「これからの食卓、これからの畑」を理念に、Oisix ra daichiでは食にまつわる様々な事業を展開しています。今回は、人気飲食店の看板メニューをお客様の自宅まで届け、おうちにいながら外食気分を楽しむことのできるOisixの『おうちレストラン』を紹介します。
『おうちレストラン』は、コロナウイルス感染拡大による外出自粛や営業時間短縮要請などで影響を受ける飲食店の支援を目的に、2020年4月にスタートしました。これまでに、『塚田農場』や『博多もつ鍋やまや』など全国展開している人気飲食店から老舗の名店まで、合計23店の43商品(2020年10月末時点)を取り扱っています。
『おうちレストラン』はお客様から好評いただき、掲載後すぐに完売となる商品も少なくありません。お客様アンケートをとると「自宅でも外食気分を味わえる」「手軽に名店の味が楽しめる」「家族や自分へのご褒美になる」という声が多く、おうち時間が増えるなかで、生活の楽しみのひとつになっていることを感じます。
飲食店からも、店舗での売上の見込みが立ちづらいなか、『おうちレストラン』によって売上の一部をカバーできたと評価いただくことが多く、飲食店支援という目的に対しても手応えを感じています。今回の記事では、『おうちレストラン』を担当するOisix EC事業本部の熊本隆一さんに、これまでの取り組みや今後の展望について話を聞きました。
熊本隆一さん。2019年11月に中途入社。前職は映像制作会社でプロデューサーとして企画からディレクションまで幅広く担当。その後、顧客視点を大切にしている会社でマーケティングを学びたいと考え、Oisix ra daichiに行き着く。Oisix ra daichi入社後は、Oisixの『産直おとりよせ市場』を担当。『おうちレストラン』は、2020年4月の立ち上げから関わる。
目次
- 非常時こそ行動するのが、Oisix ra daichi流
- お客様のニーズを汲み取り、体験を届ける
- 売り場としての魅力だけでない、Oisixの価値
- 食のエキスパート達と組むことで得られる豊富な気づき
- 不安が広がる中、楽しい時間を演出する意義は大きい!
非常時こそ行動するのが、Oisix ra daichi流
ーー はじめに『おうちレストラン』が立ち上がった経緯を改めて教えてもらえますか?
熊本さん:
Oisix ra daichiは食にまつわる社会課題をビジネスで解決する会社で、非常時こそ社会のためにアクションすべきという価値観を持っています。新型コロナウイルスの感染拡大に際しても、最前線で働く医療従事者の方々に食品を無償支援するプラットフォーム『WeSupport』を立ち上げるなど、様々な取り組みをしてきました。
そのアクションのひとつとして、コロナウイルスの影響で苦しむ飲食店の支援を目的に『おうちレストラン』は生まれました。営業自粛や外出自粛により店舗での売上が見込めない状態で、外食業が苦しい状況に陥っていることは明らかですし、飲食店の食材の仕入先である生産者の方々も深刻なダメージを受けています。
Oisixで食材の販売を支援することによって、売上の落ち込みを少しでも補うことができないか。そう考え、Oisixの売り場の中に『おうちレストラン』の特設ページをつくり、各飲食店の看板メニューの食材セットの販売をはじめました。それが今年の4月のことです。
熊本さん:
また、『おうちレストラン』をはじめた背景には、人気飲食店の看板メニューをお客様のご自宅にお届けすることで、おうち時間に「楽しいひと時」を提供できるのではないかという期待もありました。
実は、コロナウイルスの影響で外出自粛が続くなかで、外食の楽しみが失われてしまったというお客様の声を多くいただいていました。平日は自宅でご飯をつくるけれど、休日は家族でおいしいものを食べに出かけるご家庭も多く、外食が心に余裕をつくる息抜きの時間になっていたとおっしゃるんですね。
感染拡大で社会全体に不安が広がるなかで、お客様の生活に楽しいと感じられる瞬間を届けることはできないか。そう考えていた時に、『おうちレストラン』はそれを叶える絶好の企画だと感じたんです。
お客様のニーズを汲み取り、体験を届ける
ーー 各飲食店のメニューを販売する上で、意識されていることは何でしょうか?
熊本さん:
まず大前提としてあるのは、Oisixの「安心安全の基準」を守ることです。各飲食店の食材は必ず事前に成分データをいただき、Oisixの品質保証チームが責任をもって確認しています。
その上で、食材を届けるだけでなく、「体験」を届けることを意識しています。飲食店に足を運ぶ魅力には、おいしい料理が食べられるだけでなく、店員さんとの会話やお店の雰囲気など、料理以外の体験も含まれていますよね。僕らはお客様に外食気分を味わっていただくことを目指しているので、どうやって店舗で得られる体験を提供できるかも考えています。
例えば、串カツ田中の店舗では、「チンチロリンハイボール」という名物企画があって、サイコロを2つ振った時の目に応じて、お酒の価格が変わります。『おうちレストラン』で購入いただいたお客様にも、店舗にいる気分を味わってもらおうと、チンチロリンのサイコロが作れるオリジナルクラフトペーパーを配布しました。
熊本さん:
サイコロだけでなく、メニュー表、注文票、コインも付いてきて、お子さまと一緒に居酒屋ごっこが満喫できるようになっています。お客様が居酒屋ごっこで遊んでいる様子をSNSに投稿してくださったりと、楽しんでいただけているようでした。
また、首都圏やニューヨークで高級焼鳥を展開する『鳥幸』と一緒に企画した焼鳥串のセットには、なんと特製卓上焼台セットが付いてきます。
熊本さん:
「焼鳥は焼き立てが一番おいしい」を『鳥幸』ではスローガンにしているので、そのこだわりを自宅で再現できるようにミニ焼台をセットに販売しました。自宅で焼台を使って焼き鳥を焼く体験なんて、ほとんどのお客様が味わったことのないためか、大変好評で販売開始後すぐに完売となりました。
おもしろいのが、揚げたり焼いたりと手間がかかることをお客様にお願いしていることです。Oisixでは「プレミアム時短」をキーワードに調理の手間を極力省くメニューの開発が増えていますが、その真逆なんですよ。ただ、『おうちレストラン』あえて手間も残すことが楽しい体験につながると思いました。お客様の求めているものを汲み取り、企画として実行することは、Oisixが大切にしてきたことですが、『おうちレストラン』でもその姿勢は変わっていません。
売り場としての魅力だけでない、Oisixの価値
ーー 現在、『おうちレストラン』で商品を販売する飲食店の数が増えてきていますが、飲食店の方々にとって、『おうちレストラン』の魅力とは何なのでしょうか?
熊本さん:
まずは、全国に約25万人以上いるOisix会員のお客様に向けて販売できる機会を持てることが大きいですね。『おうちレストラン』に掲載すると、日常的にオンラインで食品をお買い物されているお客様に商品をアピールできます。
また、Oisixのお客様は、毎日の食卓のメニューをマンネリ化させたくないなど、食に目新しさを求めている方が多いのが特徴です。高品質でユニークなメニューを提供する飲食店からすると、新しいファンとの出会いの場としても期待されています。
実際、商品を購入したお客様から「次はお店に行ってみます!」と感想をいただくことが多く、来店に向けての先取り体験を届けている側面も『おうちレストラン』にはあります。オンラインでの販売支援だけでなく、各飲食店のブランドづくりにも貢献できているのではないでしょうか。
熊本さん:
加えて、Oisixの強みとして、これまでに培ってきた経験をもとにした販売や商品の企画提案力もあげられると思います。社内には食にまつわる様々なデータが揃っていますし、メニューの試作品を開発できる施設もメンバーもいます。最近では、オリジナルメニューを飲食店と一緒に開発することも増えてきました。
『おうちレストラン』に出店する飲食店には、オンライン販売の経験がなく、この状況になって急遽検討をはじめたところも少なくありません。Oisixはネット販売で成長してきた実績があるので、事業パートナーとして頼りにしていただいていると感じます。
売り場としての価値だけでなく、Oisix ra daichiが大切にしている問題解決力も付加価値として各飲食店に提供していく。『おうちレストラン』で商品を販売する魅力として、この両方を感じてもらえるようにしていきたいです。
食のエキスパート達と組むことで得られる豊富な気づき
ーー 飲食店の方々と接する機会が増えることで、Oisixとして学びになることはありますか?
熊本さん:
もう学ぶことばかりですよ。『おうちレストラン』に掲載している飲食店は人気のお店ばかりなので、どこも食へのこだわりが圧倒的に強いです。仕入れている食材の選定基準も、品質管理の方法も、レシピの作り方も、勉強になることばかりです。
飲食店とメニュー開発をするときには、Oisixの商品開発担当メンバーが先方のシェフや商品開発担当者の方と一緒になってプロジェクトを進めるのですが、いい刺激をもらえるとよく言っています。この経験は、これからのOisixの商品開発にも活きてくるはずです。
様々な分野の食のエキスパートと交流できる機会を持つことは、「これからの食卓、これからの畑」を理念に掲げるOisix ra daichiにとって大きな強みになるのではないでしょうか。
熊本さん:
また、『おうちレストラン』では、これまでにOisixで取り扱ったことのないメニューを扱うことが多々あります。先ほど紹介した串カツもそうですし、他にも「もつ鍋セット」や「ラムすき鍋セット」などもそうです。これらのメニューは食材の仕入れや品質管理が難しく、その道のプロである飲食店と組むことで取り扱えるようになりました。
そして、僕たちの予想を超えたヒット商品が次々と登場しています。例えば、鍋ものは夏場にあまり売れないのですが、「もつ鍋セット」や「ラムすき鍋セット」はものすごく売れたんですね。僕らの経験則からすると考えられないことで、大きな発見でした。扱う食のメニューが増えることで、食のマーケットへの理解が深まっていると感じます。
もともとは飲食店支援として立ち上がった『おうちレストラン』ですが、お客様からも好評ですし、僕らにとっても得るところが大きい。そういった背景もあり、今後は取り扱う店舗数や商品数を広げ、飲食店との連携をより強化していく予定です。
不安が広がる中、楽しい時間を演出する意義は大きい!
ーー 最後に、熊本さんが『おうちレストラン』のプロジェクトメンバーとして感じるやりがいを教えてください。
熊本さん:
僕は、お客様の持つ課題を解決し、お客様に本当に喜んでいただけるマーケティングを学びたくて、Oisix ra daichiに入社しました。そういう意味で、飲食店の方々にも、Oisixのお客様にも価値を感じていただけている『おうちレストラン』にやりがいを感じています。
特に、僕らが届けている体験は、お客様の暮らしを楽しくさせるものです。新型コロナウイルスによって、不安が社会全体に広がる中、食卓を通じて楽しい時間を演出することの社会的意義は小さくないと思います。
おうちで外食気分を楽しんでいただくことが、飲食店の応援につながる。引いては、飲食店の食材の仕入先である生産者の支援にもつながる。まさしく「三方よし」の取り組みですよね。
「これからの食卓、これからの畑」を理念とする会社の一員として、これからも食にまつわる社会課題の解決に貢献していきたいです。