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失敗や回り道を許容する会社でありたい、と思っている話

けっこうタイトルで全て言い切っちゃってる感があるんですけれど、そういうことです。

実際にはもちろん失敗しないように僕を含めみんなで頑張らないといけないし、目標に未達でいいかっていうことではないんですけれども。

「失敗や回り道があってもいい」という意識

「失敗や回り道を許容する」っていうのは、主に僕の意識の面の話ですね。

まず大前提として、会社というものは、売上と利益を出して社会に貢献しないといけないのももちろんですが、それと同時に人が育つ場でなければいけない、と僕は思ってるんですね。

自分の会社だったらなおさら、そこにいるスタッフたちが育つ場にしたいと思うわけです。

僕自身、新卒で電通っていう大きな会社に入りましたが、そこで学べた部分はとても大きいので。

特にうちの会社(株式会社有鄰)は20代の若いスタッフが多いから余計に、という部分もあります。

「ベンチャーの方が成長できる」理論はけっこう頷ける

ベンチャー(中小企業)の場合、大きな企業に比べてどうしても教育にかけられる様々なコストは低くなりがちですよね。

だからこそトップなり役員なりが「教育」っていうものへの意識を強くもたなきゃいけないと思ってるんですが、それと同時にベンチャーというのは成長できるチャンスが大きいところでもあります。

それは以下のような理由からです。

  • 与えられる裁量権が(大企業の他の同年代と比べて)大きい
  • 任される仕事の領域が幅広い
  • 経営というものに近いところにいられる

社員教育に対するベンチャーと大企業の違い

以上のような点で、ベンチャーというのは成長できるチャンスが大きいところでもあります。

昨日読んだNewsPicksの小林武彦さんのインタビューで、以下のような部分がありました。

──小城さんはCCCに転職後、比較的すぐにツタヤオンラインの社長になりましたが、それまで役所に勤めていて、すぐに社長ってできるものですか。

そこが中小企業のいいところです。なぜなら何でもかんでもやるチャンスがあるからです。
だからNewsPicksの読者にも言いたいのは、転職するなら絶対に中小企業だってこと。なにしろ自分が手を挙げれば仕事が取れるんだから。

大企業にはその道の専門家がいるじゃないですか。でも中小企業にはいないから、知識も経験もない自分にもチャンスが回ってくる。

もちろんその分、本を読んだり、知り合いに聞きに行ったりして、やっつけ勉強で何とかするしかない。でも必死でやっていればなんとかなるんです。そうするとものすごい勢いで成長できます。

【小城武彦】借金して子会社社長へ。ベンチャーで人が育つ理由

(余談ですが、この小林武彦さんのインタビュー全5回は自分のこれまでの経験やいま考えていることとすごくリンクしていて、とてもよかったです。このインタビューだけでも書けることがたくさんある)

そう、ベンチャーのいいところは、社員が自分で考えて実行できるポジションにいられることが多く、そこで得られる経験値も大きい、ってことだと思うんですよね。

ただしこれらは「社長や経営側に"育てる"という意識が強くあり、それを正しく表現できているのであれば」という条件付きなのもポイント。

その条件面で引っかかって不合格、みたいな中小企業が多いのも事実です。

だから、経営側とはちょっと距離があっても教育システムが仕組み化されていたりお金を割けたりできる大企業の方が、社員を育てていられる平均得点は高い、ということにもなるとも思います。
(でもその大企業流の教育でこれからの時代も働いていける社会人が出来上がるかどうかは、また別の話ですよ)

部下に任せたら変な口を出さないことのハードルは高い

それでやっと話が最初に戻りますが。

だから(特にベンチャーにおいて)大事なのは、経営側が「失敗や回り道をしてもいい」、と意識の片隅においておけることだと思うんです。

なぜなら、人に任せると、上司というのはいろんな不安や自分への可愛さから、いろんなことを言いたくなる(口出ししたくなる)からです。

それが社員の成長を阻害する大きな要因で、ベンチャーだからこそ育つ環境を自ら損なうことだと思うんですよね。

社員が自分で考えてアクションを起こした経験、そしてそれを振り返ってPDCAを回す経験っていうのが、一番成長できるポイントなので。

そしてもう一つ大事なのは、「任せることと放置することは違う」っていうことですよね。

任せる(権限を与える)と言っても、いくつかの大事なポイントや進捗、数字は確認しないといけないってことで。
(そこが上司の責任ってものだと思います)

ここを勘違いして、「任せた」と言って自分は放置しておきながらプロセスや結果が悪かったりすると相手が悪いとばかりにスタッフを責めがちな人を、たくさん見てきました。

なので、一度任せたら変な口を出しちゃいけない。

すぐに不安に襲われる上司よりも、どーんと構えていられる上司の方がチームとして成果が出やすいのはそういうことだと思います。
(後者の場合も、その裏では綿密な計算やシミュレーションをしているからそうやって構えていられるんだとも思いますけどね)

もしかしたら上司が出すアドバイスは、部下の考えや能力を先回りしていて、短期間では売上が早く上がるかもしれない。

けれどその期間の売上アップを無視してでも、部下が自分で試行錯誤しながらもやることが大事だと思うんですよね。

そしてさらに大事なのは、ここでは上司のアドバイスが「正しい」と仮定した場合ですが、それはけっこう間違ってることも多いかもよ、ということです。

部下より上司の方が経験が多いのは確かかもしれないですけれどね。

ただ、僕が好きな言葉の一つに「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というものがあります。

だからアドバイスをしたい人は、まずは世界史(政治と経済)や論語、孫子の兵法などを学ぶといいんじゃないでしょうか。

※ちなみにここで言う「アドバイス」っていうのは、大きな戦略より一つ下のレイヤーの戦術的な部分のことを言ってます。

人間がアドバイスしたくなる時の心理

長くなりましたが、部下に対して自分の経験やら何やらから、アドバイスをしたくなったとき……。

そこで意固地になってません?
「会社のために」的なニセ物の建前で、自分が部下に何かを言ってやりたいという単なるエゴを隠してません?

と思うわけです。

何より自分がそう陥らないようにするために、「失敗や回り道を許容する会社でありたい」という意識だけは強くもっておくのです。

人間、誰しも弱い生き物ですからね。

あとは、それを許容できるようなファイナンス面での余裕も見ておく、っていうことも意識しないといけないとは思ってます。

中小企業も、とても弱い生き物ですし。

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