「デスクレスSaaS」とは?一体何がおもしろいのか。|河内 佑介 |カミナシ|note
私が所属する 株式会社カミナシでは、すべての現場を持つ法人向けのSaaSを提供しています。 最近では「デスクレスSaaS」と呼ばれるカテゴリ で紹介されることも多くなってきました。 私自身は、これまで人事や営業など デスクワーカー向けのSaaSを中心にキャリアを積んできました ...
https://note.com/yusukekw/n/n32d401414202
※こちらの記事はカミナシ公式noteからの転載です
こんにちは!カミナシでカスタマーサクセスを行っている宮城です。
カミナシとはデスクレスSaaSと呼ばれる工場や飲食店などパソコンを使わないいわゆる現場で働く"ノンデスクワーカー"向けのSaaSになります。詳細はこの辺りのnoteに纏まっているのでぜひ見てみてください。
カミナシは、ノンデスクワーカーを抱えるSMB(中小企業)からエンタープライズ(大手企業)規模まで幅広い規模のお客様を対象にビジネスを行っています。
その中でも、これからはよりエンタープライズ向けビジネスと呼ばれる領域に注力していく予定で、セールスもカスタマーサクセス(CS)も体制を拡大していく予定です。
CSの領域は広くカミナシで実施していることも幅広くありますが、この記事ではエンタープライズCSについて学びを得たこと、これから取り組んでいきたいことについて発信していきます。
(カミナシのCSについては最近podcastで話す機会がありましたが、緊張しすぎてエンタープライズCSについて話す機会があまりなかったのでリベンジも兼ねてこのnoteを書いています笑)
エンタープライズ向けビジネスは中小企業(SMB)向けビジネスと比較し、エンプラとかEPとか言われたりしますが、エンタープライズって何でしょうか?思いつくことを列挙してみました。
顧客の規模が大きい
ユーザー数が多い
1顧客あたりの単価が大きい
商談プロセスが複雑
関係者が多い
リードタイムが長い
などなど
会社によってエンタープライズの定義はまちまちだと思いますが、カミナシとしては1000人以上の従業員を抱える企業をエンタープライズと定義しています。その中で↑に列挙したものもありますが、特にエンタープライズ向けビジネスを進める上で重要な要素が以下3点だと考えています。
関係者が多い
この要素が全てを表しているかもしれませんが、エンタープライズ規模の顧客の特徴の一つに関係者が多いということがあります。SMB規模だと1つの部署、役員+現場担当者で契約~導入まで完了することもありますが、エンタープライズ規模の顧客だと部署は多岐に渡り、関係者も両手では足りないぐらいになってきます(カミナシの場合だと部署だけでも情シス、品質管理、総務、製造、などなど...)部署だけではなくその中にも役職が多段階になっているため、組織構造が二つの軸で複雑になります。
かつ、それぞれの部署/役職者が目指している方向性や自社プロダクトに対する期待も変わってくるので、まずはここを理解しないことには始まりません。
1顧客に対しての案件/プロジェクトが多い
関係者や関係部署が多いということは、その顧客の中で実現したいことも複数発生するということが発生します。それによってこの部署でも使いたい、違う部署でも検討できないかということが発生します。例えばカミナシの場合だと、品質管理部門は監査をリモートで行いたい、工場Aは点検業務をペーパーレスで行いたい、工場Bは工程管理の生産性をあげたい、みたいなことが発生しています。
リードタイムが長く、プロセスが複雑
SMBの場合は社長の鶴の一声で決まることも少なくないですが、エンタープライズのお客様だと複数の目を通して意思決定されることがほとんどだと思います。
現場担当者→課長→部長→執行役員というような複数の承認プロセスはもちろん、予算や役員会という概念がSMBよりはっきりと出てきます。セールスプロセスではもちろん上記のような概念は重要になりますが、CSでも同様に体制やプロジェクトの内容など一見するとお金の話が関係ない意思決定においても"何かを決めるということ"においてはセールスプロセスと同様に複雑なプロセスが発生してきます。
単純に顧客規模と売上単価が大きいビジネスをエンタープライズビジネスと呼ぶこともありますが、個人的にはこのような関係者が多いことによってリードタイムが長い複数プロジェクトが発生することがエンタープライズ向けビジネスの醍醐味だと考えています。
エンタープライズ規模の顧客において難しいことや考慮しないといけないことは前述した通りですが、それに伴ってSMB規模と比較した時にエンタープライズCSが意識しないといけないことは今のところこれらだと考えるようになりました。
1. エンタープライズ向けビジネスは組織と人を理解する地図作り
CSだけではなくセールスも同様ですが、エンタープライズ向けビジネスは前述の通り関係者が極めて多いことが特徴だと考えています。プロジェクトによってはA部長が意思決定者という場合もあれば、全く関わらないという場合もあります。
カミナシでは、顧客でどう意思決定がなされるかという観点で組織図を作成しています。
↑イメージはこんな感じ(この図は架空企業の組織図をイメージで記載しています。役職・名前の他に下の箱には自社との関係性や何を重要視するか、などが入ります)
会社ウェブサイトを見て事前知識を得るのはもちろんですが、お客様一人一人に聞いてレポートラインの繋がりや、どのお客様同士が繋がっているのかということを突き詰めていきます。もちろん、レポートラインだけではなくそれぞれどういった方なのか、何を重要視しているのかということを把握していきます。
特に重要なのは、これをCSだけで作ることはほぼ不可能です。セールスと一緒に、お客様がどういう方々で構成されていてどういった意思決定プロセスで構築されている組織かを理解していくことが重要だと考えています。
2. プロジェクトマネジメントをどう効果的に行うか
SMBにおいてもonboardingなどはプロジェクトチームを作って顧客と伴走できるように体制を作ることは大事ですが、エンタープライズにおいてもより重要です。そもそも導入期間が長いので間延びしないようにプロジェクトのスケジュールを引いていく必要があります。
スケジュールと同じぐらい大事なのが体制です。カミナシでは現在全てのonboardingにおいてこのような体制表をお客様に作って頂いています。
SMBだとこの枠を埋めるのは難しくないですが、エンタープライズだと関係者が多いので役割分担を明確に行うことが重要になっています。(ちなみに↑はSMB向けでエンタープライズはもう少し細かく決めます)
情シスの方にはこれをやってもらう、プロジェクトリーダーとしてプロマネを行うのは品質管理部門の方、迷った時やプロジェクトが迷走した時には責任者としてxx部長に入って頂く、みたいなことを決めプロジェクトのどのタイミングで誰に入って頂くか、みたいなところまで決めることで、ボールが浮かないようにすることを意識しています。
3. 連続的なアップセル創出のための種探し
ビジネス推進においてエンタープライズ領域で重要なのがアップセルだと考えています。前述の通り複数プロジェクトが走るのが特徴の一つなので、いかにプロジェクトを持続的に増やしていくかに重きをおいています。
ここでも大事になるのがセールスとの連携です。SMBだとアップセルのタイミングは限られているため予測がつきますが、エンタープライズ企業の場合はトライアル中に「別の部署が興味あったらしいよ」「このプロジェクト関係部署増えるから2つに分けようと思ってるんだよね」というような話が頻発します。
上図のようにアップセルが創出されるタイミングが難しいため、CSにも一定のビジネス感度が求められます。が、そこが難しいです。
こういったビジネス拡大の種が出た時にセールスと連携して新しいプロジェクトを創出できるかが重要なポイントになります。
以上が、エンタープライズCSを行うに当たって重要だと考えている3つのポイントです。
もちろん、ここに記載したことはSMB領域では重要でないという訳ではないし、比重の違いだけであって要素としてはエンタープライズ/SMBどちらでも大事なことだと考えています。
かつ、個人的に一番重要だと考えているのは、ここに記載したことを自社目線だけで考えてはいけないということです。自社の売上だけを云々というよりは顧客に伴走する立場として、顧客が自社プロダクトの活用を推進していく上で重要な要素を整理するというマインドが大切です(アップセルにおいても、関わる人が増える→機会が増える→アップセルにつながると思います)
つらつらと書きましたが、まだまだエンタープライズCSにおいてはこれだ!と言えることがなく型を作るのが難しいなと日々実感しています。その中で、よりCSの観点はもちろんエンタープライズ領域において再現性を作るということを実施していきたいです。
まだまだエンタープライズ領域で活躍できる人は職人芸なところが多くて、再現性が低いなと感じています。リードタイムが長いことと、プロマネもできてビジネス感度が高い必要があって、、みたいなスキルが問われて、すぐに誰でもできるような仕組みや育成プログラムを作るのは難しいですが、"難易度は高いけど再現性あるビジネス作り"をまずは最初のステップとして行っていきたいと考えています。
もしエンタープライズCSやこの辺りの仕組み作りに興味がある、カミナシに実は興味があったという方は、情報発信をいろんなところで行っているのでぜひご覧ください〜〜🔥