【CEO Interview】ケップルグループでのスタートアップエコシステムへの包括的支援を目指す/スタートアップ投資管理SaaS「FUNDBOARD」を「KEPPLE CRM」へブランド変更/代表に聞いた狙い・今後の展望
こんにちは!KEPPLE PRチームです。
2022年のケップルは、スタートアップエコシステムを可視化するメディア『KEPPLE』の立ち上げにはじまり、イノベーションを促進するスタートアップデータベース『KEPPLE DB』のリリース、スタートアップ株式のセカンダリー取引に特化した『Kepple Liquidity Fund』の設立など、新たなサービス・取り組みを続々とスタートしました。
ファンド運営を支える『KEPPLE FUND SUPPORT』など、既存の各種サービスも順調にビジネスを伸ばしています。2023年はさらなる飛躍に向け、事業を加速させていっています。
このたび、ケップルの祖業であるスタートアップ投資管理SaaS「FUNDBOARD」を「KEPPLE CRM」へブランド名を変更することとなりました。どのような目的で変更に至ったのか?その狙い、今後の展望について代表の神先にインタビューしました。
Q. FUNDBOARDはどのような目的でリリースされたプロダクトですか?
FUNDBOARDは、2018年8月にVCやCVCなど投資家の方々向けに、投資業務の効率化を図るためのツールとして立ち上げたソフトウェアです。
それまで投資家の皆さんは、投資先からの資料集め、集めた資料のデータ入力、決算作業などを全て人力で対応されていました。ファンドは1号を立ち上げると、2号、3号と、2~3年おきにどんどん増えていきます。それに合わせて対応する人員を増やしていくことは、実際には難しい状況でもあり、できる限り効率化させながらファンドを増やして大きくしていく必要があります。
私が会計事務所時代にファンド決算を請け負った経験があり、それらの業務にはとても苦労しました。ファンド運営の大変さを目の当たりにしたのが着想のきっかけとなり、ソフトウェアで効率化させたいというニーズが高まってくると考え、FUNDBOARDをスタートさせました。
Q. FUNDBOARDを通じてスタートアップエコシステムにどのような価値をもたらしてきたと考えていますか?
まずは、SaaSを活用して投資活動、ファンドの運営をしていくというカルチャーを根付かせることができたというのが大きかったと感じています。投資先の情報を一つの場所に集約し、そのデータをチームで共有する。これはソフトウェア抜きではなかなか実現できなかったところでした。FUNDBOARDを利用いただくことでそれが可能となり、ファンド運営の場面で喜んでいただける環境を作れたのは非常に大きな進歩でした。
昨年にはデータベースをスタートし、その連携によって案件管理をする際の情報入力に関する工数が大幅に削減されるようになりました。これは他のSaaSやExcelではまだ実現できていない世界観です。例えば「ケップル」と入れるだけで、その役員情報、住所、過去の資金調達の情報、ニュースなどがワンクリックで登録されるのです。
これらの機能により投資案件管理の効率化が実現し、チームでの情報共有もスムーズに行えるようになったと評価いただいています。「FUNDBOARDが無いファンド管理は考えられない」と仰っていただくお客様もいらっしゃいます。これまで皆さんが人力で対応されていた部分を、FUNDBOARDの提供によりアップデートすることができたのではないかと感じています。
Q. 新たに投資活動を始められたような皆さんには、どのような点が評価されていますか?
投資活動を始められて間もない投資家の皆さんは、投資案件管理の経験、ナレッジをお持ちでないことも多いです。どのように案件を管理するのが適切か、カスタマーサクセスチームは案件管理に関するナレッジを蓄積しています。そういったナレッジをベースとした活用事例の紹介はスタートアップ投資をスタートされたばかりのお客様には非常に喜ばれていますね。
Q. ケップルにとって、FUNDBOARDはどのような価値をもたらしてくれましたか?
VC、CVC、事業会社といったスタートアップ投資をされている皆さんと深い接点を持つことができたのが大きな価値だと言えます。これまでも広くお付き合いはありましたが、普段のファンド運営について細かいところまでお話しする機会はなかなかありませんでした。ソフトウェアの提供を通じて、彼らが実際抱えている悩みやうまくいってるポイントなど、さまざまな業務の話を聞くことができます。
その結果、スタートアップ投資についての理解が深まり、投資家の皆さんが抱えるまた別の課題を解決していくような事業開発に活かせています。FUNDBOARDはそのようなかたちでケップルにとって大きな成果をもたらしてくれたと感じています。
Q. 「KEPPLE CRM」への名称変更の背景について教えてください。
ファーストプロダクトとしてFUNDBOARDをリリースして以来、投資家の皆さんのさまざまな課題を解決し、ビジネスゴールへいち早く導くことへの貢献を目指し、事業を広げてきました。具体的にはスタートアップデータベースや、ファンド決算、株価算定、スタートアップメディアなど、スタートアップや投資家の皆さんに向けたサービスラインナップがどんどん増えてきました。
ビジネス展開が広くなっていく中で、「FUNDBOARD」というプロダクトのブランドイメージを超えるかたちで、組織全体でスタートアップエコシステムの発展に向けたあらゆるサービスを提供しているというブランドが「KEPPLE」という会社名に築かれつつあるように感じています。言い換えるならば、「KEPPLE」という組織自体がスタートアップを支援するプラットフォームであるというブランドイメージが色濃くなりはじめたタイミングだと考えています。このイメージをより明確に打ち出したいと思い、ケップルとしてブランドを統一していこうと考えたのが背景です。
マーケットの成熟度合いや変化に応じて、エコシステムに必要なサービスやソリューションは変わっていきます。我々もまた新たな課題に向き合って、新しいサービスを始めたり、逆にクローズさせたりすることがあるかもしれませんが、ケップルというブランドを掲げて、エコシステムへの貢献を続けていくという方針はこれからも変わりません。それをグループ全体で推進していきたいという気持ちを込めて、名称の変更を決めました。
Q. サービス名を会社名に合わせて変更するというのは珍しいのでは?
会社名よりもサービス名が売れることが多いですよね。そのため、会社名をサービス名に合わせて変更するのはよくあることです。ところが、ケップルは会社名のほうが皆さんからの認知度が高い状況です。サービス名を会社名に合わせて統合するというのは稀かもしれませんが、理にかなった判断だと感じています。
サービスが前に出るのでなく、ケップルのメンバーそれぞれがエコシステムの皆さんとさまざまなかたちでとつながってきた結果だと考えています。「FUNDBOARDの担当者」でなく、「ケップルのXXさん」と認識されているということです。これはケップルならではのマーケットからの認知のされ方ではないかと思います。
Q. 名称変更でどのような効果を期待されていますか?
「KEPPLE」というグループでの認知度を上げていくことで、投資案件管理ツールだけでなく、「KEPPLE DB」、「KEPPLE FUND SUPPORT」、「KEPPLE(スタートアップメディア)」など、スタートアップエコシステムの皆さんを支援するサービスがケップルにはたくさん揃っているということをお伝えしていきたいですね。
ケップルのさまざまなサービスを使っていただくことで、投資家、スタートアップの皆さんをより迅速に成功に導いていけると思っています。一つのサービスを使うという意識から、「KEPPLE CRM」を利用しているのであれば、「KEPPLE DB」も使ってさらにソーシングを加速させようとか、他のサービスと組み合わせて投資活動を推進していこうと思っていただければ嬉しいです。我々も各サービスの連携を深め、包括的に質の高いサービスを提供していきます。
Q. 「KEPPLE CRM」をはじめとしたプロダクトやサービスをどのように発展させていきたいと考えていますか?
多岐に渡る事業を展開しており、これからはそれらをさらに有機的につなげていきたいと考えています。「KEPPLE DB」は多くの事業会社で導入いただいており、「KEPPLE CRM」はVCをはじめとした投資家の方々に使っていただいています。スタートアップメディア「KEPPLE」ではたくさんのスタートアップと接点を持っています。それぞれのサービスをご利用いただくユーザーをつなげていき、ケップルとしてより高い付加価値を出していきたいですね。
Q. 今後の展望についてお聞かせください。
我々は「Create New Industries 世界に新たな産業を」というミッションを掲げ、社会のさまざまな課題を解決する新しい産業を創り出し、人々の生活をより幸せにしていきたいと考えています。そのような社会を実現するためには、社会にイノベーションを起こしていくスタートアップという存在が必要不可欠です。これまで以上に日本のスタートアップエコシステムを前進させることに貢献していきたいです。
また、日本は少子高齢化の影響もあり、成長市場とは言いにくい状況です。インドやアフリカといった人口が増え続けるマーケットに対して、ビジネスという観点からいかに日本がつながっていけるのか?その成長マーケットとWin-Winとなれるようなかたちで事業展開していけるかが今後は特に重要になってきます。
日本のスタートアップエコシステムを前進させることと併せて、日本と世界をつなげていく役割を担っていきたいと考えています。すでにアフリカでKepple Africa VenturesというVCを運営していますが、これにとどまらない仕掛けをこれからアフリカを軸に進めていきたいですね。