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“本当に欲しい人材”を採用するための採用マーケティング~信頼できる柱が欲しい経営者のための『プロパーCHRO』の育て方Vol:13~

こんにちは。株式会社シンシア・ハート代表の堀内猛志(takenoko1220)です。


このシリーズでは、「信頼できる柱が欲しい経営者のための『プロパーCHRO』の育て方」と題して、50名から4000名まで成長した企業で、各ステージの人事組織戦略の遂行に人事役員として奔走した自身の経験をもとに、


▼人事トップになるために実行したこと

▼意識していたマインド

▼経営や現場とのコミュニケーションのtips


などをお伝えしていきます。私の経歴詳細は、以下の記事からご確認ください。


それでは、今回のアジェンダです。

今回は、本当に欲しい人材を採用するためにはどうしたらいいのか?という視点から、採用マーケティングについて掘り下げてみたいと思います。



目次

  • 労働市場に疎い日本人

  • 商品市場で勝つためには

  • 営業< 採用

  • 採用マーケティングにおけるSTP

  • 自社が選ばれる理由を考える

  • 相手が求めるモノも考える

  • キャリアとライフは不可分

  • 面接と恋愛のプロセスは似ている

  • 相手と関係性を築くためのワンポイント

  • 誠心誠意向き合うことが第一

  • 一緒に働くメンバーを募集中


労働市場に疎い日本人

採用マーケティングについてお話する上での前提として、3つの市場について確認しておきます。世の中には「商品市場」「金融市場」「労働市場」がありますが、日本人は、物やお金のやり取りばかりに熱心で、労働力としての「人」の価値についてはあまり考えられていません。


一つ、例を挙げて説明します。たとえば、卵1パックはいくらかと聞かれれば、大体の人が値段を思い浮かべられるでしょう。500mlのペットボトルならこれくらい、東京でマンションを買うならあれくらい……など、「安い」「高い」の基準がなんとなくわかる。ところが、ある人の年収を当てるようにいわれても、想像がつかないという人が多いのではないでしょうか。


僕は、人事・人材業界という、労働市場メインの場所でずっと働いてきたので、人の年収の相場感やニーズなんかが大体わかります。ちなみに、転職することが当たり前の海外の人たちは、少なくとも自分の相場やニーズを把握できている人が多いですが、日本人は、労働市場における自分の価値すらもわかっていない人がほとんどです。

商品市場で勝つためには

労働市場への疎さは、労働市場における勝負の疎さにも直結します。実際に、世の中の企業が必死で考えているのは、商品市場で勝負することばかり。多くの企業は、お客様に「買いたい」と思ってもらうために、自分たちが提供する商品の価値向上や、技術力アップに注力しています。


でも、労働市場で勝たないことには、商品市場で勝つことなんてできません。なぜなら、現代の商品・サービスは、コモディティ化が進んでおり、絶対的なプラットフォームや既得権益を有している企業でもない限り、技術で差別化を図ることが難しくなっているからです。


では、商品価値や技術力が一般化している今、どうやって差別化を図るのか。それは、人が提供する「サービス」だと思います。ここでいうサービスとは、企業の商品として提供するものではなく、「人」が行う営業などの活動のことです。


僕は、こうしたサービスはAIに代替されないものだと考えています。AIは100点を取れる確率が高いものの、それ以上の点を取ることはできません。一方で、人間は、-1000点のリスクもある代わりに、1000万点を叩き出す可能性があります。たとえば、誰かのプレゼントを考えるとき、AIは無難に嬉しいものを提案してくれますが、おもてなしの心やサプライズで、想像以上の喜びをもたらしてくれるかもしれないですよね。


人間のサービスには、100点の満足を超えた、1000点の感動があります。だからこそ、労働市場の戦争で勝って、そんなサービスを生み出せる「人」を獲得する必要があるんです。


営業< 採用

現代のように慢性的な人不足に陥っている世の中では、いい人材の取り合いが起こります。良いサービスを提供するためには、採用でいい人材を獲得できるかどうか、という段階から勝負が始まっているんです。


ところが、多くの企業では、さほど採用を重要なものだと認識していません。僕は、人事の顧問としてさまざまな企業に入っていますが、営業部長が「今月ちょっとやること多かったんで、全然数字あげられませんでした」なんてことはあり得ないのに、人事部長が同じようなことを言うと「しょうがないね」と許されるようなことが往々にして起こっています。


これは、ひとえに経営者が「採用競争に勝たなければいけない」と認識できていないことの表れであり、営業よりも採用をなめている証拠であるといえます。これからの時代を生き抜くためには、営業目標と同じように、いや、それ以上に、採用目標を実現するための手を打っていくことが大切です。


採用マーケティングにおけるSTP

ここからは、採用目標を実現する方法を考えていきます。


商品やサービスを売るときには、多くの企業が「どんな市場があるのか」「どこの市場で戦うのか」「何が自社の強みなのか」 といったことを考えると思います。これが、マーケティングの基本となるSTP、つまり、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)です。


それと同じように、採用でも、「どういう人をターゲットにするのか」「その人にとって、自社の何が魅力になるのか」などを分析し、磨き上げていく必要があります。


当たり前のことを言っているように感じるかもしれませんが、現実にはそれが出来ていない企業がたくさんあるんです。ターゲットを聞いた際に、「いい人」や「即戦力」といった抽象的な人材像しか出てこないのがその例です。いい人や即戦力が欲しいのはどこの企業でも一緒なので、自社にとっていい人とはどんな人なのか、自社の即戦力になるにはどんなスキルが必要なのかを改めて考え、しっかりとターゲティングを行いましょう。


自社が選ばれる理由を考える

ちなみに、ターゲティングまではできていても、ポジショニングが全くできていない企業もあります。どういうことかというと、ターゲットの年齢・スキル・経験などはしっかり定まっているのですが、いかんせん理想が高い。そして、そんな素敵な人材に、なぜ自社が選ばれるかという点については全く考えられていないという状況です。


多くの企業が欲しがるような人材は、そもそもそんなにたくさんいません。さらに、そんな人材は、誰もが名を知るような大企業にとられてしまいます。


だからこそ、こんな人が来てくれたらいいな、という理想だけでなく、その人にとって自社の何が魅力になるのかを考えなければいけません。もちろん、「ウチはメンバーがいいよ」なんてふんわりしたものではなく、具体的な魅力を突き詰めていくことが大切です。


相手が求めるモノも考える

ポジショニングについて、もう少し具体的に掘り下げてみます。


現代のマーケティングにおいては、商品やサービスを売りたい相手のことを徹底的に考えています。広告一つとっても、出す時間や場所、見せ方などを計算して作っているワケです。


ところが、採用活動にあたっては、自社の魅力を詰め込んだホームページやスライドを作ったり、説明会や面接で自社の素晴らしさを一方的に語ったりということがしばしば起きています。 相手のニーズはガン無視というワケです。


せっかく魅力があっても、ターゲットのニーズとマッチしていなければ意味がありません。

自社の魅力を洗い出すことと、相手のニーズを考えることは、基本として押さえておいてほしいと思います。 


キャリアとライフは不可分

ひと昔前までは、彼氏彼女と別れた、ペットが亡くなったといった個人の事情は関係なく、仕事は仕事と割り切って働かなければならない時代でした。


ところが、現在は、そういった理由でモチベーションが低下している社員に対して、会社としても配慮することが必要になっています。仕事と人生は、もはや不可分なものになったのです。


だからこそ、経営者には、入社する前か後かを問わず、個人を取り巻く環境や、その人が何かを決断する上で指標とするモノが何であるかを理解しようとする姿勢が求められます。そして、それは不変のものではなく、日に日に動くことも把握しておくべきです。最初は「バリバリ働いて稼ぎたい」という理由で入社したとしても、もし親が倒れて介護が必要になったなら、その価値観は一変するわけですから。


面接と恋愛のプロセスは似ている

入社前に個人の環境や大切なモノを聞いておく場として、面接や選考があります。これらのプロセスは、恋愛に例えられることが多くあるのですが、なぜか、恋愛関係の相手には絶対にやらないような良くない振る舞いを、選考対象の相手にはやってしまうという企業が多いんです。


たとえば、結婚を考えているなら、生活スタイルはどんな感じか、実際のところ貯金はどのくらいあるのか……など、聞いておきたいことはたくさんありますよね。でも、1回目のデートでいきなり聞かれたら誰でも引いてしまうでしょう。付き合い立てで、まだ関係性も出来上がっていないのに「両親に会ってくれ」と言われても困ります。


ところが、面接では「初対面なのにそんな所も?」と思うようなことまで根掘り葉掘り聞いてしまいがちです。すぐに役員や社長に会わせて自己PRをさせることもしばしば。なんなら、相手の気持ちやニーズも対してわかっていないのに、玉砕覚悟のプロポーズ=内定を出す企業もいます。


なぜそんなことになってしまうかというと、「相手を楽しませたい」「好きになってほしい」という気持ちなしに、「相手を見極める」という目的の達成だけに終始しているからです。実際は、求職者側も「楽しく働けるか」「この企業は自分を大事にしてくれるか」といった点を見て入るかどうかを決めているのに、自社が見極められているという感覚を持てていないんです。


相手と関係性を築くためのワンポイント

まず大事にしていただきたいのは、情報提供よりも情報収集をすることです。先ほども申し上げたとおり、相手のことをちゃんと理解しようとする姿勢を持っていただきたいと思います。


ただし、面接では、親の職業や彼氏・彼女の有無、信仰している宗教など、聞いてはいけないことも結構あります。もちろん、こうしたことをダイレクトに聞いたり、その答え次第で採用を決めたりするのは大問題です。でも、働くからには、お互いが知っておいた方がいい情報があることも事実。


そんなときには、こちらから聞き出すのではなく、相手から話してもらうのが一番です。もちろん、無理に聞き出すのではありませんよ。


たとえば、親御さんが病気がちな求職者がいたとします。会社側から「親御さんは健康ですか?」などと聞くことはできませんが、「あなたの人生をウチが引き受けます」「最高のパフォーマンスを発揮できるように、何でも話してください」というスタンスで面接をしていれば「実は介護が必要な両親がいまして…」と話し出してくれることが多いんです。


事前にそういった状況を把握して話し合いができれば「週2~3回はリモートワークにしましょう」と、折り合いをつけることもできます。逆に、会社側が不誠実な態度だと、面接時にはそのことを言わずに済ませ、入社してから「こんなはずではなかった」とミスマッチが起こってしまうかもしれません。


誠心誠意向き合うことが第一

念押しになりますが、僕は、相手が言いたくないことを無理矢理聞き出すようなテクニックを身につけてほしいと思っているのではありません。相手と膝を突き合わせて、誠意をもって話を聞けば、相手も誠実に答えてくれる可能性が高いということです。


自社にとって“本当に欲しい人材”を採用するための方法として、まずは、求職者を第一に考えることに取り組んでみてください。もし悩んだ際には「相手が恋人だとしても、この対応ができるだろうか?」と、一度立ち止まって考えてみることをオススメします。


より詳しい内容が知りたい、自社で戦略人事思考を持った人事責任者を採用したい、育てたいがうまくいかない、という経営者の方はご連絡をください。CHRO採用とCHRO開発を承っています。


一緒に働くメンバーを募集中

現在、株式会社シンシア・ハートではキャリアコンサルタントを募集しております。

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