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本日は、代表山田のnoteを紹介します。
エンジニア領域で事業展開していた弊社だからこそ見える、大企業のDX化やエンジニア組織づくりのトレンドの変遷がまとめられています。
元記事はこちら
Findyを創業して7年弱の間に多くの大企業と営業や展示会の場などでお話しさせていただきました。その数、少なく見積もっても500社くらいになってきており、大企業のDXやエンジニア組織作りに対しても解像度が上がってきたので、まとめのnoteを書いてみたいと思います。
DX本格スタートまでの3つの時代
外注の時代 - デジタルが競争優位ではない認識
まずは、「情報システム部がSIerに外注」がメインの時代です。
自身の新卒入社年度である2007年などはその典型ですが、社内の情報システム課がSIerに依頼して、業務システムや自社のWebサイトを作っていた時代です。
当時は、あくまでも小売業や製造業などの本業が競争力の源泉であり、システムはそれを補完するものに過ぎませんでした。「デジタルが競争優位ではない認識 」の時代です。従って、SIerにシステムをまるごと発注して、本社のスタッフはその企画や社内の事業部門との調整が主な業務です。ソースコードも新卒入社時は書くものの徐々に設計や調整業務に移っていく、そんな時代でした。
DX号令の時代 - デジタルが競争優位である認識
DXは2004年スウェーデンの教授が提唱した概念とのことですが、2010年代中頃になると徐々に注目が集まり、2018年に経産省がDX推進のためのガイドラインを出し始めたあたりから、メディアでも毎日目にするキーワードになっていきました。
ただ、DX号令の時代に、内製化に取り組んだ大手企業はまだまだ少数で、「外注先を従来のSIerからコンサル系やAIベンチャーに拡大」した時代と言えます。実際に、このタイミングで数多くのAIベンチャーが上場していますし、コンサルとシステム開発をセットで行う企業群が急成長しています。
これは大手企業にとっても「デジタルが競争優位である認識」に変わり、投資分野になってきたことから起こっています。例えば顧客接点となるフロントエンド、デジタルマーケティングとの連動、データサイエンスなどの分野に取り組むために、従来開発を依頼していたSIerに加えて、AIに強いベンチャーやデジタルマーケから一貫してサポートできるコンサル系の企業などが台頭してきました。
ただ、大手企業のシステムへの投資そのものが増えているため、従来型のSIerの需要も堅調に続いており、市場が伸びている状態と言えそうです。
役員本気DXの時代 - デジタル組織が競争優位である認識
2020年代に入り、一部の企業が「CTO/CDO主導で内製化組織を構築」し始める時代に移ってきています。これは、前述のフロントエンドやデータ基盤など、サービス提供企業が競争力を高めたい分野で、もっとスピードを上げて改善を進めていきたいという意識が高まりから始まりました。また、顧客体験をスピーディーに改善をするためには当然、内製化した開発体制を軸に企画から一貫してリリースを増やして行く必要があるため、必然の流れとも言えます。
まさに「デジタル組織が競争優位である」時代へと移っており、エンジニア採用から組織づくりも一貫して行う大手企業が増えてきました。
ただし、投資分野の拡張がメインになっているため、これまでと同様ですが従来のSIerやAIベンチャー、コンサル系のニーズが衰えているわけではありません。特にここはと思うところを内製化しつつ、そうではないところは外注でとうまく切り分けながら取り組んでいる会社が増えています。また、SIerの中にも内製化支援に取り組んでいる企業も出てきています。
DX内製化組織の作り方
次に大手企業におけるデジタル組織の作り方についても見ていきたいと思います。
企業内でのDX内製化組織の設立
まず一般的な取り組みとしてはDX組織を社内に立ち上げ、自社のビジネスサイドの社員と中途のエンジニアでDX内製化組織を作っていくスタイルです。
良い面としてはやはりデータの取り扱いが同じ会社内なので融通が効きやすかったり、内部の優秀なビジネスサイドのスタッフを部門異動させるなどができます。一方で、課題として起こりやすいのは人事制度が従来の総合職型でできていることが多く、エンジニアのようなジョブ型の人材に対して適正な給与を払う制度設計や評価システムがなく、また他の職種の社員と分けて制度を作るなどが実施しにくい面があります。
戦略子会社を自前で設立
次に戦略子会社を自社で作るケースです。
トヨタフィナンシャルグループのKINTOテクノロジーズさんや三菱UFJ銀行のJapan Digital Designさんなど、日本を代表する企業がデジタルに強みを持つ戦略子会社を立ち上げています。
メリットは企業内でのDX組織設立の課題の裏返しにはなるのですが、柔軟な人事制度設計や独自の採用基準を作ることができるところです。
課題としては、本社からの出向と中途採用のバランスをどうとっていくか、アジャイルの考え方を本社にどう理解してもらうかなどがあるようです。
最近では大手商社もデジタル×新分野で協業含めて戦略子会社を立ち上げている事例が増えてきています。例えば、ホワイトヘルスケアは三菱商事と東京海上HDの戦略子会社だったりします。
DX子会社をSIerと共同で設立
企業内でのDX組織と戦略子会社を自前で設立する最大の課題は内製化に向けたエンジニア採用や組織づくりが難しい、あるいは想定しているようなスピードで進まないなどがあります。
そこで最近増えているのは、SIerやITコンサルと組んでDX子会社を設立し、ビジネスサイドは本社から、SIerからはエンジニアが出向し、新しい分野でビジネスを立ち上げて行くケースです。
最近、Findyの転職サービスのクライアントについても従来のベンチャーや事業会社だけではなく、SIerなどクライアントサービス企業も増えているのですが、まさにSIerにとっての顧客ニーズも変わってきているからではないでしょうか。
役員本気DX時代を牽引するために必要なこと
次に役員本気DX時代に必要なことを書いてみたいと思います。
人事制度やリモートの活用なども大事ですが、一番は本気でDXを担う「人」だと思っています。
役員のコミットメント
最も大事なのが役員の中で10年単位での挑戦にコミットメントができる方が在籍していることです。DX内製化はこれまで外部に依存していたこともあり、非常に骨の折れる仕事であり、かつ時間もかかります。また営業やマーケの改革のように短期間での数字で見える結果も出にくいのが特徴です。
むしろ初期は顧客体験の改善のためにデリバリーのスピードを上げたりやデータ活用のために基盤を整備するなど、間接的に企業の競争力を担う投資になりがちです。ただし、ここをやり切るとサービス上の大きな競争力になっていきます。
DX内製化を牽引できる専門家の採用
DX内製化を牽引できる人材を内部育成することは理想的ではありますが、どうしても新卒中心の大手企業にとっては数年がかりになりがちです。グローバルで起こっているデジタルを競争力にしていく流れを考えるとそんなに悠長には待てません。
従って、DX内製化を強力に推進できる中途採用の人材が必要になります。
では、どんな人材がDX内製化を牽引できる専門家人材かというと、やはりメガベンチャーなど比較的大きい組織でマネジメント経験を積んでいる方になります。
DX内製化と言っても全てを内製化するわけではなく、自社で競争力の関係から持っておきたいところ、SIerやAIベンチャーに依頼したところなどを分けながら、適切なリソースの分配を実施していく必要があります。
社内のテック領域に挑戦したい若手の抜擢
大手企業ですと新卒総合職で入社している人材の中にコンピュターサイエンスを専攻している方や理系でプログラミングをやっている方などが結構在籍しているものです。
そうしたテックにも明るく事業も理解している人材をDX内製化組織に異動してもらい、事業部門との連携を上げていくことが大事です。デジタル組織が競争力になる時代とはいえ、最も大事なのは既存の事業との連動性です。役員とも意思疎通ができる優秀な若手に担ってもらうことが重要です。
以上、いかがでしたでしょうか。
大手企業のDX内製化が2023年のキーワードになっていきそうな中で、この辺りのテーマで議論したい場合お気軽にお問い合わせ、またTwitter DMいただければ幸いです。