vol.9のテーマは「開発チーム作り」です。代表取締役であり開発責任者の中嶋とエンジニア岩谷の対談をお送りします。
少数精鋭の組織の中で自分のスキルを発揮したくメガベンチャーから転職してきたエンジニア岩谷。プロダクト開発以外にも、単体の個人の力を足し合わせた以上の成果が出せるようなエンジニアリングチームを目指し動き出しました。求めるエンジニア像、エンジニアへの期待、活動する環境や報酬の考え方などについて語っています。
株式会社Bot Express 代表取締役 中嶋 一樹
Salesforce、日本オラクル等でエバンジェリストとしてキャリアを重ね、前職のLINE在籍時に日本初のLINEを使った行政サービスとなる粗大ごみ申請(福岡市)の仕組みを実現。 2019年に株式会社Bot Expressを創業。「お客様は住民、自治体はパートナー」という理念のもと、共鳴していただけるパートナーと最高の住民サービスを提供することをミッションとして事業を推進。
株式会社Bot Express エンジニア 岩谷 明
ものづくりが大好きなエンジニア。学生時代にiPhone 3Gに出会い感動し、個人や受託で複数のアプリを開発。新卒でLINE株式会社に入社し、7年間開発エンジニア職でさまざまなサービスの開発や立ち上げに関わる。テクノロジーの力で日本中の誰にでも役立つ便利で楽しい仕組みを作るためBot Expressに入社。世の中のめんどくさいことをなくしていきます。
対談動画
ー Bot Expressが求めるエンジニア像
岩谷:
Bot Expressではエンジニア採用を強化していますが、こんな人に興味を持ってほしいなみたいな人物像はありますか?
中嶋:
エンジニアに限った話ではありませんが、事業を成長させるために人数を増やすというのはあまり正しいアプローチだとは思っていません。エンジニアはその最たる例だと思います。
ずば抜けてテッキーな人だった場合、3人とか雇うよりもその人ひとり雇ったほうが効率的だというのは往々にしてある話です。
当社はエンジニアチームやパートナーサクセスチームは一応ありますが、垣根はほとんどないに等しい状態です。エンジニアであっても、自治体とのミーティングに直接出ることも少なくない。そういう意味でいうと、自らパートナー自治体の方々の要件の本質の部分を特定するような能力がすごく重要です。
企画チームがあって、開発チームにそれを依頼するみたいな構造ではないです。いろんな人が企画を出して、順に作っていくという有機的な組織になっています。その有機的な組織の中で機能するためには、エンジニアとして自立的な能力はとても重要です。待っているだけではなくて、要件が仕様書に書いてあっても、本当にこれでいいのかなと思ってダブルチェックしに行くであったりとか、そういった能動的なアクションが必要です。
ー Bot Expressが採用の際に重要視するHRT。その理由は。
岩谷:
HRT(Humility、Respect、Trust)や共感というところに比重が置かれていますが、その理由を教えてください。
中嶋:
ちょっとした偏見かもしれないけれども、エンジニアは一つの領域に突っ込んで深い知識を持っていると思うんですよね。それが故に、ユニークな人も多いなとは思っていて。自分が能力を発揮できる環境が狭すぎると、他の人とのコミュニケーションに影響を及ぼしてしまう可能性がある。
エンジニアであっても、パートナーサクセスマネージャーであっても、お互いのことを常に考えてリスペクトする気持ちはすごく重要です。ちょうど全社WSの中でも「みんなで徳を積んでいこう」みたいな宗教的な話をしましたが、そういった行動を心がけなければいけないと考えています。
HRTというのは、すごく重要なエッセンスです。それを頭に入れつつ、新しい方とお会いする時には、当社に共鳴するして頂ける人なのかどうかというのを模索しているところです。
ー 僕がエンジニアとして入社し3ヶ月経過。会社に変化は起きたのか。
岩谷:
私のケースで具体的に考えてみたいなと思います。特定の言語とかフロントエンドがいいとか、バックエンドだけしかやりたくないとか、あんまりないタイプのエンジニアだったんですけど、前職は3年ぐらいサーバーサイドエンジニアをしていました。その前はアプリのエンジニアをやっていました。今は、Web側の画面も作るし、裏側も作るしという感じでやっています。僕が入社して3カ月ぐらい経ちましたが、実際どう感じていますか?
中嶋:
会社としてはやらなきゃいけない開発課題というか、開発計画はすごくてんこ盛りになっていて、その中にはすごく難易度の高いものだったりとか、社内の知識ではわりと解決の糸口が見えてないものっていうのもいくつかある中で、岩谷さんに来ていただいてから、かなり新しい風が吹き込んできたなってという感覚があります。
開発いただいた「対話的なWeb UI」や、岩谷さんがリードしてくれている「開発プロセス・開発ライフサイクルの改善」みたいなところにおいても、新しい考え方や正しい方法論が持ち込まれている感覚があります。
単に何かの開発課題を解決していくというだけではなくて、組織全体の能力がアップしてきていることを感じています。だからこれは、他の方でも他の役割の方でも同じなんですけど「自分はここまでやる人だ」という垣根を設けないということが、会社にとっては価値があるスタンスだなと思います。
ー エンジニア社長が期待する、エンジニアメンバーの活動範囲とスタンス。
岩谷:
最初に少しお話をした時にも、中嶋さんが開発に携わらなくなっても、製品開発が全部回っていくような状態が最高だと言われていましたが、エンジニアにはどのようなことを期待しますか。
中嶋:
この人にお願いをすれば、難解なことでも、あるいは今、自分が知らなくてもそこに突っ込んでいって解決してくれるという、自立的なスタイルが会社にとってはバリューのあるものだろうなと思っています。
単純な原則として、報酬が上がっていくための原理原則みたいなものが、僕の中ではあって、シンプルに「より多くのことを任せられる人」ということです。
一番細かい単位でいうと、このタスクがあって、その中でもさらにこの部分のパーツを開発するみたいなのがあり、この部分のパーツを作ってもらえませんか、で作ってもらうと。
モジュールが大きくなってくると「UIの改善をお願いできますか」「はい、わかりました」みたいな感じで、これだけのコミュニケーションで、3カ月後に「何だこの見違えるようなUIは!」となっているとめちゃくちゃバリューが大きいと思うんですよね。まるっと全体を任せられるとなると、最もバリューが大きいですね。任せられるモジュールの大きさが報酬の大きさに比例するというのが僕の原理原則というか考え方です。
ー 働く場所・時間・休暇は自分で自由に決めることができるBot Express。実態は。
岩谷:
フルリモートでどこでも仕事して良かったり、山のオフィスだったり、生産性や環境というのをとても大切にされていると感じます。時間の縛りもなく、裁量制で好きなだけ好きなだけ働く、自分のペースで働けるという制度だと思うんですが、「ずっと忙しいんでしょ」みたいに思われる方もいると思いますが、中嶋さんご自身は実際どうですか?
中嶋:
「忙しい」という言葉を僕は使うことは基本的にないんですが、どちらかというと、やらねばならないことは山ほどあるという状態であることは確かです。際限なくずーっと取り組むもの、要はテーマがあるわけです。
その中でも、自分がクオリティーの高いコードを書くための集中力を維持できる時間はある程度限られています。大抵の場合、僕は夕方以降になってくると格段に集中力が落ちてくる。その時にやり続けちゃうと、コードのクオリティーが下がっちゃうと思うので、その時は一回気持ちを切り替えます。ジムに行くとか走りに行くとか、運動することによって肉体は疲労するんだけれども、脳は逆に回復するというような現象を僕は感じています。その後、もう一回デスクに戻ってくると、やれそうだなみたいなこともあります。
岩谷:
人間の集中は90分が限界と言われたりしますよね。だからこそ、働く時間を自分で決めることができる環境は、エンジニアにとって大事だなと思います。
ー Bot Expressの報酬に対する考え方。
岩谷:
みんな気になる給与体系の話も伺いたいです。シンプルでユニークな計算式があると思うんですが、改めてご説明いただいてもいいですか。
中嶋:
基本的に、会社というのは、稼いできた売上の中で利益があり、その利益をを給与の原資としそこから分配するという形になっています。
売上が大きければ当然ながら原資が大きくなる可能性はありますが、その時に売上は大きくなるけど、人数も同じように増えていくと、一人当たりに配ることができるお金は同じ額になってしまいます。
逆に言えば、売上が上がってるけど、人数変わってないとなるとどんどん給与を上げれる可能性が高まってくる訳ですよね。その部分は、先ほどのチームの効率性の考え方もそうなんですけど、ヘッドカウントが足りないと思っている時にヘッドカウントを増やしても大抵の場合解決しないと思っていて、ヘッドカウントが足りないと言ってる企業は、ずっと足りていないイメージがあるんですよね。
どちらかといえば、我々はアプローチの仕方を変えるべきだろうというふうに思っています。まさに今やろうとしている開発プロセスの改善だとか、そういった部分がヘッドカウントよりも先に我々が取り込むべきものなんだろうなと思うんですよね。
少ない人数で、ビジネス自体をスケールさせることで、一人当たり利益というのが増え、社員一人当たり支払うことができる報酬の額が増えていくということになります。
ー 給与はどのように決定されるのか。
岩谷:
入社時の報酬の決め方、考え方について教えてください。
中嶋:
入社のタイミングは、基本的に前職給与をスライドする形をとっています。転職する時に給与を上げたいというのは万人が希望することですが、数回の採用面談だけでは判断することが難しいです。
過去に一緒に働いたことがない人に「今この給与だけどBot Expressに入社した時には1.5倍にしたい」と言われても、何で1.5倍になるのかがよく分からない。今まで幾らもらっていたかということが唯一のファクト。「まずはその給与でやってみましょう」というのが我々の考え方です。
ー 給与改定のタイミングや頻度。
岩谷:
給与改定についてはいかがでしょうか。
中嶋:
入社半年後に「半年レビュー」を行い改定します。入社時は先ほどご説明したように前職給与をスライドする形で提示しますが、今までの会社だったらそのような評価だったけれども、実はヤバい奴だった、ということもあります。良い意味で。
その時に当社の価値基準でその人が提供するバリューに応じて報酬をアップデートするということを行っています。
その後は、毎年一回決算時に改定するプロセスです。ただ、何にしてもそうですが、ルールとかガイドラインというのはそこまで順守する必要はありません。たとえ、決算時期以外でも、急に抜きん出たパフォーマンスを発揮し出した!みたいなことがあれば、随時アップデートしてもいいと考えています。
岩谷:
それこそ、毎月でもいいと。そういう気持ちがある時はいつでも言ってくれとおっしゃっていましたね。
中嶋:
自分が思う自分のバリューと、自分がもらってる報酬にギャップを感じることがあれば、常に言ってほしい。僕からは当然、その理由はお伺いすると思うんですけど、その理由が「ああ、なるほどね」と納得感があるものであれば、是非お互いの合意のもと、新しい報酬基準にアップデートというのをやりたいなと思っています。
ー 開発チーム、これから強化していくこと。
岩谷:
実際に結構大きめのタスクも任せていただいてます。スケジュールも自分で調整させていただいてて、そこはすごくいいなと思っています。
でも、これからやりたいなと思っているのは、一人のエンジニアの力だけではどうにもスケールしないので、究極、中嶋さんがいなくなっても平気なぐらいエンジニアチームとしての強さを作っていきたいなと思っています。一緒にそういうのをやってくれる人が来てくれたら、一番何よりも嬉しいことかなと思います。
中嶋:
結果的に今、岩谷さんには開発チームそのものを再構築するようなところをやっていただいてるなと思っていて、そこはすごく責任があるものだと思いますし、会社に対する寄与はめちゃくちゃ大きくとても期待しています。