ここ数年で、ノーコードというワードをよく目にするようになりました。
コードを書かなくてもWebサイトやアプリを制作できるツールで、ニューロマジックとしても注目し、いくつかのプロジェクトで実戦投入しています。
また、日々進化するツールやサービスのキャッチアップ、個人や組織のスキルアップをすべく、有志のデザイナーでノーコード部という部活を立ち上げ、社内外にナレッジを共有する活動も行っています。
今回は、ノーコード部のメンバーに今注目しているノーコードツールや、ノーコードを取り入れニューロマジックとして今後目指していく未来像について語ってもらいました!
【Member】
■猪口 奈津美
インタラクション・デザイングループ/UIデザイナー
■加納 千代司
インタラクション・デザイングループ/チームリーダー、アートディレクター
■久米 久美子
インタラクション・デザイングループ/Webデザイナー
ーー最初に、普段の皆さんの業務内容を教えてください。
猪口:私の職種はUIデザイナーです。現在はとあるクライアントさんと準委任契約を結び、アジャイル型のSaaS開発のUIデザインに携わっています。
加納:僕はデザインチームでアートディレクターをやっています。主にフロントに立ってクライアントさんにヒアリングしてブランドやサービスの内容、課題を把握し、そこからデザインにどう落とし込むかを考えています。
自分でもデザインをすることもありますが、デザイナーへのディレクションを行うことが多いです。
久米:私は肩書きはWebデザイナーで、主にLPのデザインや運用案件を担当しています。
最近はノーコードに関する案件の相談を受けることも増えてきました。
ーーノーコード部発足のきっかけはなんだったのでしょうか?
猪口:もともとデザイナーチームではノーコードに対する関心が高かったんです。デザイナーでもノーコードが使えれば、クライアントさんにもっと幅広い提案ができると感じていました。
そこで、ノーコードに特に強い関心を持っている久米さんと加納さんに「もっとノーコードを研究しませんか?」と声をかけたのが始まりでした。
久米:私は以前からノーコードに興味を持っていて個人的に研究をしていました。トライアル的に作ったページをデザインチームのメンバーに見てもらったりしていたんです。
そんな中、猪口さんに声をかけてもらい、「ぜひやりたいです!」と快諾しました。
加納:僕もアートディレクターとしてノーコードは注目していました。過去にWebflowを提案してノーコードの有効性は感じていたので、デザインチームだけではなくニューロマジックの今後の成長のためにも、一緒に研究をすることにしました。
ーー具体的な活動内容はどういうものなのでしょうか?
猪口:まず、部活を立ち上げるにあたり最終ゴールを設定しました。
クライアントの課題に対して適切なツールを提案できるようになり、ユーザーに高い満足体験を与えられるようになる
ノーコードツールもたくさんあるので、それぞれの特性を理解した上で、クライアントさんの課題解決の手段のひとつとして、最適なツールを提案できることを目標にしています。
そうすることによ利、会社で掲げている「EXPERIENCE AGENCY」の実現にも寄与すると考えています。
具体的な取り組みのひとつとして、様々なノーコードツールの詳細な比較表を作成しようとしています。ネット上にも比較表を載せているサイトは色々あるものの、ざっくりとした内容のものが多く、実際にどれを使用したらいいのかよく分からないんですよね。
なので、それぞれのツールを実際に使用してみて、細かい機能まで網羅した一覧表を作成中です。これは2022年3月頃の公開を目標にしています。
表を作成するために色々と検証をしていく必要があるので、現在はAdaloというツールを使い、社内で利用できるフリーマーケットサービスを構築中です。
ーーツールの研究をするだけではなく、社内向けサービスを構築することにしたんですね。
加納:そうですね。ノーコード部メンバーだけで終わらせるのはもったいなかったので「せっかくなら社内向けにリリースしよう」という話になりました。その方がユーザー目線の情報収集も社内で行えて、より実案件にも生かせるようになるので。
▲現在構築中のフリーマーケットサービス
ーー現在色々なツールを検証中の段階だと思いますが、特に注目しているノーコードツールはありますか?
久米:今注目しているのはBubbleですね。
比較的難易度の低いGlideのようなツールはサクッと感覚的に作っていけるのが素晴らしい反面、機能的にできないことも多かったりします。
その点、BubbleやAdaloはツールの難易度は上がりますができることも多いです。
自分のアイデアをより思い通りに実装できるツールとして期待しているのがBubbleです!
他にはWebサイト制作系のツールだと、STUDIOに注目しています。
STUDIOは日本の会社が作っているサービスなので問い合わせや調べ物も日本語で分かりやすいです。
まだ機能的には不十分な部分もあると感じるのですが、頻繁にアップデートがあるので今後の進化にとても期待しています。
加納:あとはWiXも注目してますよね?
久米:そうですね。WiXは色々なアプリを付けられるのが魅力のツールです。
例えばチャットツールや予約システムも簡単に導入できたりとか。簡単に機能を追加できるので触っていて面白いですね。
最近はAIを導入していて、業種や好みの雰囲気などを選択するだけでデザインだけでなくコピーなども自動で制作してくれるんです。
まだロゴがない場合には、ロゴまで自動で作ってくれるんですよ。すごいですね!
▲ノーコード部の活動記録
ーーデザイナーとしては、これからはAIやノーコードに任せられるものは任せていき、人的リソースはもっと複雑なものに力を注いでいくことになるのでしょうか?
久米:私はどんどんそうなっていくと思います。
デザイナーはより高度な部分を求められていき、単純な作業はノーコードやAIがやっていくのかなって。
それはデザイナーだけではなく、エンジニアの仕事もそうなっていくと思います。
加納:ノーコードを使えば、今までエンジニアさんに組んでもらっていた部分がデザイナーでも出来るようになるんです。
デザイナーがワンストップで作れるのでエンジニアは他の案件に注力できて、互いに時間のロスがなくなります。
もちろん案件にもよりますが、生産性を上げる観点からもノーコードは本当に強い武器になると思っています。
おっしゃる通り、その分僕たちはノーコードやAIでは対応できない複雑な部分を担っていくことになるので、さらにレベルアップしていく必要がありますね。
猪口:正直に言うと、ノーコードツールは私たちのようなUI/UXデザイン会社の脅威になりうると考えています。
自分たちで作れるようになってしまうと「他の会社にわざわざ依頼しなくてもいい」となってしまう可能性があるからです。
ですが、誰でも簡単に作れるからといって、必ずしも効果的なWebサイトが作れるわけではありません。
ノーコードで作られたサイトを色々見ていると、ユーザー動線に課題があったり、ブランディングという観点から見ると一貫性がなくなってしまっているサイトも多いんです。
私たちのようなプロの存在価値は、最適なWeb戦略を提案し、実行できるところにあると考えています。単に「Webサイトを作るだけ」が私たちの仕事の本質ではありません。
「そのWebサービスを使ってどうやってブランドを確立していくのか」や「必要としているユーザーにリーチしていくのか」など、Web戦略のノウハウが提供できるところに、プロであることの真価があると考えています。
なので今後は、そういったニューロマジックの仕事の真価を、さらにお伝えしていきたいですね。
ーーここまではノーコードのメリットをお話いただきましたが、ノーコードのデメリットはありますか?
久米:デメリットとしては、やはりスクラッチで自由自在に作れないことが大きいです。
制限がある中で妥協しながら制作しなければいけないので、どこを諦めなければいけないか最初に決めておく必要があります。
その分手軽にスピード感をもって作れるのがメリットなんですけどね。
あとは、できるかできないか調べてみないと分からないことも多いです。
クライアントさんから依頼されたらまずは調べるところから始まるので、そこで時間のロスが発生します。
なのでそういう時間のロスをなくすためにも、私たちが色々と調べている段階です。
猪口:ただ、ノーコードツールの進化は目覚ましいものがあります。それほどニーズが強く、利用者も多いのだと思います。
次々と新しい機能がリリースされているのを見ると、今後もできることがどんどん増えていくのだろうと期待しています。その進化速度を把握するためにも、常に最新の状況を追っていきたいです。
ーー他になにか取り組まれていることはありますか?
久米:私はノーコード専門のオンラインサロンに入会していて、そこで情報を集めたりセミナーに参加しています。集めた情報はSlackやNotionにアップして、みんなと共有しています。
ちなみにこのオンラインサロンの会費は会社から出してもらっているので、頑張って情報を集めなきゃ!という、いい意味でのプレッシャーを感じています(笑)。
▲Slackでの情報共有の様子
ーー最後に、ノーコード部を通じて今後やっていきたいことがあれば教えてください
猪口:一番は実案件での経験の蓄積ですね。
といっても「ノーコードの案件を獲得したい」ということではなく、クライアントさんにヒアリングをして、ノーコードが適している場面で適切なツールがご提案できるようになりたいな、と思っています。
あとは情報発信を積極的にしながら、自分自身の手でノーコードツールを使えるようになっていきたいです。
加納:案件の中でノーコードツールをより幅広く使えるところまでスキルアップしていきたいですね。
ニューロマジックとして、ブランドやサービスの商流など、長い目で関わっていく中で「Webサイトをひとつ作ります」で終わるのではなく、「ここのタイミングでこういうサービスが必要ですよね」とか「アプリが必要ですよね」など、その都度ご提案しながらクライアントさんと寄り添っていきたいです。
ノーコードを使えば、必要なタイミングで必要なツールを提供し、長期的にクライアントさんと関わっていくことができると思っています。
久米:案件の中でうまくノーコードツールを活用していきたいです。そのために、まずは社内外に向けて情報発信をしていくことを今期の自分の目標にしています。
まずは、今制作中の社内向けサービスを社員のみんなに触ってもらい、ノーコードへの関心がより高まっていくとうれしいですね。
私自身ツールを使っていてすごく楽しいので、ノーコードツールの楽しさももっと共有していきたいです!
ノーコードの可能性にこれからもニューロマジックは注目していきます!
弊社Blogのneuromagic Labsでも、最近ノーコードの記事がアップされましたので、合わせてご覧ください!
こちらではGlideで制作した本を管理するアプリの紹介を行っています。
ニューロマジックではこういった自主的な勉強会を全力で応援しています。
少しでも興味を持ってくださった方は是非お気軽にご応募ください♪
皆様のご応募、お待ちしております!