【麻生要一】「社内起業」は最高のキャリア戦略である
現代は「人生100年時代」だといわれる一方で、商品やサービスの寿命は、加速度的に短くなっている。ひと昔前は、1つのヒット商品で10年会社が成立したが、いまは3年と持たない。数年前の成功体験がすぐ...
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セブンデックスという会社で、ビジネス・クリエイティブ・スタジオ(以下、BCS)という支援事業の事業責任者を務めています、西野と言います。
弊社のBCSという事業では、ビジネスの戦略からブランド構想、体験設計、クリエイティブ制作、グロースまで、統合的に支援することを得意としており、様々な企業様のブランディング・UXUIデザイン・組織開発のご支援に携わらせて頂きました。
そんな中で、近年の新規事業における市場や企業様の状況を見ながら感じたことを記事にしてみたいと思います。
(※特に新規事業のご支援にて多く感じるシーンの話ですが、どの事業フェーズでも言える話ではないかと思っています)
まず、前提として、ここ数年で新規事業立ち上げ難易度が拡大に上がったように感じています。
AIの普及によって事業の起案や実装のハードルが下がり、模倣可能性が高まったことで、日々様々な新規事業のアイデアが生まれています。その結果、新規事業のアイデアを思いついたとしても、「既に参入しているプレイヤー」が存在することがほとんどなのではないかと思います。
UXデザインの普及よってユーザーのニーズや課題起点のサービスデザインを行う企業も増え、ユーザーリサーチを行うサービスも多様に。そんな中で、「まだ誰も着手していなくてチャンスなユーザーニーズ」や「誰も思いついたことがないソリューション」はおそらくほとんど無いのではと思っています。
世の中に「解消しきれていないユーザーのペイン」がまだまだ多く存在するのは、ソリューションの実現可能性が低かったりと、何かしら「ソリューションしきれていない理由」が存在するからです。
このような「多くの市場が飽和している」かつ「模倣のハードルも低い」という時代の中で、「持続的に成長する、勝てる新規事業アイデア」を生み出すことは非常に難易度が高いゲームであることを改めて認識したいと思います。
そんな、模倣可能性が高く飽和している市場も多い中で、事業として確立し・成長させていかなければならない戦い。
そんな中で、「成長する新規事業を創っていく」ために大切な要素は何か。
など、大切な要素は無限個出てくるが、その中でも本記事では「意志を育むこと」の大切さに言及したい。
ここで言う意志とは、「こういう人を助けたい」「こんな人を幸せにたい」「こんな世界を築きたい」「こういう人の、こんなにニーズ・悩みを解決したい」という、事業に対する「こうしたい!」というを思想や想いのこと。
似ている観点として、アルファドライブ社の麻生社長が、「誰の」「どんな課題を」「なぜあなたが解決するのか?」という3つの質問に答えられる「WILL」を持つことが大事と言う話をされていましたが、言いたきことはだいたい同じです。
一見、「事業を進める上で、そんなこと当たり前だろう」と思う人もいるかもしれないが、これを持ち続けることが実は結構難しいのです。
なぜ、この「意志を持つこと」が難しいのか。
例えば、それなりに大きな規模の会社の中で、一定のステークホルダーの承認をもらいながら新規事業を進める場合などは、あらゆる方面から意見や承認をもらいながら進めていくことも多く発生します。
そしてそのほとんどは「本当に行けるの?」「こういうリスクあるけどどうするの?」といったリスクを喚起するものだったりします。
そうなると、多くはステークホルダーへの説明をするために「客観的な妥当性や合理的」を追い求めてしまうものであり、そんな環境の中で、「私は、絶対にこういう人を幸せにするんだ!」という意思を強く持ち続けることができる人は極めて少ないでしょう。
(そのような人は、おそらく起業しているのではないかとも思う)
また、場合によっては「自ら手を挙げて新規事業をスタートした」というわけではなく、上層部の間で構想が決まり、そこにたまたまメンバーとしてアサインされたというケースも少なくありません。
なので、新規事業チームやそのリーダーは、始めから「その市場を変えたい」「こういう人を必ず幸せにするんだ!」という強い意思を持っているわけではなく、様々な組織の事情や力学がある中で、新規事業開発を進めていくミッションを担っていることを理解したい。
では、新規事業の現場で、「意思」を発揮できないと、どのような良くないことが起こるのか。
「なぜその事業アイデアにするのか?」「シナジーはあるのか?」「実現可能性は?」「競合に対する優位性はあるのか?」「マネタイズ試算は妥当なのか?」「市場規模は見込めるのか?」「数年後も成長し続ける市場なのか?」
新規事業の現場でよく飛び交うこれらの質問は、どれも非常に大切な観点ではあります。
一方で立ち上げ段階で「すべての観点にて、納得度の高い・綺麗なロジックが成立しているということ」は実際は難しく、客観的な合理性や納得感を求めて、理論上考えられる「もっと良い事業アイデア」を模索し続けてしまうケースをよく見かけます。
また、あらゆる文脈で「合理性」を証明するためのリサーチや説明のためのロジック強度を追求するためのコストをかけていては、事業を前に進めるスピード感が遅くなってしまうというシーンも。
例えば、事業アイデアの意思決定を行う場合に、「数年後もその市場は伸びているか?」まで納得度の高い説明しなければいけない場合は、メガトレンド分析などのリサーチ・分析手法を用いてリサーチ工数を割かなければなりません。
私自身も、「客観的な合理性を証明すること」と「スピード感を担保すること」のトレードオフに苦しむ現場を多く見てきました。
「常に納得度の高い意思決定をする」ということは大切である前提で、「すべての観点で100点の選択肢はないこと」「想いや意志を持って決めることが大切であること」をチームで認識できているかどうかで、チームのスピード感や士気が大きく変わってくるように感じています。
では、前述したような「意志を持ちづらい構造」において組成された新規事業チームはどうすれば良いか。
様々な背景や外部要因がある中で、それでも会社成長させていくために誰かが新しい収益の柱を作らなければならない。
そんな方々へのリスペクトの気持ちと、様々な制約や組織力学の存在している状況の双方を捉えた上で、「チームで、"事業に対する想い"を育んでいくこと」提唱したいと思います。
事業を牽引するリーダーには、一人で想いを持ち続けていくことが求められる前提で、より強い結束力を持ったチームになっていくためにも、「チームメンバー全員で育てていく」ことが大切であると感じています。
具体的には、「誰の・どんな課題を解決したいのか」。また、「それらに自分たちが取り組む意義は何か?」「どんな世界を実現したいのか?」といったことを、チームで定期的に会話することから始めていきましょう。
↓弊社では、「夢でか会」と言う名前で、夢や想いを語る取り組みが行われていたり
そして、意思決定を行う際に「意思や想い」という観点を追加すること。
「懸念要素はあるけど、この人を幸せにしたいからこれにしよう!」というように、「こうしたい」「こっちに行きたい」で意思決定することを正とすることも大切です。
冒頭に触れた通り、近年の新規事業は「誰もアプローチしていないニーズ」などほとんど存在せず、非常に難易度が高い戦いであると感じています。
そんな市場では、「誰かがすでにアプローチしているが、すでに市場に存在している競合よりも圧倒的に良いサービスを、誰が一番早く作れるか」が大切であり、そこには「意志や想い」無くしてはたどり着くことができないとも考えています。
前述したような工数やスピード感の観点ももちろんありますが、
非常に不確実で、日々様々な問題が起こり、カオスな状況にもなりやすい取り組みだからこそ、チームの結束力も必要です。
だからこそ、新規事業に取り組むにあたっては、「チームで意志を育むこと」を大切にしたいですし、それが新規事業開発における一丁目一番地なのではないかとも思う次第です。