ーー事業内容について教えてください。
弊社は2016年の1月に地方創生事業をメインに設立した会社です。代表の齊藤が元々宮城県の出身で、東日本大震災の経験をきっかけに地元に貢献したいという想いを持ち起業にいたりました。はじめはインバウンド事業を展開しており、その後、事業を行う上でさまざまな課題を発見し、インバウンド事業以外も展開していくようになりました。
たとえば、地域商社事業といった地元の特産品の商品開発を行っています。本社を構える宮城県丸森町は水がきれいな町のため美味しいお米を作れるんです。ブランド米として販売したり、お米を原料にしたクラフトビールを作ったりしています。
また、地域の特産品をパッケージやデザインの変更を通じてブランディングを行ったり、ECサイトやふるさと納税に力を入れたりと、地域の産品を多くの方に知ってもらえるような仕組みづくりを行っています。
ーーもともと採用活動はお金をかけずに行っていたとお聞きしました。
当時は会社のHPやハローワークに求人を掲載し、あとは社員の人脈やSNSを通じて声をかけていましたね。採用にはつながっていたものの、魅力的に会社を魅せられていないといった課題は常に感じていました。
掲載していた求人内容も給与や福利厚生、業務内容など最低限の情報を確認する程度。あとはHPの事業内容欄で情報を掴んで興味を持ってくれれば、、といった作り方でした。
また、当時の採用の方針として、東京にいる優秀な人材を採用するために給与をかなり上げていたんです。給与面で会社を魅力的に見せたいといった方針でした。求職者も給与を一番の魅力だと感じ入社してくれるものの、組織が揺らぐようなことや踏ん張らなくてはならない事態が起きた際に、モチベーションコントロールや業務マネジメントが難しくなってしまいます。とくに大きなミスはないものの、給与面を強みとして採用することに限界があると感じていましたね。
ーーその中で「共感」に重きを置いた採用方針を作成されたとお聞きしました。
はい。会社が成長期に入り社員が増えてきたため、今まで個人事業主の集合体で回っていた状態から本格的に組織として機能するタイミングになりました。元々経験やスキルを持っている方に加えて、会社の考えに共感しているか、同じ方向を向いているかといった「共感」部分を大事にしていこうという方針になりました。
もちろん、地域の課題ごとに自分たちで事業を生み出していく必要があるため、スキルや経験も必要です。ただそれ以上に東北のことを思い、何が課題なのか、何のためにやるのか、未来をどうしていきたいのか、といったことを考え続けられるかが重要だと考え、採用でも「資格、経験」より「志・共感」を重視して採用活動を行うようになりました。
ーーその中で有料の採用サービスを利用しようと思った理由は何だったのでしょうか?
2020年の春に8名ほど人材を採用したいといった結論になりました。当初、春まで残り3ヶ月というタイミングだったため、自社で採用ページを作るのではなく、有料の採用媒体を使う事に決め、採用方針に沿った形で掲載できる採用サービスを探していました。
ーーWantedlyに興味を持っていただいた理由を教えてください。
もともと代表の齊藤が知り合い経由で知り、「こういう採用が流行っているらしい」と社内で共有してくれたことが始まりでした。
とくに一番興味を持ったのが「共感採用」です。給与や条件を記載せず、会社の想いや事業内容、働いている社員を中心に募集を発信できるのは、他社サービスにはない魅力的な要素だと思い、実際に2020年の2月に導入しました。
弊社は地方のため、どうしても東京、大阪、名古屋などの求人と比較すると給与・条件面で見劣りしてしまいます。最初に条件面でふるいにかけられてしまうと、どんなに志が高く、事業に共感している人材がいたとしても話を聞いてもらえません。
一般の求人媒体では条件や必要経験を優先して見せるページ設計のため、弊社の新しい採用方針に沿った採用が難しいと感じていました。Wantedlyは条件が入り口の募集で記載されていないという特徴を聞き、「まさしく求めていた採用方法だな」と感じたのを覚えています。
ーー東北の利用企業は多くない中でWantedlyの導入に対して不安はありませんでしたか。
正直、どのぐらいリアクションがあるのか不安はありました、Wantedlyのページを見ると、都内のイケイケな会社の募集が出てくるため、弊社が果たしてフィットするのかは社内でも議論がありましたね(笑)
ですが、東北の会社で募集している会社が多くなかったため、逆に目立つチャンスだと感じました。
他社に比べ派手さはないものの、弊社の事業ミッションはWantedlyと親和性が高いため、興味を持ってくれる人は少なからずいるのではないかという期待を持っていましたね。
たとえば、東北に住んでいて今よりも面白い仕事に就きたいと考えている求職者や、宮城よりも大都市から転勤をしてきて、そのまま宮城に移住したいと考えている求職者、東京や大阪で働いているが、いずれ地元の宮城県で働きたいと考えている求職者は少なからずいると思っています。そういった層にアプローチできればと考えていました。
ーー競合がいないと感じたからこそ、あえて利用を決めたんですね。
はい。また、当時弊社は採用のノウハウがほとんどなかったため、Wantedlyに掲載している他の会社の募集が参考にできるという考えもありました。
通常の採用サービスに掲載されている募集に比べて、Wantedlyに掲載している企業は求職者に魅せるタイトルの書き方や写真の使い方が非常に秀逸だったんです。私がひとりのユーザーとして見ても引き込まれる募集ばかりでした。
弊社がどのような切り口でどのような文章を記載すれば効果がでるのかといった視点で見ると非常に勉強になりましたね。
ーー自社で作成したページがWeb上に残り続けることも利用の決め手になったとお聞きしました。
Wantedlyの場合、利用中はいつでも募集を出せますし、会社ページやストーリーはプランが終了しても常にWeb上に残り続けます。ブログ記事(ストーリー)や会社情報を載せ続けておけば、今すぐ転職を希望していないものの「東北でいい仕事がないかな」と考えている求職者に閲覧してもらい、お気に入りやフォローをしてもらえ、より多くの母集団にアプローチできるなと考えていました。
とくに弊社は宮城という地方にあるため、採用の母集団は常に少ない状態です。だからこそ、今すぐは考えていないが、いずれ転職を考えている「転職潜在層」にアプローチできるのは、母集団を増やす有効な施策だと感じていました。