建機レンタル品管理サービス「Arch」で現場とのコミュニケーションと課題解決を担うカスタマーサクセス(CS)を募集
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2022年9月に建機レンタル品管理サービス「Arch(アーチ)」を正式リリースした株式会社Archでは、カスタマーサクセス(CS)を募集しています。代表取締役の松枝直さんに、創業の経緯や建機レンタル業界の可能性、求める人材像についてお話を伺いました。
人手不足&長時間労働の建設業界全体を変えるため独立起業を決意
――まず、松枝さんの経歴について教えてください。
松枝:大学の建築学科を卒業後、竹中工務店に入社しました。6年ほど現場監督をした後、自ら希望して千葉にある竹中技術研究所へ異動。新規事業や社内アプリの開発などを行う部署で学びながら、2年目には起業家養成を兼ねたプログラミングスクール「ジーズアカデミー」にも通いました。もともとプログラミングが好きで自己流でやっていたので、学び直してみたかったのもあります。
――独立して起業しようと思ったきっかけは何でしたか?
松枝:ジーズアカデミーで半年間学んで自分でもある程度プログラミングができるようになり、会社でも事業全体を俯瞰できるようになったあたりで、スピード感に大きな違いがあると気づきました。「このスピード感では建設業界を変えられない」と感じました。
――当時から「建設業界を変えたい」という思いがあったんですね。
松枝:はい。現場監督をしていた6年間で、忙しさのあまり病んでしまう人や辞めてしまった同期を見てきました。建築業界は長時間労働が当たり前で、その背景には従来のアナログな施工管理の仕事があります。私はそこを変えたいと思っていました。竹中工務店の中で社内アプリを作ったとしても他のゼネコンまで広げられないですよね。これでは建設業界全体を変えることは難しいだろうと思い、「自分でやろう」と決意しました。
――竹中工務店の企業文化として、独立起業される方は多いのでしょうか?
松枝:ほとんどいないですね。私の場合は少し特殊で、同じ大学の先輩でもあった中島さんに憧れていたのもあります。中島さんは竹中工務店に入社後、3年で独立して施工管理アプリ「フォトラクション」という施工管理をDXする会社を立ち上げました。ジーズアカデミーも、中島さんが一期生だったから私も通いたかったんですよ。
――ロールモデルとなる方が身近にいたんですね。代表取締役COOである北山さんに声をかけたのはいつ頃ですか?
松枝:ジーズアカデミーの卒業制作として、建機レンタルに関わるアプリを作り始めたタイミングです。当時、建機レンタル会社で働いていた北山さんにお話を聞きながら、建機レンタル会社側の視点や業界の知識を教えてもらいました。
ひとつの現場で数万点!レンタル建機の管理業務をArchで効率化
――そもそも、建機レンタルをDX化しようと思ったのはなぜですか?
松枝:現場監督時代に、工程管理や品質管理など仕事が多すぎて苦労したという原体験がありました。近年は便利なDXツールも出てきましたが、現場の資材や機材を管理するアプリはまだありません。現場が抱える建機管理の課題を解決するために、建機レンタルに関わる事業に取り組もうと思いました。
――建機レンタル業界の市場規模はどれくらいですか?
松枝:建設業界自体も市場規模はかなり大きく、建機レンタル市場だけで見ても、この10年で約2.5倍も成長しています。その理由は災害などによる、建機の破損や紛失リスクを避けるためです。東日本大震災以降、建設会社が自社で建機を持つリスクを避け、ほとんどの建機をレンタルするようになったのです。また、建設業界の人手不足をカバーするために今まで人がやっていた作業を機械でやろうという潮流もあり、建機をレンタルするシーンはどんどん増えています。
――ひとつの現場でどれくらいの建機がレンタルされているのでしょうか?
松枝:比較的大き目の現場、例えば30階建てのビルの建設現場だと数万点ものレンタル品が発生し、費用も1~2億円かかります。照明や足場などの小さいものから、フォークリフトまであります。大きいものだとビルの一番上に物資を運ぶタワークレーンとかですね。物品の管理はもちろんコストの管理も含めるとかなり煩雑で、現場監督の大きな負担になっています。
――数万点ものレンタル品を管理するのはたしかに大変ですね。従来はどうやって管理しているのでしょうか?
松枝:ExcelやCSVです。もっとアナログな方法だと、FAXで送られてくるA4一枚の「稼働表」をもとに棚卸しするケースもあります。何をいつからいつまで何の目的で借りたかなどを書き込む「貸出管理表」もありますが、忙しい現場では形骸化されていきますし、手書きなので文字が読みにくいこともありました。返却時には、建機に割りふられた管理番号をチェックしながら現場監督たちが分担しながら探します。管理方法がアナログすぎて現場で機材を紛失してしまうことも多々あります。
――となると、システム導入のニーズは高そうですね。成長市場かつニーズも高い建機レンタル業界に、競合会社がまだ参入していないのはなぜでしょうか。
松枝:建設現場と建機レンタル会社、両方の知識を持ちつつ、ITの知見も持っているチームがないからではないかと考えています。建設業界自体のDX化が進んできたのもここ最近だからというのもあるでしょうね。大手の建機レンタル会社さんのなかには、自社で建機レンタルのECサイトを運営しているところもありますが、どちらかというと自社の業務を効率化する目的で作られているため、現場にとっては使いづらい一面もあるようです。そこで私達は現場と建機レンタル会社、両者にとってメリットのあるプロダクトを作ることで普及していくと考えています。
コミュニケーション能力が高く、丁寧なヒアリングができる人材
――9月に正式リリースしましたが、Archは現在どういったフェーズにあるのでしょうか。
松枝:11月にいったんPoCが終わり、現場の方々にヒアリングをしている段階です。ゼネコンさんからは「使いやすいね」というお声をいただいていて、8つのうちヒアリングが終わった4つの現場は、すべて継続が決まりました。建機レンタル会社さんからは業務効率を上げるためのさらなる機能についてご意見をいただき、「建設業界のDX化に向けて積極的に協力します」と応援していただいています。
――具体的にはどんなご意見がありましたか?
松枝:建機レンタル会社さんが持っている従来のシステムとの連携ですね。例えばArchを通して発注が来たときも、今はわざわざ自社のシステムに転記していただく必要があり、建機レンタル会社さん側に手間が発生しているんです。API連携できれば理想的ですが、先方のシステムはセキュリティが高いことも多いですのでバッチ連携で解決できればと考えています。
――Archのユーザーは建築現場のトップである所長さんがメインだと思いますが、どのくらいの年齢層の方が多いのでしょうか。
松枝:中堅や準大手のゼネコンでは30~50代の方が多く、もっと大きなスーパーゼネコンでは50~60代の方が多い印象です。なので、Archは幅広い年齢層の方にとって使いやすいサービスにする必要があると考えています。今使っていただいている大手のゼネコンの所長さんは30~40代でリテラシーが高い人が多く、機能追加の要望もいろいろと出してくださいます。ただ、リリース当初から使っているからこそ順次追加された機能にも対応できるのであって、初めてサービスを利用する方にとっては機能が多すぎると戸惑う原因になるかもしれないという意見もありました。
――あれこれ盛り込むよりも、機能を厳選したシンプルな設計を目指すということですね。
松枝:はい。軸となる機能をメインに出して、その他はオプション機能として使いたい人だけが使えるようにすることも考えています。基本的にはシンプルなものが求められていますが、ユーザーにヒアリングすると様々な要望が出てきます。だからこそ、いろんな現場で丁寧にヒアリングしながら本当に必要な機能だけをつけていくことが重要なんです。
――まさに今おっしゃったヒアリングの部分が、今回募集しているCSの主な業務になるんですよね。
松枝:そうですね。今は私と北山さんの2人でヒアリングをしていますが、今後は新しいCSさんにその部分を担っていただきたいです。特にゼネコンの方は忙しいので、プロダクトから少し離れると使わなくなったり元のやり方に戻ってしまったりするんです。現場のユーザーと密にコミュニケーションを取れる方、お客さんと密にコミュニケーションを取るのが好きな方に任せたいですね。
――建設業界にあまり詳しくない方でも大丈夫でしょうか?
松枝:大丈夫ですよ。建設業界とはいえ相手も基本的には普通の社会人なので、サービスとして使っていただくうえでのサポートがきちんとできる人であれば問題ありません。もちろん業界の慣習などを学んでもらう必要もあるので、その部分は私たちと一緒にやりながら、最初は操作説明などの基本的な業務から担当していただく予定です。
――他にはどういったスキルや能力を求めますか?
松枝:お客さんの要望や考えを読み取って、機能開発に反映できる能力です。先方からサービスへの要望や機能開発の話をいただいたときに、ワイヤーフレームを作って先方に提案し、対話しながら進めていけるといいですね。あとは、こちらから言わなくても新たな機能や改善点について意見をどんどん出してくれるような、提案力のある方。今のチームは業界の経験者ばかりで凝り固まったアイデアしか出てこないので、Archというサービスはもちろん建設業界全体に対して第三者的な意見やアイデアをくれる人を求めています。
――IT業界など幅広い業界からご応募いただきたいですね。他の業界で営業やCSを経験されてきた方に、Archで働く醍醐味としてどこをアピールしますか?
松枝:建機レンタル業界という先駆者がいない領域にチャレンジしている点ですね。専任のCSは一人目なので、組織や体制をゼロから構築できるのも醍醐味だと思います。建機の需要は増えていますし、今後は建設ロボットも主流になって、ますます伸びていく業界です。世界的にも人口増加に伴う建設ラッシュが見込めるので、市場としては明るいです。
――グローバル展開も視野に入れているのですね。どういったステップで進めていくのでしょうか。
松枝:まずは日本国内の請負金額上位100社を、その次は地場ゼネコンなど約1万5千社をターゲットにしていきます。それらがうまくいけば、いよいよ次は東南アジアなどへ進出したいです。海外ではレンタルより、購入して工事後に売ることが多いので、中古建機のマーケットが大きいんですよ。その領域でも何かしら勝負したいと思っています。
Archの魅力と求職者へのメッセージ
――建築業界未経験の方にも、この業界でCSをやることの魅力を伝えたいですよね。
松枝:そうですね。私が現場監督をやっていたときは、建物の建築に関われるところが魅力でした。BtoBSaaSの会社でCSに携わったとしても、目に見える形の実績は残りませんが、建設業の現場と関わると「このビルを作るときに、Archというサービスを通して関わっていた」というのが形として残ります。建設業界で働いている人は、そこを魅力として頑張っている人が多い印象です。会社創業初期から入っていただけることで、一緒に会社を大きくしていく実感を持てることも魅力ですね。
――3年後、Archという会社はどうなっていたいですか?
松枝:2025年の目標は売上TOP100の全ての建設会社への導入を目指しています。ひとつのゼネコンまたは建設会社では年間約80~100の現場を担当されているので、その50%ぐらいの現場でArchを使っていただくことを目標としています。
――そのためにも、コミュニケーション能力が高く提案力もある方にぜひCSとして加わっていただきたいですね。ありがとうございました。
「そこで我々は現場とレンタル会社、両者にとってメリットのあるプロダクトを作ることで普及していくと考えています。
「会社創業初期から入っていただけることで、一緒に会社を大きくしていく実感を持てることも魅力ですね。」