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この記事とは
2020年1月に株主のフリークアウト・ホールディングス代表の本田さんをお招きして、代表山口との座談会を行った。本田さんにJentについてやチャット市場についての対談内容をまとめる。
フリークアウト Global CEO本田さんのご経歴
音楽作家、ロボット開発、米国での生物化学研究など多分野での経験を経て、IT 起業家に転身。
広告テクノロジー分野にて、二度の起業で M&A と上場の双方を経験する連続起業家。
2005年9月、コンテンツマッチ広告事業の株式会社ブレイナーを設立。代表取締役 就任。
2008年4月、同社をヤフー株式会社に売却。その後、IT ベンチャーなどへのエンジェル投資を本格的に始める。
2010年10月 フリークアウト設立。代表取締役 就任。
2013年6月、創業から3年9ヶ月でマザーズ市場上場。
2017年1月 代表取締役 GlobalCEO 就任。
2018年2月 代表取締役社長 GlobalCEO 就任。国内外含めたグループの経営全般を統括。
山口:
貴重なお時間をいただきありがとうございます。
まずはざっくり市場の話からお伺いして、次に具体的にうちの会社について色々聞いていければと思います。まずはチャットの利用は今後広まるのかや、そもそもチャット市場について、本田さんはどう見ていますか?
本田:
チャットサービスをよく目にするようになったのは3年前頃でしょうか。初めはどんなものかなと正直上から見ていた所もありましたが、しばらく見ていてチャットは間違いなくこれは来るなと思いました。
フリークアウトは広告の会社です。お金を出す広告主さんと、そのお金を出して掲載した広告のメッセージを見る消費者の間に立って仕事をさせてもらっています。その広告主さんと消費者とのコミュニケーションの方法として、これまで一辺倒だった広告(インターネットだとバナーから始まり、動画広告や、最近だとタクシー広告など)ですが、そういった従来の広告手法以外のやり方で、チャットは間違いなく今後マーケットとして拡大してくなという実感が見ていれば見ているほど大きくなりました。
山口:
従来的な広告は動画を用いるなどよりリッチにはなってはいますが、やはりどうしても一方通行なものではあります。インタラクティブなものの方がより価値が高いよねということでしょうか?
本田:
はい、いくつか理由はありますがそれも一つだと思っています。
お客様を獲得して最終的な成約を目指した時に、当然あるところから何かしらの対話が始まります。今までの広告は、消費者に色々な手法で広告を当ててリタゲされて、ようやくサイトに入ってきてもらい、登録作業してもらいやっと連絡先が取れて、そこでようやくインタラクティブなコミュニケーションが発生するという流れでした。
それに対してチャットサービスはかなり早いタイミングで対話を行うことができますよね。**従来の広告に比べて短期間でお客さんを成約まで運べるという点で、どう考えてもありなんですよ。**あとは世の中としてこういう物を当たり前に使うようになる社会の変化を待っているのが今かと思います。
山口:
広告は色々な手法で出稿されて、最後に当てられた人が勝つみたいなところがあるじゃないですか。購買意欲が高まっている、最適なタイミングで広告が見られて流入してきてもらえたところの勝ちという。ですが弊社で今起きている現象ベースでいうと、お客様に流入いただきチャットで会話してグリップできると、流入前後でSUUMOさんとか他社サイトで見てお客様自身で調べた物件情報などをこちらに共有してくれます。他社で決めない、他を自社で全て巻き取れる。インタラクティブなやりとりをしているとそういうことが起こっています。やはり体験として勝っているなと感じます。最後に当てているわけではないのに途中で差し込んだうちが勝ててしまうと。
本田:
なるほど、逆に質問です。
広告を見て資料請求をした人と、チャットのやりとりをして最終的に成約した人とで、最終的に広告主(クライアント)にお客様をお渡しした時に、チャットで対応した人の方が高い価値があるとクライアントに認めてもらうことはできている実感はありますか?
山口:
そう感じてもらえている部分もあるかと思います。
少なくともお客様側からは例えば、うちでやりとりをしてクライアント(仲介店舗)に送客する際に、「Jentさんに仲介手数料を払わせてもらえないんですか?」とお客様に言ってもらえることがあります。
本田:
従来の広告からの流入よりも、チャットでのやりとり後のお客様の方が価値が高いことが広告主に認められることがまず直近で起きる社会の変化かと思います。
冷静に比べてこっちだよねと、社会がどんどん変わっていくと思います。ここ数年広告屋として社会を見てきて、どんどんインタラクティブなものに変わっていくのだろうなと思うようになりました。また、このチャットのやり取りを開始するまでの、流入前からの一連の流れを最適化した方が良いのだろうなと考えています。
山口:
一連の流れというとやはり色々試しました。
うちはWebサイトで色々説明したりなどせず割とすぐに友達追加(=LINEへ流入)してもらえるようにしています。そうするとすぐに会話できるのですぐにオンボーディングできるので、それまで体験がよくなくても体験を巻き直せます。そのあたりもチャットはUXが高いと感じています。
少し話は変わりますが、消費者としてはチャットで物を買うとかサービスを受けることに慣れていないという感覚があると思っていますが、本田さんとしてはどうでしょう。チャットのサービスが増えているとか、雰囲気が変わってきている感じとか、公式アカウントが増えている感じがするとか、どうでしょう?
本田:
まず前提僕らがふつうのそうとは異なると思いますのでなんともですが(笑)
非ITの一般消費者にまだ刺さるところまでは来ていないですよね。わからなくて問い合わせをするような方は、ちょっとITリテラシーが低いがメインで、そういう方はチャットではなくて電話を使うのかなと。わからないから電話が良いとかそういう人もまだまだいるでしょうし、そこが変わるのを待つために年月がかかるのはしょうがないかなと思います。
ただ若い人とかは電話が嫌いな人とかが出てきてちょっとずつ変わってきた感じはありますね。他人の時間を奪うイメージとかがあって、どうもする人が減ってきている感じはしています。
山口:
確かに消費者側が変わってきているイメージはあります。
本田:
やはりビジネスのチャンスを探す時は基本的に社会の常識は見てはいけなくて。
これは事業を起こす時の目の付け方の話ですけど、その時における社会常識がこうだからこのビジネスは難しいとか考えてしまうものです。ただどう考えてもこっちのやり方が良いよねという風に思える物があると時は、その変化にベッドするという事業の初め方ができます。
わかりやすいのはGoogleが20年前に検索結果に広告を入れるということを始める時、創業メンバーですらも神聖な広告結果に広告を入れるとは何事だと猛反発していました。それを新しく雇われ社長としてやってきたエリックシュミットがどうにかわからせて結果に広告を入れさせるということをやりました。インターネットは当時みんながみんな使う物ではなくて、ちょっとITに詳しい人が使っているものでした。そして確かにそこに広告があることにムカついていました。ただそれはそのころの常識だっただけであって、今はむしろ広告がある方が便利なことも増えてきたりとしています。その時の常識だけで見ていると間違っていることはすごくあります。
電話したら悪いなと思う人が今後より増えていくなど、消費者のマナーは変わってきます。チャンスは大きなと思っています。
山口:
今後メールや電話が増えていくというのも考えづいですもんね。チャットがUX的に勝っているのではあればやはりチャンスはあるのかなと思っています。
山口:
色々な会社を見られている本田さんからうちがどう見えているのかお伺いしたいです。外部の方にサービスの話をする機会が少なく、特に本田さんからどう見えているのか気になります。
本田:
みなさんがやっていることはすごいんですよ。
業界的にかなり専門的な人が見てできないと思われていることを実は上手くいかせていて、しかもそれが大きくなりつつある。これが上手くいっていることって珍しくて、それこそがまさに起業してサービスをやるということなんですよね。
その道の専門家はそういうのは無理だと勝手に思ってるんですよ。それをたまにあるぶっ飛んだ人が滅茶苦茶やり込むと上手くいっちゃいましたってケースがある。その道の専門家が無理だと思っていることを、その業界を知らないけどやりきった会社が成功する。そういう会社が世の中をひっくり返してきているんですよね。ただそういう種ってなかなか生まれなくて。無理だと思われているということは事業を密かに大きくする上では大きなチャンスなんです。あとはやり切った末にサービスが出来ているいるので、それはなかなか真似することはできないと思います。
山口:
確かに、真似するのは大変なことをやっているとは思います。(笑)
似た会社の話で言うと、botを作っている方に話を聞くと、どこも体験がいまいちでCVせずに困っているという話は聞きます。botは数年前に一時期盛り上がっていましたけど、事業としてきついなという雰囲気はありましたよね。
本田:
Jentは外から見たインターフェイスはそのようなbotサービスと似ていますが、組織図や事業の進め方は全く違いますよね。現場でのオペレーションが重要になってくるサービスで、いわゆる自然言語のエンジニアとかだけでやれるサービスじゃないと。
山口:
確かに、僕も一日中チャットやっていましたね...
本田:
(笑)突然変異ですね。ということでどんな会社かというと今お話した通りで、他の会社ができないだろと思っていることを密かにやれている会社ですね。
山口:
僕らも変に敵は作りたくないですし、極力情報はオープンにせずステルスで運営しているので。引き続き粛々と頑張っていきたいですね。
山口:
最後のテーマはこちらです。
まずこれまでは、UXがあるのかもわからないところを検証するところから初めました。まずは最高の体験を与えられれば成立する物なのかを最初は試して、結果すごい喜ばれまして。これは体験として間違いなくUXがあることがわかりました、きちんとCVしました。
今度はその体験に再現性がありかつスケールするのかというステップに進みました。チャット対応はどんどんシステマチックになって、文言のテンプレの用意とそのサジェストを進めました。テンプレも100万パターンほど作って、オペレーターの採用も強化してとスケールしていくフェイズになってきたかと思います。
ただ、もっと長い話はどうなんだろうというところがやはりあります。今後を長い目で見て、どのように会社として拡大していくのかについて、ぜひディスカッションしたいです。
本田:
法人のクライアントをガッツリ捕まええてチャットのマーケティング支援ツールのような形、不動産を垂直に他のレイヤーも取りにいく、単純に別の事業領域に展開する、あとは別の言語まで取りにいくなどがあるでしょうね。
山口:
別の言語でと言うと、LINE以外のチャットサービス上でのサービス提供ということもあると思いますが、うちはカルーセルなどを使っていなくて。それはどうしても機械っぽくなってしまうので、現在メッセージAPIのみしか利用していないです。その分トークでかなり他社さんに比べてリッチな体験を与えてCVを目指すという方針です。なので割とどのチャットサービスでも再現できるのかなと思っています。
ただ直近の話でいうと、まずは不動産業界での垂直をやろうと思っています。4月からはゴリゴリの不動産営業の方が入社します。現在Webで完結せずにリアルまで握る体験をチャットで与えられているので、今度は実際の内見~契約作業と実際のお引越しの最後のファネルまで自社で一貫して行いフィードバックを回します。本当にお客様が最初から最後まで満足させられることができるのかを並行で検証していこうと思っています。
本田:
なるほど、リアルに踏み込む会社は確かに増えている印象はあります。
山口:
また、B向けのチャットツール導入事業などもまだまだ先かなと思ってます。組織体制が変わるじゃないですか、営業部隊を作る必要があったり、割と組織がエンジニア寄りになったりと。先ほどのお話のように、外からの見え方は似ていても、中で必要な人材や組織図が変わってきます。
ですのでまずは、この不動産領域でより広いファネルをカバーできるようになることを考えています。特に不動産領域はCVまでのファネルがかなり深いです。やはり家は見ないとわからない部分もあるので、オフラインを含めた深いファネルまで連続した体験を提供できるとより強いと思っています、どこかで踏み込んでいきたいですね。
引き続きチャットを今一番やり切っている会社ということで、しっかりやっていけたらいいですね、ありがとうございました。
一同:
ありがとうございました。