食材宅配サービスOisixにおけるUXの取り組みとアプリの改善事例
有機野菜などの食品宅配専門のECサービス「Oisix」を展開するオイシックス株式会社。同社ではサービスのUXを向上するため「UX室」というチームを設け、日々サービスの改善を行っています。 今回はオイシックスのUI/UXデ
https://uxmilk.jp/56897
はじめまして、Oisix ra daichiのアプリエンジニア・TK(増田大海)です!
毎週(もしくは隔週)、安心安全で美味しい野菜を、ご自宅にお届けする定期宅配サービス「おいしっくすくらぶ」のスマートフォンアプリ開発を担当しています。
専門はAndroid。Kotlinを使用した開発を行っています。
僕たちのお客様は働く女性やママなど忙しい方が多く、料理に十分な時間を割くのが難しいという悩みがあります。そこで、よりスムーズに、より楽しくお買い物を楽しんでいただけるよう、スマホアプリを開発し日々改善を続けています。
そして、アプリを改善する際に一番大事にしているのは、「お客様視点」です。
なぜなら、僕がOisix ra daichiに入社した理由は、お客様から得た声やデータを分析し、ユーザー視点に基づいて体験を改善し、課題を解決する「グロースハック」を学びたかったからです。
現在、アプリエンジニアという立ち位置から、まさにOisixのグロースハックに自分が携われているという実感があります。
この記事では、僕が感じるアプリエンジニアとしてグロースハックに関わる醍醐味や、Oisix ra daichiでエンジニアとして働くことの面白さについて、お伝えしたいと思います。
【増田大海(ますだ・たいかい)】Oisix EC事業本部 CX室 開発セクション(アンドロイドエンジニア)1992年生まれ、鹿児島県出身。 鹿児島高専電気情報工学専攻を卒業後、BtoB系地図ウェブアプリケーション開発に従事。その後、2017年にオイシックス株式会社(当時)にAndroidエンジニアとして入社。ディレクターやデザイナーとともに、設計思想の見直しを図りながら、UX改善や新機能の開発に着手。
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「グロースハッカーになる」という意気込みだけで入社
はじめに、簡単に自己紹介をさせてください。
僕は、学生時代は情報工学化という技術系の学部で、プログラミングを学びました。
ただ、在学中は音楽のバンド活動に最も力を注ぎ(ちなみに、現在も活動を続けています!)、就職活動でもバンドに支障がでないようにするため、「転勤がない会社」を優先して受けていました。
その結果、新卒では、ケーブルテレビ・電力会社に対して、地図を用いたWebアプリケーションを提供する会社に就職。そこでは3年間、Webアプリエンジニアとして、サーバーサイドからフロントまで、様々なことを経験しました。
しかし、エンジニアとして働くうちに、もっとエンジニアとしての自分を成長させる環境に身を投じたいと思い、転職を考え始めます。
その時にたまたま出会ったのが、OisixのUI/UXデザイナーである福山さんが書いた『食材宅配サービスOisixにおけるUXの取り組みとアプリの改善事例』という記事です。
“アプリ版は当初、注文をストレスなく処理できるようにサクサク感を重視してシンプルなものにとどめていたが、運用するなかで、実はそれはお客様が求めているものではないことがわかった。
お客様は「買い物がスムーズにできること」より、「新しい商品との出会い」をアプリでの体験に求めていて、そこに基づきユーザー体験を改善させた結果、売り上げを大きく向上させることができた”
これぞ、グロースハックの好事例ですよね。この記事を読み、自分もユーザー視点に基づいたグロースハッカーになりたいと思ったのです。
同時に、Oisixという会社にも強く惹かれました。ここに入社したらグロースハックについて色々と学べるかもしれない…。
そんなことを考えていた時に、学生時代からの知人がOisixで働いていたのですが、その人から「エンジニアが足りていないから、ウチで働かない?」と誘いをもらいました。
まさに渡りに船といった状態。すぐに採用試験を受け、幸い入社が決まります。
ただ、求められていたのはAndroidのアプリエンジニア。当時の僕は、Androidについては全くの未経験でした。グロースハッカーになるという意気込みだけをもって面接にのぞんでいたのです。今振り返ると、よく採用してくれたな…と思います。
静かな興奮を覚える瞬間が度々
こうして入社した僕ですが、やはり想像していたように、Oisixのアプリ開発は刺激と興奮に満ちたものでした。
まず、第一にユーザーの声がダイレクトにわかる!
新卒で入社した会社は、企業向けのサービスを提供していたので、エンジニアの僕のところにお客様の声がフィードバックされる時には、営業担当だったり、経営陣だったりと、様々な人のフィルターがかかっていました。
「本当に、これお客様が感じている課題なのかなぁ…」
そう勘ぐってしまうことも正直ありました。この改善はお客様のために、本当になるのだろうかと。
でも、Oisixではアプリ上でお客様がどういう行動をしていたのかがデータでわかります。そして、ユーザーインタビューやお客様アンケートの結果を社内で共有してもらえるし、希望すればインタビューの場にエンジニアも同席できます。
なんというか、お客様が感じている課題に対して、自分が真っ直ぐに向き合えている感覚があるんです。
そして、アプリエンジニアとして特に興奮を感じるが、アプリのUIや表示される商品の構成を変えるだけで、売り上げに大きなインパクトが現れるということです!
例えば、UIを少し変えるだけでも、お客様一人当たりの平均の月間購入額に変化が現れます。これを年間単位で考えると、数千万円。もしくはそれ以上の売上の差につながったりします。
「自分が、とんでもない額の数字を動かしてしまった…」
そんな感覚を肌で感じ、自分が会社に貢献している感覚を強く抱くことができます。その数字の大きさに、静かに興奮することが何度もあります。
あるべき姿に向かって、アジャイルチームを結成
しかし、最初からアプリ開発が順風満帆に進んでいたかというと、そうではありません。
僕が入社した当時は、エンジニア、UIデザイナー、アプリの企画メンバーが、バラバラのチームに所属していて、開発がうまく進んでいるとは言い難い状態でした。オフィスでの席も、すごく離れていたんです。
デザイナーや企画メンバー、もしくは経営層からトップダウンで降りてくる依頼を、ただただエンジニアが開発しているという状態で、僕が思い描くグロースハックをするエンジニアには程遠い光景が目の前に広がっていました。
本来は、お客様の課題を解決するという共通のゴールを達成するために、エンジニアもデザイナーも互いの手を取り合って、同時進行でアプローチしていくのが、あるべき本来の開発の姿なはずです。
このことに危機感を強く覚えていたのですが、僕をOisixに誘ってくれたエンジニアの先輩が、この問題意識を社内に提案してくれました。その結果、エンジニアの席をアプリのデザインを担当しているメンバーの近くに移動することになりました。
こうしてお互いの連携を強めていった結果、職種の壁を超えたアプリ開発のアジャイルチームが発足することになったのです。
現在は、エンジニアは3名。Androidは僕一人で、iOSを担当するエンジニアが二人います。
そして、プロダクトオーナーが1人。UIデザイナーは3人。そして、企画単位でOisixのECを運営する部門からもメンバーがチームに入っています。
もちろん、一緒のチームになったからといって、課題が全てクリアになったわけではありませんし、現在も課題はあると思いますが、開発のあるべき姿に近づいていっている手応えを感じています。
僕自身も、チームビルディングやアジャイルチームにおける開発プロセスのやり方について、関連本を読んだり、詳しい人の話を聞きにいったりと、意識的に勉強するようになりました。
僕としては、このチームを「持続可能性のあるチーム」にしていきたいと考えています。
例えば、何らかの都合でメンバーの誰かが抜けないといけないという場合でも、運用に支障がでないように自己修復ができるイメージです。みんながお互いの仕事を把握できていて、カバーができる。お互いがそれぞれの役割について理解していて、リスペクトしあえている。
そのための手段は、まだ見つかっていません。でも、こういうチームになりたいと考えています。
「一流のAndroidエンジニア」と胸を張って名乗れるように
それと、僕個人の目標として、Androidエンジニアの国内最大級カンファレンス『DroidKaigi』への登壇を目指していきたいと思うようになりました。
やっぱり、Androidエンジニアとして、どんどん上を目指していきたいと、アプリ開発を日々行うなかで強く感じるようになりました。
『DroidKaigi』に登壇する人は、スターのような方々ばかり。ここで登壇するということは、どこにいっても一流のAndroidエンジニアとして胸をはって名乗れる状態になることだと思います。
そのためには、まずは社内で技術を磨くことはもちろん、そこで得られた知見を社外に共有したり、社外からも積極的に学びにいくことが重要になるはずです。僕も、最近は意識的に勉強会で登壇するようにもなりました。
Oisix ra daichiでエンジニアとして働くうえで、良いところだと思うことのひとつに、社外でのイベント登壇や情報発信を積極的に応援してくれるところです。
それに、外部の有料勉強会への参加も、すごく推奨しています。
今でも覚えているのが、僕が入社して3ヶ月目の時に、僕が勉強しているAndoroidの言語・Kotlinの世界的なカンファレンスがサンフランシスコで開催されるので、ダメもとで「出張で、参加させてもらえませんか?」と相談したら、なんとOKを出してくれたんです。
Androidを習いたてのペーペーだし、僕の英語力はそんなに高くない…。それでも行かせてくれた。すごい会社だと思いました!Oisix ra daichiは行動力は認めてくれる会社なんですね。
また、社外から学ぶという意味では、外部の優れたエンジニアの方々に技術顧問として関わっていただいたりしています。
僕のチームにも、僕が心から尊敬するAndroidエンジニアのkgmyshinさんに、技術顧問として加わっていただいています。
▲kgmyshinさん(写真左)との社内MTGでの一枚
そういった外部からの刺激もあり、現在、Oisix ra daichiのエンジニアのみんなは、エンジニアとして成長するためにも、イベント登壇や情報発信などにチカラを入れるメンバーが増えてきました。
お互いに刺激を与え合い、切磋琢磨できる仲間が増えてきたのは、エンジニアとして成長したい人にとって、とても良い流れだと思います。
「Oisix ra daichiのエンジニアはレベルが高いよ」と自信を持って言える状況に変えていきたいし、外部からもそう言われるような会社を目指していきたいです。
世間の常識は、Oisix ra daichiでは非常識
最後に、Oisix ra daichiという会社について少し話をさせていただきます。
Oisix ra daichiには、「挑戦を推奨する文化」があります。
僕が入社した当初は、何か新しいことをしようとする時に、前職の癖もあって、いちいち上司に「〇〇をやってもいいですか?」と確認をしていました。多分、多くの企業では、何かを始める前に、上の許可を取ることが常識になっているのではないかと思います。
でも、Oisix ra daichiでは、何か新しいことを始めるときに、「やっていいかの許可を取らなくて良い」と言われます。まずは、自分でやってみて、その結果をもとに、「自分はどうしたいのか」を提案してほしいと言われます。
僕は、この文化がとても素晴らしいと思っているんです。
エンジニアとして、新しい技術やツールの知識を覚えたとしても、それを実務で試せる環境がないと、成長はできません。その点、Oisix ra daichiでは、どんどん自分が良いと思ったものを試してみることができる。エンジニアとして成長できる土壌が、整っていると感じます。
また、Oisix ra daichiが提供しているサービスは、本当に価値のあるものだと僕は感じています。
僕らが提供する食品宅配のサービスを通じて、食卓が楽しくなる世の中を作りたい。
僕自身、食事にはすごく困っています。放っておくと、外食やコンビニ弁当ばかりになってしまうし、栄養面も明らかに偏りがあります。
でも、僕らのサービスを使ってもらうと、健康面もケアできるし、食事が楽しくなる。僕なんかでも、Kit Oisixを使うと毎回感動するし、「自分は料理ができる人間なんだ」と勘違いしてしまうほどです。
Oisix ra daichiのサービスを進化させて、もっと多くの人に、食卓の豊かさを届けていく。
そのために、Androidエンジニアとしても、グロースハッカーとしても、より高い成長を目指していきます。