複業したい個人と企業をマッチングする「複業クラウド」を運営するAnother works。運営元である当社も複業クラウドを活用し、積極的に複業人材を採用しています。「複業クラウドによる複業クラウドの使い方」は、当社独自の活用方法やノウハウをお伝えするために生まれたインタビュー企画です。
今回は複業クラウド事業部カスタマーリレーション(以下:CR)グループにお話を伺いました!現マネージャーの西森さんはカスタマーサクセス未経験でしたが、複業人材の方々の力を借りながらここまで組織を創ってこられたと話します。
そんな西森さんに、どのようなフェーズでどのような業務を複業人材の方に依頼してきたのかという変遷、成功談から失敗談まで詳しく伺いました。
*プロフィール
複業クラウド事業部 CRグループ
マネージャー 西森 一矢
新卒で青山商事株式会社に入社。THE SUIT COMPANY 銀座本店へ配属となり、販売職としてカジュアル部門、オーダースーツ部門を担当。その後マイナビワークスへ転職し、クリエイター職やエンジニア職の転職支援を行うマイナビクリエイターにてキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーを兼任。その後、現職のAnother worksへフィールドセールスとして入社し、CR部へ異動。現在は複業クラウド事業部でCRグループのマネージャーを務める。
初めての複業人材採用は、チームの変革期
CRグループ マネージャー 西森
ーーCRグループでは4期目の上期より複業人材の採用を始めましたが、当初のきっかけや背景について教えてください。
4期目の上期はカスタマーサクセスチームの基盤をしっかり整えてくタイミングでした。元々カスタマーサポートの要素が強いチームで、問い合わせがあった際にお客様の課題解決に伴走する受け身の体制でした。また、営業経験のあるメンバーが少ないこともあり、更新やアップセル、クロスセルなどによる利益創出に苦戦していました。
そこで、アドバイザーとしてカスタマーサクセス経験があるプロの方を1名採用しました。当時使用していたキックオフや資料に対してアドバイスをいただき、オンボーディングフローの再構築や改善に繋がりました。
ーーカスタマーサポートからサクセスへと変革する際にノウハウが不足していたのですね。その方に参画いただいて、チームはどのように変化しましたか?
まずは、チームメンバーにカスタマーサクセスという概念のインストールをしていただきました。参画いただいた方は大手IT企業やスタートアップでのカスタマーサクセス経験をお持ちで、原体験を元に多くのことを教えていただきました。
また、キックオフの内容やオンボーディングのフローを変えたほうがいいという仮説はあったものの、実際にどのように変更したら良いのか考え切れていませんでした。経験者の方に伴走いただき、具体的なアドバイスをいただけたのは心強かったです。この方のおかげもあり、カスタマーサポートからサクセスへの基盤を構築することができました。
ーー4期目の下期からは新たに1名複業人材を採用されていますよね。こちらはどのような背景があり採用に至ったのでしょうか?
解約分析を行っていただける方を採用しました。CRのミッションの中の1つに、契約更新があります。契約更新を促すためには、何が理由で解約に繋がるのかを明確に把握しておくべきだと考えました。
そのため大手調査会社出身の方を採用し、どのような企業がどのような理由で解約をしているのかという情報をまとめて、分析していただきました。また、解約企業へ配布しているアンケートも、理由が明確にわかるような質問項目へとアップデートしてくださいました。
自社の苦手をスポットでお任せ
CRグループのメンバーで撮影した写真
ーー4期目の下期では、CS経験者というよりは調査分析のプロを採用されたのですね。5期目以降からの組織体制はいかがでしょうか?
5期目以降からは、ホワイトペーパーを作成いただくコンテンツマーケターや、導入事例記事の執筆をしていただくライターを採用しました。この領域はノウハウも人手も足りない領域だったので、その道のプロの方に入っていただくことにしました。
コンテンツマーケターの方は人材業界出身ということもあり、業界知識が豊富だったためお任せしました。ホワイトペーパーの作成業務の中でも骨子の作成部分だけをお願いし、デザインや文章作成は自社で行いました。
自社にデザイナーがいるのでデザインの領域は社内で完結できるのですが、マーケター目線でどう資料を作成したらよいか、という視点が不足していたからです。このように自社の苦手な部分だけをスポットでお任せできるのはとてもありがたいですね。
ーー様々な領域のプロに関わっていただいていたのですね。ここまでメリットや効果ばかりお話を聞いてきましたが、複業採用において反省点はありましたか?
メンバーの業務過多を改善するために、オンボーディング業務をお任せできる方を採用したことがありました。当社の場合、サービス導入後のキックオフから初回の採用成功までがオンボーディング業務に該当します。そのため報酬形態は、初回採用成功ができたら成果報酬をお支払いする形に設定していました。
しかし初回の採用成功ができたことと、複業クラウドを使いこなせる状態、つまりオンボーディング業務が完了している状態かどうかはイコールではなかったのです。複業クラウドは、慣れていなくても使いこなせていなくても求人を出すだけで2週間ほどで採用成功に繋がることもある、強いプロダクトです。そのため目的とゴールがずれてしまい、あまり効果を実感できませんでした。
ーーとはいえ、複業採用の基本である「正社員が担当している業務を切り出して複業人材にお渡しする」という点は出来ていると思います。どのように改善すると良いと感じますか?
採用成功だけではなく、複業クラウドの運用も問題なくできている状態をゴールにすれば良かったなと感じます。報酬形態も1社あたりの金額を設定し、担当社数に応じて報酬をお支払いする形だと上手くいったと思います。
1回失敗したからといって、それが複業採用と相性が合わなかったというわけではありません。契約形態や業務の切り出し方を変えてみると上手くいくこともあるので、諦めずにトライしてみて欲しいです。
職種の概念に囚われない!複業採用を成功に導くポイント
ーー複業でも採用後のミスマッチが起こる場合もあると思いますが、西森さんが面談時に意識している点はありますか?
面談時に意識していることは、複業を通して何を得たいのかを必ず聞くことです。複業人材側にとっても複業をやる目的があるので、その目的が達成できていなければモチベーションの維持が難しいです。
目的は人によってさまざまで、お金の場合もあればやりがい、経験、スキルの獲得という場合もあります。そのため面談時にこの部分をヒアリングをしておくことで、採用後のミスマチも防ぐことができると思います。
ーーカスタマーサクセスで複業人材を採用しようと考えている企業に向けて、アドバイスがあればお願いいたします。
カスタマーサクセスはただの職種の総称であって、必要なスキルはクライアント支援の仕方やフェーズによって変わってくると思います。そこに応じた複業人材を採用するのが複業クラウドの良い活用方法なのではないでしょうか。
例えばオンボーディングであれば、クライアントの課題を特定し、自社サービスの活用の提案をクライアントと合意を取りながらができるスキルがマッチしていますよね。その他にも、カスタマーセールスの領域であれば営業経験がある人、コンテンツ作成であればコンテンツマーケターやライターなどがマッチしていると思います。
要するに、カスタマーサクセス経験があるからといって必ずしもマッチするわけではないのです。
ーーカスタマーサクセスは幅広いからこそ、業務を切り出して専門家にお任せすることが大事ですね。今後どのような領域で複業人材の方を採用したいか等、展望があれば教えてください。
今後はオンボーディング業務、toC/toBのカスタマーサポート、CS Opsと呼ばれるオペレーション、更新提案、CSツールのアドバイザーといった様々な領域でマッチした複業人材の方を採用していきたいなと思っています!
今後もクライアント様への価値提供のために、複業人材の方々の力を借りながらチームを強化していきます!
取材、執筆:高岡慧