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「つくりおき.jp」を支えるデータ活用

こんにちは! Antwayデータチームの佐々木です!

Antwayでは、起業当初からデータ活用が競合他社との差別化に非常に重要な役割を果たすと考え、企業戦略でもデータ活用を重要要素として位置付けています。また、戦略を実行し、データを活用して効果的な意思決定を行うために、創業2年目からデータ組織(以下、データTM)を立ち上げています。この記事では、Antwayのデータ活用に関する取り組みと、データTMの役割について紹介したいと思います。

なんでAntwayのビジネスにおいてデータ活用が重要なの?

具体的なデータTMの話に移る前に、そもそもなぜAntwayがデータ活用を重視しているかについてお話ししたいと思います。先述のように、データ活用はAntwayにとって競合他社との差別化を推進するための重要な戦略要素となりますが、その内訳としてはざっくり3つだと考えます。

1. 顧客ニーズに基づいたサービス提供

日本の製造業は、熟練の技術により多様な製品を製造することができており、食品製造業においても同様でした。一方で、IT化の波に乗り遅れてしまったために、データに基づく顧客ニーズ分析が進んでいない企業が多く、「顧客が本当に求めているもの」を提供できていない現状です。そのことにより、継続率が伸びず、利益も伸びづらい業態となってしまいました。反対に、Antwayでは、顧客から得られたアンケートデータや注文履歴を分析し、傾向やパターンを把握することで、よりニーズに合ったサービスを提供することを重視しています。顧客は自分に合ったサービスを受けることで満足度が高まり、長期的な顧客ロイヤルティの構築にも繋げることができます。

2. 効果的な意思決定と戦略策定

データ活用は、ビジネスの最適な意思決定や戦略策定において重要な情報源となります。データに基づいた分析と予測により、市場トレンドや需要変化を把握し、適切な戦略を立てることができます。特に、つくりおき.jpが位置する宅食業界はまだ市場自体が成熟しておらず、顧客ニーズや競合状況の変化が非常に速いため、最新のデータからより確度の高い判断をすることが重要です。
また、広範なバリューチェーンを持つ製造業ではプロダクト作りに関わるパラメータが非常に多く、人力では到底最適化することができません。例えば、工場の人員構成、原材料の発注量、在庫量、製造の順番などですが、元来これらは職人の暗黙知により決定されてきました。Antwayでは、それらのデータを適切に蓄積し、システムによる最適化を実現していくことで、廃棄率や人件費率を最小限に抑えることができると考えます。

3. 競争力の強化と差別化

設備やオペレーション、食材など、有形のアセットはいつか模倣されてしまいます。一方で、時間をかけて試行錯誤の中で蓄積したデータと、そこから作成された各種モデルは模倣困難性が高いです(模倣するためには等しい時間をかけてデータを集める必要があるため)。したがって、Antwayでは、無形のトランザクションデータの蓄積と、それに立脚するソリューションこそが、真の競合優位性であると考えます。

全体的に他業種にも当てはまることだと思いますが、食品製造業で真摯にここに向き合っている会社はそれほど多くはないのではないでしょうか。特に3については、自分もWEB業界から移ってきた身として、強く感じる部分ではあります。つくりおき.jpは週次配送のモデルのため、多くても年間53週分のトランザクションしか発生せず、またデータの単位も人ではなく世帯レベルなので、データが貯まりにくい構造にあります。そのため、類似のビジネスモデルではどうしても、分析に使えるデータを早めに貯められている先発サービスの方が、加速度的に改善を進められるのではないかと実感しています。(つくりおき.jpは類似のビジネスモデルの中では先行できており、順調にユーザー規模も拡大してきたため、データ活用の観点では有利だと感じています!)

家庭料理の配達サービス 「 つくりおき.jp 」累計提供食数600万食を突破
(株)Antway/つくりおき.jpのプレスリリース(2023年1月27日 11時36分)家庭料理の配達サービス [ つくりおき.jp ]累計提供食数600万食を突破
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000039424.html

AntwayのデータTMって?

上記のようなデータ活用の推進を、AntwayではデータTMが担っています。具体的に、データTMが保持する役割機能は以下の3つです。

1. データマネジメント

データの収集、整理、保管、品質管理などに関する活動を指します。先述した最適化を実現するためには、レシピ・顧客満足度・食材・工程実績など、データソースもI/Fも異なるデータ群を統合的に管理する方法を考える必要があります。Webという抽象化・単純化された空間ではなく、複雑な現実世界をいかに程よく抽象化されたデータモデルに落とし込んでいくかが非常に重要となります。また、品質の高い業務データを生み出すために、業務プロセス自体に介在したりマスタ整備することで、業務の中で自然と使えるデータが貯まっていく構造を作ることを目指しています。

入社当時バリューチェーンやユースケース・必要データを洗い出した表。イベントやエンティティが膨大にあるので、すべての整合性を担保しながらデータを作っていくことがかなり大変です。

2. データ基盤整備

また、データ基盤の構築と維持にも取り組んでいます。味や見た目という定性領域のデータや、製造工程などリアル領域のデータを、どのような形式・手法で基盤に連携・蓄積をしていくかなど、D2Cビジネスならではの課題とやりがいがあると思います。また、データ活用を製造現場を含む全社で、加速度的に広げていくために、誰もがデータを利用しやすいI/Fを整えていくというアナリティクスエンジニアリングも必要になってきます。

データ基盤の将来像イメージ。各コンポーネントの物理サービスは追って検討していく予定です。とりわけETL周りについては、モダンなデータスタックに寄せていくべく、今期dbtの導入を実施しました。

3. データ利活用推進

最後に、蓄積されたデータを活用した分析・効果検証・予測モデルの構築を行うことで、事業の利益貢献にも責務を持ちます。データ分析を通じて、顧客の嗜好・行動傾向を把握し、マーケティングやプロモーションの施策立案や、メニュー企画の方針検討に活用しています。また、各事業部で実施する施策の検証設計を行い、正しい施策効果の推定を行うことで、より効果的な施策の展開を実現しています。さらに、モデルを構築することで将来の需要予測を行い、戦略的な意思決定をサポートしています。

いずれも、普遍的に企業のデータ組織が持つべき機能だと思います。ただ、Antwayの場合、上述したようにWEBとリアルの組み合わせだからこそ、非常に広範かつ奥が深い分野となりますが、データTM立ち上げ以来正社員1人・副業業務委託1人という非常に少人数の体制で運営しています。そのため、事業へのレバレッジを軸に優先度を決定し、まずSmall Winを達成することを心掛けてきました。

Antwayのデータドリブンな事例のご紹介

具体的なデータ活用の事例として、Antwayではデータ分析を通じて予測モデルの構築とメニュー構成への活用を行っています。

従来の課題として、顧客満足度が高いメニュー構成の維持が難しいことがありました。それまでは、メニュー構成担当者が、過去の経験をもとに定めた複数の制約(一度出したメニューは一定期間以上出さないなど)をベースにメニュー構成を行うことで、満足度の担保を行なっていました。しかし、制約の増加とともに条件を満たすメニューの選択肢が少なくなり、業務負荷が高くなっていました。

そうした状況に対し、データTMでは、メニューと満足度の関係を分析し、メニュー構成から次回提供時の満足度を予測するモデルの構築を行いました。そして、メニュー提供→顧客から満足度アンケートデータ収集→データ基盤連携→最新データで次回提供時の予測というデータ活用フローを確立することで、従来の制約を撤廃し、顧客ニーズに合わせた最適なメニューを素早く意思決定できるようになりました。

さらに、将来的には、顧客満足度だけでなく自社キッチンでの作りやすさや原価などのパラメータも加味し、人間が介在しなくても自動的に最適なメニュー構成を出力させることを目指しています。

こうしたSmall Winをきっかけに、社内の中でデータ活用の重要性やデータTMへの信頼感が醸成され、他の事業部からもデータ活用の相談をいただくようになりました。
その他の各種事例については、別の記事でご紹介したいと思います!

Antwayのデータチームでデータ分析者としてのキャリアを築きませんか?

D2Cビジネスを展開するAntwayでは、WEBサービスを提供する企業にはない、広範なバリューチェーンから生まれるデータとその活用の面白さがあると確信しています。また、そうしたビジネスの幅広さに対して、データTMはまだまだ少人数の体制で運営しており、全社を巻き込んだデータ活用のグランドデザインから実行まで大きな裁量を持って行うことができます。

非常にチャレンジングな環境である一方、リソース不足故に手が出せていないことも多分にあり(というかビジネスの進化に対して全く追いついていません)、毎期やることを考えるたびに歯痒い思いをしています。

もし、この記事を読んでAntwayのデータTMに興味を持った方がいれば、ぜひお声がけいただけると嬉しいです!

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