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グローバル展開を目指すからこそ取り組むスタートアップのDE&I

グローバル企業を見据えた多様性、公平性、インクルージョンの推進と戦略

ドローンとAIで感染症や気候変動対策に取り組むソラテクノロジーがメインで展開するのは、日本国内ではなく海外。日本と異なる商習慣や文化がある環境の中で、競合する欧米の企業と競争しながら、いかに勝ち抜いていくか。

欠かせない視点が、DE&I(Diversity Equity and Inclusion)。社内における多様性とアイデンティティを尊重し、かつ、活躍の機会を公平に与えられている状態を意味します。

欧米の企業では当たり前のように取り入れられているこの視点ですが、日本の多くの企業では、まだ一般的とは言えないのが現状です。

こうした状況の中、ソラテクノロジーはシード期のスタートアップであるにも関わらず、DE&Iを重視しています。

ソラテクノロジーで、DE&I領域を担当する澤ゆりに、DE&Iに取り組む理由や重要性、そしてソラテクノロジーでの取り組みを聞きました。



プロフィール
澤ゆり
2002年5月2日生
アメリカのカリフォルニア州生まれ、アメリカでは現地私立学校、高校から日本で暮らし、インターナショナルスクールに通う。
国際基督教大学教養学部(リベラルアーツ)国際関係学・法学部
2023年6月からソラテクノロジーでインターンを始める。

原体験はアメリカ生活でのマイクロアグレッション

ーーーーDE&Iに関心を持つに至った経験や体験があれば教えてくれますか。

私は日本とアメリカを数年ごとに行き来する生活をしてきました。

白人が多く住む地区に暮らし、学校もその地区にあるため、アジア系アメリカ人は常に目立っていました。それは私だけでなく家族もです。
アジア系アメリカ人として様々なマイクロアグレッション*や人種差別を受けていると感じたことがあります。

例えば、レストランでのこと。店内に空席があるにも関わらず、私たち家族は座らせてもらえないことがありました。他の白人のお客さんは案内されているのに。
「どうして座らせてもらえないのか」と店員に聞いても満足できるような答えはなく、私はそれを目の当たりにして明らかに人種差別だと感じました。

友人の多くもマイクロアグレッションについて意識したことはなかったと思います。典型的な例として、私の前で目を細める動作をしたり、私の出自について微妙なコメントをしたりなどすることです。
「本当はどこから来たの?」という質問をよくされました。アメリカで生まれ育ったアジア系アメリカ人にとって、この問いかけは、自分は周りとは違うのではないかと感じさせるには十分で、アメリカ人ではないと周りから見なされているようでした。

*マイクロアグレッション
自覚なき差別と呼ばれ、無意識の偏見や思い込み(アンコンシャス・バイアス)が言葉や態度に現れ、否定的なメッセージとなって伝わり意図せず誰かを傷つけてしまうこと

大学で感じた多様性

ーーーー様々な人種が暮らすアメリカでマイクロアグレッションに直面したというのは驚きました。澤さんは、高校は日本のインターナショナルスクール、大学は日本国際基督教大学(ICU)ですよね。アメリカとの違いを感じましたか

親の仕事の都合で日本で暮らすようになり、高校はインターナショナルスクールに通いました。そこでは、さまざまなバックグラウンドを持った友人たちに出会えて、やっと自分の居場所を見つけられたように感じました。

進学先の国際基督教大学(ICU)は、D&I政策に力をいれていて、難民認定されている友人、学習障害を持つ友人、視覚障害を持つ友人など、人種だけでなく多様な背景を持っている人たちが在籍していました。私は障がいを持つ方々などと日常的に触れ合うことで、出自や障がいの有無を特に意識することはなくなりました。
こうした大学の環境が、友情だけでなく私の洞察力を豊かにしてくれて、D&Iの重要性を実感しています。

DE&Iが成功と革新の基盤

ーーーー多様性に乏しいと思える日本での体験が、澤さんの価値観に大きな影響を与えたというのは興味深いです。今はDE&Iについて勉強されているそうですが、それが企業にとって重要だと思う理由を教えてください。

あらゆる企業や組織で、DE&Iが成功と革新の基盤になっているからです。

Diversity(ダイバーシティ、多様性)によって、様々な立場や背景を持つ人たちの視点や経験が、企業内のイノベーションを促進し、効果的で包括的な解決策をもたらします。

Equity(エクイティ、公平性)は、社内での立場に関係なく平等な機会を提供し、全員が最大限のポテンシャルを発揮できるようにします。

Inclusion(インクルージョン、包摂性)によって、ジェンダーや社会・経済的背景、身体的または精神的な障害などの要素の違いで疎外感を与えることなく、全員が居場所を見つけて所属感を抱けるようになることが重要です。

デロイトトーマツのレポートによると、インクルーシブな企業は市場で1.7倍のイノベーションリーダーになる可能性が高いとされ、マッキンゼーのレポートでは、エグゼクティブチームの民族的・文化的多様性が高い企業は、平均以上の利益を上げる可能性が36%高いとされています。

ソラテクノロジーが取り組む意味

ーーーーソラテクノロジーはスタートアップでまだまだ規模が小さい状況です。ソラテクノロジーがDE&Iに取り組む意味はどのように考えてますか?

欧米の企業ではDE&Iの重要性を認識し、積極的に取り入れています。それがスタンダードになっています。日本国内ではなく世界での事業展開を見据えているソラテクノロジーは、自分たちを日本の企業ではなく、グローバルな企業として認識する必要があると思います。

スタートアップという会社の規模が小さい段階からDE&Iを取り入れることで働くみんなの意識も変わりやすいです。

規模が大きくなってからでは、それまで根付いていた企業のカルチャーを変えるのは難しくなってしまいます。



DE&Iに対する理解が不足

ーーーーソラテクノロジーの取り組みに対して、まだまだ十分とは言えないと感じる部分はありますか

国籍や居住地、人種を含めて多種多彩な人を採用しようとしている姿勢はとても素晴らしいことだと思っています。

ただ、DE&Iに対する理解が不足していると感じる部分はあります。例えば、週に一度行う全社ミーティング。

日本人だけでなく海外のスタッフも参加しますが、込み入った話になると、日本語での会話になってしまうことが少なくありません。日本人が多いから、というのはもちろん理解できますが、日本語が分からない他の参加者が置き去りにされてしまうので、彼らも理解できる共通言語である英語の使用を優先することが重要です。

いま挙げたのは些細なことですが、こうしたことの積み重ねによって会社としてのDE&Iに対する理解度が深まってくると考えています。社内でワークショップを開催したり、社外の研修を受講したりなどして、DE&Iに関する理解を深めることが私の役割です。

企業文化やブランドイメージの向上に寄与

ーーーーDE&Iがソラテクノロジーにどんな価値を与えてくれますか

DE&Iを推進することは、企業文化やブランドイメージの向上にも寄与するだけでなく、企業内でのコミュニケーションが向上し、社員やスタッフ、インターン生など事業に関わる全ての人が最大限のポテンシャルを発揮できるようになります。

健全な企業文化とブランドイメージを築くことができれば、マーケットでのソラテクノロジーの企業価値が高まり、各国の政府や国際的な機関からパートナーとして選ばれる際も、加点要素になるはずです。

私たちがパートナーに選ばれることは結果的に、感染症や気候変動で苦しむ方々を救うことに繋がるので、社会全体にとってもプラスになると確信しています。


あとがき

グローバル展開をするソラテクノロジーで働く人たちは、国籍も人種もさまざま。1人ひとりの個性を尊重し、働きやすい環境を構築することに取り組んでいます。
働きやすい環境は優秀な人材を集める強みになり、入社してくれた人材がさらにソラテクノロジーを強くしてくれる。
そんなエコサイクルの実現を目指しています。

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