『広告』 / 編集長
虚実|雑誌『広告』
うそはほんととよくまざる ほんとはうそとよくまざる うそとほんとは 化合物 これは、谷川俊太郎さんの詩『うそとほんと』の一節です。僕ら人間には嘘と本当を明確に区別しようとする癖があります。不確かなものを不確かなままにしておくことが苦手で、白黒はっきりさせないと不安で不快なのです。それぞれの概念に「嘘」、「本当」と名前がついているように、頭のなかではふたつは分離可能なのかもしれません。しかし実際には、嘘や本当はどちらか単体ではなく、いつも混ざり合った状態で目の前に現れます。 似ているものに「フィクションとリアリティ」があります。「真実の愛を探す」と謳うリアリティショーが、巧みな編集や演出によって成り立っている一方で、「この物語はフィクションです」と注意書きがある漫画やドラマのなかで繰り広げられる人間模様に、真理が潜んでいることもあります。