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【創業メンバー座談会】あるのは「想い」だけ。医師と弁護士が介護領域でITスタートアップを起業した理由

こんにちは!ドクターメイト株式会社の足立です!
ドクターメイトは、いつでも介護関係者のそばに医療がある安心をお届けするため、日中医療相談の他、夜間のオンコール代行サービスを提供している会社です。

今回は、創業メンバーに集まってもらってドクターメイトの成り立ちや当時の思いなどを聞かせてもらいます!

登場メンバー

写真左から
・川﨑さん(CLO / 弁護士)
・青柳さん(代表取締役社長 / 医師)
・永妻さん(取締役 / CPO)

医師・弁護士・ITコンサルタント。異なるバックグラウンドから共鳴したビジョン

まずは簡単に、自己紹介をお願いします!

青柳:代表の青柳です。医学部卒業後、皮膚科医として主に悪性腫瘍手術を専門に診察してきました。ドクターメイト創業後も、土日は外来診察をしたり、介護施設への往診も行っています。

ドクターメイトでは、日本の医療・介護の課題を解決して「すべての人生を右肩上がりにする」という世界を実現するための次の一歩を常に考え、そこに対してアクションをするのが自分の役割ですね。

全体の経営を見る立場ではありますが「答えは現場にある!」をモットーに、自分自身も現場に積極的に触れてお客様の声を常に聞けるようにしています。また、医師・業界団体や自治体・行政との調整なども前面に立って行います。

川﨑:川﨑です。大学を出てから10年くらいは、刑事事件・交通事故・破産などを扱う「普通の弁護士」として働いていました。

2017年にドクターメイトに参画して、法務を担当しつつ営業を含めたいろいろなことを経験させてもらい「普通じゃない弁護士」になりました(笑)。現在はCLOとして、契約対応や各種法務対応を担当しています。

永妻:永妻です。新卒でクレジットカード会社に入りコールセンターに配属されて、採用労務教育やデータ分析を担当しました。その後レジャー予約サイトの運営会社でコンテンツ制作やサービス企画をし、ITツールによる業務効率化に取り組んだことがきっかけで、ITコンサルタントとして独立しました。

ドクターメイトに参画してからは介護施設への提案から、オンコールシステムの構築など幅広く担当しています。あとは過去のインタビュー記事の写真は、ほとんど僕が撮影しました。

足立:ありがとうございます!じゃあ、本題に行ってみよー!

創業のきっかけは?

青柳:きっかけは大学卒業後、千葉の病院で研修医をしていた時に遡ります。その病院では介護施設からの患者さんが多かったのですが、診察する中で「どうしてこんなに悪化するまで病院に来なかったんだろう」と思ったり、逆に「どうしてこんなに軽症で病院に?施設で処置できないのかな」と感じたりするケースが非常に多く、疑問だったんです。

そこで介護施設で働く方に話を聞いて確認したところ「介護施設で起きる医療的な問題は増えているけれど、医師は週に数日しか来てもらえないし、相談できる相手がいなくて不安になることが多い」という声をたくさんもらいました。

医療に対する専門的な知識のないまま医療に向き合う不安を知ったことで「介護と医療をもっと密に連携させて解決しなければ」という思いが強くなったため、遠隔で気軽に相談できるサービスを作ろうと考えました。この辺りの詳しい話は以前インタビューしていただいた記事があるので、ご参照いただけると嬉しいです!

他にもこの思いに賛同してくれた医師が2人いて、3人で会社を立ち上げようと決めました。当時はオンライン診療に関連した法律に関する議論がなされていたタイミングでもあったので、この事業を行うためには有識者の協力が必要不可欠だと考えたんです。それで法律家を探していた時に川﨑さんと出会いました。

川﨑:初めて会った時、青柳先生はめちゃくちゃ遅刻してきたんですよね(笑)。でも語り始めたらその姿にすごくエネルギーがあるし、未来に向けて何かを残したいという熱意がすごいな!と感じました。

現場や医療の課題感はもちろんのこと、「どんどん増えている医療費を適正に戻すことで、国の予算を教育に使えるようになる。そうすれば日本はもっと良くなるから起業をするんだ」と説明されて、28歳の若い医師がそこまで未来を見据えているのかと衝撃を受けたんです。

それに、目指す世界の話を聞いてすごく共感したのを覚えてますよ。法律の世界でも「デジタルの力を使ってより良くしていこう」という意識が低いのが課題だなと感じていたところだったし、自分自身、医療のサービスを立ち上げたいなと思っていたところだったんです。

最初は「顧問弁護士としての依頼かな」と思っていたんですが、医療介護の現場を変えるためのメンバーとして携わってほしいということだったので「面白い!」と思いました。盛り上がりすぎて、帰りの道でも改札口までずっと語り合ってましたね。

青柳:1時間半も遅れてしまったから、遅れを取り戻そうと思って喋っていたんですけどね(笑)。

川﨑:医師なんだから遅れることもあるだろうと思っていたし、大丈夫だよ(笑)!

川﨑:それまでもドクターと関わる仕事は多かったんですが、基本的には「目の前の患者さんを救いたい」というのがエネルギーなんですよね。それももちろん尊いのだけど、自分の手で助けられる人数には限界がある。自分自身、弁護士をやっていても同じように感じていました。

だから、未来への投資をして、手を差し伸べられる相手を増やしていこうという提案は魅力的に感じましたね。永妻さんに出会ったのは、そうして起業したあとです。

永妻:最初は人づてで「最近起業した医師がいて、話を聞いてあげてほしい」ということを聞きました。当時ITコンサルタントとして独立していたので「困っているなら助けようか」という軽い気持ちで手伝うことになって。「まずはWebサイトを作るために、写真を撮りましょう!」ってところがスタートですね。

数あるクライアントのうちのひとつとして始めたお手伝いだったけど、青柳さんたちと時間を共にする中で、このサービスは応援したいなと思いました。それに「このメンバーならきっと何かを成し遂げられる」と確信できるようになったので、本腰を入れて参画することを決めたんです。

あとは原体験として、祖母が特別養護老人ホームにお世話になっていたことが大きいですね。当時は介護施設ってどういうものか分からなくて、気軽に行ける雰囲気じゃないと思ったからほとんど会えなかったし、母親が施設に行くと、おばあちゃんはいつも「はやく(先に亡くなった)祖父のところに行きたい」って言っていたらしくて。

自分が小さい頃にたくさん可愛がってくれたおばあちゃんが寂しい形で亡くなってしまったことに後悔があって、高齢者の人生こそ「右肩上がり」にしたいと感じていました。幸せを最後まで感じられるような世界にしたいし、その世界の実現にドクターメイトは貢献できると思ったんです。

介護施設って知らない人からすれば入りにくいイメージがありますが、実際に行ってみるとそんなこともないですし、働いている方はどんな時も笑顔で接していらっしゃるのでいつも尊敬しています。頑張っている介護職の方の負担を少しでも減らすお手伝いができるという点で、ドクターメイトは魅力的でしたね。

足立:青柳さんの熱意とビジョンに惹かれて、同じ世界観を共有できたんですね!

(実際の写真:創業メンバーで撮影したWebサイト用素材)

未体験の起業。「自分達でやれることは全部やる」スタイルの開拓期

ドクターメイトの社名はどのようにして決まったんですか?

川﨑:最初は「チャットで医療相談できるサービスだから、チャットドクターにしよう!」と言ってたんですが、登記する数ヶ月前に別の会社から商標登録されていたことが発覚して(笑)。

青柳:あれは焦ったな〜!耳に残る響きで、ダサくてもいいから理念を表す、わかりやすい名称を……と考えて、みんなで候補を出しまくりました。白衣+アドバイス、で「ホワイトバイス」とか、「どこでもドクターズ」とか(笑)。

結局は、医療を仲間にする、というニュアンスで「ドクターメイト」に決めました。ロゴは、誠実さと信頼感を表す青色と、遠隔で現場同士がつながる様子を表現しています。

創業期のエピソードを教えてください!

青柳:契約が1つもないときは、無料のアプリを使ってサービス提供していました。いきなり出資者を募ってお金をかけてアプリを作るのではなく、まずは現場の方に価値を感じていただけるサービスを作ることにこだわっていました。

最初はみんな副業的にスタートだったので、月に1度くらい貸し会議室に集まってミーティングや営業をして。「自分達でやれることは自分達でやってみよう」という学習スタイルだったので、みんなで1日かけて1000通分のパンフレットを封筒に入れて郵便局に持ち込んだこともあったな……。

永妻:さすがに1000通もあると、重すぎて持てないから台車を借りてきて運んだのを覚えてますね。内容も「今言えるのはビジョンしかない!」ってことで、とにかく想いを文字にして詰めた感じだった(笑)。

川﨑:でも青柳先生の発言が当時から全くブレてないのはすごいことだと思うよ!4年以上経っても想いは何も変わっていないって、改めて感じられる。

青柳:紹介があればどんな場所にある施設にでも足を運び、「こういう世界を作りたいんです!」と想いを語って共感してもらって、試験的に導入してもらう……という活動の繰り返しでした。現場では「いいね!」と言ってもらえるんですけど、経営者の方にお金を出してもらえるようになるまでは苦労しましたね。

川﨑:やっぱり想いだけじゃ契約は取れないよねってことで、データを載せるために施設に効果測定に行ったりしました。通院がどのくらい減ったかを知りたかったんですが、サービス導入先のカルテが電子化されていなかったので、分厚いファイルの紙を一枚ずつめくって、Excelに打ち込んでいって。それで、減った!ということが証明されて、その情報を喜んで営業に使ってました。

青柳:初めて契約が取れた時、契約書にハンコを押す瞬間は感動的でしたよ!月の売り上げは20万くらいだったけど、楽しかったよね。

川﨑:うん、営業のための交通費が30万くらいかかってたけどね(笑)。

(実際の写真:初めての契約書にハンコを捺した時)

その後、皮膚科を開院した理由やエピソードを教えてください!

川﨑:最初は「往診と相談(チャット)のセット売り」をしたらいいんじゃないかという発想で、往診をするためのクリニックを立ち上げることにしました。

青柳:遠隔医療相談だけじゃなく、クリニックがあれば診察も処方もできますし、オンライン診療を実現するにはやっぱり医療法人が必要だよね、と考えたんです。

川﨑:そこで行政書士の方に相談したら「既存のクリニックを事業承継しませんか」と提案をもらいました。紹介された山口先生というのは高齢のためにクリニックを閉じようとしている方で、「既存の患者さんもいるので、良い人がいれば引き継ぎたい」という意向をお持ちでした。

永妻:山口先生と青柳先生は診療スタイルも似ていたし、条件も問題なかったので「よし、引き継がせてもらおう!」と、とんとん拍子で話が進みましたね。

青柳:でも、正直すごく悩んだんですよ。医師にとって「開業」というのはひとつの最終形。メンバーは誰一人として医療事務をやったことがなかったし、事業承継とはいえ莫大な金額でクリニックを購入することは変わりがないので「診察はできると思うけれど、クリニック運営なんてできるのかな……」と自信が無く、不安でした。

具体的な話を聞くためにクリニックに行った時もその迷いはまだあったので、山口先生から「本当にやるの?」って聞かれて、一瞬言葉に詰まったんです。そうしたら、僕が答える前にふたり(川﨑&永妻)が「はい、やります!!」って言うんですよ。え!!って思いました(笑)。

永妻:あそこで迷うのは無しでしょ(笑)。

(実際の写真:山口皮膚科オープン当時の様子)

川﨑:その後、財政状況も落ち着いて、少しずつメンバーを増やせる体制になっていきましたね。

足立:創業期ならではの、エキサイティングなわちゃわちゃ感が伝わってきました。メンバーが増え始めたフェーズについては、次回の記事でお伝えさせてもらいますね!

出会いに恵まれて今がある。想いに共感してくれた方々に心から感謝

最後になりますが、創業を語るにあたって欠かせない人物などいらっしゃれば教えてください。

青柳:お世話になった方はたくさんいるけれど「想いしか無い」と言っても過言ではなかった当時の僕たちの話を聞いてくださった方、さらにはそこから紹介につなげてくださった方などには本当に感謝しています。

川﨑:紹介によってフィーをお支払いするわけじゃないのに「単純に、いいサービスだと思ったから」と言いながら紹介してくださるのがありがたかったですね。ドクターメイトの想いに共感して、ビジョンを信じてくださったのが嬉しかったです。

永妻:施設長様だけでなく、介護業界のキーパーソンやコンサル業を営む方など、共感してくれそうな人の輪を広げてもらったことで今があるなと感じています。

青柳:それから、エンジェル投資家の方々のご支援に何度も助けられてきました。出資を積極的に集める意図はなかったんですが、スタートアップや医療系のイベントに顔を出して勉強しているうちに、新規事業の専門家の方やファンドの方にお会いする機会に恵まれて繋がった縁です。

「出資の話じゃないんですが」と前置きしつつ、川﨑先生に話したように、社会の大きな問題は医療費の財源圧迫からきているんじゃないかという仮説と、「介護と医療の溝については医療側から歩み寄ることでしか解決しないと思う」と考えや想いをお話ししました。

そうしたら「医療から介護に対してアプローチするという活動を、医師という適切なプレーヤーが取り組もうとしているんだね。語っている価値観も分かる。これしかない、かけてみたい!」と言ってくれたんです。自分にとってはこの言葉が今でも支えになっています。

いろんな方の支えがあったから、自分達が取り組むことは間違っていないと思えたし、自分達でこれを成し遂げなければならないという責任感にも繋がったので、心からお礼を伝えたいなと思います。

足立:本当にそうですね!私も、一層頑張ろうという気持ちになりました。お話、ありがとうございました!

次回の座談会では、創業期から一歩先に進んで、仲間が増えた拡大期についてご紹介します!

(実際の写真:投資家の守屋さん・本間さんと)

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