ニジボックスの人とワークスタイルを紹介する、社員インタビュー。今回お話を伺ったのは、リクルートの予約管理をシンプルにするWebサービス『Airリザーブ』の現場に参画しているデザイナーの河合さんです。
「やってみたい」と思ったことに体当たりし、デザイナーとしての経歴はもちろん、さまざまな経験を積み重ねてきた河合さん。「羊が好き!」そんな想いを胸にニュージーランドへ留学したり、「日本文化が好き!」そんな和文化への関心から旅館で仲居さんをしたり、常に向上心を忘れずにアクティブな人生を過ごしてきました。
そんな河合さんは、デザイナーとしての道を極めるため、ニジボックスに入社を決めたと話します。
デザインのフィールドとしてニジボックスを選んだ理由、リクルートの大規模サービスに参画するメリットなどに焦点をあててご紹介します。
「リクルートでデザイナーとして働くって、実際はどうなんだろう?」「どんな人たちと、どんな風に働いているんだろう?」そのような疑問の答えが見つかる記事になっています。
「好き」や「知りたい」をきっかけに、まずはやってみる。その精神でさまざまな世界へ飛び込み、辿り着いたのはデザイン業界。
―最初に、河合さんがニジボックスに入社するまでの経歴を教えてください。
学生時代は、東京の美術大学でグラフィックデザインを専攻していました。
企業との共創プロジェクトに参加したり、子ども向けのワークショップを開催したり、学外でもいろいろなことにチャレンジしましたね。卒業後一度就職しましたが思うこともあり、すぐにワーキングホリデーを利用してニュージーランドに留学しました。大好きだった羊と戯れる日々を送りつつ(笑)、語学学校に通って英語をしっかりと学ぶ1年間を過ごしました。
―日本へ帰国してからは、旅館に就職して仲居さんになったんですね。そのきっかけは、何でしたか?
もともと日本文化が大好きで、「日本のおもてなしの文化を学べたら良いなあ」と石川県にある有名な旅館に就職し、仲居さんとして働き始めました。日本文化を学ぶことができ、着物も一人で着られるようになり、次のステージを考えていた頃のこと。上司に「広報企画課で、プランナー兼デザイナーとして働いてみない?」と誘っていただき、仲居さんを辞めて新たな部署で働くことになりました。
―広報企画課では、どのような仕事をしていましたか?
旅館の宿泊プランを考えたり、旅館内に掲示するチラシを制作したり、企画や制作に関するものは何でも作っていました。徐々にいろいろと携わらせてもらえるようになっていきましたが、どうしても新しい意見や提案を受け入れてもらえない文化や風土は根強くありました。伝統も歴史もある旅館なので、仕方がないことなのかもしれませんが、「こんなものをやってみたいです」と新しい提案をしても、ことごとく突っぱねられてしまう。そんな状況が続いて、だんだんと自分の置かれている環境に苦しむようになっていったんです。また、デザイナーは自分一人のみだったので、切磋琢磨し合える仲間もおらず、技術の伸び悩みも感じていました。「デザイナーとしての道を極めていきたいのであれば、デザインを主とする会社に転職すべきなのかもしれない」そう考えるようになり、いよいよデザイン業界への転職を決意しました。
デザイナーとしての道を極めるため、ニジボックスへ。
―デザイン業界へ転職を決意した河合さんが、Web業界に目を向けた理由や、都内への転職を考えた理由を教えてください。
それまで私は、紙媒体のデザインを行ってきました。ですが、「今後デザイナーとして生きていくためには、紙媒体だけではなくWebのデザインもできる方が良いのではないか」と思ったことが、Web業界を目指した理由です。デジタル化が進む世の中でデザインを突き詰めるなら、IT分野での経験は外せないのではないかと。都内への転職を考えた理由は、前職での経験があったからです。伝統を大切にする一方で、なかなか新しい意見や提案を受け入れられない地方企業の課題を実感しました。そのような経験から、スピード感があり、新たな取り組みに積極的な企業で働いてみたいと思ったんです。「それならやっぱり、東京の会社で働こう」そう思い、東京へ戻って転職活動を始めました。
―河合さんが、ニジボックスに興味を持ったきっかけを教えてください。
転職エージェントから紹介してもらい、ニジボックスという会社があることを知ったのがきっかけです。リクルートグループの会社であること、リクルートの大規模サービスに参画してデザイン経験を積んでいけるということを知り、デザイナーとして生きていくための力をつけていくためにはこれ以上にない場所だと思いました。
―実際に入社を決めた理由は、何でしたか?
それまでの私は、「大手企業の仕事は単純作業の繰り返しで、つまらなそう。裁量権もそんなにないんだろうな」と勝手なイメージを持っていたんです。ですが、室長の齊藤さんと面接でお話をした時に、その不安はすっと解消されていきました。齊藤さんは、私のちょっとした話や意見をしっかりと聞いてくれ、どんな話も受け止めてくれました。フランクでとてもフラットな印象を受けたことを覚えています。「しっかりとした理由があれば、新しい意見や提案はどんどん受け入れてくれる会社だよ」という話も聞くことができ、「私が求めていた会社は、ここだった!」そう思い、ニジボックスへの入社を決めました。
プロデューサーの期待を超えたこと。それがきっかけとなり、デザイナーの領域を超え、上流から関われるように。
―ニジボックスに入社後、すぐに『Airリザーブ』の部署に参画したそうですね。現在、どのような業務を担当しているのかを教えてください。
『Airリザーブ』は、リクルートの業務・経営支援サービスである「Air ビジネスツールズ」の中の一つ、お店の予約管理システムです。私は主にサービスへの機能追加プロジェクトに要件定義の段階から携わり、ディレクターと連携しながらデザイン業務を行っています。「Air ビジネスツールズ」は、全てのサービスで統一した使い心地になることを目指しているため、各サービスのデザイナー同士のつながりが強く、横断で連携しているところが特徴です。
―実際にプロジェクトが動く際に、河合さんはどのような関わり方をしていますか?
例えば、「こういう機能を追加したい」という意見が出て、新たなプロジェクトがスタートしたとします。まずはディレクターが課題を抽出し、打ち手の検討をしていくのですが、その際に「こんな打ち手でいこうと思っているんですが、どう思いますか?」というような相談をもらいます。それに対し、デザイナー視点で「他にもこのようなUIの案があります」と提案や検討をします。企画段階から一緒にプロジェクトを進めていき、デザイン制作を行います。要件定義が固まったら、フロントエンドエンジニアへバトンを引き継ぎます。
―最近携わったプロジェクトの中で、印象的な案件はありますか?
サービス上で使う言葉づくりや、方針決めに携わったプロジェクトが印象的です。デザイン制作だけでなく企画の段階から入り込み、ディレクターやプロデューサーと一緒にサービスをつくりあげることが多くなってきています。
―企画から携わるようになったのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
参画したばかりの頃は、ディレクターから指示を受けてデザインを制作する業務が中心でした。ですが、新しい職場にも慣れ、だんだんと余裕が生まれるようになって「自分から何か提案をしてみたいな」と思うようになったんです。そこで最初に提案をしたのが、営業資料の改善でした。それまでの営業資料は簡易的なもので、見やすいとは言いがたく、デザインで改善できる余地のあるものだったんです。営業資料のデザイン的な改善であれば、他職種の人の手を煩わすことなく、デザイナー単独で動くことができる。そう思い、空いた時間でプロデューサーの要望を少しずつヒアリングし、改善を行っていきました。自分で推進した取り組みが形になり業務で使われるようになったことで自信がつき 、積極的に新しい提案をしていこうと考えるようになりました。そして、本格的に企画段階から携われるようになった具体的なきっかけは、プロデューサーの期待を超えることができたあのプロジェクトがあったからだと思います。
―自ら考え、業務を開拓していったのですね。プロデューサーの期待を超えることができた時のエピソードも聞かせてください。
『Airリザーブ』が、展示会にブースを出展することになった時です。「今度の展示会のブース、河合さんに任せるよ」と、要件が固まっていない段階から依頼をされたことがありました。それまで空間デザインをしたことがなかったので不安もありましたが、知見のある人にいろいろと話を聞き、アドバイスをもらいながらなんとか形にすることができたんです。その企画やデザインにプロデューサーが満足してくれ、「河合さんに任せて良かった。ありがとう」と言ってくれました。そのことを機に、プロジェクトが立ち上がる段階から声をかけてもらえるようになったり、企画も任せてもらえるようになったりと、仕事の幅が広がっていったように感じます。
―デザイナーの枠にとどまらず、企画から携わることができていることについて、どう感じていますか?
参画する前の印象と、良い意味で大きなギャップを感じています。個人的には、バナーを制作して、それを差し替える、というような単純な作業しかやらせてもらえないんじゃないかな、とイメージしていたんです。それが実際に参画してみると全然違いました(笑)。「やりたい」と言えば、任せてもらえますし、挑戦させてもらえるんです。業務の幅が広がった分、やりがいも大きいです。
リクルートの現場は「サービスをより良くするために」という同じ目的を持つ同士が集まる場所。
―ディレクターやプロデューサーの話が出ましたが、一緒に働くリクルートの社員や職場環境について教えてください。
肩書きや立場に関係なく、リクルートの現場はどこまでもフラットなんですよね。その提案が良いかどうか、その企画やデザインがサービスをより良くできるかどうかが最も重視されます。きちんとした理由づけやロジカルな思考は前提として求められますが、「やりたい」と声をあげ、それが理にかなったものであれば、「やってみよう!」となります。そんな環境なので、デザイナーであっても、根拠を示す場合に数字が求められることもあります。デザインは、最終的にはサービスの利益につながるものではありますが、数字として根拠を示しづらい分野です。今はその難しさに直面していて、私にとっての新たな課題になっています。
―「どこまでもフラット」な環境とのことですが、それを感じたリクルートの社員とのエピソードがありましたら教えてください。
先ほど話題に出た、展示会ブースの企画デザインを担当した時のことが印象に残っています。プロデューサーと打ち合わせを重ね、ある程度形になっていたのですが、いざ企画として落とし込んだ時に「これだと、言いたいことが伝わらないね」というフィードバックを受けてしまったんです。それまで順調に進んでいた分、企画を考え直す必要が出てきた時は「どうしよう…」と頭の中が真っ白になってしまいました。その時、「Air ビジネスツールズ」の別サービスを担当しているリクルートの社員の方がたまたま同席していて「一緒に対策を考えますよ!」と声をかけてくれたんです。その後に改めて時間をとって、1時間かけて私の考えや懸念点を聞いてもらい、コンセプトを見直すところから一緒に考えてくれ、ロジックを1から組み立て直すことができました。おかげで、しっかりとロジックの通った案に生まれ変わり、プロデューサーにも「いいね」と言ってもらえるものにすることができました。
―自分の時間を割いてまで、一緒になって対策を練ってくれたということですね。リクルートの社員はそういう人が多いのでしょうか?
リクルートで働く人はみなさん、「サービスをより良くするため」という目的に向かって仕事をしています。そのためであれば、自分の時間を割いてでも、直接自分が携わるプロジェクトでなくても、「なんとかしなくちゃ」という想いが強いんですよね。「自分はどうしたいのか」という意思を尋ねられる機会が多い会社なので、誰もが当事者意識を持っていて、立場や肩書きに関係なく、一緒になって奮闘してくれるんだと思います。本当に感謝していますし、自分もそういう風になっていきたいなと思いました。
―そのようなエピソードを経験し、感じたことはありますか?
どんな機会も逃さず、チャレンジしていくことの大切さを感じました。あの時、途中段階ではあったものの多くの人の目に触れる場に提案を持ち込んだことで、力を貸してくれた人の目に触れることができました。あの場に持っていかなかったら、力を貸してくれる人は現れなかったかもしれません。「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」というリクルートグループの社員に受け継がれている考え方がありますが、まさにこれが大事なことなのかもしれないなと感じています。
全てのデザインに理由が生まれ、デザインを見る解像度が繊細に。それを生かして、世の中に想いが伝わるデザインをしたい。
―現在、仕事をする上で大切にしている思いやデザインへの考え方はありますか?
私がやっていることは全てサービスをより良くするための行動である、ということを常に頭に置くようにしています。デザインをする時にも、企画を提案する時にも、「ユーザーにとって使いやすいものは何か」という視点を大切にしています。ですので、都度「そもそもの課題は何か」「ディレクターから提案されたワイヤーフレームは、適切なものになっているか」「もっと良い打ち手があるのではないか」ということを考えますね。全ては、ユーザーが使いやすくなるため。当たり前のことかもしれませんが、常に忘れずにいたいです。
それから「理由のないデザインはしない」というのも、私が大切にしている考え方の一つです。これは実は、学生時代に先生から教わっていたことなのですが、リクルートで働くまでは大切さをしっかり理解できていなかったんですよね。デザインは、しっかりとした理由がないと、好き嫌いで判断されてしまいがちです。ですが、「このような理由があるので、このデザインにしました」と提案すれば、しっかりと相手に意図が伝わりますし、提案を受け入れてもらいやすくなります。ロジックを重視する環境に身を置くことで、論理的にデザインをすることの大切さを実感しています。
―その他、大規模サービスの運用に関わる中で、身についたと実感できるスキルはありますか?
UIデザインのスキル、ペルソナとカスタマージャーニーマップを設定する力、ガイドラインに則ったデザインをする力が身につき、デザイナーとしてレベルアップできているな、と感じています。
また、デザインの解像度が上がったな、と感じています。どういうことかというと、これまで紙媒体のデザインをしていた時には、「この辺りにこれを置いて、余白はこのくらい空けて…」というように、なんとなく、感覚的にデザインをしていたんです。それが『Airリザーブ』に参画してからは、「ここは何対何の比率で作ろう」という風にしっかりとした定義づけをしながらデザインができるようになりました。それによって、余白部分にも全て理由が生まれ、提案するのにも説得力が増したと感じています。
―今、仕事をする上で、やりがいを感じる時はどんな時ですか?
「サービスをより良くする」という目的のため、チームのメンバーと共にさまざまな意見を出し合い、打ち手を考え、それがしっかりと形になって、世の中に出た時。そして、私が作ったものをユーザーに実際に使っていただき、「使いやすい」という反響があった時が、何より嬉しい瞬間ですし、この仕事のやりがいだと思います。打ち手が出るまでに時間がかり、大変だった案件ほど、喜びは大きいですね。
―最後に、今後リクルートのサービスに関わってゆく中で挑戦したいこと、今後の目標を教えてください。
『Airリザーブ』に参画して、もうすぐ2年が経ちます。ブランドへの理解も深まってきているなと感じますし、愛着も強くなっています。ですが、自分が理解できていても、見た人に伝わるデザインができるのかは別です。『Air』ブランドの魅力がより多くの人に届く表現ができるようになりたいと思っています。本当に伝えるべきことがしっかりと伝わるデザインをし、世の中にブランドの想いを浸透させていくこと。それが、今のデザイナーとしての私の目標です。