【CHRO Interview】スタートアップの一人目人事としてゼロから挑む人事戦略/未来を創るスタートアップを世界に増やしていくための組織づくり
こんにちは!ケップルPRチームです。
ケップルは、「これまでに無い価値を世界に生み出そうと挑戦を続けるスタートアップ」と「彼らを支援するベンチャーキャピタルをはじめとした投資家」、両者の抱える課題を解決し、スタートアップ市場を発展させていくことを目指し、さまざまなプロダクト・サービスを展開しています。事業の多角化に伴い採用活動に力を入れており、組織は拡大を続けています。
今回は、この秋に執行役員CHROに就任し、さらなる事業拡大に向けた戦略的な人事体制構築を推進している大関にインタビューを行いました!これまでのキャリアから、ケップルにジョインした理由、ケップルのCHROとしての組織作りに対するさまざまな考えや思いなど、余すところなく語っています。ぜひご覧ください!
企業再生に興味を持ってメガバンクへ
大学卒業後にメガバンクへ入行したのがファーストキャリアです。法学部で倒産法・民事再生法という領域を学んでいたこともあり、不良債権問題を抱えていた銀行で企業再生ビジネスにチャレンジしてみたいと思ったのが銀行に入ったきっかけです。すぐれた技術を持った企業やそこに勤める従業員の皆さんが業績不振の中で落ち込んでいるところに入り込んで、彼らをモチベートしながらその再生に関わっていくことができたらカッコいいだろうなという憧れからでした。銀行員になるならばさまざまな業界のビジネスモデル、産業構造を理解する必要があるだろうと、就職活動では100社近くの会社説明会に訪問していたことを覚えています。まぁ、留年してヒマだったこともあったんですが…(苦笑)
入行後は東京東部の下町エリアにある亀戸支店に配属され、Relationship Managerとして中小企業の経営者に対して融資を中心とした営業を担当していました。合わせて、法人取引に関する銀行の内部事務作業に関わる中で、正確にスピード感を持って業務をこなすというビジネスパーソンとしての基礎力が身に付きましたね。入行してすぐに合併をしたこともあり、カルチャーがまったく違う組織のPMI(Post Merger Integration/M&A後の統合プロセス)はどうすればうまくいくのか、自身が当事者として体験することができたのは現在のHRという仕事にもつながっている気がします。
人材コンサルティングへの転進
支店で成果を出したうえで本部の企業再生ビジネスに関わる部門への異動を目指したのですが、実現可能性に疑問を感じたことが転職のきっかけです。昨今は新卒採用でもジョブ型採用が進みはじめていますが、我々の頃は総合職として入社したあとに希望の仕事に就けるかはコントロールできない時代でした。より確実にやりたい道を自分で選んでいこうと思ったわけです。普通であれば企業再生ファンドなどを目指すのがオーソドックスですが、立ち止まって考えてみると本当に興味を持っていたのは「金融」ではなく「組織」だったことに気付きました。メンバー一人ひとりがモチベーションを高く持ち、活き活きと働ける組織を創るにはどうすれば良いのか?その組織がビジネスにおいても高い成果を出すためには、メンバーに対してどんなアプローチが有効か?という、人や組織に対する施策を考えることに面白みを感じていたんです。
そこで転職活動を組織の課題解決を行うコンサルティング企業に絞り、2社目としてコーチングを主体としたアプローチで組織変革を目指すコンサルティング企業へ入社することとなりました。具体的には組織内コミュニケーションの課題解決に向けた研修プログラム、1on1コーチング、組織サーベイなどを提供する企業です。この会社ではHRという正解のない課題に対して考え抜き、解決策を提示し、現場を巻き込みながら組織変革を進めるためのスキル、マインドを大いに学ぶことができました。ここでの体験はスタートアップの1人目人事として組織にモメンタムを産み出すために非常に有効な学びだったと感じています。
上場ベンチャーの人事部へ
コンサルタントとして外部から人事領域の課題解決を続ける中で、アプローチがどうしても自社の強みである人材育成といった領域に縛られると感じたことが転職のきっかけでした。事業会社の人事にうつることでより幅広いアプローチで人と組織の成長に実現できるのではと感じ、3社目はJASDAQに上場する人材ベンチャーの人事部に転職しました。そこでは新卒採用の責任者として、自社の経営理念に共感するメンバーをいかに募っていくかという「採用」への理解を深めることができました。在籍していた6年半の間に毎年数百名の学生さんとお会いし、合計200名近くを採用しましたが、これから社会で活躍していこうとする皆さん一人ひとりと対話した経験は、それぞれのキャリアに向き合いたいというHRとしての自身の哲学に深く影響しました。あわせて上場企業のような規模感を持つ組織における人事機能の全体観、運営体制について学ぶことができました。
ケップルの1人目人事でジョインした理由
前職で関わっていた採用以外も広く経験を積みながら、経営戦略の実現に向けて人事施策の立案、実行を行う『戦略人事』という領域を目指したいと思ったことがきっかけです。「誰をバスに乗せるのか」という『採用』からはじまり、その人の成長を促す『人材開発』、組織文化の形成に向けた『組織開発』、健康的に働いてもらう『労務管理』、モチベーション形成に向けた『制度設計』など、一貫性をもって人事施策をデザインするポジションにどうすればたどり着けるかと考えた答えがスタートアップの1人目人事でした。何も無い環境であれば、すべて自身が考え、デザインしていくほかない。そんなポジションに自身を追い込むことで、人事領域全般への知見、経験を備えたいと考えました。
数多くのスタートアップからケップルへ入社を決めたのは『Create New Industries 世界に新たな産業を』というMissionに惹かれたからです。銀行員として企業再生ビジネスに関わろうと思った所にもつながるのですが、一人ひとりが高いモチベーションを持って活き活きと働き、高い生産性や独創性を産み出す組織をどうすれば増やせるのか?その一つの答えがスタートアップだと考えています。日本に、世界にスタートアップを増やすことに挑戦する組織づくりにHRからアプローチできることが決め手となりました。
スタートアップの1人目人事
スタートアップの1人目人事として「何にも整っていないだろうなぁ」と良い意味で期待値を高く持たず入社したのですが、想像以上に整っていませんでした…(苦笑)アーリーステージのスタートアップに良くあることですが、勤怠管理、労働契約、就業規則といった労務管理がほとんど手つかずでした。まだプロダクトをリリースして間もないような時期にMissionに惹かれて入社したメンバーばかりなので、その時点では特に大きな問題が起きるわけではありません。とはいえ、その後の組織拡大を想定すると早々に改善が必要ということで、まずは労務管理についてゼロから体制構築を進めました。
合わせて、採用についても代表の神先がTwitterで自らスカウトメッセージを送っている状況だったので、採用ペルソナの設計、求人票作成、媒体選定、スカウト送信、面談、面接、入社対応までのプロセスを整理し、採用フローの構築をおこないました。当時はバックオフィスのメンバーがいなかったので、ゴミ捨てやフリードリンクの手配、Googleアカウントの発行まで組織成長に向けて必要なことは何でもやっていましたね。
その後もHRとして組織開発や制度設計の整備を進める中で、優秀なメンバーの入社も増え、それに比例するかたちで事業の成長も進んでいきました。HRチームにも徐々にメンバーが増え、まだまだ完璧とは言えないですが、一定の安定感を持ったHRの体制を創ることができたと感じています。社員数も入社当時の数人といったフェーズから、この3年半ほどで70名を越えるまでの組織となっています。
CHROが設立された背景
ケップルの特徴として挙げられるのが、組織の規模感に比して非常に幅広い領域で事業展開している点です。IT領域ではエンジニアやデザイナー、カスタマーサクセスといった人材が、ファイナンス領域ではベンチャーキャピタリストが、ファンド運営支援では会計士やコンサルタントといった多種多様な人材が活躍しています。いっぽうでスタートアップらしく、事業や組織は非常に早く変化、成長していきます。これらの事業やメンバーの連携性を高めて組織として有効に機能させるためには、経営陣の考える経営戦略、事業戦略をいち早くキャッチアップし、その実現に向けた人事戦略や具体的な施策の立案から実行までをカバーできる存在が必要でした。これまでは人事責任者としてそういった領域をカバーしてきましたが、これからはもう一歩踏み込むかたちで経営会議に参画し、経営戦略の実現に向けてHRという立場から人事戦略を推進していきたいと考えています。
スタートアップで働く魅力
①一人ひとりに任せられる領域の広さ ②未来を創っていく実感 という2つにあると感じています。スタートアップに入社すると、守備範囲が決められていないことに驚く方も多いかと思います。事業の成長に向けて必要とされていることを自身で洗い出し、その解決に向けた施策について情報収集し、自らが手を動かしながら、スピード感を持って実現させていく。そうやって自身が考えた施策がカタチになり、事業を通じて社会に影響を与えていく実感を強く持てるのが非常に面白いところですよね。
どんな人材がケップルにマッチするか
何よりもまず、スタートアップマーケット(成長産業)の支援を通じて、社会により多くのイノベーションを起こしていこうとしているケップルのVision・Missionに共感し、情熱をもってその実現に取り組んでいただけるかという点です。世の中にはさまざまなビジネスがありますが、自身の人生を投じるのであれば、これからの社会をより良い世界に導いていきたいという観点から、仕事にチャレンジしていただける方がマッチしていると思います。
続いて、「問いを立てる力」を備えているかという点です。他者から何かを与えられるのを待つのではなく、自ら解決すべき課題を見つけ出し、その解決に向けて主体的に動いていけるかという点です。目の前で起きている事象について常に疑問を持ち、よりよい環境を生み出していくことはできないのか?ということについて貪欲に挑戦していただける方がフィットしやすいです。
最後にチームで対話をしながら一つのものを創りあげることに楽しみ、喜びを感じられる方です。それぞれが持っている考えを尊重しつつ、社会、顧客に価値あるものを共創的に産み出していこうというのが、ケップルのカルチャーの大きな特徴です。社内でも『Co-motivate』というキーワードを打ち出しながら、部署を越えたコミュニケーション機会創出など相互に動機付けし合う活動も推進しています。
HRから見た組織課題
事業の幅広さ、所属するメンバーのバックグラウンドの多様さなどから、「One Product, One Issue, One Culture」というスタートアップにおける人事戦略の定石が打ちにくい部分があります。一般的にスタートアップは一つのプロダクトで成長を目指すことが多いため、入社される職種やキャラクターを一つにまとめやすいのではないかと。一方でケップルという組織では、エンジニアなどが集まるSaaSスタートアップのような文化圏、高い専門性を備えた人材が集まるプロフェッショナルファームのような文化圏、キャピタリストが集まるベンチャーキャピタルのような文化圏といったかたちで、一つの会社内に複数の会社組織を有しているような状況です。採用、評価、人材開発、労務管理といったさまざまなHR領域において、どこに統一性を持たせるのか?どこから独自性を持った制度設計をするべきなのか?といった点については悩ましいですね。
HRとしてケップルで働く面白さ
これからHRとして成長を目指していきたいという方にとっては、非常に学びの大きい組織だとも言えます。通常であれば何社も転職を繰り返さないと分からないような、さまざまな業界、職種の人事課題に一つの会社に居ながらにして向き合っていくことができます。HR領域における学びを続けるとともに、変化の激しいスタートアップ領域についても深い理解が必要となるため、ハードワークになることが予想されますが、HRとしてスピード感を持って成長していき、ゆくゆくは事業理解を踏まえたうえで人事領域をトータルデザインしていくHRBP、戦略人事を目指したいという方にとっては魅力的なフィールドになるかと思います。
これからのケップル
私が一人目の人事として入社してから3年半が経ちました。転職当時にケップルという会社へ転職することをまわりの皆さんに報告した時には、「おめでとう!頑張ってね!」という声とともに、「で、何やっている会社なの?」という反応も多かったです。
ここ最近ではアライアンスされている企業とのさまざまな取り組みや日経新聞のスタートアップ関連記事などで露出の機会も増えてきたことから、「この前、あの記事でケップル見ましたよ!」という嬉しい声もいただけるようになってきています。まずはここまでの3年半において事業と組織の成長に尽力をしてきてくれたメンバー一人ひとりに感謝をしています。とはいえ、我々が目指している未来はもちろんここにとどまるわけではないです。
これから事業と組織の成長を成し遂げていくうえで、CHROとして大切にしたいポリシーは3つです。経営という視点からは代表の神先をはじめとした各CXOと連携を進めながら、Vision・Missionの実現に向けた人事戦略、施策に対してスピード感を持って取り組んでいくこと。続いて、メンバーという視点からは一人ひとりの状況に合わせて多様性のある働きかたを提供するとともに、成長の場、自己実現の場としての会社組織を実現していくこと。そして最後に、弊社に対して成長資金を投資いただいている投資家、さらには自身のキャリアを弊社に投資してくれているメンバーに対して、人材という重要な経営資源を預かっていることを踏まえ、その戦略的な活用に向けて説明責任を果たしていける体制を作っていくこと。以上の3つです。
プライベートの話で恐縮ですが、2歳になったばかりの娘がいます。彼女が20年後に就職活動をする際に、日本に、そして世界に彼女がこの会社で働きたい!とワクワクできるようなスタートアップを数多く産み出していく。そんなスタートアップたちが世界をより便利に、より安全に、より楽しく、より環境に良いかたちで発展させていく。そんなことに寄与していけるような事業づくり、組織づくりにHRという立場から邁進していきたいと考えています。
多様性を持ったメンバーが、さまざまな事業領域で活躍するケップルという組織に、少しでも興味を持っていただけたようであれば、ぜひカジュアル面談にご参加ください。お会いできるのを楽しみにしております!