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異なるインダストリーへの転職、経営企画部長を経て入社2年で執行役員になるまでの歩み

2021年12月にマネージャーとしてファストドクターに入社し、2022年6月より経営企画部部長に就任。2023年6月より執行役員として往診事業本部長と経営企画部部長を兼任することになった森下陽介さんが、いかにしてそこまでの成果を達成し、執行役員に抜擢されたのか、その歩みと執行役員としてのこれからについてお聞きしました。

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森下 陽介(もりした ようすけ)プロフィール
東京大学大学院 情報理工学系研究科修了。INSEAD MBA(2018)。2006年セコム株式会社のIS研究所へ入社。画像認識アルゴリズムの研究開発などを行う。国際事業本部へ異動し韓国、イギリスにて駐在した後、トルコでは買収した現地法人の副社長として就任。幼少期含め海外在住歴は24年。2021年ファストドクターに入社。2022年5月より経営企画部長、2023年6月より執行役員・往診事業本部長に就任。
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マネージャーから執行役員に任命されるまでの道のり

ーー森下さんが入社されてから2年経ちますが、執行役員に任命された経緯についてお聞きしたいです。

森下:
最初の半年は経営企画部マネージャーとして、予実管理体制の構築や各部門のKPI管理、会議体の見直しや運営、業績評価制度の導入、取締役会の資料準備などを進めました。重要施策においてはマーケティングやオペレーションの各部門と施策について協議し、経営企画部としても企画や実行を進めました。経営企画部としての素地を整えたところもあり、2022年6月に経営企画部長となりました。

また同時にコロナ禍ということもあり、並行してコロナ禍の対応に関連した業務にも多くの時間を費やしていました。たとえば全国の自治体支援事業なども少なくなかったため、各プロジェクトの準備状況の管理、各部門のリソース調整や人員調達などを行っていました。

ひとつ転機となったのは、自治体支援事業での大規模プロジェクトです。2022年末頃だったのですが、いま振り返ってみるとそのときの会社の状況としては、非常に難易度が高かったプロジェクトだったと思います。当時は100名ちょっとの社員数でしたが、想定よりもオペレーションが複雑かつ工程が多く、うまく運用できていなかったんです。しかし、医療は人の命と向き合う仕事でもあるので、直接的な医療行為を行っていないにしても、オペレーション1つで人の生命を危機に晒してしまうこともある。そうした責任を背負っているわけで、なんとしても早い段階で軌道修正が必要でした。

そうした状況を受けて経営陣へ提案を行い、プロジェクトの責任者として、オペレーションの立て直しを任せていただきました。経営企画部の業務を2ヶ月完全にストップして、毎日現場へ入り、システム開発を含めた業務の効率化や安定化、人的リソースの調整、イレギュラー対応など行い、なんとかプロジェクトを立て直しました。

経営企画部という業務の性質上、何かの事業にコミットして成果を出すことは難しかったのですが、部門横断的な大型プロジェクトで一定成果を出せたことは、往診事業本部長を任せていただく上でプラスに作用したと考えています。

その結果として2023年の始め頃より経営陣が救急往診事業に関連する意思決定は、私と各部門責任者に権限委譲を進めてくれて、徐々に経営陣から救急往診事業全体の管理を任せてもらえるようになりました。そして、2023年の
6月に往診事業本部を設立し、往診事業を担っていたマーケティングとオペレーション4部門が本部に紐付き、執行役員として往診事業本部長と経営企画部部長を兼任することになりました。

ファストドクターの企業風土・カルチャーが与える影響

ーー執行役員への道のりのなかで、ファストドクターの企業風土・カルチャーなどは影響したのでしょうか。

森下:
メンバー間だけではなく、経営陣ともオープンに議論ができる環境があるというのは、すごく良いことだと思っています。これは日本のいいところでもあり、悪いところでもあるのですが多くの企業の中には忖度の文化があり、役職関係なくオープンに議論した上で意思決定することは難しい環境にあるかもしれません。しかし、ファストドクターの経営陣は等級や役職に関わらず誰の話にでも耳を傾けてくれるような姿勢があると思います。私自身もヨーロッパで10年以上出向して働いていたので、オープンにフラットに議論できる環境はありがたいことです。

ーー「議論」というと意見を交わし合うイメージですが、森下さんのお立場でも経営陣と意見が対立したことはあるのでしょうか。

森下:
オープンに議論できるカルチャーがあるため、異なる意見が出てくるのは当然ですし、私が異なる意見を持っているときは常に発信してきましたが、意見が一致しない場合でも、対立関係が生まれたことはなかったと思っています。

たとえば、経営陣の承認が得られずに持ち帰った提案がありました。それは、私が入社当時から課題感を持っていたもので、わかりやすくいえば医師の待遇面に関することで、将来を見据えて変えていく必要があるという想いが強くありました。そのため、経営陣に納得してもらうための材料を揃えて、承認を得るために半年くらい時間をかけて準備して再提案したことがあります。より洗練された提案を準備できましたし、1度却下した案件に関しても耳を傾ける姿勢を持ってくださっていたおかげで、あらためてチャレンジできました。

結果、提案は承認を得ることができ、往診事業本部長として最初の半年間の最も大きな成果の一つとなりました。

マネジメントのあり方について

ーーこれまでのお話を聞いていると、森下さんのマネジメントの在り方が少し見えてきたような気がします。森下さんが仕事をするうえで大事にしていること、意識していることにはどんなことがありますか。

森下:
経営に携わるポジションとしては経営インパクトをどれだけ出すか、数字としてしっかり結果を出すということに尽きると思います。

また、個人的な話でいえば、自分のマネジメントスタイルは強く引っ張っていくリーダーシップとは少し違うかもしれません。大事にしていることとして「誠実であること」「オープンであること」「リスペクトすること」「謙虚であること」の4つがあり、これらを意識しながら仕事しています。上の人も下の人も分け隔てなく全員の声に向き合い、そのうえでなにをすべきかを自分で考えて、意思決定した後はその結果やその理由をきちんと伝えることをしていますね。

ーーこのマネジメントスタイルに落ち着くまでに、なにか転機のようなものがあったのでしょうか。

森下:
大きな転機といえるものはありませんが、これまでの仕事でもさまざまなスタイルのリーダーシップをみてきたなかで、どれが正解かではなく、自分に合うマネジメントスタイルはなんだろうと考え、徐々に落ち着いていった感覚です。

スタートアップならではの成長できる土壌

ーー入社1年半で執行役員になるというのは、スタートアップならではのチャンスがあると思いますが、どういうところに醍醐味を感じますか。

森下:
自分ができることを証明していけば、どんどん仕事が任されていく環境にあると思います。実際にチームメンバーに任せられるところはどんどん任せていますし、20代の若手でも実際に他部門を巻き込むプロジェクトのリーダーになってもらって進めてもらうこともあります。それはスタートアップならではの環境です。スタートアップは責任範囲や裁量も大きく、関わることができる業務範囲も広いので、それだけ大変さはありますけど成長できる土壌があります。

どのような環境に身を置くかによって、自分自身の成長のスピードが大きく変わることは、強く意識しておくべきだと考えています。私自身の場合、前職で海外子会社へ出向して経営・企画を経験できる環境に身を置いたこと、MBA留学したこと、そしてファストドクターへ転職してきたことによって、多くの成長機会をいただき、少しずつ前に進んでくることができました。

ファストドクターはまだまだ事業の成長を続けていますし、多くの新規事業にも投資を行っています。組織も拡大を続けており、これから入る社員の方々にとっても、ここまでの成長とキャリアアップの機会がある環境は、なかなかないのではないかと思います。

ーー最後に、今後の展望として執行役員になられてからの目標、力を入れていきたいところについてあらためて教えてください。

森下:
救急往診事業の責任者としては、医療アクセスが乏しい夜間・休日に受診できる新しい選択肢としての「救急往診」をできるだけ社会に広げていき、安心して生活できるような基盤をつくりたいと思っています。そのためには、より多くの方々にこの医療サービスを知っていただくこと、また事業規模の拡大を支えるオペレーション基盤を構築することが重要であると考えています。

今の役割を超えた目標としては、会社の「Vision 2030」である救急医療を超えた医療インフラの実現に向けた戦略と実行に関わりたいですね。たとえばアメリカではバーチャルファーストケアとも言われるのですが、アプリや遠隔でのバイタル監視などを活用することで、診察は必要に応じてアプリで、あるいはチャットで、オンライン診療でなど効率化を行い、より必要な医療を効果的に多くの方へ提供していく。そうした未来の実現に貢献できるといいなと思います。

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