※本記事は2019年9月に取材・作成されたものです。
先日、キャリア形成プラットフォーム「Graspy」主催で行われたイベント「UIのじかん」に、クリエイティブ室マネジャー、神田智哉が登壇しました。
リクルートグループのメディアを中心に、受託開発で多数のWebデザインを手がけてきた神田。現在、クリエイティブ室マネージャとして約30名ほどのマネジメントと品質管理を担当しています。
そんな神田が、主に駆け出しのUIデザイナーへ向けて“UIデザイナーになるために必要なお作法”について分かりやすく紹介しました。ビギナーからエキスパートへ、ステップアップしていきたい人へ向けた現場で役立つノウハウを、組織の中で働くデザイナーだからこその視点で話しました。
今回は、その登壇内容の一部をご紹介します!駆け出しのUIデザイナーさんはもちろん、ニジボックスがちょっぴり気になる人、日頃UIデザイナーと関わるお仕事をされている人も、ぜひごらんください。
UIデザイナーに必要なもの
〜サービスの屋台骨を支える、UIデザイナーの見えないお作法〜
すぐ始められる!UIデザイナーになるための方法
まずは、駆け出しのデザイナーの方がUIデザイナーになるためのステップをご紹介します。
ツールを使いこなすことはもちろん、デザイン思考やコミュニケーション力といったソフトスキルや、レイアウトやタイポグラフィといったハードスキル、知識やトレンド情報など、UIデザイナーに求められるものはたくさんありますが、みなさんもこれらのことは書籍やメディアを通して学んでいると思います。
なので今回は、UIデザイナーになるために今日からでもすぐに始められる、UIデザイナーが現場で週間にしているお作法をご紹介します。
1. 制作にかかる前に、類似デザインをとことん調べよう
まずは、類似サービスをとことん調べて、その内容を残すことが大切です。自分が担当するプロダクトの類似サービスにはどんなカラーが使われているのか、どのようなデザインが施されているのか、傾向を調べて記録に残します。
直感的に「この色がいい!」とカラーを決めることはなく、必ず調査を踏まえた上で制作を行います。弊社のデザイナーはメルマガのバナー作成であっても、プロダクトの一部を改修する場合でも、案件の大小に関係なくまず調べることを習慣としています。
2. デザインは感覚ではなく理論。全てを説明できるようにしよう
なぜ、デザイン制作を行う前に類似サービスを調べるのか。それは、デザインというものは、感覚ではなく理論だからです。調査によって調べた内容をもとに、デザインの選択肢を“見える化”することを大切にしています。
まずは、自分のデザインの立ち位置を明確に。UIデザインは習慣化されたものが使いやすいため、あるものを組み合わせることが基本です。デバイスに応じたガイドラインやポジショニングマップなどフレームワークを利用して、自分のデザインの立ち位置を明確にすることが必要です。
そうすることで、デザイナー以外の人と共通認識を持つことができます。制作は一人ではなく、チームで行うもの。営業、プロデューサー、エンジニアなどさまざまな職業の人とコミュニケーションをとりながら進めていく手法が求められます。
「自分はこう思う…」という話し方ではなく、「ユーザーにとっては…」という風に、主観的ではなく客観的に話すことを心がけましょう。
組織の中で働くデザイナーのキャリアプラン
1.ジュニアデザイナー(駆け出しレベル)
デザイナーとして一人前になるまでの工程を紹介。最初は、ビジュアルデザインの一部からスタートする場合が多いです。例えばUIのパーツの場合、ボタンを一つ作るなど、とにかく引き出しを増やしていく時を経て、サービスのデザイン部分を徐々に担うようになっていきます。
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2.UIデザイナー
UIデザイナーとなって経験を積むほどできることが増えていきます。今日お話ししたビジュアルデザインの表層以外にも、情報設計の部分や、インタラクションの設計やプロトタイピングなど、できることが増えていき、案件の幅も広がっていきます。
定量調査などにしみ出す人。また、UXリサーチャーになる人や企画領域にしみ出す人も。
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3.リードデザイナー
専門分野で実績を積む長い期間を経て、最後はリードデザイナーに。それまでの経験を活かして管理職として、組織を束ねる人もいます。一つのアプリをまるまる一人で作れるようになったり、事業理解を深めて他の領域の仕事までやるようになったり、エンジニアにしみ出す人も。そして、組織を飛び出してフリーランスとして独立し、ゆくゆくは今日の登壇者である長谷川さんや山本さんのように、社会へ向けて発信していく人もいます。
UIデザイナーになるために大切なものとは?
デザイナーにしか通じない専門用語を使ったり、制作チームの内部の人だけがいいと思う制作物を作ったりするデザイナーは真のデザイナーとは言えないのかもしれません。
いかにデザイナー以外の人に伝えることができるのか。芸術家のように1からものをつくり出すのではなく、調査・分析を行い、既存の事象を組み合わせていかに新しい視点に基づいたものをつくり出すかが大切です。
“今のデザイナーは物を組み合わせてデザインする。物の方が先に進んでいる”
これは、大学院時代にお世話になった教授が発した何気ない言葉ですが、とても印象に残っている言葉です。
UIデザイナーは、1から何かを開発するということはなく、世の中にあるものを組み合わせ、最適化して、いかに分かりやすく世の中の人に伝えるのかが仕事です。
デザイナーというと、情緒的にものごとを捉えるように思いがちですが、デザインは感覚ではなく理論とのこと。駆け出しのUIデザイナーさん、これからデザインに携わりたいと考えられているみなさん、いかがでしたか?
ニジボックスでは、今回のイベント登壇のように、外に向けて知見や情報を発信する活動も積極的に行っています。ぜひ、またイベントでお会いしましょう!