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【DNX Ventures 倉林氏×シフトメーション能塚 対談】シリーズAを機に、採用強化で目指すのはホームランが打てる「強い企業」

アーリーステージのB2Bスタートアップへ投資を行うベンチャーキャピタル「DNX Ventures」。シフトメーションはこの度、DNX Venturesをリード投資家として、シリーズAラウンドで総額9億円の資金調達を実施しました。そこで、シード期から新たなラウンドへと移る今、シフトメーションの黎明期を支えてくれた一人であるDNX Venturesの倉林陽さんをお招きし、当社・代表取締役の能塚正基と対談を実施。今、シリーズAの支援を決めた理由やシフトメーションへの期待を伺いました。

能塚 今日はよろしくお願いします。早速ですが、シフトメーションへシリーズAの支援をいただけることになった決め手を教えてください。

倉林さん まず我々が大切にしているのは、アントレプレナーのクオリティです。「一体どんな方なのか」という、人柄はすごく重視しています。能塚さんに関しては、何度もご本人にも言いましたけれども、お人柄が良過ぎて、なんだかB面が見えない方というか……。「本当にこんなに“いい人”なのか」って、ずっと疑っていたんですけど(笑)。でも何度も直接お会いして、お人柄に嘘はないんだなと。つまり我々が、能塚さんを人として信頼しているという点です。

信頼できる方であれば、お互いにしっかりと対話もできるし、「なにか違うな」という時も意見を言い合えて、一緒に成長でき、チームとして動けると思うんです。シード投資からシリーズAまでの期間は、確かにちょっと長かった。でもシード投資からの5年間ずっと頑張っている姿を見られましたし、誠実であったというところが、シリーズAにつながった一番大きい理由です。

二つ目は、バーンマルチプルが非常に良い点です。シードラウンドでの8,000万円の出資だけで、ARR 2億円を超えるまでに成長させることができたのは素晴らしいことだと思います。もちろん、もっと早くリーチしていればさらに良かったのですが(笑)。でもね、シード期の少ない資金でここまでの事業を作られたという一連のプロセスが素晴らしいし、プロダクトが良かったからこその結果なのだと思います。シフトメーションと契約された企業の中途解約もほとんどありませんでした。これはサービスを提供する企業として誇らしいこと。効率性の高い成長を遂げられたのだと思います。シリーズAの支援を決めたのは、これに続く成長ストーリー……、つまりこれから具体的にどのようにサービスが広がっていくかという、納得感があるロードマップがあって、それが非常に魅力的だと感じたからです。

能塚 シリーズAの投資の決定に至るまでで、何か迷われたことや懸念点などはありましたか。

倉林さん 私たちが長くいろいろな会社を見てきて感じているのは、強い会社になるためには、組織を大きくできるかどうかが非常に重要だということです。そのため、今後、能塚さんがチームをしっかりと拡大できる力があるかどうかという点は、しっかりと議論しましたね。ただ先ほどお伝えした通り、能塚さんはお人柄がとても良い方なので、そういった点をちゃんと見て、力になってくれる人が絶対いるだろうと感じています。とはいえ、今後、組織が大きくなると能塚さん以外にもマネジメントができる方が必要です。

能塚 そうですね。私も組織拡大に向けて、マネジメント層を育てていくことの重要性を感じ、現在採用に力を入れているところです。ところで、倉林さんとは5年前に緊張しながらお話をしたことを覚えているのですが、当時の私の印象はどうでしたか。

倉林さん 能塚さんと、市場とのマッチング度は高いと感じました。灘高校から東京大学に進学され、その後はNTTドコモで働かれていた。そして、ご実家の病院の経営をされたこともある。なかなかの経歴だと僕は思ったんですよね。本当に優秀な人が、この業界を見たらどうなるんだろう。この組み合わせって、なかなかレアじゃないかなって。

能塚さんはきっと、「シフト作成サービスを作ろう」とはじめから目指していたわけじゃないですよね。でも振り返ると、「あれ?自分がこの課題を解くのに一番ふさわしいな」という人になっている。だから最初会った時に「なんかこの人、面白い経歴だな」という風に思ったし、能塚さんがチャレンジすることで、深みが出るというか、いいものを作るだろうなという風に感じましたね。

能塚 では、この5年でイメージが変わった部分などはありますか。

倉林さん さっき申し上げた通り、「こんなに人柄がいい人はいないだろう。裏があるんじゃないか」って思っていたんですけど(笑)。お会いしているままの方でしたね。いい意味でのサプライズでいえば、結構タフでした。もちろん、最初からある程度タフな部分があるとは思っていましたが、想像以上に粘り強い方でした。

全然、数字が伸びなくて会社が苦しい時期もあったと思います。でも、ずっとプロダクトに向き合い続けて、やるべきことを、きちんとコツコツとやってきた。株主報告資料も淡々と、でもしっかり報告していただいて、受け答えも一貫していました。感情の起伏があんまりないように見えたというか、苦しい時期もずっと安定しているように見えていたんです。そのとき、「あぁ、この人は強い人だな」という風に思いましたね。

能塚 確かに伸び悩む時期もありましたが、焦り過ぎず顧客と課題にきちんと向き合うように心がけていました。結果として骨太な事業構造がつくれたのではないかなと考えています。

倉林さん チームの皆さんと頑張ってこられた成果ですね。数字だけを追いかけずに、しっかり顧客のエンゲージメントを重視しながら、コツコツと積み上げてこられたのだと思います。ここからのチャレンジは、「お金をちゃんと使えるかどうか」というところ。今までよりも少ない情報で早い意思決定を繰り返さなければいけない。怖い部分があるかもしれないけれど、強い企業を作るためにも、投資すべきところには投資するということを頑張っていただきたいですね。

能塚 強い企業になるべく、次のステップへ向けて採用に力を入れている今、チームも拡大しつつあります。シフトメーションの社員たちに倉林さんからメッセージをいただきたいです。

倉林さん シフトメーションは「エッセンシャルワーカーの働き方をアップデートする」ことをミッションとされていますが、非常に素晴らしいことだと思います。日本のライフラインを支える仕事をされている方たちが、やるべきことにきちんと向き合えるための環境を作るためのプロダクトなので、誇りを持って仕事に向き合えるのではないでしょうか。

ぜひ、困っているエッセンシャルワーカーを皆さんの力で支えてもらいたい。さらにサービス幅を広げて、業界全体を支援できる可能性もあります。シフトメーションの皆さんには、プロダクトの価値をあげることを楽しんでもらい、やりがいを持って働いていただきたいです。

一方で、会社として大きくなるためには、チームとして強くなる必要があります。仕事を通し成長することで優秀な方がどんどん現れたり、外から新しく優秀な仲間を迎えたりする機会は、これから増えていくことでしょう。強いマネジメントチームがないことには、“すごい会社”にはなりません。ぜひ成長機会を大事にして、それぞれが“強い人”となり、“強いチーム”をつくっていただきたいですね。

能塚 これからのシフトメーションに期待することを教えてください。

倉林さん まずは成長率を上げることです。プロダクトの差別化は、すでにできていると思うんです。競合は確かにありますが、シフトメーションならではの強みをしっかりと持っています。それに競合があるというのは、確かな需要があるということ。その中でシフトメーションが一番お客さまの課題解決にとって良いものであるのであれば、早期にご利用いただくことでお客さまがハッピーになることにつながる。そのサイクルを回して、成長率を上げていきたいですね。

あと、次のプロダクトのリリースにいかに早くとりかかるかという点です。多くの投資先が、次の一手を出すことに時間がかかりすぎて、動けなくなっているということが多いのです。今のビジネスを伸ばしながら、次に提案したいプロダクトにリソースを充てて、検証を行うことって難易度が高いんですよね。エンジニアのリソースも今のプロダクトで手一杯なのに、さらにとなると手が足りなくなる。そして、CEOとして両方のプロダクトを見るのか、誰かに任せられるのか…。プロダクトラインが複雑になることで、その管理は難しくなります。シフトメーションはすでにコアプロダクトで差別化ができているので、これからどんな機能をどんなタイミングで追加していくのかというのを、スムーズに決めていきたいですね。

組織が大きくなることで、全体を見ることの難易度は上がりますが、その点を含め、ぜひ一緒にディスカッションしながら進めていただけたらと思っています。

能塚 競合他社は、私たちより前から取り組まれている企業が多いんです。でも、我々のプロダクトが一番価値を持っていて、貢献ができるという自信があります。価値をしっかりお伝えし、サービスを利用してもらうことが、お客さまの事業のメリットにつながると思うので、スピードを上げて取り組んでいきたいですね。

倉林さん 先発の競合があるということは、すでに市場があるということ。新しい市場を作るのってパワーが必要で、お客さまの動き方・働き方を変える必要もあり、それはそれで結構大変なんです。そういう意味で、シフトメーションはすごくいいスポットを見つけたと思います。それも能塚さんに最適な事業領域でもある。能塚さんご自身がこれまでに直に経験してきたことで感じた課題解決に向けてのプロダクトだから、やっぱり思いも人一倍ありますよね。だから、シフトメーションは絶対に成功するだろうなって。

あとは、それがホームランとなる大成功なのか、ライト前ゴロで抜ける成功におさまるのか。ホームランを目指すのであれば、当然やるべきことはたくさんありますから、我々がお手伝いできればと思っています。

能塚 今後力を入れたい2つ目、3つ目のプロダクトについては、DNXチームのみなさんとディスカッションをしてきたことで、形が明確に見えてきたところがあるんです。おぼろげだった輪郭を、一緒に肉付けしていただいたという感覚です。

倉林さん お役に立てて良かったです。今後も、引き続きサポートできればと思います。シフトメーションはお客さまがとても良いので、その悩みに応えていくかたちでプロダクトを形成していくのが、一番伸びやすい。そのサイクルをちょっと早く作れるようになるといいですね。

能塚 シリーズAからのタイミングで、大きなテーマというと「適切にお金を使ってスピードを上げていくこと」。常にどうしようかと考えています。

倉林さん 簡単にできると考える人もいるかもしれないけれど、やっぱり難しい。ちょっとバカになんなきゃいけない部分があると思うんです。賢い方だと違和感を感じて、もうちょっと情報収集をしないと決められないなって思ってしまう。そうして、出遅れることがある。

例えば採用。企業の成長を達成しようとしたら、リスクがあってもこの人を採用しなければいけないって場合があるんです。人材の部分はやっぱり妥協できないから、優秀な人ほど違和感を感じると「これは丁寧にいかなければ」って考えるでしょう。でも、採用に携わるある方が「慎重に進めたけれど、結局、営業職の採用って分かんないわ」って言っていて。その方だけでなく、きっと分からない部分ってあると思うんですよね。その分からない部分を含めて、採用を踏み込めるかどうか。それが大事な気がしています。僕らは成長に期待して出資しているので、ぜひ2年ぐらいでお金をしっかり使って、ARRをさらに高めてシリーズBへつなげていただけたら。我々も背中を押すようにします。

能塚 同じやり方をやっていたら、自分の成功体験をトレースしていくので居心地は良くても線的にしか成長しないのだろうなと考えています。だから、このタイミングで「ちょっと居心地悪いな」と感じるぐらいにやり方を変えていく必要があると考えているんです。そうしないと、次の大きな成長が達成できないかなと思っています。

倉林さん 強い企業になるためには、やっぱり圧倒的な成長率が必要で、かなり早いスピードでARRを100億ぐらいまで成長させなければいけません。このスピード感が遅いとなると、資金調達額が低い上場企業の道を行くしか選択肢がなくなってしまいます。

一方で、「圧倒的に成長している」というゾーンに行くと、今のアメリカの景気を踏まえると考えられないぐらい企業価値を高めて調達する会社がいくつかあるんです。そのレベルにまで成長してしまえば、結構楽なのですが。みんな真ん中のところで、どっちに行けるのかうろうろしている会社が多いんですよね。シフトメーションには、ぜひ初速をつけて伸ばしてもらえるといいなと思います。

能塚 まさにその成功の時のホームランに向けてしっかりと進めて行く必要があるということですね。

倉林さん もちろんファンドとして、全ての投資先の皆さんにしっかり向き合うというのが僕らのバリュー。我々はファンドですけども、皆さんは一社一社、個々で頑張っていらっしゃる。皆さんの成功を考えると、やっぱり自分たちの会社を最大化するということが大事だと思います。皆さんがホームランを打てるように、応援したいなと思っています。

何しろ能塚さんみたいな素敵な人が、ちゃんとシリーズAまで来て、ここから成長するお手伝いできるのは本当嬉しいですね。

能塚 ありがとうございます。そこの期待に応えられるように頑張っていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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