました。

三輪さん:
はい。『Upcycle by Oisix』は、オイシックス・ラ・大地が手がけるオリジナルアップサイクル商品のブランド名であると同時に、様々なアップサイクル商品を販売していく販売サイト名でもあります。

三輪 千晴さん。
オイシックス・ラ・大地株式会社 サービス進化室 Kit進化セクション 兼 経営企画本部 新規事業開発準備室。新卒でブランド・マーケティングを専門とするコンサルティング会社に入社しアパレル・消費財系クライアントのブランド立ち上げに従事。2020年末にオイシックス・ラ・大地入社。新規事業開発チームは入社後すぐ立候補し、翌1月に兼務へ。

三輪さん:
『Upcycle by Oisix』の専門ページでは、私たちが開発したオリジナル商品の他に、他社が手がけるアップサイクル商品の販売も行なっています。

例えば、そのままでは食べづらい柑橘の皮を、果肉と一緒に美味しく爽やかな味わいに仕上げたドライフルーツ。また、品質については全く問題がないのに、欠け・割れ・変色などの理由で適正価格にならないため廃棄されてしまう、カシューナッツとドライフルーツを使ったグラノーラなどを販売しています。

(▲)『Upcycle by Oisix』で販売している『Upグラノーラ』

三輪さん:
そもそも、アップサイクル食品は廃棄食材を原料とするため、生産量が限られていて、最初から大きな流通に乗せるのは難しいところがあります。

ただ、『Oisix』のような食のECであれば、生産量が少なくても売ることができますし、お客様の反応を見ながら改善することもできます。

オイシックス・ラ・大地では、お客様の声を聞きながら改善を重ね、大ヒットに至った商品の事例も沢山あるので、その時のノウハウや経験も活かせると思います。『Upcycle by Oisix』を売り場として活用していただくことで、様々な企業が手がけるアップサイクル食品が世に出て行くキッカケをつくっていきたいです。

将来的には、「アップサイクル商品のセレクトショップ」として圧倒的な存在になることを目指しています。『Upcycle by Oisix』の売り場に、どのようなアップサイクル商品が登場するかを楽しみにしてほしいです。

グリーンシフトを楽しみながら、やっていく

ーー 『Upcycle by Oisix』の立ち上げに対して、社内からの反響はいかがですか?

東海林さん:
社内の反響は、すごくありますね。今回、『Upcycle by Oisix』を立ち上げたことで、会社としてのグリーンシフトへの本気度を改めて社内外へ示すことができたのではないかと思います。

オイシックス・ラ・大地のグリーンシフト施策は、主にCO2排出量削減と食品ロス削減の2軸があります。

前者に関しては、2026年3月末までにサプライチェーン全体でのCO2排出量ゼロを目標に掲げ、生産における独自のグリーン基準を検討したり、配送車の一部にグリーンエネルギーを導入したりと検証を重ねています。

こういったグリーンシフト施策は、持続可能な社会を目指すための当然の責任として取り組んでいく必要があると感じていますが、同時に「グリーンシフトを楽しんでやっていこう」という想いもあります。

社長の宏平さんも「降りかかる問題は選べないが、問題を解く態度は選べる」とよく言いますが、目の前の問題を大変だと思いながら解くのではなく、楽しみながら前向きに解いていったほうが、上手に問題を解くことができると思います。

その楽しみながら、グリーンシフトに向き合っていく象徴のひとつに、『Upcycle by Oisix』がなれたらと考えています。

東海林さん:
『Upcycle by Oisix』の取り組み発表以降、社内の様々なメンバーから、アップサイクルに関する情報やアイデアがチームに寄せられるようになりました。社内からも、アップサイクルへの取り組みに対する関心と期待の高さを感じます。

新しい食の楽しみ方を広げていきながら、食品ロスも減らしてゆく。

「これからの食卓、これからの畑」を理念に掲げ、食の領域で様々な価値を提案してきたオイシックス・ラ・大地だからこそ、アップサイクルの面白さや可能性を発信していけると考えています。

グリーンシフトの先にある未来をつくる

ーー 『Upcycle by Oisix』の担当メンバーとして、改めて、今後の意気込みを聞かせてください。

天明屋さん:
おもしろさを感じてもらえるオリジナルのアップサイクル商品を、『Upcycle by Oisix』から次々と発表していきたいです。

そもそも、日本には食品から出るロスや、製造過程で生まれるものを再利用する文化があります。米ぬかも、おからもそうですよね。捨てられそうなものに価値を見つけていくアップサイクルの文化を、より進化させていけたらと考えています。

三輪さん:
『Kit Oisix』を通じて、ミールキットの価値を社会に伝えたように、『Upcycle by Oisix』を通じて、アップサイクルという言葉や価値を広く社会に普及させたいです。

そのために、『Upcycle by Oisix』で扱うアップサイクル商品から、多くのお客様に支持いただける人気商品を育てていかなければと感じています。私たちが開発するオリジナルのアップサイクル商品も、売り場を『Oisix』に限定することなく、他社の小売店が扱いたいと思ってもらえるような存在にしていきたいです。

東海林さん:
気候変動は年々大きなリスクとなっており、グリーンシフトは企業の当然の義務として、当たり前のように取り組む時代になってきていると感じています。

CO2排出量削減や食品ロス削減を進めるなかで、その先にある未来をどうやってつくっていくか。その可能性のひとつが、アップサイクルだと感じています。

アップサイクルの価値を確立させる責任感と、オイシックス・ラ・大地だったらアップサイクルの可能性を世の中に広げられるかもしれないという期待を同時に感じています。これからの『Upcycle by Oisix』の活動に、是非とも注目してもらえると嬉しいです。

執筆:井手桂司・編集:ORDig編集部

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